■公にされない死■ミュージシャン デイヴィッド・バーン ジャーナル
05 December 2006
http://journal.davidbyrne.com/

イラクで米軍に同行する契約傭兵らが月に1万7000ドルもらうとい
う報道を読んだ。1万7000ドル!彼らが戦闘犠牲者となる率は超高
い、「本当」の兵士よりもはるかに高い。彼ら傭兵はグリーンゾーンに
必要物を供給し本当の兵士らを輸送する、輸送車隊などなどを運転して
護衛する。つまり彼らは最初のターゲットであって彼らの消耗率は高い。
その死は、たいてい公にされない。米国から報酬を払われるが、都合の
よいことには、司法権の部外者だ。

ちょっとした計算で、たっぷりふくらんだ戦費がどこに行くかわかるし、
この連中を米軍として数えるなら、報じられる米軍犠牲者の数がだいぶ
違うこともわかる。彼らを含めるとすると、戦闘員減少率はおそらく、
目下報じられてる数の少なくとも2倍にはなるだろう。では、この息子
たちの母さんと父さんについてはどうか?現金を懐にして黙っているの
か?(公表しない契約書にサインをしてる?)ばかな(抜け目ない?)
息子どもが汚れ仕事に対する特別手当の見返りに不公平にも安全でない
ところに置かれていたと、誰も感じないのか?

この傭兵たちは離れたがらない、まだいまは。兵役期間を生き延びて、
彼らがそれを望むなら、相当な大金で引退もできるだろう。彼らが危険
を覚悟でやってみるつもりでいるのを引き合いに出す。ある者にはそれ
はリスクに値する。ボクが考えるに、故郷での生活がそれほど刺激的で
はないのだろう。

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■石油のための戦争だとほんとうに考える?妄想(空想)の戦争■
デイヴィッド・バーン ジャーナル 27 November 2006

ああ、ボクは石油のためだと考えるね。しかしながら、素朴な疑問は、
「でも、このイラクというドラマのなかの俳優たちがそれが石油に関す
る戦争だと思わないとしたらどうだろう?」

まさに自分の人生でのようにというのがボクの返答。ボクらは常に真の
欲望や意向(究極の目的)を真実でないと否定し、他人からそしてボク
ら自身からそれを隠す。それが政治的駆け引きや世界の事件(出来事)
に関するフロイトの解釈なのは確かだが、ありうる?ボクはありうると
思う。指導者らが言うことを無視するとして、なにが国家を動かすかを
容易にはっきり判断することができると、ますますボクは考える。彼ら
がしていることを見れば、明々白々だ。

大統領のスピーチライターは民主主義を促進させることや悪の世界を取
り除くことをまくしたてる場合があり、単純なジョージが自分の発表を
信じるようになる場合があるが、イラク侵略が「フセインを見せしめに
懲らすため」だったことに彼の議会と大臣は同意するので、誰も向こう
見ずに破壊兵器を補足したり、「合衆国の当局をばかにした」のではな
かった。

きわめて簡潔に、あの男たちが契約を交わしたことに関する外交政策
アメリカの世紀。

この外交政策から除外されているのは、国家を築くことに重きを置くこ
とや、民主主義を促進すること、あるいは国家の自治。それは誰がボス
かを知るってなものだ。

世界のあの地域でボスでいるのに事実上最大の強みは、地下に眠る資源
をコントロールすることだ。ボクらの外国の石油への依存、それ頼みの
パワーとしての米国の延長がそれを確実にする。

まったく二重の現実があると言える。カオス、死、恐怖という成り行き
の現実と、前進、理想主義、信念というイマジネーションの現実。事実
より架空の話や物語のほうがずっと力強く、ボクたちは架空の話から事
実をこしらえる。証拠を整理して判断するのにボクたちは想像上の架空
の話を使う。イマジネーションは感覚を動かす。そのイマジネーション
が切れるまでずっと圧倒されており、新しい顛末を探すのだ。

これをボクらは自分の人生においてと政治でも行う。物語の話し手は隠
れた欲望や望みをボクたちに如実に見せるため手引きする。ボクら全員
が同じ話の筋を語ったら爽快だ。最も人をとらえてはなさない架空の話
は、容赦なく、必然という感じがする。

振り返ってみるにせよ現実に立ち返ってみるにせよ、結局、ボクら自身
にも他国の人々にも、逆効果で有害な、明らかに間違っていることに、
何ができるのか、このすべてにボクは悩まされた。子供時代の窮乏とグ
ローバルなスケールでの願望を行動に移す人物を描写するイメルダ・プ
ロジェクトの捜査はおもしろいのではないかな。重ねて、ある点までは
抑圧された欲望(性的欲望じゃなく)の公式化や無意識の要求が隠れた
影響力として意志決定を実施することに固執するように思えるフロイト
の見解が、ボクたちの行動や決定を手引きする。秘密の考えや無意識の
欲望が行動を誘導するのを女性たちが常によく受け入れていることにボ
クは感づく。男性には受け入れるのは難しいかもしれぬ、男性にはそれ
が心霊術のように思えるかもしれない。行動や決定を誘導する力として
ブッシュ・ジュニアの親父との関係を一人とは言わず取りざたしている
が、ボクはエディプスコンプレックス論(母親に対する愛着と父親に対
する反発を表す態度や行動についていう)に興味はない。たぶん、あの
ばかげた作り話で探っていた(それとなく求めていた)のではないかと
思う。あるいは、自分に聞かせるためにああいう話をでっちあげたのか
もしれない。

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イラクは現在、国連のアナン事務総長も認めたように「内戦」状態にな
っており、平和への糸口がまったく見えない絶望的状況が続いている。
米国はその失敗を認めながらイラクに対する戦略の変更を躊躇している
が、それも時間の問題。米国に追随した他国の軍隊は、検討あるいは実
際に撤退を始めている。
この絶望的状況を作り出したのは米国だということを、どうも当人たち
は忘れているようだ。

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■イラク人による民主的な国家建設を目指す政治家■

2004年4月、日本のNGO 活動家がイラクで拉致されたとき、イラ
ク国内のネットワークを駆使して早期解放を実現した人物がいた。

フセイン元大統領に追われてイラクを脱出、現在パリで亡命生活を送る
アブドゥル・リカービは、イラクの平和と再建を求め活動している。世
界社会フォーラム(WSF) のグローバル・ネットワークに関わりながら、
世界の人びとに、ただちにイラクの占領と破滅を止めさせるために立ち
上がって協力してくれと呼びかけている。彼は米国の傀儡である「マリ
キ政権」を認めず、イラクのあらゆる政治潮流が結集して民主的な「憲
法制定国民会議」を設立し、イラク人が自らの力で民主的選挙を行う、
民主主義国家の建設をめざしている。

2003年12月、「イラクの復興に自衛隊派遣が必要」との言葉を引
き出したい日本政府の要請で当時の小泉首相から招かれたリカービ氏は、
自衛隊派遣の口実を見つけたい政府の思惑とは裏腹にイラクへの日本の
軍事的プレゼンスを否定して、日本はイラクに対して平和的、友好的な
復興支援を行うべきだと明言した。

だが、小学館の「週刊ポスト」誌は、彼が自衛隊支援の見返りとして小
泉首相から金銭授受を受けたと報じてこのニュースがアラブ世界に配信
されることとなった。リカービ氏はこの事実無根の報道について、「記
事の訂正および謝罪広告掲載等」を請求し、東京地裁に提訴した。

12月27日、東京地裁で判決が言い渡される。原告であるリカービ氏
は、政治家としての信頼回復のために出廷する。