■「新憲法で戦争を放棄する」ボリビア大統領が都内で講演■
06 March 2007

来日したモラレス・ボリビア大統領が6日、東京都内の日本貿易振興機
構(ジェトロ)で講演し、「新憲法で戦争を放棄する」と語った。同国
は徴兵制を敷き、約4万6000人の軍を持つと見られるが、「軍隊な
しで人命を救える。武装放棄しながら、社会的な戦いを続ける」とも述
べた。

憲法改正は2005年の大統領選での公約。先住民出身の大統領として、
すでに明言している先住民の権利拡充などに加え、新たな目玉を加えた
形だ。

モラレス氏は講演で、「戦争は解決策にならない」「唯一の良かった戦争
である独立戦争でも、混血の人たちや先住民の人命が失われた」などと
話した。

またモラレス氏は同日、安倍首相と首相官邸で会談した際も、戦争放棄
をうたう日本の憲法を念頭に、「ボリビアは日本のような大国ではない
が、似た点もある。人々が手に手を取って平和に生きる社会。そういう
観点から、戦争放棄を憲法改正で掲げたい」と語った。

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■検事8人解雇で米司法長官が誤りあったと陳謝■CNN/AP/REUTERS
14 March 2007

ゴンザレス米司法長官は13日、記者会見を行い、連邦検事8人の解雇
をめぐって「誤りがあった」として陳謝した。長官は、8人が解雇理由
の説明を受けるべきだったと語るとともに、この件に関する議会への説
明が「不完全」だったと述べた。また、司法に関連する全ての情報や決
定を把握しているわけではないと強調した。

民主党のチャールズ・シュマー上院議員(ニューヨーク)は直ちに、ゴ
ンザレス長官の発言を「言い訳」と批判し、「8人の解雇理由を知らな
かったなら、長官にとどまるべきではない」と辞任を求める姿勢を示し
た。

ブッシュ政権は8人の解雇を、職務怠慢に伴う通常の人事だと説明して
いる。ただ、民主党は、政権が中立の立場にある検事に影響力を行使し
たと批判し、ホワイトハウスが深く解雇に関与していたことを裏付ける
電子メールについて調査中としている。

メールは、ゴンザレス長官の部下であるサンプソン司法長官補佐官が昨
年1月1日、マイアーズ前大統領法律顧問に送信した。サンプソン氏は
この中で、任期4年が終了した連邦検事の交代の是非についてマイアー
ズ氏がブッシュ大統領に質問したことを指摘し、「司法省と大統領顧問
事務所が連携し、人数を限定して検事交代を図ることを勧める」と述べ
た。

サンプソン氏はまた、昨年9月13日のメールで、「解雇予定」と「解
雇が必要と判断される」検事のリストをマイアーズ氏に送信し、米愛国
者法の規定を利用して通常の検事任命手続きを回避することを提案した。
同法は任期未定の暫定検事を、上院の承認なく任命する権限を大統領に
付与している。サンプソン氏は、好ましい人材を迅速かつ効率的に任命
できるうえ、ホワイトハウスの政治的負担を軽減する、と同法利用の利
点を挙げた。

シュマー議員は、サンプソン氏のメールを「前例のない背任と職権乱用、
司法省の悪用」と非難。同議員はまた、ホワイトハウスが米中央情報局
(CIA)工作員身元漏えい事件で有罪評決を受けたルイス・リビー前
副大統領主席補佐官に続き、サンプソン氏を「スケープゴート」に仕立
てた、とホワイトハウスに警告した。

シュマー議員とともに上院司法委員会のメンバーであるエドワード・ケ
ネディ上院議員(民主党、マサチューセッツ)も、「議会に対する公正
さに欠け、法治と立憲制度を軽視した」として、ゴンザレス長官の辞任
を求めた。

長官は辞任を否定しているが、サンプソン氏は批判の矛先を向けられて
12日に辞任した。

スノー米大統報道官は、マイアーズ氏がブッシュ政権2期目の初めに連
邦検事全員の交代を検討していたことを認めたものの、「提案」であり
「勧告」ではなかったと釈明した。大統領から検事人事をめぐって「特
定個人の推薦はなかった」(スノー報道官)という。

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■連邦検事の一方的罷免問題■

昨年の暮れから今年はじめにかけて、ブッシュ政権が8名の連邦検事を
罷免(正確には辞職を強要)したことで、これが政治的で不純なものだ
として議会民主党(と一部共和党)が猛反発しています。

連邦判事というのは、全米を93地区に分けて、それぞれの区域で連邦
法に基づく検察官として活動するのが仕事です。そのトップが司法省の
トップである司法長官。アメリカの場合は、法相と検事総長が同一の司
法長官という代わりに、各地の連邦検事の独立性が高くなっています。
それは連邦検事の任命には議会の承認が必要だからです。

ではなぜブッシュ政権は民主党が議会を制するのと同時に、あわただし
く8名の連邦検事をクビにしたのでしょうか。これには「愛国法」の問
題があります。911のテロ以降、テロリストの取り締まりとテロ防止
のために人権をなおざりにして、治安維持活動を強化する一連の措置が
取られました。合衆国憲法の規定する基本的人権に抵触、といった懸念
から反対の声も大きく、特に911後の第一次時限立法の期限が切れた
後の延長については議論がありました。ですが弱体だった当時の議会民
主党が押し切られる形になりました。

この「愛国法」、捜査令状なき盗聴の容認であるとか国境警備、不審者・
不審物への捜査権限などの「テロ関連」の条文に加えて、連邦検事の任
命に関する特例措置が盛り込まれていました。連邦検事が欠けたときは
大統領が暫定検事を任命できるが、速やかに議会承認がされない場合は
「その大統領の任期中、暫定検事が職務を全うできる」というもので、
従来の法律では暫定任命の日から120日以内に議会承認を受けなくて
はならなかったのが、それを大幅に延長しています。

この条項が盛り込まれた背景には「テロリストを起訴することは緊急を
要する案件であって、万が一にも連邦検事が欠けて訴追が遅れてはなら
ない」という論法があり、「テロ対策」と結びつけて大統領の権限を強
化したと言えるものでした。また911以降の「テロへの警戒」が続い
ていた時点では、議会共和党を中心に、これは現実的策であると思われ
ていたのです。

ところが今回の疑惑は、この8名の解雇が政治的陰謀ではないかという
大変な問題になっています。疑惑の中心人物は、カール・ローブ(大統
領補佐官)、ハリー・マイヤース(ブッシュ大統領の元法律顧問)で、
このブッシュの側近中の側近が陰謀を巡らせたことになっています。そ
の陰謀とは「全国の連邦検事についての勤務評定を行い、特に共和党議
員の汚職を摘発したり、民主党議員に甘かったりしないかをポイントで
評価した」というもので、その結果「いったん93名の連邦検事を全員
解雇して<優秀な(都合がいいというか)>人物だけを再任しよう」と
いうようなアイディアが検討されていたのだと言います。

一連の問題はゴンザレス司法長官の側近(既に辞任)のEメールから表
沙汰になりました。93人の全員解雇というようなことは実行されませ
んでしたが、この「謀議」が8名の唐突な解雇に結びついたとして、議
会民主党は(一部共和党議員も含め)激怒しています。なお、つい先だ
って3月20日には議会上院は圧倒的多数で「愛国法」のこの部分を削
除する案を可決しています。

さて、怒った議会はローブ補佐官以下関係者の「宣誓証言」をホワイト
ハウスに求めました。これに対して「証言には応じるが、秘密裏に行わ
れるものであって、宣誓なし、記録なし、議事進行はホワイトハウスが
決定」という条件が出されたのです。でも、これでは議会の怒りは収ま
りません。上下両院ともに「召喚」へ向けて動いており、実際に上院で
は22日に召喚決議が通っています。民主共和を問わず、有力議員が毎
日交替でゴンザレス司法長官に辞任を要求するという場面も続いていま
したが、依然として長官は黙殺の構えでいます。

問題は「なぜブッシュ政権がそこまでしてリベラル派(というかやる気
のある)検事を排除したかったか」です。これにはおそらく、「CIA
秘密工作員身元漏えい事件」が大きく影響しているのだと思います。チ
ェイニー副大統領のリビー元首席補佐官を執拗に追求して有罪判決に追
い込んだパトリック・フィッツジェラルドなる人物は、ワシントンDC
地区の連邦検事です。その検事の厳しい追求とターゲットをリビーに絞
り込んできた巧妙な手法に、ホワイトハウスが危機感を抱いた可能性は
濃厚です。

今回の問題のキーパーソンである元大統領法律顧問のマイヤースは、ブ
ッシュ大統領が一度は「最高裁判事候補」に推したものの、議会承認の
メドが立たずに断念した人物です。民主共和両党の筋からの強い反対理
由は「判事としての経験がなさすぎる」でしたが、「ブッシュに近すぎ
る女性」として議会に警戒感があったことは否めません。


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