■バイオ燃料が地球にやさしいというのは大ウソ■
UKインディペンデント紙 by Daniel Howden

世界的なエネルギー革命が進行中である。サンパウロを取り囲む無限に
広がるサトウキビ畑の潜在力に注目しているのはブッシュだけではない。
経済界はすでに沸き立っており、再生可能な代替エネルギーの発展に巨
額の投資を行っている。

世界最大のエネルギー消費国であるアメリカ・テキサスの共和党員らは
今年になってようやくエネルギー源を転換しなければならない「不都合
な真実」を理解するに至った。そうして政府は2017年までに石油消
費量の20%をエタノールに切り替えるという目標を設定した。

エタノール先進国のブラジルではすでにガソリン消費の40%を切り替
えている。ブラジルでは1925年よりエタノールを燃料として使用し
てきており、73年のオイルショック後、当時の軍事独裁政権が輸入す
る化石燃料への依存を減らそうとエタノールの原料となる砂糖産業に補
助金をつぎ込んだ。

だが代替エネルギーを主役とする環境革命には負の側面もある。実際、
エタノール産業は途方もない規模で大気と水の汚染に影響を及ぼしてお
り、熱帯雨林の破壊が深刻化しているのだ。

ブラジルの著名な環境問題の専門家ファビオ・フェルドマンは、ブラジ
ルが世界に先駆けてバイオ燃料に切り替えたことが重大な副作用をもた
らしてきたと考える。

「ブラジルにはヨーロッパの一国ほどの広さを持つサトウキビ農園があ
り、単一栽培が生態系を破壊してきている。サンパウロの大農園はまる
でサトウキビの海である。収穫するときは畑を焼き払い、それが市街地
に深刻な大気汚染をもたらしている」

確かにブラジルの環境問題は深刻だ。だが、本当の悪夢のシナリオを生
み出す源はアメリカのエタノール業界にある。

熱帯雨林のブラジルでは畑でサトウキビを栽培してエタノールを精製で
きる。でもアメリカでは、その原料を多くの人々の食料や家畜の飼料に
もなるトウモロコシに頼らなくてはならない。

米国のエコノミストでアースポリシー研究所所長のレスターRブラウン
は次のように警鐘を鳴らす。

「クルマに乗り続けたい8億人のドライヴァーと、必死で生きようとし
ている20億人の最貧困層による穀物の奪い合いが、深刻な問題になり
つつある」

結局、問題は、多くのアメリカ人が、そしてヨーロッパ人もそうだが、
スイッチを切り替えるだけですむと思っているふしがあることだ。化石
燃料からサトウキビやトウモロコシにカチッ。ライフスタイルは変えな
くてもいい。

残念なことに、それだけでは不十分なのだ。ブッシュがこだわるレベル
までエタノールを生産するには、森林破壊やらトウモロコシ高騰による
食糧問題など、さまざまな障害が生じることになる。

化石燃料からエタノールに切り替えるだけでなしに、燃料そのものの消
費を大幅に削減しなければ、人類はジレンマから抜け出すことはできな
い。
(UKインディペンデント紙の記事より抜粋)

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■ブッシュご執心のエタノール政策は邪悪な発想■UKエコノミスト誌

今年3月末、ブッシュの不健全なエタノール熱に対して、あの病気療養
中のカストロがベッドからむっくと起き上がり、批判記事を書いたのは
確かに的を得ていた。

カストロは「食物を燃料に変えるという邪悪な発想」に警鐘を鳴らした。
米国は石油燃料への依存を減らすために、トウモロコシを原料にしたエ
タノールを生産している。そしてその結果、トウモロコシの価格が高騰
している。

それにまたトウモロコシの生産に使われる土地を増やしていることから
大豆など他の食物の生産が減少し、その価格も上がっている。つまりこ
ういうことだ、今では食物が米国の飢えたクルマの腹を満たすためのも
のになっている。

米国政府がエタノールの国内生産を助成する一方で輸入を規制している
ことから、生産量が年25%の割合で増えている。その結果、中西部の
いたるところにエタノールの精製所がまるで雨後のタケノコのようにで
きている。今や中西部はみずからのことを「エコなテキサス」(エコ燃
料の産地)とみなすまでになっている。

では政府はなぜここまで寛大なのか。それはエタノール政策が広い支持
を得られる唯一の代替エネルギーだからだ。

農家は新たな助成金のせいでこれを支持する。タカ派は中東の石油依存
を断つきっかけになればと、これを支持する。また自動車業界は燃料を
石油からエタノールに切り替えればクルマ自体を地球温暖化問題と切り
離すことができると考え、これを支持する。石油業界にしてもエタノー
ルがガソリン添加剤であるうちはこれまで通りビジネスに支障はないと
考え、これを支持する。そして政治家は政策の実現に助成金を出すこと
で、こうした業界の有権者たちを喜ばすことができるため、この政策を
大いに気に入る。一方、納税者はというと、そのコストを負わされてい
るのが自分たちであることにまるで気づいていないふうなのだ。

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■作るほど儲かる国策「コーンラッシュ」
あおりで穀物価格急騰 飢餓人口4億人増えるう予測も
エタノール特需に沸く米国の最新事情■
ウオールストリートジャーナル 08 April 2007

ガソリン価格の高騰を受け、代替燃料としての「バイオエタノール」ブ
ームがいま、世界中を席巻している。中でも原料のコーン(トウモロコ
シ)の世界最大の生産国・米国では、エタノール工場の新設が相次ぐな
ど、空前の「コーンラッシュ」。その一方、コーン価格の急騰で、世界
の食料事情や飢餓問題に深刻な影響の兆しも。米中西部の一大産地、ア
イオワ州で、ブームの功罪を探った。

エタノールは夢の燃料か

石油の代替燃料として注目を浴びているのがトウモロコシなどを原料と
するエタノール。現在米国内で114のエタノール工場が稼働し、80
の工場が建設中だ。雇用を増やし、作物や農地の価格を押上げるエタノ
ール工場は地域住民に歓迎されるかと思いきや、建設ラッシュが起きて
いる中西部で反対の声が広まっている。反対派によれば、エタノール工
場は地下水を大量に消費し、安全性にも懸念があるうえ、大気汚染を悪
化させ、不快な臭いを発生させるという。

今後10年でガソリン消費20%削減を目標とする米国政府にとって、
エタノールは頼みの綱だが、増産するには問題点も多いようだ。


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