ドイツ北東部ロストクでのG8(主要国首脳会議)ハイリゲンダム・サ
ミットに結集した抗議グループ勢力は、「こんなにうまくいくとは思わ
なかった」と一様に今回の成果を認めている。
では、 反自由主義グローバリゼーションの集結は世界の支配者たちに
どんなインパクトを与えてきているのだろうか。

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■「反グローバリゼーション派」に逆襲する自由主義体制■Aug. 2001
by スーザン・ジョージ
(フランスATTAC:市民のために金融取引に課税を求める会副会長)

屈辱を受けたG8ジェノヴァ・サミット終了後、抗議の的とされた多国
籍企業、G8諸国の政府、欧州連合(EU)、その他の国際機関は、執
拗な問いに悩まされるようになった。抗議する人々をメディアは「反グ
ローバリゼーション派」と呼ぶ慣例になっているが、当事者はこのレッ
テルを一斉に拒否している。企業、政府、国際機関の問いとは、シアト
ルのWTO(世界貿易機関)会議以来、世界の支配者たちの壮大な式典
をいつも攪乱する国際的な市民運動をどうすれば信用失墜させ、弱体化
させ、操り、願わくば粉砕できるかということだ。彼らへの反撃として
は警察による逆襲と直接の弾圧が最もよく知られている。2001年4
月に米州サミットが開かれたときも、ケベックの春は花の香りも消し飛
ぶような催涙ガスの臭いに満たされた。米州自由貿易地域(FTAA)
の創設に反対するデモ隊に対し、治安部隊は公式発表でも4709缶分
の催涙ガスを浴びせた。ケベック州政府に任命された委員会ですら「行
きすぎ」と認めたほどだった。

だが、暴力行使と人心操作の面では、ここ数カ月に欧州で見受けられた
変化が際だっている。すでに6月中旬、ヨーテボリでEU加盟15カ国
の首脳が集まった際にスウェーデン警察はデモ隊に実弾を発射すること
もためらわなかった。

6月22日のバルセロナでは、世界銀行が予定していた経済開発に関す
る国際会議の中止を受けて、そのみじめな敗退を祝うフォーラムやデモ
が行われた。ここでは私服刑事が行進の後尾にまぎれ込み、あちこちで
物を破壊したり制服警官を襲撃するなどして警察が平和なデモ隊とジャ
ーナリストに暴行を加えるように仕向けた。

ジェノヴァでイタリア警察はさらにエスカレートした。死者1名、負傷
者600人あまり、不当逮捕数百件。そして何より、まぎれもない政治
的策謀が働いていた。ジェノヴァのいくつかの区域を荒らし回った挑発
者グループ「ブラック・ブロック」と警察当局が通じていたことは、大
勢の人々に目撃されている。聖職者ドン・ヴィタリアーノ・デッラ・サ
ラは、「ブラック・ブロック」が憲兵隊の輸送車から出てくるのを見た
と語っている(ラ・レプブリカ2001年7月22日付、ル・モンド2
001年7月24日付)。

抗議者たちがこうした物理的抑圧にひるまないのをみると、司法を盾に
とったいやがらせという手段が持ち出される。シアトルなどの集会で非
暴力の技術を指南したことで知られるラッカス・ソサエティのある指導
者は、米国共和党の党大会に対する抗議デモの翌日、フィラデルフィア
で逮捕された。彼は6時間にわたり取調べを受けた。これにあたった警
察官は、「あいつの前科リストをできるだけクソまみれにして」やれと
指示されたのを進んで認めている。その結果、13件の容疑がかけられ、
これら軽微な違反では米国司法史上前例のない100万ドルの保釈金を
請求されたのである。

不当逮捕、威嚇的措置、拘留者に対する虐待、会合場所の「予防的」閉
鎖は、自由主義グローバリゼーション反対者が集まるたびに常套手段と
して用いられる。インディメディアのサイトを見て回れば、それがよく
わかる。インディメディアは非集権的な独立メディアのセンターで米国
政府にとってはしゃくの種だ。ちょうどケベックでFTAAに反対する
大規模なデモが行われた日、FBI(連邦捜査局)と秘密情報部のエー
ジェントがインディメディアのシアトル本部に現れて、過去48時間に
サイトにアクセスした者すべての電子メールアドレスを提出せよとの捜
査令状を提示した。何千人にものぼる数である。これはどう見ても合衆
国憲法で保障された権利の侵害だ。ジェノヴァでも7月21日から22
日にかけての夜、憲兵が捜査令状なしにインディメディアのオフィスを
襲い、「破壊活動家」グループの関与を示す証拠写真を探していると言
い立てた。

欧州でも同様に、政府は法律を自分勝手に解釈するのに何の不都合も感
じていない。2000年12月、新条約の締結を目標とする政府間会議
の閉幕となったEU首脳会議がニースで開かれたときには、EUの自由
主義政策への反対デモの規模を縮小させようと、正規の切符も身分証明
書も持っている1500人のイタリア市民を国境で拘束した。それから
数週間後の2001年1月には、こちらはシェンゲン協定(欧州諸国間
の人の移動の自由を定め、協定国域外国境の管理を強化した協定)に参
加してないスイスの例になるが、政府当局がダヴォスに通じる一切の道
路を封鎖し、この地域一帯が武装防衛した要塞と化してしまった。イタ
リア政府の場合は、他国のデモ隊がジェノヴァに入り込むのを阻止しよ
うとして、4日間にわたってシェンゲン協定を事実上停止にした。結局
は不可能に終わったが。

イデオロギー面での反撃もすさまじい。シアトルのような失策のあとで
どのように態勢を立て直すべきか。第一に考えられるのは相手を「貧者
の敵」と決めつけることだ。これは、ロンドンではフィナンシャルタイ
ムズ紙とエコノミスト誌が、ジュネーヴではWTOのムーア事務局長が
使った手口である(「あのデモ隊には吐き気がする」2001年2月5
日)。米国でも、マサチューセッツ工科大学(MIT)教授でマスコミ
の寵児であるエコノミスト、ポール・クルーグマンがこれに劣らぬ実績
をあげている。「まさに自分たちが擁護すると称する人々と大義に多大
な損害を与えたのだ」と彼は書く。なぜならケベックのデモ隊は、「そ
の意図が何であったにせよ、貧者をよりいっそう貧しくすることにベス
トを尽くしたのだから」(インターナショナル・ヘラルドトリビューン
2001年4月23日)。同じことをジョージ・ブッシュもジェノヴァ
・サミット直前にル・モンド紙(7月19日付)に語っている。「デモ
隊は人々を貧困に追いつめる」と彼は言った。

第二に考えられるのはエコノミスト誌がシアトル後の号でさっそく展開
した論法だ。シアトルで成功を収めたNGOは「選挙で選ばれたわけで
もなく、誰に対しても責任をもたぬ集団に権力が移行する危険にほかな
らない」とほのめかしたのだ。反対運動には正統性がないという主張は
1998年9月に、当時の国際商業会議所理事長ヘルムート・マウハー
(ネスレ会長、欧州産業円卓会議議長も兼任)と国連事務総長の会談に
基づく「ジュネーヴ・ビジネス宣言」が発表されて以来、財界の主張を
貫くライトモチーフとなっている。

この宣言は「活動家の圧力団体」に対して、まず自分たちの正統性を自
問するように訓告した。正統性を持たないなら、「彼らの権利と責任を
規定する規則」に従うべきだと。「財界は労組や消費者団体やその他の
責任に従い、信頼に足り、透明性を持ち、説明責任を負い、それゆえに
敬意に値する団体とともに仕事をするのを常とする。我々が問題とする
のは、こうした自己規律の基準を一切持とうとしない活動家集団が増え
ていることである」

第三の戦術は反対派の主張はいいかげんだと耳にタコができるほど言い
まくることだ。反対派団体の流す思想や意見はどれも「あからさまなウ
ソ」や「たわごと」とは言わぬまでも、「情報操作」の好例であって、
「風見鶏」ないしは「オオカミ少年」の言い分でしかないとさまざまな
ところで書き立てられている。たとえばニューヨークタイムズ紙のトー
マス・フリードマンによれば、あんな非常識なことを公言する連中は、
「見下げはてた」やからで、「往復ビンタをくれてやるべき」だと言う。
フィナンシャルタイムズ紙の場合は、グローバリゼーションに悪意を持
つ敵対勢力の進出を食い止めたければ、「越えてはならない一線を引く
べきときだ」とさりげなくすごんでみせる。

2000年3月、自由貿易の推進を使命とするワシントンのコーデル・
ハル研究所が、「シアトル以後、WTOを再活性化するには」と題した
セミナーを開いたのもその流れのなかにある。約50人の参加者(高級
官僚、閣僚、閣僚経験者、大企業顧問、大使)のうち、NGO代表者は
わずか2名だった。憤慨したその1人が、インターネットでセミナーの
様子を伝えている。実際にはWTOというよりも、反対派をおとなしく
させるための方法が討議されたのだ。

まず英国のパーキンソン元貿易産業相(サッチャー内閣)が、反対運動
を容易に組織できる米国では今後二度とWTO会議を開くべきでないと
提案したのを皮切りに、議論はおおいに盛り上がった。米国のヤイター
元農務長官も同意を表明して、開催地は「安全と秩序を確保できるよう
な」場所に設定し、「反対運動をぐらつかせるために」ぎりぎりまで発
表しないでおくべきだと述べた。

ブラジルの外相が、次回の会議は砂漠の真ん中か、さもなければ「洋上
の客船」でやってほしいと発言し、次のWTO会議は実際に11月カタ
ールで開かれることになった(次のG8サミットも2002年にそうは
簡単に行けないロッキー山脈のカナダ側の保養地で開かれる)。外相は
出席者一同の拍手を浴びた後、ボタ山の石炭を袋につめて近くの鉄工場
に運び、生計の足しにするブラジルの子どもの話をひとくさりして、児
童労働の必要性を熱心に説いた。米国のある高級官僚は、「NGOには
お遊びのための別の砂場を与えてやらないと」とコメントした。たとえ
ば、何の実権も持たない国際労働機関(ILO)などである。また別の
出席者は「NGOに正統性を認めさせない」ことが大事だとして、資金
源となっている財団に財布のヒモを締めるよう働きかけ、NGOを活動
停止に追い込むことを提案した。

本当の理由が何なのかはともかく、米国の大手財団が方針を変えている
のは事実だ。いくつかの確かな筋(匿名を希望)によると、グローバリ
ゼーションに反対するシンクタンクや組織は資金を絶たれつつあるとい
う。大手財団では理事長が企画責任者による資金の配分を追跡し、過去
に「シアトル系」のグループに出資したことがないかを自ら調べるとい
う異例の行動に出ている。フォード財団とロックフェラー財団はレーガ
ン政権で顧問を務めていた人物を理事長とする経済戦略研究所のような
シンクタンクを優遇するようになった。同研究所の寄付金リストは、ま
るで米国の多国籍企業の紳士録といった趣になっている。

これらの企業のもうひとつの強力な武器となるのは電子情報ネットワー
クの監視である。eウォッチ社の事業は資本主義が万事そつなく利益の
源とする力を備えていることをみごとに示している。資本主義の支配に
反対する人々の活動すらも利益の源となるのだ。同社はある広報企業の
子会社で、顧客についてインターネットで言われていることをすべて、
1万5000のディスカッショングループと4万のニュースグループを
含めて監視するという。年額3600ドルから1万6200ドルぽっき
りで、「貴社はライバル企業、政府の規制機関、活動家や反対運動家、
その他貴社の事業にかかわる一切をぬかりなく監視できるのです」と同
社は謳う。この値段ならまったくタダみたいなものだ。

こうしたことがフェアプレーと呼ばれるものなのか。こうしたこと自体、
自由主義グローバリゼーションへの反対運動が現にインパクトを与えて
いる証拠だと考えられなくもない。でなければ「世界の支配者」がこう
も気にかけるはずないではないか。そうかもしれない。だが、そうした
論理にとどまるなら、国際資本がこの戦いをいかに重視しているかを過
小評価することになるだろう。かつて、民主主義に対する憎悪がかくも
あからさまに見せつけられたことはない。国際資本としては、次なる揺
さぶりをかけられないうちに、自らの支配の正統性をなんとしても固め
ておく必要がある。

この意味で、米国でジョージ・W・ブッシュが、イタリアでシルヴィオ
・ベルルスコーニが選ばれたことは実に幸運なことである。ジェノヴァ
以後、さまざまな社会運動はこれまでにもまして地雷原に踏み込む覚悟
でいなければならない。

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デモ参加者の発言─ロゲリオの場合

ロゲリオは、サミット会場周辺のフェンスを突破して抗議の意思を表明
したいと思った。彼にとっては、民営化と移民問題が最重要課題だ。

「G8諸国は一貫して利害が対立しており、2枚舌を使い、冷笑しあっ
ている。彼らは、銃を売り、戦争を起こし、民衆を拘留し拷問を加えて、
悲惨を拡大している。」

ロゲリオは31歳、バルセロナ出身で、クイーンメリー大学(英国)で
言語学を専攻した後、バークレー大(米国)に進み、10年前からロン
ドンに在住する。彼は今、1日数時間働くかたわら、長編小説を執筆中
だ。

彼はジェノヴァ到着直後から身の危険を感じたと言う。「警察は私たち
をまるでゴミでも見るような目で見ていた。私はロンドンで大規模街頭
デモに何度も参加したが、警官の態度はまったく違う」と言う。彼はバ
ルセロナからの30名ほどのグループに合流した。

「私たちはG8首脳を取り囲む鉄のフェンスのところまで行ったが、そ
こには前に30名、背後に数百名の警官が配置されていた。前の警官が
催涙ガス弾を発射してすぐ姿を消した。少女が1人鉄のフェンスによじ
登り、フックで身体をつなぎ止めたので、私たちは必死で彼女を引き降
ろそうとしたが、できなかった。他のところにも行ったが、今も震えが
止まらない。どこも煙と催涙ガスが充満していたからだ」

「ある広場へ行ったが、突然アナーキストグループの<ブラック・ブロ
ック>が到着した。彼らは、旗を掲げてデモ行進を始めたが、その様子
はまるでネオ・ファシストのようだった。目につくものは何でも破壊し
ていた。警察はアナーキストグループがいるあいだは来ずに、平和的な
デモグループに襲いかかった。アナーキストたちは無法の限りを尽くし、
警察は全く制止しなかった。

アナーキストグループと直接話したわけではないが、多くはドイツ人や
バスク人で、他に地方出身者もいたようだ。私は心ない暴力は否定する
が、特権層に対抗するには必要なこともあると思う」

「この社会で暴力を行使しているのは誰?」と尋ねてみた。
「債務のために多数の子どもが次々と死んでいる。兵器貿易と薬剤貿易
は全く正義に背いている」

ロゲリオは、カリオ・ギリアーニが撃たれた広場にいた。デモ隊は「人
殺し!人殺し!」と叫び続けていた。でも混乱すると思い、その場を離
れた。あたり一面、血を流している人であふれ返っていた。

「なぜ抗議行動をするかって?それは現在の民主主義制度の下では、何
も発言できないからだ。だから直接行動は正当だと思う、でも暴力的な
人たちが影響力を拡大するのには反対だ。もう暴力にはうんざりだよ」

ロゲリオは、土曜の債務帳消しを要求するデモ隊の先頭にいた。彼は、
G8サミットが中断されたという報告を耳にした「劇的瞬間」を語った。
その場にいた20万の人々が歓喜の涙を流していた。その後、数時間前
に警察がデモ隊に襲いかかり負傷者が出たという学校に行った。

「これは国家とファシズムによる蛮行で、失望した。実際には、私たち
は何も獲得できなかった。ジェノヴァにはもう来ないだろう」
(インタヴューbyジョン・ビダル)

警察官の発言─マルコの場合

マルコは警官隊には合流しなかったが、ガスマスクを着けて警棒でデモ
隊を殴りつけるため街頭に出かけた。週末に何をするか迷いはなかった。
ジェノヴァは彼の地元で、そこが攻撃されていたのだから。彼は自分の
仕事をしたまでで悔いはまったくないという。

「あれはオレの人生最悪の経験だ。ひどさにあきれ返る。数百名の暴徒
が石と火炎ビンで襲いかかる。そんなのって想像できるか」

オレたちは日陰で休みながら200名の警察官と共に警察署の外に立っ
ていた。そのうちの1人が笑いながら、ゆっくりと同僚の股ぐらに空手
キックをお見舞いしてた。マルコは、先週末に行われた市街戦での暴動
制圧の再教育講習には参加できなかったという。

4列縦隊になった100名の警察官はいとも簡単に蹴散らされた。激し
い無力感を感じたという。

指揮官は叫びながら指揮をとっていたが、ガスマスクで何も聞こえなか
った。数時間後、それも役に立たなくなり、脱ぎ捨てたという。

「困ったのは、打ちのめす相手が分からなかったことだ。後は、全く混
乱状態だった。デモ隊は、煙で何も見えないなかを走っていた。そんな
なかで事件は起こった」

「新聞は過剰防備だと書き立てているが、そんなことはない。あれは必
要だったんだ」

今回の警察の行動は、絶頂期の暴君ピノチェットと比較されていると言
われて、マルコは肩をすくめて言った。
「信じられない。そんな馬鹿なことを考えるのはイカれた野郎だよ」

カルロ・ギリアーニの射殺について尋ねると、彼は用心深く答えた。
「あれは正当防衛だ。ジープの中にいた警官は、火炎ビンが投げ込まれ、
殺されるのではないかと恐れた。彼らは、出血し、悲鳴をあげていた。
でも、頭を狙う必要があったかは分からない」

G8の突撃部隊に配属されたマルコの同僚たちが次のように愚痴をこぼ
していたのを聞いたという。
「ブッシュが安全にパスタを食うために、なぜオレたちが頭に投石され
なきゃならない?オレたちだってグローバリズムがいいとは思ってない
さ。なのになぜ攻撃されなきゃならないんだ?」
確かに、それは多数の意見ではないかもしれない。

賛否と疑惑の目は平和的デモ参加者にも向けられ、アナーキストグルー
プ「ブラック・ブロック」への軽蔑と怒りは広がっている。

「彼らは愚かな暴徒だ。貧困と闘うと口にしながら、必死で生計を立て
ている人たちの商店を破壊した。壊された商店の多くは保険に入ってお
らず、貧困に追いやられる。」

ローマとトリノからバスで移送された警察官と違い、ジェノヴァの警察
官の中には、破壊活動を行った者もいるようだ。

マルコは、大学に入学して科学を学びたかったが、両親には学費が払え
ず、そのせいでマルコは3年前に月600リラ稼げる警官になった。
「オレを攻撃した連中は、きっとオレより稼ぎが多い大学出だ」
「彼らに憤慨する他の理由はそれなの?」 「わからない」

イタリアの首相ベルルスコーニは、暴動を最小限に抑えられなかったと
警察と情報担当者を厳しく叱責した。でも、マルコは警察の役割を誇り
に思っている。
「オレたちは祖国の街と市民を防護した。国民はオレを誇りに思ってい
る」
(インタヴューbyロリー・キャロル)

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■ジェノヴァ社会フォーラム■

現在の世界は深刻な不正義に満ちている。発展した資本主義国に住む世
界の人口の20%の人々が地球資源の83%を浪費している。その一方
で毎年1100万人の子供たちが栄養不良で死亡し、13億人の人々が
1日1ドルにも満たない生活費で暮らしている。こうした状況はむしろ
悪化している。

今回のサミットの国際的重要性は、現行とは異なる方法・優先性を追求
し、社会的正義・連帯と持続可能な成長を求めて活動してきた多くの個
人・組織こそが体現している。この告発は正面から受け止められるべき
だ。

以下のようなプロジェクトを公表宣伝するために、我々は国境を越えて
協力する。

それは、環境保護、市民や労働者の権利、公正で共生的な経済モデルの
推進、市民組織によって続けられてきた平和と不正義への闘いの諸原則
の確認、などである。こうした経験の総和は社会の発展の大きな要素で
あり、この許容しがたい状況を告発する行動にとって重要な基調となる。

増大する社会的分裂によってより良い社会を夢見ることさえ妨げられて
いる現在の支配的な文化モデルに対処するためには、新たな思考方法を
創り出すことが必要である。そして、異なった社会は可能なのだ!この
ことが今回の行動の意味である。

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■イタリア警察の責任 ジェノヴァ事件が示したG8の姿を糾弾する■
ATTACフランスの声明 20 July 2001

ヨーテボリは残念ながら例外ではなかった。そうではなく先例だった。
7月20日金曜日、ヨーロッパ連合加盟国の警察がデモ参加者に対して
2ヶ月で2度目の実弾の発砲を行なった。そして彼はその実弾によって
殺された。これに加えて、治安警察隊員1名を含む2名が重体であり、
さらに数十名が負傷した。

数百の組織を結集する協議体であり、ATTAC イタリアも加盟するジェ
ノヴァ社会フォーラムは、このような暴力の激発を防ぐためにあらゆる
ことを行なった。暴力のこの激発は、互いに強め合う3つの要素の結果
であり、その責任はイタリア政府だけでなく、他のG8すべての政府が
大きく負っている。

1. まず第1に、国際的には多国間機関(IMF、世界銀行、WTO、OECD)
ヨーロッパにおいてはヨーロッパ委員会とヨーロッパ閣僚理事会、そし
てG8そのものによって作られているか、または実施されている政治に
対する各国内における多数の人々による拒否に対して、各政府が耳をふ
さいでいることだ。

選挙民のだれもが、このような政策を適用することについて委任を求め
められたこともなければ委任を与えたこともないにもかかわらず、この
政府は多国籍企業と金融市場の利益のみに組みして、民営化し、フレキ
シブル化し、徹底的に「自由化する」ことを目指し続けている。これら
の政府は北においても南においても、社会の大きな部分に対してそれに
よって容認することのできない苦悩と暴力を作り出している。

このような状況の中で、住民がいなくなり要塞化された街の港に停泊中
の船上でのG8メンバーによるジェノヴァ会議はいずれにせよ、公共の
意見に対する文字通りの象徴的、政治的挑戦となっていた。

2.次に、もはやいかがわしいとさえ言えないイタリア警察の振る舞い
があった。彼らは、「ブラック・ブロック」と称する数百の挑発分子に
よる準備と武装、実行行為に対して意図的に眼を閉じていた。彼らは多
くの場合、平和的なデモ隊の旗やバッジをあらかじめ手に入れて掲げて
いた。これらの挑発分子がヨーロッパの治安警察と関わりがないと考え
る者はいない。彼らはまったく規制を受けることなく人に対する暴行と
器物損壊を重ねることができた。彼らは、ジェノヴァ社会フォーラムの
メンバーの組織を襲撃することさえいとわなかった。

これらの挑発分子と彼らに対する警察の「泳がせ」を弾劾しているジェ
ノヴァ社会フォーラムにATTACフランスは賛同する。ATTACフランス
は、これらの姿勢が示しているリベラリズム的グローバリゼーションへ
の反対者を犯罪者に仕立てようとする企てを糾弾する。

3.最後に、完全に平和的なデモ隊に対して警察は、体系的な威迫、い
やがらせを加え、さらに暴力をも振るった。イタリア当局はジェノヴァ
社会フォーラムに対して、銃器の不使用を約束していた。当局はこの約
束を蹂躪した。一般的に言えば、行動に対して警察当局がとった手段は
ジェノヴァ社会フォーラムに参加してない幾つかのグループによる暴力
的な行動に対しても、不釣り合いなものであった。ジェノヴァにおける
イタリア政府の行動に対する弾劾を表明するためATTAC は7月21日
土曜日にパリのイタリア大使館前で予定されている抗議行動への参加を
活動家に呼びかける。

G8会議初日が引き起こした悲劇的な事件、そしてG8会議に参加する
ことをよしと考えていた全政府が免れえない、この事件に対する道徳的
責任によって、この惑星の執政役たらんとしていたG8会議は信頼を失
った。尊厳を守る唯一の道は、G8が即座に会議を中断することである。
指導者たちは、とりわけ、自らが加担しているリベラリズム的グローバ
リゼーションという致命的な道の是非を問わねばならない。

ATTAC フランスは、共和国大統領と首相に対し、この方向でのイニシ
アチブを即座にとるよう直ちに要求する。ATTAC は、情報の提供、教
育、そして非暴力的な行動によって、リベラリズム的グローバリゼーシ
ョンの惨害を明るみに出し、オルタナティブな政治への展望を切り開く
ことをたゆまず続けていく。私たちはG8ジェノヴァ会議が作り上げて
いる嘆かわしい世界の戯画とは異なる世界が可能であると考える。

♯お知らせ♯
きままなブログを始めました。よりのんきでよりビジュアルな内容に
なっています。こちらもごひいきに。
http://tequilamama.blogspot.com/