▼人権活動家がラムズフェルドをドイツで告発▼20 November 2006

弁護士と人権活動家からなる国際団体は退任したドナルド・ラムズフェ
ルド米国防長官をカールスルーエのドイツ連邦検察庁に告発した。彼ら
は、ラムズフェルド氏が、戦争犯罪や、イラクのアブグレイブ収容所と
キューバのグアンタナモ米軍収容所における重大な人権侵害に関して責
任があると非難している。告発者たちは、米国では不法行為が罰せられ
ないために今回の手段を取ったとし、2002年に施行されたドイツの
国際刑法典を理由に上げた。それによると、いわゆる国際法の原則に基
づき、ドイツ人以外が国外で行った戦争犯罪についても、ドイツ国内で
訴追することができる。2年前にも同じような告発がなされたが、訴追
されなかった。

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▼独占記事:捕虜収容所の虐待を理由にラムズフェルド国防長官に対し
告発を要求▼タイムズ紙 10 November 2006 By ADAM ZAGORIN

ドイツの訴訟は、アブグレイブとグアンタナモの捕虜収容所での虐待に
おける役割と申し立てられるものによって、去っていく国防長官と他の
職員の刑事訴追を求めようとする。

辞任からわずか数日でドナルド・ラムズフェルド元国防長官は、厄介な
ことに手を出したイラクとアフガニスタンでの荒れた戦争における掛か
り合いのせいで、さらなるしっぺ返しに直面しようとしている。来週、
ドイツの首席検察官から正式に提出される新たな訴訟文書が、イラクの
アブグレイブ収容所とキューバのグアンタナモ湾にある米軍収容施設で
のめり込む虐待での役割と言われるもののせいで、アルベルト・ゴンザ
レス司法長官、ジョージ・テネット元CIA長官、その他の民間人・軍
人の政府要人(計12人)といっしょに、ラムズフェルドの犯罪調査と
刑事訴追を求めることになる。

裁判の原告には9.11ハイジャックへの関与を自称する「20世紀の
ハイジャッカー」とやらと米国が同一視し、サウジがグアンタナモに拘
留したモハマッド・アルカタニはもちろん、アブグレイブで囚われの身
だった11人のイラク人が含まれる。貴重な情報を導き出すと米国が述
べる、ラムズフェルドによってみずから親しく認可された「特別尋問計
画」をアルカタニが経験したのを、タイムズ紙は2005年6月に最初
に報じた。だが、彼の尋問の記録と政府の報告書によれば、情報を手に
入れるためにアルカタニは裸でいることや性的屈辱、宗教的屈辱、長時
間の圧迫姿勢、睡眠妨害、その他の議論を呼ぶ尋問テクニックの強要に
服従させられた。

原告の弁護士らは、代理として証言することになっている証人のひとり
は、イラクにある米軍収容所すべての前司令官、元米軍准将のジャニス
・カーピンスキーだと言う。裁判で彼女の罪をおおっぴらに話すため、
来週ドイツ入りすると弁護士らが話すカーピンスキーは、訴訟書類を付
随するのに書面の声明を出している。その一部には、「(アブグレイブ
であったことの)認識と責任が全面的に司令系統のトップであるドナル
ド・ラムズフェルド国防長官まで一致するのは明瞭であった」とある。

ペンタゴンの代表者はタイムズ紙に対し、告訴状がまだ正式に提出され
ていないのでノーコメントだと告げた。

ラムズフェルド元国防長官、ゴンザレス司法長官、テネット前CIA長
官に加え、この告訴の被告人は、情報担当国防次官スティーヴン・ケン
ボーン博士、前検事総長補佐ジェイ・バイビー、前検事総長副補佐ジョ
ン・ヨー、国防省軍司令官顧問ウイリアム・ジェームズ・ハイネス二世、
そしてチェイニー副大統領の第一補佐官のデイヴィッドSアディントン。
提出書類に挙げられる軍の上級士官はイラクの陸軍当局の元トップ、リ
カルド・サンチェス、グアンタナモの元司令官ジョフリー・ミラー、イ
ラクの上級司令官ウオルター・ウジャコウスキー少将、アブグレイブで
軍の諜報を率いたこともあるトーマス・パパス大佐だ。

ドイツの法律が、世界のどこであれ行われた戦争犯罪と関連のある法律
違反の告発を認める「万国共通の裁判権」を提供するためにドイツが選
ばれた。実際に、同様だがもっと限られた訴訟が2004年にドイツで
起こされた。それもまたラムズフェルド告訴を求めたものだった。その
告発はペンタゴンから怒りの返礼を誘発した。そしてラムズフェルド当
人は伝えられるところではいらだった。当時のラムズフェルドのスポー
クスマンはその申し出を「ビッグ、ビッグ・プロブレム」と呼んだ。米
国当局は、裁判が米国とドイツの関係に悪い影響を与えることになるの
を明白にした。そしてドイツが裁判を片づけない限り、ラムズフェルド
が基調演説を行う予定になっていたミュンヘンでの主要国安全保障会議
に出席しないことをラムズフェルドは示した。会議の前日、訴えの申し
立てに対し、米国当局と裁判所が対処しないとする徴候はないと言って、
ドイツの検察官が事態を追うことはしない(=訴えない)と発表した。

しかしながら、新たな訴えるべき問題の提出で、2つの重要な点で情況
が変わっていると原告らは主張する。ラムズフェルドの辞任は、通常、
政府高官に与えられる法的責任の免除を元国防長官が失うことを意味す
る。しかも、米国当局がこの問題に対処しているという、ドイツ検察官
が先の申し立てを却下した理由が、間違いなのが証明されていると原告
らは主張する。

「拷問計画での高官レベルの掛かり合いを調査するため米国当局がいか
なる措置も講じなかった、その異常なまでに極端な全くの怠慢が明確に
なってはいない」と、ドイツで訴訟を起こすのを手伝う米国が活動拠点
の非営利組織the Center for Constitutional Rightsの会長 マイケル
・ラトナーは言う。また、今年はじめに議会によって通された法律、軍
事委員会制定法が、2001年9月11日にまで遡ってアメリカに管理
される国外で拘束された外国人の拘留と尋問の虐待に掛かり合った人た
ちの米国での犯罪訴追手続きを実際的に妨げることについても特に言及
する。結果として、ドイツの検察官の先の怠惰の基調をなす法的論拠は
もはや持ちこたえられないとラトナーは強く主張する。

訴えるべき問題の法的メリットがなんであれ、申し開きすることが必然
的に伴われる裁判にああいう人たちを呼び出すことは、テロとの戦いで
の米国の作戦の批判者らによる西欧での骨折りの最新例である。ドイツ
では、テロリスト容疑者を誘拐し尋問のために第三国に移す、引渡しに
ついて、CIAとドイツ諜報局間の協力を心配して国会で調査が進行中
である。引渡しに伴う他の合法の取調べがイタリア、スペインの両国で
進行中だ。

「戦争犯罪」に対する訴訟手続きが、常に政治的根拠の片を付けるもの
であったのを米国当局はずっと恐れてきた。たとえば、1998年にチ
リの元独裁者ピノチェット将軍が英国で逮捕された。ピノチェットのク
ーデターはニクソン政権によって支えられた。そして戦争犯罪で彼を裁
こうと努めるスペインの治安判事によって率いられる外国犯罪人引渡し
の戦いで16ヶ月間拘留した。ピノチェットは結局、釈放されてチリに
戻った。もっと最近では、パレスチナ人に対する犯罪と申し立てられる
もので当時のイスラエル首相アリエル・シャロンに対しベルギーの法廷
が訴訟を起こそうと試みた。

ブッシュ政権は、不当に米国当局を訴追するものであって不思議ないと
いう理由で、国際犯罪裁判所(ICC)への忠実な支持を拒否している。
ICCは、戦争犯罪、ジェノサイド、他の人類に対する犯罪を訴追する
ため設置された最初の永久不変の裁きの場(=法廷)なのである。