▼ディクシー・チックスはまだ怒っている▼

2003 年にイラク攻撃を批判して、「ブッシュと同じテキサス出身で恥
ずかしい」と発言したために、歌手として抹殺されそうになっただけで
なく命まで脅かされることになったカントリー&ウェスタン(C&W)
の女性3人組、ディクシー・チックスのことは憶えていますか。

彼女たちはその発言騒動で、全米のラジオ局の6割以上を独占すること
になるブッシュに莫大な献金をしているクリアチャンネルによって放送
禁止にされました。つまり、ディクシー・チックスの曲はラジオでほと
んど流れなくなったのです。

元々、カントリーミュージックには保守的で右翼的なリスナーが多く、
深くはびこる男尊女卑を批判してDV(家庭内暴力)男の歌を歌うなど
ディクシー・チックスは反逆児ではありましたが、クリアチャンネルに
煽られてカントリー・ファンのチックス・バッシングが爆発したのです。
クリアチャンネルのC&W専門局のDJがリスナーに呼びかけてディク
シー・チックスのCDを集め、ブルドーザーでひき潰したニュースの映
像は、当時脳裏にこびりつくほど繰り返し流されました。また、クリア
チャンネルが主催したイラク攻撃に賛成する集会でも彼女たちのCDが
焼き捨てられました。

ディクシー・チックスの元には「裏切り者」、「売国奴」、「非国民」、
「テロリストの味方」、「この国から出て行け」、そして「黙らないと
殺す」という脅迫状が殺到して、とうとう彼女たちは幼い娘たちの身を
案じて謝罪するはめに追い込まれました。

謝罪した後も、ディクシー・チックスは戦争とブッシュに反対し続け、
彼女たちの土俵であるカントリーの世界から完全に追放されはしたもの
の、この事件でそれまでカントリーなど聴かなかったフォークやロック
のファンの心をつかみ、ジャンルを超えたミュージシャンになったので
す。

でも、彼女たちは、忘れていなかった。

裸のボディにメッセージを刺青した、すごい!3人のニュー・シングル
「ノット・レデイ・トゥ・メイク・ナイス」で、「まだ、いい子になん
かなれない」と歌っています。

(下のサイトでヴィデオを見ることができる)
http://www.youtube.com/watch?v=fwc5YSAc-7g&search=dixie%20chicks

(以下、歌詞の抜粋)

許す、それもいいわね 許す、でも、私にできるかしら
時がくれば傷は癒えると人は言うけれど
待っていてもまだその日は来ないわよ

もう疑うこともない 何もかもわかってしまった
私は代償を払わされ 今も払い続けている

まだ、いい子になんかなれない まだ、引き下がるわけにはいかない
まだ、私はほんとうに怒っている

遠まわしに言ってるひまはないの
元のサヤに戻すには遅すぎる たとえできてもそんなことはしないわ

だって私はまだ怒っているんだから
あなたたちの助言になんか従えない

(中略)

許す、それっていい言葉ね 許す、私にはまだできない
時がすべてを癒すというけれど
私の痛みはまだ消えやしない

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▼ニール・ヤングの「リヴィング・ウィズ・ウォー」▼

ディクシー・チックスのニューシングルより少し前にリリースされた、
ニール・ヤングのニューアルバムは、もちろん、ブッシュ政権に昂然と
立ち向かうプロテストアルバムだ。

まずは一曲紹介。

「Let's Impeach The President (大統領を弾劾しよう)」

大統領を弾劾しよう 
ウソの理由でこの国を戦争に導いた罪で
国民から与えられた権力を濫用した罪で
国民の血税を戦争に注ぎ込んだ罪で

大統領の手下はみんな犯罪者だ
コソコソやってるホワイトハウスの影法師
自分の都合のいいように事実を捻じ曲げて
おかげで国民は戦争に行かされる

大統領を弾劾しよう
家にまで入り込んで国民を監視した罪で
この国の法律を破りまくって 
国民のコンピュータや電話を盗聴した罪で

アルカイダに堤防を爆破されていたほうが
ニューオーリンズはマシだったかもしれない

政府の言いなりになるか ホームレスになるか?

大統領を弾劾しよう
キリスト教を乗っ取り、それを選挙に利用した罪で
この国を赤と青に分断した罪で
黒人たちをないがしろにし続ける罪で

(以下略)

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▼コメディアンのスティーヴン・コルベア 報道官に志願▼
April 29 2006

ブッシュ大統領の支持率が大統領就任以来最低の 32 パーセントに落ち
込んだことについて、コルベアは得意の論法でブッシュを擁護した。

「支持率が低いのはいいことだ!」

あのヒットラーが大暴れしていた当時、ドイツ国民の 99 パーセントが
ヒットラーを支持していた!

ということは、私たちの偉大なるブッシュは、最もヒットラーに似てな
い大統領ということになる。

他の大統領と比較してみればいい。

ケネディ大統領の支持率は 63 パーセントだった。わっ、ケネディは6
割もヒットラーだったんだ。

それに引き換え、私たちのブッシュは3割しかヒットラーではない!


4月29日、ホワイトハウスの記者クラブの晩餐会で、このスティーヴ
ン・コルベアがブッシュ大統領を目の前にして褒め殺しのスピーチを披
露した。そのハイライト部分を紹介しよう。

(下のサイトでそのヴィデオを見ることができます)
http://video.google.com/videoplay?docid=-869183917758574879

ワーオ、なんという光栄。私のヒーロー、尊敬するブッシュ大統領と同
じテーブルにつけるとは、しかもこんな近くにすわれるなんて。まるで
夢のようだ。

誰か私をつねってくれない。ね、ちょっと眠そうでしょ。つねったくら
いじゃダメだな。誰か私の顔をちょっと「散弾銃で撃ってくれないか!」
おや、今日は副大統領は来てないのか。チェッ。彼ならばっちりやって
くれるのにな。

それはさておき、話を始める前に、カクテルのお代わりが欲しい人は隣
の人に言ってください。すぐに「NSA(国家安全保障省)がいつもの
ように盗聴して」、注文をお持ちしますんでね。

マーク・スミスと記者クラブのみなさん、大統領夫人、大統領閣下、私
はスティーブン・コルベアです。今宵、大統領をほめたたえる光栄にあ
ずかりました。

私も大統領と同様にコンピュータに貼り付くガリ勉野郎なんかではあり
ません。「事実なんてくだらんものは気にしません。」私たちは頭より
もガッツで考えるんですよね、大統領? 真実はガッツにあるのです。
神経の末端は頭よりも内臓のほうが多いって知ってます? 調べてみな
さい。いや、本を調べてみたら、そんなことはないぞと反論するやつも
いるでしょう。だから本なんてあてにならないんだ! では本じゃなく
てガッツにあたってみなさい。私はそうやってガッツに神経の機能を教
えてもらったんです。

私は自分の番組「コルベア・リポート」で、はらわたから話しています。
いいですか? 視聴者に真実を伝えているんです。「論理的な考察とい
うフィルターなしに!」 私はこれを「ノー・ファクト・ゾーン」と呼
んでいます。この呼び名、FOXニュースは勝手に使わないように。

私は民主主義を信じています。民主主義はアメリカが誇る輸出品です。
中国が一個3セントで大量生産する方法を思いつくまではね。

ようこそ、中国大使閣下。マクドナルドのハッピーミールは中国あって
のものです。

私は、国民をできるだけコントロールしない政府こそがいい政府だと考
えます。その意味でアメリカはイラクにすばらしい政府を作りました。
(イラクの無政府状態をおちょくる)

最近の世論調査でブッシュ大統領の支持率が史上最低の 32 パーセント
まで落ち込んでいることは知ってます。しかし、私も大統領も世論調査
なんか気にしません。世論調査なんてものは「現実的に考える」連中を
反映したデータにすぎません。みなさんご存知のように、「現実なんて
ものはリベラルのたわごとです。」

私はこの大統領を支持します。なぜなら彼は何かのために戦うからです。
それだけではありません、何かの上にも立ちます。たとえばペルシャ湾
の空母とか911テロの瓦礫、最近はハリケーンにやられた街の廃墟に立
ちました。彼の姿は、アメリカは何かされれば必ず反撃するという意志
を表明しています。世界で最も強力なヤラセ写真によってね。

今、石油危機が起こっています。ブッシュ大統領は非常に先進的なエネ
ルギー対策案を持っています。大統領ともあろうものが、この危機に際
して、牧場で無意味にヤブを刈ってるだけのはずがありません。大統領
は石油に代わる画期的な資源を開発しているのです。2008 年には「ヤ
ブっ蚊の力で走る自動車が実現」するでしょう!

とにかく私はブッシュ大統領が大好きです。彼は良き隣人です。妻を愛
し、生涯の伴侶としています。世論調査も同意してます。大統領夫人は
真の淑女であり、素晴らしい女性です。ただ一つだけ彼女に不満があり
ます。大統領夫人は子どもたちに読書を奨励しています。申し訳ないで
すが、私は本が大嫌いです。本なんか信じません。だって「事実しか書
いてない」んですから。ハートがない。本を書くような連中は私たちに
何が事実で何がウソかを教えてやろうという鼻持ちならないエリート主
義者です。百科事典にはパナマ運河は1914 年に開通したと書いてある
って? パナマ運河は「1941 年」に開通したと言う権利が私にはあり
ます。「それがアメリカの自由です!」 私は大統領の味方ですから、
何が事実かは歴史に決めさせます。

ブッシュ大統領の最も素晴らしいところは、決して信念を曲げないこと
です。月曜日に信じたことを水曜日に変えたりしません。火曜日にどん
なことがあってもです。
「情勢がいくら変化しようと、大統領は考えを決して変えません。」

大統領のそばに立てて感動している私ですが、会場を見渡すとアメリカ
をダメにするリベラルなマスコミ人だらけでヘドが出ます。いやFOX
ニュースは違いますよ。FOXニュースは両サイドの意見を報道します
から。「大統領の意見と副大統領の意見を。」

リベラルなマスコミ人はいったいなぜ、「政府による国民の盗聴」や、
「東ヨーロッパの秘密の牢獄でアメリカ政府がやっていた拷問」を暴い
たりするんですかね? そういうことが秘密なのには重大な理由がある
んですよ。「すごくムカつく事実」だからです。国民を嫌な気分にした
かったのなら、マスコミはよくやったと思いますよ。

でも、ブッシュ大統領になってからの5年間、ホワイトハウスの記者の
みなさんはずっといい子ちゃんでしたね。ブッシュ大統領の「無茶な減
税」についても、「イラクに大量破壊兵器がなかった」ことについても、
「野放しの地球温暖化」についても、記者会見であまり突っ込みません
でした。それらは、私たちアメリカ国民が知りたくないことですからね。
記者のみなさんには、それを追求しないだけの節度がある。本当に記者
クラブは大統領と仲良くやってきました。

大統領の閣僚が、記者の質問にきちんと答えなきゃならない理由はない
でしょう? 何を言っても記者は満足しないですしね。閣僚を入れ替え
ろ!とうるさかったからこれを刷新したのに、マスコミは「そんなこと
しても意味がない。沈みゆくタイタニック号の甲板のイスを動かすよう
なものだ」と書きましたよね。まったく失礼な例えだ。この政権は斜め
に傾いているかもしれないが、沈んでいるわけじゃないんです。上昇し
ているんです。飛行船ヒンデンブルグ号のようにね!(ヒンデンブルグ
は上昇して爆発した)

もちろん、新しい大統領報道官のことを忘れてはなりません。トニー・
スノー。シークレットサーヴィスからは「スノー・ジョブ」と呼ばれて
います(これはブロージョブにひっかけている。スノーは政府に媚を売
るFOXニュースの元キャスター)。報道官は困難な仕事です。なんと
いう勇気でしょう。駐イラク大使の次にきつい仕事です。

実は私も報道官に志願していました。私はきっと素晴らしい報道官にな
れたはずなんです。だって報道陣に対する軽蔑心でいっぱいですから。
こいつらの扱いは心得ています。

現に報道官になるためのオーディション・ヴィデオを持ってきました。
大統領閣下にご笑覧いただければ幸いです。

▲参照サイト http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20060429