▼Dead Cities ▼Moscow Times
14 April 2006 By Chris Floyd

ジョージ・W・ブッシュ大統領の正当な理由のないイラク侵略に起因す
る犯罪から出てきた戦争犯罪すべてに関して、最も目に余るのは、こと
によると2004年11月のファルージャ壊滅だったかもしれない。ブッシ
ュの悪徳の愚行のための恥ずべき挫折のおぼろげな姿として、戦争を扇
動する重要人物らは「ファルージャ・オプション」がもっと大きな標的
のバグダッドにも適用されることをしきりに促していた。

この有力な戦争屋(主戦論者)どもが公然と要求するのがバグダッドの
「和平工作(紛争解決)」:先週、ウオールストリート・ジャーナル紙
の常に血に飢えた社説でタカ派のReuel Marc Gerecht が機嫌よく書い
てるように、「急騰する戦死者数」に導くのが避けがたい「恐ろしい」
作戦でスンニ派の暴徒とシーア派民兵をともに破壊する米軍による情け
容赦のない激しい砲撃の嵐のことだ。Gerecht の戦争を煽る大はしゃぎ
は急いで右翼メディアのエコールームをはね飛び回った。そしていまそ
このメンバーが合衆国政府の指導部を構成する、The Project for the
New American Century(PNAC)というグループから発する、民間の
協議にまで公然と意見を表明する。

幾たびとなく言及されるように、PNAC は特に、ディック・チェイニー
(副大統領、猟銃で目の前の友人、弁護士を撃った)、ドナルド・ラム
ズフェルド(チキンホークの国防長官)、ウォルフォウイッツ、大統領
の弟ジェブ・ブッシュ、駐イラク米大使ザルマイ・ハリルザード(政権
内最高位のイスラム教徒)、起訴中のルイス・リビーによって創設され
ている。2000年9月、彼らは米軍をイラクに送るよう公然と要求した、
たとえサダム・フセインがグーの音も出なくなっていようともだ。中央
アジアに新たな基地を配備すること、武器を備え付けること、原発を建
造し、アメリカ社会の軍国主義化に資金を供給するのはもちろんのこと。
そんな抜け目のない上層部のばくち打ち等々の彼らは、この気違いじみ
たプログラムがアメリカ人によって受け入れられることはないのをよく
理解した。もちろん、「新たなパールハーバー」のような触媒作用によ
って大きく変える出来事により国家が攻撃されるまでは。夢が実現しな
いのはどなた?

元CIA のGerecht はPNACでは先輩格だ。彼は、衰弱して無力なサダム
・フセイン政権による差し迫ったアメリカの破壊という大いにもうけの
多い戦争屋のファンタジーに従わせることに失敗したどんなCIA リポー
トの土台も絶えず削り取ることによって戦争へと導いた大量のごまかし
の下地のお膳立てをする多くの職員のひとりだった。ナショナルジャー
ナル誌が報告するように、このにせの脅威について情報局の多くの警告
(差し止め願い)が直接ブッシュの机に置かれたが、ホワイトハウスの
PNACに属する連中がこれらをポイと投げ捨てた。彼らは戦争を夢想し、
それを手に入れた。

しかし、殺戮を扱った傲慢な帝国の観劇においてイラク人らが役を演じ
損なった。先週言及されたように、彼らは虐殺され、略奪され、拷問さ
れ、支配されたために、無骨にも相応な感謝の表明を示すのを怠った。
ちょうど数週間前にブッシュ主義者によって痛烈な、穏やかな民主主義
の献身者と呼ばれたシーア派でさえも、今は憎しみに満ちた党派心の強
い人と糾弾される。バグダッドのブッシュの代理人、PNAC 創設者のひ
とり、ハリルザードによって突然口説かれているスンニ派の暴徒より悪
いとBBCは報じる。

イラク政府に支持される米国に支持されたシーア派の死の部隊がすべて
悪いのではないというのに用心しろ。確かに彼らはスンニ派の一般市民
を誘拐して、頭蓋骨にドリルで穴をあけているし、打ち首にしてから街
のストリートに死体を投げ捨てたり校庭に埋めたりしている。だが、こ
のすべてが「健全」だとGerecht は述べる。なぜなら、スンニ派とクル
ド人に「シーア派の支配力」を恐れさせているからだと。正直言って、
Gerecht のコラムは虚報、勘違い、論理的矛盾に満ち満ちているあまり
たいてい理性のある論説の段階をまるで脱している。だが、その趣旨は
明白である:あえてワシントンの命令に挑むことでシーア派はでしゃば
りすぎており、親愛なる指導者を間違ってるように見せているその他の
くずが帰国するのといっしょに、服従させる必要がある。

冗談と思うだろうが冗談ではない。すべての異教徒の内紛から生じる根
絶しにくい戦争で、バグダッドに「平和を回復する」Gerecht の主たる
理由のひとつは、「ジャーナリストが防備を固めたグリーンゾーンの外
に出るのを恐れれば、米国のメディアはイラクについて楽観的な記事を
決して書かないだろうからだ。極めて簡潔にブッシュ主義者の考え方で
ある。戦争は、実在する人間が幾万も死んでいる現実世界で実際に起き
ているのではない。実はFox News、CNN、NBCのモニターで戦われて
いる、ニューヨークタイムズやワシントンポストの薄っぺらなページで、
そしてラジオのトーク番組の過度に興奮した放送電波で戦われている。
グロズヌイのように、ゲルニカのように、バグダッドは鎮圧されねばな
らない。アメリカ人が野球観戦やモールに行く途中の地下鉄でもう少し
はりきった記事が読めるようにだ。

Gerecht や政府のPNAC に属した連中が思い通りにするなら、ファルー
ジャの悲運がバグダッドのために用意されている残忍な破滅のテンプレ
ートを提供する。ファルージャは鉄の環で取り囲まれた。水、電気、食
糧の供給は止められた。目に余る、はなはだしい戦争犯罪である。ファ
ルージャの街は8週間にも及び爆撃された。そうしてどちらも在来型の
化学兵器である白リン弾とナパーム弾で徹底した地上攻撃を加えられた。
多数の非戦闘員が殺され、20万人を超えるホームレスを残した。最初
の標的の中にファルージャの病院とクリニックがあった。これもまた目
に余る戦争犯罪だ。ある病院は破壊され、医者と患者が同様に殺された。
また別の病院は没収されて閉鎖された。西側のメディアに知れわたるこ
とから、すべては一般市民の犠牲者についての顛末を止めるためだと、
ペンタゴンの「情報戦争」のスペシャリストらがニューヨークタイムズ
に漏らした。今一度、捏造されたイメージが虐殺の現実に勝った。

ことによると、この運命の杯はバグダッドから移るかもしれない。こと
によると、先週ニューヨーカー誌が報じたように、ブッシュとPNAC に
属す連中はイランを核攻撃するために連中の逆上した計画でもって前進
するつもりかもしれない。だがGerecht の記事は、いまアメリカを支配
する堕落した考えの完璧な片鱗だ。ともかくも、ほぼ、そしてまもなく、
別の街が死ぬことになっている。

=================================================

▼アメリカはイランをどうするつもりだろ▼リバーベンド・ブログより
02 May 2006

2003 年に戦争が始まってからずっと放送を続けているTV局に、「ア
ル・アラム」というイランのTV局がある。そこは前の政府の許可を得
てイラクの一般市民のためにアラビア語放送をしていた。そしてイラク
のTV局が止められた後も彼らは放送を続けた。アル・アラムの戦争報
道はまあまあ中立的。事実を伝え、不要なコメントや意見は避けていた。
そのため、ある範囲までではあるけれど、信頼することができた。他に
選択肢はまったくなかったことであるし。

ここ数週間、イランがイラク北部、イランとの国境地帯にあるクルディ
スタンの一部を攻撃しているとのことだ。数カ所を爆撃されたが、さま
ざまな情報源によれば、数千という規模のイラン軍がイラクとの国境地
帯で待機しているらしい。これに先立って、イラン革命防衛隊がディヤ
ラなどの地域やバグダッドの一部にも潜入していると言われている。

一方で、新しい操り人形たち(変わりばえのしない古い操り人形を使い
まわしているにすぎないけど)は、数ヶ月かけてようやくだれが首相の
役を演じるか決めると、今度は主だった省庁をめぐり、どの政党がどの
省庁を手に入れるかで激論を繰り返している。その背景には、大臣に任
命されるや、その大臣が「身内」を重要なポジションにつけてしまうと
いうことがある。親戚、友人、取り巻き、そして一番重要なのは、自分
の私兵集団だ。アル・マリキが首相になったとたん、彼は自分の武装集
団がイラク軍の一部になると宣言した(イラク軍とは、バドル旅団とサ
ドル派のならずもの集団のことだけを指す)。

数日前、私たちは新首相任命後に行われた儀式のひとつを観た。グリー
ンゾーンにある広い部屋でタラバーニが大勢の政治家たちを前にして、
多少あつかましくもこう言ったのだ。イラクはいかなる「タダハル」、
つまりいかなる周辺諸国による干渉も容認しない。なぜならイラクは「
外国の影響を受けない主権国家」だから。これを見ていた私のいとこは
笑いすぎて失神しそうになった。タラバーニがでっぷりしたお腹を揺ら
し、にやにや笑いを浮かべながら、もったいぶって声明を読み上げてい
たとき、彼に笑みを返していたのは米軍の司令官の一団だった。彼の左
にはハリルザード駐イラク米国大使がいて、愛情をこめて彼の腕を軽く
たたくと、父親が長男を見るようなまなざしで見つめていた!

というわけで、イラク人が数百人単位で死んでいて、至る所で死体が見
つかっているときに、イラクの操り人形たちは、だれが、どの省庁で、
窃盗行為をしていいかを決めることに時間を費やしている。とにかく、
公金横領は軽々しく取り扱われるべきではない。十分に考え、議論され
てしかるべき事柄だ。たとえ国が、がたがたになっていてもだ。

新生イラク軍に関するニュースについては、ブッシュとその仲間が描く
ようには進んでいない。今日、私たちはアンバル州で行われたイラク兵
の卒業式の映像を観た。儀式はつつがなく行われていた。終了の間際ま
では。司令官が兵士たちはさまざまな地域に配備されると告げたとたん、
大混乱になった。兵士たちは作業服を脱ぎ捨てて振り回し、上官に毒づ
き、怒鳴り声をあげ、もみ合った。彼らは、それぞれの地域で軍に登録
した際、自分の出身地域内に配備されるという約束を得ていた。それは
筋の通った話だ。ニュースでは、目下のところ彼らはストライキに入っ
ているということで、自分の出身州以外のところに配備されるのを拒絶
している。

彼らが配備されることになっていた「地域」とは、イラク北部のことで
はないかと疑ってしまう。ことに、イラン軍が国境に待機している地域
だ。数日前、タラバーニはクルディスタンを守るのはイラクの責務であ
ると宣言した。私はこの変化に全面的に賛成する。なぜなら、クルディ
スタンは、まぎれもなくイラクの一部だからだ。タラバーニがこの宣言
をするまではクルディスタンを守るのはペシュメルガ(クルド人民兵。
クルド語で「死に直面する者」の意)だけだろうとずっと思われていた。
イランを相手に、それではとても十分とはいえない。

アメリカはイランをどうするつもりか?という大きな問題がある。爆撃
などの可能性が示唆されている。私はイラン政府を憎んでいるけれど、
イラン国民が空爆と戦争が引き起こす混乱や痛みを受けるいわれはない。
でも、私はこのことをさほど心配していない。なぜなら、もしあなたが
イラクで生活していたら、アメリカが両手を縛られているとわかるから
だ。ワシントンがテヘランに対して行動を起こしたとたん、イラク国内
の米軍は襲撃されるでしょう。とても単純な話よ。ワシントンは立派な
武器や戦闘機を持っているけれど、イランは15万人のアメリカ人人質を
手中にしている。