▼毒殺未遂:プーチン氏批判の元ロシア幹部、亡命先ロンドンで▼
毎日新聞 19 November 2006

ロシアのプーチン大統領を批判し、英国に亡命したロシア連邦保安庁の
元幹部がロンドンで毒殺未遂に遭った疑いが強まり、ロンドン警視庁が
捜査に乗り出したことが19日わかった。英主要紙が報じた。

元幹部は、チェチェン独立派への対応などでプーチン政権を批判した著
名女性ジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤさん殺害事件に関す
る情報を入手した11月1日に体調を崩し、現在は生命が危険な状態と
いう。元幹部と知人らは「ロシア当局による犯行」と主張している。

元幹部は先週、ロシアのインターネット・メディアのインタビューに、
「入手した書類は(ポリトコフスカヤさん殺害)事件に関与した職員を
名指ししている」と証言していた。(米ABCニュースによれば殺害に
関与したのは4名とか)

元幹部は2000年に政治亡命を申請し、今年10月に英国の市民権を
取得した。事件に使われたのは英国で使用や保有が厳しく制限されてい
るタリウムとみられている。
(共同通信)

=================================================

▼シュレーダー元首相、ロシア・ドイツ間パイプライン事業体の取締役
会長に就任▼ワシントンポスト紙 10 December 2005

シュレーダー元ドイツ首相が、世界最大の天然ガス企業で、ロシア・ド
イツ間の天然ガスパイプライン開発を担当するロシア・ガスプロム社の
共同事業体取締役会長に就任したことを詳細に伝えるワシントンポスト
紙の昨年の記事を以下に抜粋:

2005年9月、シュレーダーとプーチンはロシア・ドイツ共同事業と
して47億ドルの天然ガスパイプライン開発計画に署名した。それから
10日後、このドイツの指導者は選挙に破れ辞任した。シュレーダー氏
は議会でのポストも辞していたので、これ以来ドイツ政界は元首相の去
就に注目していた。

シュレーダー氏が7年間政権運営する間にベルリンとモスクワは第二次
大戦時代のナチス・ドイツとソ連の戦闘以来最も友好的な関係になり、
シュレーダー氏とドイツ語に堪能なプーチン氏は、政治的かつ個人的な
関係を強化していた。両氏は個人的にしばしば懇談しており、2004
年には、シュレーダー夫妻は3歳のロシア人少女を養女として迎えてい
る。

他のヨーロッパ諸国が民主・自由体制への抑圧を進めるプーチン氏の政
治姿勢を批判するなか、シュレーダー氏はそうした懸念に立ち入ること
なく、ドイツ・ロシアの交易並びに政治的関係強化に努めている。

ガスプロム社関係者が匿名を条件に語ったところでは、シュレーダー氏
の会長就任は政治的見返りではないという。「このポジションはロシア
側の意向とは関係ありません。」というこの人物は、シュレーダー氏ほ
どの重要人物であれば仕事を見つけるのに困ることもないはずですと話
した。

ガスプロム社は世界最大の天然ガス企業で、ロシア政府によって運営さ
れている。同社の会長はロシア副大統領ディミトリ・メドベジェフで、
最近までプーチン大統領の補佐官を務めていた人物である。

ロシア・ドイツ間パイプライン共同事業の責任者はマシアス・ワーニグ
氏で、ドイツ人である同氏はドレスナー銀行ロシア支社の頭取であり、
プーチン大統領とも古くから友人関係にある。ウォールストリートジャ
ーナル紙の今年の報道によれば、ワーニグ氏は元シュタージ(東ドイツ
秘密警察)の要員であり、プーチン大統領がかつてKGB要員として東
ドイツに駐留していた頃に知り合ったという。

▲ガスプロム社とは:
ソ連時代のガス工業省が1992年に民営化され現在に至った。最大株
主はロシア政府。天然ガス市場における国内シェアは95%、ヨーロッ
パ全体の25%を占める。