2006年8月17日 フィリピン陸軍少将ヨビト・パルパラン
「フィリピン兵士らが左派活動家の殺害に関与しているかもしれない」

2006年8月31日 犠牲者748名:米国・アロヨ政権下の政治的
殺害

2006年9月8日 ほぼ1000人ちかくの左派活動家、共同体組織
者、弁護士そしてジャーナリストが、行方不明になるか殺されている。

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▼フィリピンの政治的殺害 最近の被害状況▼2006年9月21日

9月16日
南カマリネス州デル・ガリエゴの町で、左派活動家のクリストファー・
ルナス氏が身元不明の人物に射殺される。

9月12日
ラグナ州カランバ市で、労働雇用省の地方事務所で開かれた聴聞会に出
席したバス会社の組合の委員長が出席直後に外に出たところをバイクに
乗った2人組に背中を2発撃たれ、搬送先の病院で死亡する。

9月7日
ボホール島ダナオにて、左派活動グループのリーダーで、以前から国軍
のターゲットと言われていたビクトール・オライヴァール氏がバイクに
乗った男に射殺される。

8月31日に拉致された漁業団体のリーダーがブラカン州カルンピトの
町で遺体で発見される。遺体には複数の銃弾の痕があり、地元警察によ
ると、どれも至近距離から撃たれており、手足には縛られた痕がある。

9月3日
北アグサン州ブエナビスタのバランガイ・シンバランで、バイクに乗っ
た男らに先住民グループのリーダーが射殺される。同州では1週間前に
もアンティカラ町で活動家2人が銃撃されたが、この時は難を逃れた。

8月20日
南スリガオ州タンダグの町で、自動ライフル銃で武装した身元不明の男
らが午後11時頃、農民団体のリーダーであったヘルミリト・マルケザ
氏の自宅に押し入り、銃弾を浴びせ、殺害する。

8月16日
ヌエバ・エシハ州ギンバ町で、農民団体の女性支部長ジュリー・バスケ
ス氏が友人の通夜に参列している最中に何者かによって射殺される。

ブラカン州オバンド町にある民家に早朝スキーマスクで顔を覆い、45
口径の拳銃で武装した4人の男が押し入り、漁業組合のリーダーで家人
のオーランド・リベラ氏を射殺する。最近、彼はゴミ投棄場の撤廃運動
を行っていた。

8月10日
農業従事者協会の指導者でシティオ・ブントグに居住するギルバート・
ハミレ氏が、カランバ市とカブヤオ町の境界線にあるゴルフ・コースの
近くでバイクに乗った武装犯に射殺される。

8月3日
合同メソジスト教会の牧師で農民運動のメンバーだったイザヤ・ローザ
氏が、自宅で10人の覆面の男らによって銃殺される。

7月31日
左派グループの活動家の妻がカリンガ州タブク町バランガイ・ブラナオ
の国道沿いで3人の武装した覆面の男らの襲撃を受けた際殺害される。
被害者の夫は重傷、子どもは軽傷。またその場に居合わせた学生も負傷
した。

ソルゴン州ブラン町で、学生運動のスポークスマンをつとめるアキナス
大学の男子学生がバスターミナルにいたところを2人組の男らに撃たれ
て死亡する。

早朝、首都圏マラボン市レトレの自宅前でタブロイド紙のカメラマンが
3人組に銃撃され死亡する。このカメラマンは5月16日に殺害された
カメラマンの従兄弟であった。

7月26日
東ミサミス州サライ町で、農業従事者で農業団体のリーダーのアーネス
ト・ラデカ氏が3人組に頭部を撃たれて死亡する。

7月24日
深夜、ブラカン州で農民団体のリーダーであるアーネスト・サンチャゴ
氏が家族と共に自宅で就寝しているところを4人の武装集団に拉致され
る。

7月20日
バヤン・ムナのイサベラ州代表の女性が、射殺される。この女性代表は
5月に殺害された代表の後任であった。

7月18日
ミンダナオ島南ダバオ州で、辛口で知られる地元ラジオ局のキャスター、
アルマンド・ペイス氏が番組の収録を終えて帰宅途中に2人組に襲われ
射殺される。

7月6日
アロヨ大統領の政策に反対するグループの地方代表、パキート・ディア
ス氏がタクロバンの市内でバイクに乗った男らに銃撃されて死亡する。

7月3日
左派グループの代表者が自宅から拉致される。

7月1日
カガヤン州バガオにある左派グループが資金援助するラジオ局に、武装
した男らが押し入り、キャスター5人を含む職員7人を縛り上げ、ラジ
オ局の装置、設備にガソリンをまいて逃亡する。7人の被害者はかろう
じて逃げることができた。

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▼フィリピンにおける深刻な人権侵害に関する声明文▼
by ピース・チェーン・リアクション 21September 2006

私たちは、中部地域でフィリピンに関連する活動を行なっている団体及
び個人です。現在フィリピンでは、合法の左派政党、NGO、農民運動や
労働運動のリーダー、左派系ジャーナリストが殺害されるという事件が
相次いで起こっています。

これら市民運動のリーダーの殺害は2001年5月のアロヨ大統領就任
以降、頻繁に発生するようになりました。フィリピンの人権団体の調査
報告によると、2001年から今年6月末までの犠牲者は700人を超
えています。特に今年に入ってから犠牲者の数が急増しており、国際人
権団体アムネスティ・インターナショナルも、2005年全体の犠牲者
数が66人だったのに対し、2006年は7月末現在、すでに51人に
達していると報告しています。

標的となる犠牲者の顔ぶれや、マスクをつけた正体不明の複数の男性が
至近距離から銃撃して手際よくバイクに乗って逃走するという殺害方法、
また犯人の何人かは着古した制服を着ていたという目撃情報があること
などから、殺害には軍や警察が関与しているとの指摘がなされています。
アムネスティ・インターナショナルも、治安関係者が関与しているか、
少なくとも容認していること、しかもこれらの殺害のうち容疑者が逮捕
されているのがわずか3件で、有罪の判決が出たケースは一件もないと
報告しています。

このような司法手続を経ない超法規的殺害が多発する状況に対して、フ
ィリピン政府の対応はいまだ有効な成果をあげておらず、フィリピン市
民はいつ超法規的殺害の対象となるかわからない不安な状態の中で暮ら
しています。社会秩序を維持する法の支配がきちんと機能しているのか
疑わしい状況です。

1)独立した機関による徹底した事実調査とその公開
主権国家の政府はその国を構成する市民の生命と財産を保護する責任と
義務があります。アロヨ大統領は、去る5月、超法規的殺害の阻止と殺
害事件の調査を命じる指令を発しました。しかし、その後も、市民に対
する殺害、誘拐、脅迫、嫌がらせは多発しています。フィリピン政府は
超法規的殺害に関与した軍、警察及び治安部隊関係者などによる人権侵
害の実態、殺害の状況について、事件の関係者からの独立性が確保され
た調査機関によって徹底した調査を実施し、事実を解明すること。また、
その調査方法や調査結果を公開すること。

2)フィリピン国軍、国家警察による市民に対する人権侵害(殺害、誘
拐、脅迫、嫌がらせ)の即時阻止
治安関係者による違法行為が放置されることにより、フィリピンの市民
社会秩序が脅かされています。フィリピン政府は、上記の調査結果に基
づき、軍、警察等関係機関への実効性を伴った、よりいっそう強力な措
置をとることにより、人権侵害を即時に阻止すること。

(ピース・チェーン・リアクションの声明文より抜粋)
http://ngo-ph-rights.jugem.jp/