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イランの核疑惑施設への軍事攻撃が現実味を帯びる情況のなかで、バグ
ダッドで米国がイラン、シリアと同席し、国連常任理事国とEUの参加
のもとでイラク国際会議が開催されました。この背景には支持率30%
という不人気もそうでしょうが、ブッシュ政権内の権力構造になんらか
の変化があることが指摘されております。報道によればイラク国際会議
は作業部会も行なわれることになり建設的な会議だったとのことです。
ブッシュ政権の最近の外交政策は、北朝鮮やイランへの対話路線に変化
しています。チェイニー副大統領の側近のスキャンダルなどで、チェイ
ニー氏の求心力が低下したこと、それにともないライス国務長官の実利
的な関与政策と、それを支えるゲーツ国防長官の柔軟な軍事政策が勢力
を高めてきたとの観測がなされています。

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■暴露は政治的動機■東京新聞 17 March 2007
元CIA工作員が証言

米中央情報局(CIA)工作員の身元を複数の米政府高官に暴露されて
失職したバレリー・プレイム・ウィルソンさん(43)が16日、米
下院政府改革委員会の公聴会で証言し、暴露の狙いについて「純粋に政
治的動機だった」と述べ、ブッシュ政権の対応を批判した。

ウィルソンさんは2003年のイラク戦争開戦を批判していた元駐ガボ
ン大使の妻。証言によって、身元漏えいの背景が「政権によるイラク政
策批判の封じ込め」との見方が一段と強まった。ウィルソンさんが議会
で証言したのは初めて。

CIAの秘密工作員としてイラクの大量破壊兵器開発に関する情報収集
にあたっていたウィルソンさんは「ホワイトハウスと国務省の高官が私
の身元を暴露したことを知り、ショックを受けた」と証言。「高官たち
は国家安全上の機密保持の宣誓書に署名しており、私やCIA職員すべ
てを守るべきだった」と、漏えいにかかわった政府高官を断罪した。

ウィルソンさんの身元漏えいをめぐっては今月6日、チェイニー副大統
領の元首席補佐官であるルイス・リビー被告が偽証罪などで有罪評決を
受けた。この裁判では、米メディアへの漏えいにはアーミテージ元国務
省副長官らも関与していたことが判明している。

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■攻撃回数、犠牲者が最悪 米国防総省が報告書■CNN
15 March 2007

米国防総省は14日、米議会に提出したイラクの治安情勢に関する報告
書を公表、昨年10月から12月の3カ月間の駐留米軍や民間人などに
対する攻撃回数や犠牲者が2003年以来の最悪レベルとなり、一部は
「内戦」と表現することが妥当な状況だと指摘した。

また、紛争の様相がイスラム教スンニ派武装勢力による米軍などへの攻
撃から、シーア、スンニ両派の主導権争いや組織的犯罪へ変化したと強
調。犠牲者の大半は民間人としている。

国防総省が3カ月ごとにまとめる報告書は、「内戦」という言葉では紛
争の複雑さを十分表現できないとしながらも、宗派対立や難民の発生な
どは内戦に相当すると指摘。中央情報局などがイラク情勢についてまと
めた機密報告書「国家情報評価」の表現を踏襲した。

昨年11月11日から今年2月9日のデータでみると、バグダッドでの
攻撃が一日平均45件に上り、周辺の3つの州を含めて攻撃全体の8割
を占めた。 (共同通信)

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■ 3人のイラク人女性が処刑される■米国の国際行動センター
03 March 2007
緊急の要請

米国が指名した占領政府は、31歳のワッサン・タリブ、25歳のザイ
ナブ・ファディル、26歳のリカ・ムハンマドを3月3日に処刑しよう
としている。

私たちは、米国が据えたイラク最高刑事裁判所が3人のイラク人女性に
絞首刑を宣言したことに憤りを感じています。

ムハンマドは逮捕後に出産した子どもを刑務所で育てている。タリブ
は刑務所に連れて入った3歳の娘と一緒にいます。

3人の女性は、彼女たちに向けられた罪状を否認しているが、弁護士と
面会することもできず、ジュネーブ条約に違反したなかで裁判を受けま
した。有罪判決に対して上訴する弁護士も付きませんでした。

米国は死刑制度をイラクに輸出し、2004年8月にイラクの傀儡政権
は死刑を復活させました。その後、2006年には少なくとも65人が
処刑されています(アムネスティの調べによる)。

今回の真相が事態をさらに深刻なものにしているのは米国の占領軍兵士
とその傀儡のイラク軍兵士らがイラクの民間人を何十万人と殺している
なかで、この女性たちが武装闘争に関与したという容疑で処刑されよう
としていることです。

イラク弁護士組合の弁護士ワリッド・ハヤリによると、31歳のワッサ
ン・タリブは警察を攻撃して5人の警官を殺害した罪で、25歳のザイ
ナブ・ファディルはバグダッドで共同パトロールを行っていたイラク軍
と米軍を攻撃した罪で、26歳のリカ・ムハンマドは誘拐を企てた際に
グリーンゾーンの職員一人を殺した罪で、それぞれ訴えられている。

国際法では国連総会の1982年決議に基づき「独立、領土保全、民族
団結、植民地支配や外国による支配、外国の占領などに対する武装闘争
を含む、あらゆる手段による人々の闘いは合法的である」ことを確認し
ています。ですから、イラク政府は3人の女性を含む誰に対しても、こ
のレジスタンスに参加したことで罪を問うことはできません。

私たちはこの不道徳かつ不法な処刑を取りやめ、女性たちとその子ども
たちを解放するよう求めます。

■ 差し迫ったイラク人女性の処刑に怒り■Electronic Iraq
02 March 2007 by ダール・ジャマイル&アリ・アル・ファディリー
http://electroniciraq.net/news/2929.shtml

イラクのゲリラ活動に参加して「テロリズム」に関与したとして告発さ
れた3人の若い女性が死刑を宣告されました。これに対して様々な人権
団体から抗議の声が挙がっています。この処刑は、サダム・フセイン後
のイラクでもって女性の処刑が増大するきっかけになることでも懸念を
呼び起こさせます。

「ブリュッセル法廷」によると、3人の女性ワッサン・タリブとザイネ
ブ・ファディル、リカ・オマール・ムハンマド、そして4人目の女性サ
マル・サード・アブドゥラー(彼女は家族5人を殺したとされ有罪にな
った)に対する処刑は、3月3日に開始される予定です。4人は全員、
バグダッド北部にあるカダミヤ女性刑務所に拘留されています。

タリブとファディルは2006年8月31日、CCCIイラク中央刑事
裁判所により死刑判決を受けました。2005年にバグダッドのハイ・
アル・フラト地区でイラク治安部隊の数名を殺したというのが罪状です。
2人とも全面的に関与を否定しています。アムネスティ・インターナシ
ョナルによると、ファディルは殺害があったとされる時期に自分は国外
にいたと述べています。

ムハンマドは2006年2月6日、CCCIにより死刑宣告されました。
イラク法律家組合によると、2005年にグリーンゾーンから官僚を誘
拐した罪だということです。彼女の夫も拘留され、同じ罪で告発されて
います。

4人目のアブドゥラーの控訴は却下され、彼女は今、まさに処刑の危機
にあるとアムネスティ・インターナショナルは訴えます。

イラクの弁護士の多くは、3人を「テロリスト」の容疑で死刑にするの
は抵抗するゲリラを脅迫しようとするイラク政府の企ての一環だとして
います。死刑判決を受けた中で、ファディルとムハンマドの2人は夫と
他の家族2人と共に犯罪を犯したとされていると、イラク法律家組合は
述べます。

どんな形であれ暴力に女性を巻き込まないイラク人男性にとって、これ
は名誉の問題なんだと彼らは説明します。

弁護士のワリド・ハヤリは、彼女たちが法的保護を受ける権利を否定さ
れたと述べています。法廷で3人の弁護をしようとしたが妨害されたと
彼は言います。けれど国際法で中立の立場の弁護士をつける権利を保証
していると話します。

生まれたばかりの子どもを持つ母親に死刑宣告することもまた、国連が
それについて特に取り決めた保護規定に違反していると弁護士たちは言
っています。

質問に答えてくれたイラク人たちは、もしこの処刑が実行されたなら、
イラク全土で暴力が激化することになると言いました。

「こんなことをして罰せられないわけがない」とバグダッドのアミリヤ
地区に住むファディル・アジズ(40歳)は言います。

「米国とイラクの共謀者たちは、イラク国民の名誉に対して加えている
犯罪の代価を支払わなくてはならない」と彼は警告しました。

処刑の実行が刻一刻と差し迫った情況は、イラクを逃れる人々の数をさ
らに増やすことになるでしょう。

「ここにいてこんな事態を目にするくらいなら世界のどこだって構わな
いから家族を連れ出したい」とバグダッドのカダミヤ地区に住むイラク
人教師アビ・ムハンアドは言います。

国連の推定では、約200万人のイラク人がすでにイラク国内から出て
います。毎月約5万人がイラクを離れており、中東諸国、とりわけ、シ
リア、ヨルダン、レバノンをイラク人で埋め尽くしかねない情況です。

約100万人がシリアで暮らしており、約75万人がヨルダンにいると
国連難民高等弁務官事務所は発表しています。

国連によると、イラクの中流階級の約40%が2003年に米軍がイラ
クを侵略して以来、イラクを離れたということです。

フセイン政権を転覆して以降、米軍占領当局は死刑を中断しました。け
れども2004年8月に新たに成立したイラク暫定政権が殺人や誘拐、
国家安全保障への脅威の罪に対して死刑を復活させました。2005年
10月には、強硬な「対テロ」法が新たに成立し、テロリズムを「醸成
し、計画し、資金を提供し、それを可能にした」罪に対し死刑を導入し
ています。

昨年イラク法廷は235人に死刑を宣告し、6000人に終身刑を宣告
したとロンドンの日刊紙アル・シャルク・アル・アウサトが報じました。

同紙が引用しているムハメド・コルシドの言葉によると、2000人以
上の女性が「治安拘束」に分類されているということです。

2004年8月以降、どれだけの人が処刑されたか正確な数値はわかっ
ていませんが、50人から100人が処刑されたと考えられています。

2006年には、イラク政府は少なくとも65人のイラク人男女を処刑
しました。元大統領サダム・フセインもその一人です。 (IPS)


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