▼DIEGO MARADONA'S NIGHT ▼マラドーナ「10番の夜」

アルゼンチンの英雄、そして20世紀最高のサッカー選手であり、現在
もカリスマとしてその言動が注目されるディエゴ・マラドーナ。

2005年の夏、彼がTVのバラエティ番組のホストに挑戦するという
ニュースが世界中を駆けめぐった。母国アルゼンチンでは、最高視聴率
34.9%を記録。南米各国を皮切りに、ヨーロッパでも放送が始まり、
世界のマラドーナ信奉者を熱狂させた。

そしていよいよ日本でもワールドカップ熱にあわせて放映がスタートす
る。

<はっと息をのむ豪華なゲスト陣>

20世紀最高の選手の座をめぐって争ったペレを招いての一対一の対決
を筆頭に、ジダン、バティストゥータ、ベロンといったサッカー界のス
ーパースターとの対談が話題になっている。さらに、マラドーナ自らが
挑戦するフットテニスでは、メッシ、クレスポ、アイマール、リケルメ、
テベス、ソリンなど、ワールドカップで活躍したアルゼンチン代表を相
手に、その衰えぬ美技を披露する。また、マラドーナを慕って番組に登
場する、"ブルファイター"マイク・タイソン、俳優アントニオ・バンデ
ラス、果てはキューバのカストロ議長など、ジャンルを超えたゲストと
の対談も注目だ。

http://www.maradona.jp/index.html

ディエゴ・マラドーナは、2005年10月27日、キューバ国営TV
でカストロ国家評議会議長と共演し、アルゼンチンで実施するブッシュ
米大統領批判のデモの先頭に立つことを約束した。

ブッシュ大統領は11月4日から5日までアルゼンチンのマルデルプラ
ッタで開催される米州サミットに出席するためアルゼンチンを訪れた。

マラドーナはTVで、「ブッシュ大統領は殺人者だと考える。彼がアル
ゼンチンの土に足を踏み入れることに反対するデモ行進を推進したい」
と宣言している。また、カストロ議長を「私にとっての神様」と呼び、
薬物中毒の治療に協力してくれた「友人」であり、「父」であると賞賛
もした。

マラドーナは薬物中毒の治療のため4年間にわたり何度もキューバを訪
ねている。キューバに自分の家を持っており、 アルゼンチンで昨年8月
からホスト役を引き受けているTV番組の契約終了後は、キューバで暮
らす計画も練っているとのことだ。
(ロイター通信)

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▼ボリビアのモラレス大統領▼ボリビア紙 18 June 2006

ボリビア政府は、今後5年間の貧困排斥プランをまとめた。

政府は今後5年間で貧困率を63%から44%に引き下げる目標を掲げ
た。127億ドルの予算で年間9万人の新規雇用を創出、失業率も4%
に抑える。

このプランはモラレス大統領の指示によりボリビア開発企画省がまとめ
たものである。 貧困からの脱却は、モラレス政権が掲げる主要な政策の
一つだ。 「よりよく生きる」ための政策を具体的に示した巨大プロジェ
クトであった。

予算については天然資源の国有化による国の増収分でまかなう予定だ。
また同時に、国民の健康・衛生や教育の質の向上についてもプランを策
定するとのことである。

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▼ライス国務長官、ボリビアの反米大統領と会談▼日経新聞
12 March 2006

2006年3月、チリを訪問中のモラレス大統領は現地でライス米国務
長官と会談した。同大統領はコカインの原料、コカ栽培に対する米国主
導の規制に反対している。ロイター通信によると、ライス長官は大統領
に「ボリビアと良好な関係を持ちたい。両国は麻薬密輸対策で協力すべ
きだ」と伝えた。

南米諸国では近年、米ブッシュ政権に批判的な左派系の政権が増えてい
る。米国には、会談を通じてモラレス政権との関係改善を図り、域内に
反米感情が広がるのを阻止したい思惑がある。

モラレス大統領はコカ栽培農家団体の代表で、南米で影響力を強める反
米左翼のチャベス・ベネズエラ大統領と親しい。昨年12月の大統領選
では、自分が「ワシントンの悪夢」になると訴えたが、就任後は反米姿
勢を軟化させる兆しも見せている。

大統領は、コカの葉を飾り付けたアンデス地方の先住民の楽器をライス
長官にプレゼントしてこれに応えた。

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▼変わりゆくラテンアメリカ▼

昨年12月18日、南米ボリビアで行われた大統領選挙では、左派のイ
ボ・モラレス候補(46歳)が54.3%という圧倒的な高得票率で当
選した。対立候補のホルへ・キロガ元大統領の得票は僅か20%に過ぎ
なかった。モラレスと彼の政党 MAS( Movimiento Al Socialismo )
は議会でも多数派を占めており、180年のボリビア史上初めての先住
民政権の誕生であった。

ブラックジーンズとスニーカーがトレードマークのモラレスは、若い頃
は小さな町のトランペット奏者でサッカー選手だった。やがてコカ生産
農民連合を巨大な政治勢力に仕立て上げることに成功、カリスマ的な政
治家(国会議員)となった。

モラレス大統領の経歴の中でも異彩を放つのがコカ栽培農家出身という
くだりだろう。現に彼はコカ生産農民の代表として、年間4万9千トン
(うち違法が3万8千トン)にのぼるコカの葉栽培解禁を訴えている。

ボリビアはコロンビア、ペルーと並びコカインの3大生産地として知ら
れている。コカインはコカの葉を原料とし、化学物質を混ぜ合わせるこ
とで生成される。もともとコカの葉は南米の先住民の間で嗜好品として
好まれてきた。先住民はコカの葉を「神の葉」と呼び、噛むことで疲れ
を癒し、空腹をやわらげてきたのだ。コカの葉を噛み、お茶として飲む
習慣はアンデス高地では先住民社会を中心に今日でも広く受け継がれて
いる。もちろん、これは合法であって、コカの葉には高山病を和らげる
薬効もあり、広く社会に浸透している。

だが、1960年代にコカインの生成技術が発見されると、コカの葉が
麻薬の原料となり、コロンビアマフィアによって米国を中心に全世界に
密輸されるようになった。コカインの流入に危機感をおぼえた米国は、
コロンビアマフィアなどの流通組織を軍事的に壊滅させ、コカ農家によ
る栽培を断とうとした。ボリビアでは時に政権に資金援助を与え、コカ
農家の撲滅と転作を進めてきた。

ところが、コカ農民出身のモラレスが大統領に当選。その公約の一つが
「コカの葉栽培の拡大と合法化」である。モラレスはコカの葉は南米先
住民の文化の一部であり、麻薬と同一視すべきでないと主張。米国の麻
薬撲滅作戦に反対するが、麻薬密輸やコカインの製造は撲滅する。同時
にコカ生産撲滅対策として米国がボリビアに供与してきた経済・軍事援
助(2005年は約9、100万ドル)を拒否する。

12月24日付ニューヨークタイムズ紙は、「変わりゆくラテンアメリ
カ」と題してモラレスの登場を以下のように論じた。

「ボリビアでこのほど実施された大統領選挙は、イラクの議会選挙に劣
らず歴史的なできごとであった。当選したエボ・モラレスは、5世紀近
く前に征服者たちが到着して以来、初めて、先住民代表としてボリビア
を統治することになる。
彼の勝利は、この国に20年以上前に民主主義が復活して不安定で無力
な政府の時代を終わらせて以来、最も重要な決定的できごとの一つだ。
だがブッシュ政権からの祝杯は期待しない方がいい。選挙戦でモラレス
氏は自らをワシントンの"悪夢"として売り込んだ。
彼はコカ栽培に対する戦いから天然資源の民営化、貿易の自由化に至る
まで、ブッシュ・チームが支持したほとんどすべての政策に反対した。
彼の好む中南米指導者は、ベネズエラのウゴ・チャベスやキューバのフ
ィデル・カストロである。そして、こうした反ワシントン政策に対する
政治的支持は、この地域に高まる潮流の一部なのだ。」

そしてニューヨークタイムズ紙は、ブラジル、アルゼンチン、ウルグア
イ、エクアドルなどと共に南米大陸3億6、500万の人口のうち3億
人近くが左翼政権の下に暮らすことになったと報じる。その一方、モラ
レスの勝利を、一世代前(1979年)に軍事独裁から民主主義に移行
して以来、最も合法の大統領であると評価した。

政治アナリストであるラパスのカトリック大学のゴンザレス・チャベス
教授は、今回の選挙を「民主的革命」であり、「選挙民はボリビアの変
革を強く望んでいる証拠である」と評した。

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▼波紋を広げるモラレス大統領の公約の実現▼

<国有化と強制接収>

エボ・モラレスが選挙期間中に掲げた急進的な社会主義的公約の数々は
国際社会に波紋を広げていた。特に「天然ガス産業の国有化」、「外国
資本からの強制接収」などは、ボリビアで莫大な投資を行っていた外資
企業に強い脅威を感じさせた。

ボリビアの天然ガス問題は2003年以来、政治的紛争となってきた。
当時、先住民たちが首都のラパスまで行進して、国有化を議会に要求。
先住民組織とボリビア総同盟は、「もし聞き入れなかったら、議会を占
拠する」と脅していた。デモはラパスに通じる道路をすべて封鎖し、ピ
ーク時には50万人にのぼった。機動隊の銃撃に対し、錫鉱山労働者が
ダイナマイトで応戦するなど、内戦の様相を帯びていた。

1990年代、ボリビアに南米第2の天然ガスの埋蔵が発見され、英、
スペイン、フランスなどの外国資本が開発権を手に入れたが、その時に
は、ボリビア政府には18%(年間4〜7、000万ドル)のロイヤル
ティしか入ってこないという不利な条件であった。これは17世紀には
金銀、20世紀には錫という天然資源を外国資本に搾取されてきたボリ
ビアの民衆にとって耐え難い屈辱だった。モラレスのMASはエネルギー
の外国資本の国有化を唱えていた。

さて、4月29日、モラレスはキューバの首都ハバナに飛ぶ。ここでカ
ストロ・キューバ国家評議会議長とチャベス・ベネズエラ大統領との3
者会談が行われた。3者は「米帝国主義の中南米支配」に抵抗するため
3国の政治・経済・社会面での統合および連携を強めることで合意。チ
ャベス提唱の南米統合プラン、「ボリバル代替統合構想(ALBA)」
の結成をぶち上げる。

この合意に基づいて南米最貧国であるボリビアは、医療技術が進んだキ
ューバからの医師団などの派遣、世界有数の石油輸出国ベネズエラから
のエネルギーの優先的配給を受けることになった。また、カストロとチ
ャベスはボリビア製品への関税廃止協定にも署名。反米・社会主義急進
派の先輩格であるキューバ、ベネズエラが、まだまだ基盤の弱いモラレ
ス政権を全面的にサポートする形となった。そして帰国後の5月1日、
モラレスは「国内すべての天然ガス事業の国有化」、「外国資本の生産
施設と産品の国有会社移管」、そして「半年以内に国有化交渉に合意し
ない外国資本の排除」を宣言する。

特に衝撃を受けたのはブラジルである。ブラジルはボリビア国内での全
海外投資の約20%を投資し、天然ガス生産の実に45%に関与してい
る。これはボリビアGDPの18%に相当する。ブラジルのルラ大統領
はボリビア大統領選挙では同じ左派路線のモラレス大統領を支持。この
恩を仇で返すような措置に激怒した。

ボリビアで天然ガス生産を行っているブラジル企業は国営石油公団のペ
トロブラス。ペトロブラスはボリビア政府を相手に、国際裁判を起こす
ことも辞さない構えをみせた。また、同じく天然ガス事業に投資してい
るスペインも外交チャンネルを通じて強い抗議を表明、「天然ガス国有
化に、深い憂慮を表明する」、「今後の2国間関係に強い影響をもたら
す」 と、ボリビア政府を牽制した。

<4カ国首脳会談とブラジルの敗北>

5月4日、事態打開のためにボリビア、ブラジル、アルゼンチン、ベネ
ズエラの4カ国首脳がアルゼンチンのプエルトイグアス市で会談した。
ボリビアとブラジルは当事国、アルゼンチンは南米の大国として参加、
ベネズエラはボリビアの「後見人」として会談に加わった。会談の結果
はボリビアの外交的勝利。ブラジルは国有化宣言を受け入れる。高騰が
懸念される天然ガス価格については、政府など当事者同士の個別交渉に
より決定する。また、地域統合を強化するため、他の3カ国が合意して
いる天然ガスパイプライン建設計画にボリビアも加わることになる。

会談後、モラレスは「首脳らが抱いた懸念は会談ですべて払拭された」
と自信を示し、周辺国の容認を獲得した国有化について、チャベス・ベ
ネズエラ大統領は「歴史的な決断だった」と評価した。

<反自由主義と富の再配分>

モラレスがボリビア大統領に就任して、わずか半年間で彼は南米に旋風
を巻き起こしつつある。

彼の政治的信条は、社会主義、反米・反IMF・反グローバリズム、反
自由主義経済。この信条に則って、彼は天然ガス産業の国有化と外資企
業施設の接収を行った。また、彼は南米先住民の出身であり、貧困層を
支持基盤としている。外資と富裕な一部の白人層に対しては富の接収と
再分配を公約として掲げている。

<南米の左傾化>

モラレスやベネズエラのチャベス大統領を代表とする、昨今の南米の政
治変動には2つの背景があると思われる。

ひとつは南米の社会構造:
16世紀のスペインの南米強掠以来、少数の富裕な白人層と多数の貧し
い先住民層に南米の社会は二分されている。この多数を占める先住民の
貧困層が民主主義の進展により多数派を形成し、権力を握り始める。
   
次に反米・反IMF・反グローバリズム:
1980年代に中南米は大変な経済危機に見舞われ、米国と国際通貨基
金(IMF)の後援のもと、保護関税撤廃や国営企業の民営化、市場開
放や外資導入など急速な規制緩和・撤廃を行った。これを「新自由主義
(ネオリベラリスモ)」政策と言う。この結果、欧米資本の流入で経済
は回復したものの、中南米全体で成長率は3%台と低く、外資は鉱業な
ど特定の産業分野に集中し、有効な失業対策にはならず、失業率が倍に
跳ね上がった。また、政府の福祉削減策などもあって貧富の格差が拡大
した。

モラレス大統領は、米国との協力を認めてはいるが、従属ではなく、対
等の協力であると言っている。かねてから、彼はブッシュ大統領をテロ
リストと呼んでおり、イラク戦争を国家テロと非難してきた。  

ニューヨークの「Monthly Review」誌1月号に載ったインタービュー
記事によると、モラレスは自らを「"共同体"社会主義者」と述べている。

彼はコミュニティに住んでおり、平等主義者であるというのがその理由
だ。「そもそも、農民のコミュニティは社会主義である。」

「母なる大地を尊重する。これは商品化してはならない。」

▲参考サイト
http://www.jca.apc.org/~kitazawa/undercurrent/2006/bolivian_new_president_2006.htm