▼俳優ティム・ロビンスのメッセージ▼

俳優としてボクはかなり突飛なうわさの一部である。でも、ボクの国が
裁判なしにCIAの極秘刑務所に囚人を監禁しているなどと数年前に知
らされたら、それはひどく強引なこじつけだとボクは忠告しただろう。

米国がその囚人たちに拷問もしていると知らされたら、君たち気でも狂
ったのかとボクは言ったはずだ。

ボクたちの政府が拷問に従事するとき、政府はボクや君の名義でそれを
やっている。

だから、ボクは、米国の指導者らは拷問ビジネスから降りろとやさしく
なく要求するアムネスティ・インターナショナルUSAの仲間になって
いる。いっしょに仲間に加われと強硬に促すのもそういう理由からだ。

http://www.kintera.org/TR.asp?ID=M7177438610604601930221165
(アムネスティの拷問を止めるキャンペーンへの緊急の寄付の呼び掛け。
どうか支援をお願いします。)

6月は「拷問意識強化月間」。でも意識強化は十分ではない。ボクらは
声を出さねばならないし、拷問を終わりにしなければならない。

よく考えてみてくれ:

世界の良心に衝撃を与える、アブグレイブ刑務所でのぞっとする囚人へ
の虐待の映像が明るみに出てから2年が過ぎたばかり。正反対の圧倒的
証拠にもかかわらず、依然として本日もボクらの政府は、虐待はほんの
一握りの孤立した行為だったと主張する。

アブグレイブや他のすっぱ抜きの結果として、ジョン・マケイン上院議
員が、世界のどこであれ合衆国諜報員による「残酷、無慈悲、名誉を傷
つけるような」扱いの全面禁止を断言する法案を提出した。法案をくつ
がえすために政権はあらゆる手段を使って戦った。法案の通過が避けら
れなくなったとき、政権はそれをひどく蝕む修正を挿入することに成功
した。

おまけに、大統領が自分は法に束縛されないと一方的に宣言して、本質
的に戦時とかいわれる情況での拷問に対する無条件の権限を主張する。

今年4月、拷問をアウトソーシングする(抑留者を拷問が常套化してい
る他国へ引き渡す)ための、合衆国政府の「極秘航空会社」を暴露した
ショッキングな報告をアムネスティが発表した。拷問がごく普通に習慣
的に行われる、エジプト、ヨルダン、シリア等々の国に抑留者を輸送し
ようと計画する内密のチャーター便に関して、手の込んだ秘密主義のス
パイダー・ウエブを見せた。

昔々、合衆国はすべての人権と尊厳の主張で世界をリードした。世界人
権宣言(1948年12月に国連で採択された)はボクらの国で起草され、
調印されたのだ。それは偶然のできごとではなかった。

今日、ボクたちが問題の一部になっている。人権擁護者として国の信頼
を建て直すのに何年もかかることだろう。

でも、いっしょに、法の支配や正当な法の手続き(これによらなければ
個人の権利・自由は奪われない:合衆国憲法第5条、第14条)、個人の
自由と尊厳を敬うなど、たいてい強く懐かしがられるアメリカの価値へ
の復帰を、本気ではじめる月にすることができるのです。

Sincerely,
Tim Robbins

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グアンタナモベイでは相も変わらず人権侵害が続いており、アムネステ
ィ・インターナショナルUSAはあなたの助けを必要としています。先
週末、グアンタナモベイの捕虜収容施設で3人の収容者が自殺したそう
なのです。法の支配によらずに専断的で不確定な長期拘禁がもたらした
悲惨な結末を目立たせます。

なんと拘留5年目にもなる、グアンタナモに拘禁されるおよそ460人の
男性には、その大多数が告訴や裁判もなしに、ハンストや自殺未遂とい
った自暴自棄の限界に助けを求めている人数が増大しているのです。

グアンタナモベイの捕虜収容施設を閉鎖する時期です。ブッシュ大統領
とラムズフェルド国防長官にメッセージを送り、二人に要求しようでは
ありませんか。

1. グアンタナモベイの捕虜収容施設を閉鎖し、別の場所に不法に移送し
 ない
2. 3人の収容者の死に独立した調査を行う
3. テロリズムの容疑者と言われる人に対する、明確でない、自由裁量に
 よる拘留という方針を終える

Amnesty International USA 
専務理事 ラリー・コックス

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▼グアンタナモで3人の捕虜が自殺する▼ニューヨークタイムズ
11 June 2006 By JAMES RISEN and TIM GOLDEN

ワシントン、6月10日付:キューバのグアンタナモベイにある米軍刑務
所で拘束されている3人の抑留者が土曜早くに自殺した。2002 年初頭
に軍刑務所が設けられて以来、報告される拘留者の死は初めてのことだ
と軍当局は述べた。

グアンタナモや世界のあちこちに点在する他の刑務所のテロ容疑者に対
するブッシュ政権の取り扱いについて国際的な批判が高まっている時期
に3人の死は生じた。土曜日、キャンプデーヴィッドにいたブッシュ大
統領は、この死について「重大な懸念」を表明したと、ホワイトハウス
のトニー・スノー報道官は述べている。

3人の抑留者が誰であるかは明らかにされなかったが、2人はサウジア
ラビア出身、1人はイエメン出身であるのを政府当局は教えた。3人は
独房の中でシーツと衣服とで作った輪でもって首をつり、医療人員によ
る蘇生もうまくいかずに死んだと軍当局は述べた。

軍当局は土曜日、3人の自殺が調整された抗議の姿だったことを示唆し
た。

「頭が切れて、独創的、彼らはのめり込んだのだ」とハリス大将は言っ
た。「われわれの命にせよ彼ら自身の命にせよ、命を重んじない。これ
は自暴自棄でやったことでなしに、われわれと行った非対称の戦争行為
だと私は考える」

3人ともアラビア語の自殺の短い手紙を残したと当局は言った。抑留者
のひとりはランク中か高位のアルカイダ密偵(スパイ)、別のひとりは
アフガニスタンで捕まり、残りは分裂派のメンバーだったと、 AP 通信
の記事の中でハリス大将は述べている。3人とも強制収容所のハンガー
ストライキに参加していたと彼は言った。

抑留者全員が解放されるには、3人の抑留者が収容所で死なねばならな
いというグアンタナモの「謎めいた」信仰と自殺行為はつながると彼は
言った。収容施設が設けられて以降、 25 人の抑留者による自殺未遂が
41 件あったと当局者は述べた。

抑留者の弁護士や人権団体、法関連の協会は、捕虜の多くが合法的にテ
ロリストと呼べるものかどうか、いよいよ疑問視してきている。グアン
タナモに監禁されるおよそ465人の男性のうち、軍の裁定委員会(軍事
法廷)の前に起訴されているのが 10 人にすぎないこと、そしてアルカ
イダに所属、もしくは米国攻撃に対する行政訴訟手続きでも、多くの者
が一度も告発されてないことを、最近公開された文書が指摘するのに彼
らは着目する。

自殺は、漠然と(無期限に)拘束される収容者が絶望を感じたことに起
因するものと、抑留者を擁護する人たちは考えた。

「この男たちに意味をなす正義というものを提供することで、ブッシュ
政権が強情に言うことをきかないこと全体が、この痛ましい悲劇の核心
だ」と、多数の抑留者の代理人を務める弁護士を監督するニューヨーク
弁護団、憲法権利センターの法律局長ビル・グッドマンは述べた。「私
たち全員に、この男たちがどんどん絶望的になっていってるとの意識が
ある。益々大きくなる全般的な自暴自棄感覚(絶望感)があるのです」

自殺未遂を繰り返しているひとりの抑留者の代理をするニューヨークの
弁護士事務所 Dorsey & Whitney の弁護士Joshua Colangelo-Bryan
は「永遠にグアンタナモに監禁されるんだとこの男たちは話している。
監禁されてる間、たったひとつの権利もないんだと彼らは話している」
と言った。

外国政府と国際的組織はグアンタナモでの抑留者の扱いへの非難を促進
してきている。つい先月、国際拷問禁止令への合衆国の追従を再検討す
る国連条約委員団が、グアンタナモは閉鎖されるべきだと主張した。先
週、欧州議会は、東欧や世界のあちこちにあると考えられる極秘刑務所
によって強調されるテロ容疑者の処遇に関して、合衆国は「非難される
べきネットワーク」を創り上げていたと書く独立した調査報告書を公表
した。

ヨーロッパにおける問題への高まる激情に反応してブッシュ氏は5月、
ドイツの TV 局とのインタビューのなかで、グアンタナモ刑務所を閉鎖
したいのだが、抑留者は民間の法廷で決着をつけるべきか、軍事委員会
で審理すべきか、ブッシュ政権は最高裁の裁定の結果を待たねばならな
いと述べた。( 6/29 「グアンタナモ基地収容のテロ容疑者に対する軍
事法廷適用は違法との最高裁判断」が出た。小泉首相との日米首脳会談
は、その日、このニュースのせいでトップ扱いになることはなかった。
その後のグレースランド訪問騒ぎは別として)

その間にも、収容者らがハンガーストライキや自殺未遂、看守への暴力
に乗り出すなど、ここ数ヶ月で収容所内の情況はどんどん爆発の危険含
みの不安定なものになってきている。

抑留者の弁護士らは、収容者が命を絶つことになると、何ヶ月も予言し
てきた。彼らは抑留者への接近では、繰り返し不満を述べてきた。そし
て収容者の健康状態と精神状態についての情報をなんとかもっと得られ
るようにと、連邦裁判所に訴訟を起こしている。

抑留者からの人身保護令状の申し立て(訴訟)を審問する裁判所の管轄
権を奪うことになる、 12月30 日ブッシュ氏によって記名調印された法
案、抑留者処置法の下、抑留者の処遇に関するすべての訴訟を却下する
ことでの現政権の骨折りにも弁護士らは精力的に抗議をしている。

ここ何ヶ月、ほぼすべての申し立てについて判決が保留にされてきた。
そして今月、オサマ・ビンラディンの元運転手の裁判では最高裁による
判決が未決のままである。

公然と声明で国防省当局は、抑留者の自殺未遂を、重大とは言えない、
世論を巧みに操作する訓練されたアルカイダ・テロリストの行為として
常に却下してきた。グアンタナモにいる抑留者による最初のハンガース
トライキは 2002 年1月収容所が開設されてまもなく始まった。そして
その年、2人の収容者がチューブから力ずくで食べさせられた。何十人
もの自殺未遂者があとに続いた。

2003年8月18 日の段階で、一日に10人を含む、23人の抑留者が首を
つるか自分の首を絞めるかを試みた。だがペンタゴンは 2005 年1月ま
で、症状の発現を明らかにしなかった。そして抑留者の弁護士らは、政
府には自殺未遂についての情報を制したり、重要性を過小評価するパタ
ーンがあると述べることについて、苦情を申し出ている。

2003 年末、自殺未遂の多くを、圧力をかけて条件をもっとましにさせ
るか、釈放させるつもりの「ごまかしの、自分を傷つける行為」だった
としてグアンタナモの軍当局者らは情報などの機密分類を変え始めた。
それらの指定が、必ずしも正規の心理的な評価の後に設けられたのでな
いことを、グアンタナモの当局者らは認めた。

だが、昨年の晩夏、新たな抵抗の高まりが突発したとき、グアンタナモ
とペンタゴン当局は、いよいよ心配に変じたと国防省の役人たちは言っ
た。

グアンタナモの抑留者の待遇を監督するドクターたちは、ハンストする
人たちに鼻から胃にチューブを挿入して無理やり食わすことができる情
況について、ペンタゴンに新たな指導を要求した。国防省の役人は、昨
年夏に始まったハンストの連鎖的波及の遮断を試みようと新たな処置を
講ずると同時に、謀った自殺がうまくいった場合、実行できる抑留者の
埋葬や遺体の輸送に従う手続きの再考にも着手したと軍の役人は言った。

軍の役人たちは、軍と医療の全職員が自殺をとがめるコーランの一節を
引用することで、抑留者が自殺をするのをある程度思いとどまらせよう
とした。「敵の戦闘員」としての身分の一年の観察は満たされた、少な
くともあと一年はグアンタナモに留まることになる、そしてこの情況に
甘んじるべきだと、抑留者らが組織的に知らされたことを、国防省の役
人らが話した。

グアンタナモを監督するペンタゴンの上級職員と合衆国南部司令部の職
員を含む、ハンスト問題での軍の再考は、結局、食べるのを拒んだ抑留
者が無理やり食わされる間、彼らを金属の「拘束手段の椅子」に縛って
締めつけることで解決へと導いた。

軍職員とのインタヴューが、「極度の栄養失調」と医者に分類されるほ
ど体重が減って無理やり食べさせられたのは、ほんの一握りの抑留者だ
と指摘した。健康状態にかかわらず、食べるのを拒否した全員に拘束手
段の椅子が使われたと軍職員は述べた。

拘束手段の椅子が公になって何ヶ月もの間、抑留者の弁護士と他の米国
の拘留方針を非難する人びとが、拷問措置は収容者を自らの死へとより
過激な行動を起こすようせき立てることになると予言した。

土曜の自殺の前に、最も重大であったかもしれぬ事件は5月18 日に起
こった。その日、2人の抑留者が、いろいろな収容者が明らかに目的の
ために貯め込んでいた抗不安剤を多量に摂取した後に独房で意識不明で
発見された。彼もまた自殺を謀ろうと試みたがクスリが足りなかったと
別の抑留者は話した。彼の自殺未遂が本気だとは思わなかったと軍職員
は述べた。

他の抑留者たちが二次的な独房の捜索で看守に暴力を振るったと軍の職
員は話した。その動乱は、独房からひったくる際に収容者のコーランを
酷使した看守らによって誘発されたものであるのを、数人の抑留者があ
とで弁護士らに漏らしている。

2週間後になってまた短いハンストが始まって、結局、抑留者 75 人が
関係したと軍当局筋は述べた。抑留者の監視と尋問を任されている軍の
機動部隊の代表の上官、海兵隊司令官ロバート・デュランドは、これ以
前にも言われてきたように、この挿話的なできごとは、釈放を目的に社
会の圧力を高めることを目論んだ「注目を得るため」の骨折りだと説明
した。