■ ベネズエラ政府
「大統領を侮辱した」としてCNNと国内テレビ局を告訴■
AFP 29 May 2007

ベネズエラ政府は28日、ウゴ・チャベス大統領と国際テロ組織アルカ
イダとの関係を連想させるような映像を流したとして、米CNNテレビを
起訴した。さらに、チャベス大統領の暗殺をあおっているとして、ベネ
ズエラのテレビ局「グロボヴィジョン」も同時に告訴した。

ウィリアム・ララ通信・情報相は、記者会見でCNNを訴えた根拠につい
て「チャベス大統領の写真とアルカイダのリーダーの写真を並べて放映
した。チャベス大統領を暴力や殺人と結び付けようとしている」と説明
した。さらに、「ベネズエラの抗議デモを報じる際に、ニュースとは無
関係のメキシコの映像を流した」としている。

テレビ局「グロボヴィジョン」の起訴については、前ローマ法王、故ヨ
ハネ・パウロ2世の1981年の暗殺未遂事件の映像を流して「チャベ
ス大統領の暗殺を暗にうながした」としている。

一方、チャベス大統領に批判的な番組を放映してきたベネズエラの民放
局「ラジオカラカスTV(RCTV)」は、チャベス大統領により免許をは
く奪され、28日午前0時に放映を終了した。同テレビ局は、54年の
歴史を持つ。放映終了後、国営テレビ局「TVes」が発足し、教養番組
を放送した。

同テレビ局の閉鎖後、これに抗議する人々がテレビ局前などに集まり、
デモ活動を繰り広げた。一部は警官隊と衝突した。

BBC ニュースは、6月20日にベネズエラの反政府派として、ウゴ・
チャベス大統領によって免許を取り消され、放送中止に追い込まれたテ
レビ局がメキシコから番組を放送する可能性を示唆したと報じた。

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■米国はチャベスの手本の広まりを恐れる■ZNet 11 June 2007
byフェデリコ・フエンテス

6月2日、「自由な演説賛成、帝国主義反対」の旗じるしのもとに何十
万ものベネズエラ人が彼らの革命を護るためカラカスの通りに繰り出し
た。ラジオカラカスTV(RCTV)の放送免許更新なしのあとを受け、ワ
シントンによってあおり立てられる国内と国際的キャンペーンへの直接
的な反応としてこの行進は、これより前に生じた抵抗の行進すべてにま
さる。ベネズエラの大統領ウゴ・チャベスは、「もし政府に圧力をかけ
る一握りのベネズエラ人グループが脅しでもってわれわれを止めようと
いうのなら、巧妙な操作または不安定化計画でもってわれわれを止めよ
うと考えるなら、もうどうでもいい!」と発表した。

「アメリカ帝国によって巧妙に操作される」どの不安定化計画も、「新
たな革命の攻勢」に遭遇することになると約束し、「今日から始まるこ
とになる... 南米の独立運動指導者シモン・ボリーバル信奉者の反撃」が、
「通り、工場、大学、高校、と分けて、真にイデオロギーの政治的で大
衆的な全国そして国際的な反撃」が、そこらじゅうで始まることになる
とチャベスは述べた。

無料放送チャンネル2を使用するRCTVのライセンスが5月27日に期
限切れとなったとき、前もってメディアから除外される人びとのための
国民の場を提供するため、免許は新しい独立制作局、ベネズエラソーシ
ャルTV(TVes)に与えられた。これがベネズエラの革命的政府とその
民へのエスカレートする非難のための最新の口実として利用されてきて
いる。国際的メディアは、独裁主義と思われていた反民主的なチャベス
政権に反対して動員する民主的抗議運動という妄想の創作に着手してい
る。反ベネズエラ決議案が米国議会、EU欧州連合、そして右派が支配
するブラジル議会で可決されている。

アメリカ帝国主義による最新の策略を支持するのは「ベネズエラの見本
が他の国々にまで拡大しかねない恐ろしさ」だとチャベスは説明した。
時代遅れの資本主義体制を一掃し、真に民主的な新しい社会主義社会の
基礎を築く革命についての危惧である。

歴史、政治学、革命論に関するチャベスの演説は、この革命のプロセス
を前進に駆り立てている組織的に団結した労働者階級(=大衆)とチャ
ベスとのあいだのパワフルな原動力をまたもや見せつけた。

新政権の就任以来「わずか140日しか経っていない」のに、「新たな
段階が急に現れており、革命的変換のプロセスが加速する」とチャベス
は説明した。彼は、新たに連合した社会党、PSUVのための登録簿への
巨大な動員数(その日に470万人が登録し、登録が閉め切られた翌日
の終わりには500万人以上に達している)はもちろん、オリノコ・ベ
ルトの油田をめぐる国営への回復、電気通信会社CANTVと電力会社6
社の再国有化について指摘した。

この「革命的躍進」での最新のステップは、「政府に圧力をかける一握
りのグループ(寡頭政治)のエリートが自らの特権濫用と利益のために
53年間支配してきた免許の満了」だった。チャベスは、「チャンネル
2が解放された今、もはや寡頭政治勢力に属さないし寡頭政治勢力に戻
されることもないだろう。いまそれはベネズエラ国民のものである。」
と発表した。これは、「これがあんたの国の支配の仕方だ」との自然発
生的なシュプレヒコールを受ける。

「偉大なるイタリア人革命思想家アントニオ・グラムシ」を頼りにチャ
ベスは、なぜこのプロセスが帝国主義の反発に遭遇しているか略述した。
「何かが死にかかっていても死に終えていないとき、それと同時に何か
が生まれていても生まれ終えていないとき、真に歴史的な危機が発生す
る」というグラムシのテーゼ(論旨)に言及する。すでに1980年代
までには「ベネズエラは歴史的な危機に入っていた... (現在)われわ
れは危機の震源の中心にいる」とチャベスは説明した。

「第四共和国(チャベス以前の体制)が完全に死に絶えて第五共和国(ベ
ネズエラ社会主義ボリーバル共和国)が完全に生まれるまで、やがて来
る非常に長い間のそれにふさわしい期間が、この歴史的危機の一部をな
すことになる」

チャベスにとって第四共和国とは「アメリカ帝国とベネズエラにいるそ
の従僕(おべっか使い)、政府に圧力をかける一握りの寡頭政治グルー
プ、ブルジョアジー(有産階級)、ベネズエラを200年間支配・統治
した階級」の支配に相当した。これは「シモン・ボリーバルを裏切り、
ホセ・アントニオ・デ・スクレを殺害し、エセキエル・サモラを殺した」
のと同じ階級だと彼は強調した。どれもベネズエラの200年の独立闘
争の傑出した指導者たちの名である。

チャベスは第四と第五共和国の間の戦いの階級の中身をさらに明細に書
き表すために、ある特定の階級が構造と上部構造とで表されるヘゲモニ
ー(支配権)を獲得する、「歴史の一つの単位(ブロック)」に関するグ
ラムシの概念を説明した。

グラムシによれば、最も優勢な歴史ブロックの上部構造には2つの層が
ある。政治的社会「国家制度」と、「社会主義階級と大衆階級にその支
配的イデオロギーを広めるため」支配階級によって利用される、経済や
民間の制度、特に教会やメディアや教育システムから成る市民社会だ。

現在のベネズエラ社会における「きわだった矛盾」のひとつがこの2つ
の要因の間に存在するとチャベスは注意を喚起した。「われわれは国家
の解放をうまく進めてきている」とチャベスは言った。ベネズエラ国家、
政府、立法と司法権、国営企業、政府銀行、国家予算を「ブルジョア市
民社会は支配するのが常だった」が、「彼らはその全てを失ってきてい
る」。

ベネズエラの大衆の行く手に横たわる戦いをはっきりさせるため、メデ
ィア、教会、教育システムにおける最後に残る手段にブルジョアジーが
退いているとチャベスは言った。

「政府に圧力をかける一握りの寡頭政治グループ、ベネズエラのブルジ
ョアを排除する計画はわれわれにはない」とはいえ、チャベスはルール
が変わっていることを受け入れねばならないと強調した。「もしベネズ
エラのブルジョアジーが残った避難所を利用して、やけっぱちになって
われわれを攻撃し続ければ、ベネズエラのブルジョアジーはその避難所
をひとつまたひとつと失い続けるだろう!」

2002年4月11日〜13日のRCTVが関与した反革命クーデターの
勇ましい日々に、いわば役割を演じた多くが、市民軍の蜂起によって打
倒されたと彼の支持者たちの結束した一団に演説して、チャベスは「わ
れわれはまたくつがえす」と宣言した。

それに答えて、群衆は「さあ次はグロボビジョンの番」と前のシュプレ
ヒコールを繰り返した。グロボビジョンとはクーデターを策略したもう
ひとつの民間テレビ局のことだ。

いまベネズエラの大衆のためになくてはならないことが「新しい歴史的
ブロックの構築、社会主義の構築、新しい政治社会... 社会主義国家の構
築」を続けることだった。同時に、「あの時代遅れのブルジョア市民社
会を変容させ続ける必要性」があった。

チャベスは、大学や高校の学生運動に労働者階級やカンペシーノ(農民)
や兵士らと共に「先頭(先駆者)を引き受ける」よう呼びかけた。

「祖国、社会主義か死か!われわれは勝利する!」
チャベスはいつもの人の心をとらえるスローガンで終えた。


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