アメリカには国民健康保険がない。

アメリカの共和党はずーっと国民健康保険制度を導入すると共産主義に

なると言い続けた。なので、ヒラリーがクリントン政権時代にこれの導

入を通そうとした際、「ヒラリーはアカだっ!」と言われ、業界のロビ

ー団体にこてんぱんに潰された。この制度のある日本やフランス、イギ

リスは、アカの国だろうか。

先進国で公的な医療保険制度がないのはアメリカだけだ。こっちのほう

がおかしいんだと、マイケル・ムーアは映画「シッコ(ビョーキを意味

するスラング)」でアメリカ人に教えている。

国民の6分の1にあたる5千万人が保険に入ってない国はビョーキだ。

そして毎年8万人が治療を受けられないまま死んでいく。保険に入れな

い貧乏人や不法移民のことではない。なぜならアメリカ人は金のないや

つは死んでもしかたがないと思っているからだ。だが、年に平均35万

円以上の民間保険料を払い続けてきている中産階級が手術も治療も受け

られずに死んで行くというのは、許しがたい話じゃないか。医者は治療

をしなければしないほど金がもらえる。これこそシッコだ!

どういうことかと言えば、

アメリカの民間の健康保険で最も多いのはHMOというプログラム。マ

ネージドケア(管理医療)といって、保険会社が医者に給料を払い、治

療法や投薬を管理するシステムだ。つまり保険会社は治療の方法を決め

たり、治療を拒否することができる。病歴や遺伝が気に入らなければ加

入を拒否し、加入後にわかった場合は支払いを拒否する。

マネージドケアではHMOと呼ばれる大きな医療機関(主に保険会社が

経営)が彼らの医療プランに患者を募り、その会員の医療を管理してい

くシステム。

マネージドケアでは個々の加入者がHMOに加盟する医者からゲート・

キーパーと呼ばれる主治医を選び、ほとんどの場合まずその主治医にか

かることが義務づけられる。不必要な検査や入院がしづらくなる反面、

患者や医師にとって必要だと考えられる医療が保険会社の意向によって

拒まれることもあり、医者側からは十分な医療行為ができないという反

発が、患者側からは治療が十分に受けられないという不満が多く、よく

問題を起こしている。

ニューヨークタイムズ紙の世論調査によれば、 HMOについて回答者の

58%が医者の診療の妨害をしていると答えるほどで、1980〜19

90年代にかけて保険医療費抑制のために普及したマネージドケアは、

コスト削減のための過剰な努力のせいで、アメリカの医療の質とサービ

スの低下を招いたというのが一般的な意見だ。

=======================================

■デモクラシーナウのジャーナリスト、エイミー・グッドマンが

試写会後のマイケル・ムーアにインタビュー■

マイケル・ムーアは忙しい。水曜日、アカデミー受賞監督は米国議会で

証言することになっている。そうして米国の医療システムをめぐり民主

党と共和党の大統領候補を喚起するためニューハンプシャーに向かう。

昨日トライベッカシネマで、グラウンドゼロの有毒な環境のなかで作業

した後に病気になった911の労働者のために映画の試写会を行った後、

マイケル・ムーアは今度は不法行為改革グループ Center for Justice

and Democracyのために上映を行っていました。彼に映画を作らせた

ものは何か訊ねることから始めました。

このインタビューの記録は無料で入手できます。しかしながら、寄付は

デモクラシーナウの TV放送を聴くのが困難な耳の不自由な方のための

字幕提供を助けます。あなたの気前のよい寄付に感謝します。

(8月18日土曜日、朝日ニュースターではこの番組を字幕付きで放送

する予定になっている。見逃さないように。)

マイケル・ムーア(以後 MM):実は、90年代にTVネーションという

TV番組を持っていてね、競わせるみたいなのがおもしろいんじゃない

かと思ったんだ。でね、フロリダのフォートローダーデルにある急患室

にカメラクルーを送った、トロントの急患室にカメラクルーを送り、ハ

バナにも送った。そして腕を折るか脚を折るかして誰かがやってくるま

でそれぞれ待機した。そうして追跡を最後までやり遂げて治療の質のよ

さ、治療の速さ、治療の安さを検分しようとしていた。われわれが医療

オリンピックと呼んだものの実況放送をするのを二人のスポーツキャス

ターに納得させた。従って、米国とカナダとキューバとの競争だった。

それでね手っ取り早く言えばキューバが勝った。キューバの治療は一番

速く、質も最良で無料だったのさ。

その週に番組を NBCに渡すと、検閲から電話があった。連中は「検閲」

とは呼ばないんだよ、基準と慣例と呼ぶ。この電話の女性は基準と慣例

を指揮する博士。名前の前に博士はついたけど名字は忘れた。「マイク、

キューバは勝てません」って彼女が電話で言う。「なに?」「キューバは

勝てないんです」「彼らが勝ったんだ。勝てないとはどういうことだ?」

「 NBCでそうは言えません。キューバが勝ったとは言えないんです。」

「でも勝ったよ!一番迅速な治療を提供した。一番安かった。そして患

者は満足したし、骨はくっついたよ。」「ダメです、ここの規則に反しま

す。」「そうかい、ボクは変えたりしないよ。」と言ったのさ。

まあ、彼らはそれを変えちまったがね。それが放送された2日後にカナ

ダが勝ったことにしちまった。カナダは勝てそうだったが、男に松葉杖

の代金15ドルを請求した。

まあ、とにかく、ボクはそのときはじめてこの問題について考え出した、

それから次の番組「 The Awful Truth」を持ったときにわれわれは健康

保険のある男を追跡した。この男には保険があっても健康保険会社が彼

の命を救うのに必要とする手術を認可しないんだよ。だからわれわれは

男をケンタッキー州ルイスヴィルにある HMO(会費を払って加入する

健康管理機構・医療団体)、 Humanaの本部に連れて行き、そこの重役

連中と面会するため案内した。彼らはわれわれをお払い箱にした。なの

で、われわれは芝生の外に出て、男を参列させて彼の葬式を行った。司

祭やひつぎやひつぎを担う葬送者、バグパイプ、それに「アメイジング

グレイス」を奏でたりさ、全品目を置いたんだよ。そうすると重役たち

が最上階からこれを見下ろしているんだな、そして全米の TVでこれが

放映されることになったらと度肝を抜いた。3日後、彼らが電話してき

て、男に「手術を認可します」と告げる。男はいまも生きてるよ。

これは驚いた、10分番組でひとりの男の命を救えた、2時間の映画で

やったらどれほどのことができるか?ってそのとき思ったね。そんなこ

とで、いわば「シッコ」の起こりみたいなものだよ。映画は個々の人命

を救うという顛末の束というので終わってはいなかったが、実際のシス

テムそのものについて教えるいわばもっとでかい顛末がたくさんあると

ボクは判断したんでね。

エイミーグッドマン(以下 AG):911労働者についてと、病気になっ

たこの方たちすべてになぜ巻き込まれることになったかを教えてくださ

い。

MM:ニューヨークにいるわれわれはよく承知のように、911以降、

助けようとかけつけた働き手の多くが、市の職員でもなければ州の職員

でもなく、ただのヴォランティアだったわけだ。なかには復旧に奮闘し

て何ヶ月もとどまった。そしてこういった呼吸することからくる呼吸障

害の病気になった。 EPA環境保護局が、ジュリアーニ市長が、ここはす

べて大丈夫と言ってたのにだよ。すっかり知っているよな。やれー、ど

んどん呼吸しろ、だったよな。いまわかっているように、実はあそこは

とても有毒だった。当時の空気中の毒性の結果として数百人、ことによ

ると数千人が病気に冒されている。

それから、市の職員じゃないせいで、ボクらの政府と911基金なるも

の全部がこのヴォランティアにどんな助けも提供しようとしないのを発

見した。間違いなく彼らはこの呼吸障害の病気を経験してきている、そ

して健康保険がないせいで、医者にも診せてない人がいたり、必要なク

スリ、必要な手術とかといったものに割くことができないでいる。それ

に彼らはいまでは働けない、つまり身体障害にされた、そうなるとメデ

ィケード(州と連邦政府が共同で行う低所得者や身障者のための医療扶

助制度)をなんとかして手に入れるため煩雑で形式ばった手続きを経験

しなけりゃならない。試練を経た後にまた彼らに苦労をさせるってこと

じゃないか。見るに忍びないことだよ。そこでわれわれは、その何人か

をよく理解することになったんだ。

そして同時に、フリスト上院議員がグアンタナモ捕虜収容所まで行った

というのを C-SPANで見たんだよ。あそこに捕らえられてる捕虜たちを

いかに大事に扱っているか、トップクラスの囚人待遇をすべて手に入れ

てるところだと見せたいがために行ったんだけどね。フリスト氏が論評

したかったことのひとつが、医療がいかにりっぱかということだった。

AG:フリスト博士。

MM:そう、失礼、フリスト博士です。

AG:断食している囚人たちに力づくで食べ物を与えていることについ

て話します?

MM:ああ、もちろん。それは「栄養物摂取カウンセリング」と呼ばれ

るものだな。捕虜たちの待遇がすばらしいってこと、これを博士はすご

いこととふるまって見せた、そしてボクらは彼らのことをまったく心配

しなくていいんだと。それでボクは思ったね、ここにはどんな医療も得

られない911労働者らがいるじゃないか。ほら、捕虜のために無料の

全般的な医療、歯のケア、目のケア、栄養物摂取カウンセリングがある

かを吹聴してるだろ。ではどうしてわれわれが911労働者らをグアン

タナモまで連れて行って連中が自慢している無料の医療なるものを得ら

れるかどうか検分しないのか?と思ったわけだ。本来、映画を見るとき

には全部を明かしたくないんだが、それがボクらがしようとしたことの

本質的なことだよ。

AG:あなたがキューバに連れて行った非常時労働者、あちらでの医療

システムについて教えてください。

MM:キューバ人が街の各ブロックごとに医者がいると言うとき、それ

は決まり文句じゃないんだよ。ほんとにキューバにはボクらよりずっと

多くの医者がいる。永いことアメリカには医者不足があって、 AMAア

メリカ医療協会が大学の医学部にもうこれ以上学生を欲しがらないこと

からきているのさ、医者の数を少なくしておけば医者が金を稼げると信

じるからだよ。

だけどキューバの医師、キューバの医療システムに、ボクはとても感動

したね。われわれがあっちに連れて行った全員が受けた治療にすこぶる

満足だったよ。でも彼らは予防にうんと集中させる、そしてそうするせ

いで、医療に多くの金を費やさずにすむことになる。彼らは金がない。

知っての通りとても貧しい国だ。なのにボクはとても感銘を受けた。ほ

とんど医療システムで取り扱わなくていいことで、彼らはボクらよりも

長生きすることになる。彼らの乳児死亡率はボクらよりましなんだ。子

孫の数で彼らはボクらと同じか上だ。

AG:医療の質で米国が世界の37番目にランクされてることについて

マイケル・ムーアに訊ねました。

MM:そう、われわれはコスタリカの下だがスロヴェニアの上。WHO

世界保健機構によるものだよ。世界で最もリッチな国が37番目にラン

クされるとは、すこぶるおもしろみがない、あわれなほどだよ。

AG:マイケル、あなたはフランス、英国、キューバ、そして親戚を訪

ねに行って滞在したカナダと、実際には4カ所見てますね。

これらの国々にあるものについて教えてください。その後でアメリカの

話をしましょう。

MM:カナダ人、彼らには国民すべてをカバーするとてもよくできたシ

ステムがある。国民はそれにとても満足している。基本的に何も支払わ

ない。自分の医者を選ぶ。病院に行く必要があれば自分の病院を選ぶ。

選択の自由がある。「ああカナダ人ね、あんたらは膝を補充するのに順

番待ちしなけりゃならない、アメリカでは待つ必要なんてないところを

何週間も待たなきゃならん」てなことでカナダのシステムの批判をここ

で聴くだろ。これを聴いて思うのは、パイを分け合わねばならないとき

にこれはすることなんだと。時には待たねばならない。アメリカ人のメ

ンタリティには待つことがないんだと思うね。いま欲しい!だろ。パイ

を分け合ってるときは、最初の一切れをもらえば待つ必要はない、3切

れ目のときもあれば、最後の一切れのときもある。思い出すべき重要な

ことは、みんなが一切れもらえるということだ。この国にはそれは絶対

にないよな。

さて、英国のシステムは現に政府に所有されている、ある意味で政府が

所有し病院を運営する、政府が医師を雇用する。つまり、医師らは政府

のために働く、だから英国では政府に所有され運営され管理されるプロ

グラムなわけだ。そしてここでもまた無料なんだよな。映画で病院がわ

かるよ。国民はとても満足。カナダや英国の病院に行くという経験のあ

る旅行者を知っていればわかるよ。映画の中で話す女性のように、ディ

ケンズの小説や昔のソ連にあるような、薄汚くてぞっとするものだと思

った。そして行ってみると「まあ!これはすばらしい!」ってことだっ

た。フランスはことによるとベストではないにしろ、われわれが見たも

のではベストに近い。

AG:どうやってこの国のシステムにたどり着いたか話しましょう。

MM:実はボクの祖父は田舎の医者だった。カナダ出身。当時1年だっ

た1800年代後期の医学部に行った。当時わかっていたことは1年で

教えることができた。それにちっぽけな村でね、卵やミルクやニワトリ

といったもので支払われた。祖父はもうけることはしなかった。当時の

医者は金持ちにならなかった。田舎の医者は快適だったが、コミュニテ

ィで金持ちというのではなかった。

それをするのが正しいことだから人々の病気を治療するというコンセプ

トからわれわれは逃れてしまった。ボクが生まれた病院は尼僧が運営し

た。尼僧は利益をウオールストリートでの投資に変えるため病院を運営

していたのではなかった。病院を開業し出産を助けることにより神に仕

えること人類に仕えることが、彼女たちの義務だと考えたからだ。ボク

らはそのコンセプトからずいぶん離れてきてしまった。ある時、われわ

れは利益とがつがつした貧欲をこれに従事させる。

そして HMOが実勢にスタートした日がいつかを映画で判断する。ボク

はとてもラッキーだった。映画の仕事をするボクの事務所に23歳の調

査員がいてね。彼がアーカイヴズとナショナルアーカイヴズで、ウオー

ターゲートと何も関係がないニクソン・テープのひとつ、このウオータ

ーゲートのテープを見つけてくれた。そこでニクソンとエールリッヒマ

ンがこの HMOコンセプトを支援するかどうか話し合っている。そして

エールリッヒマンがニクソンに言う、「あなたはこれを賛美することに

なりますよ、なぜってこれが民間企業だからです。これは無料でもらえ

るようなものではありません。」 ニクソンが、「それはけっこうだね。

それについて教えてくれ。」 そうするとエールリッヒマンが、「ではこ

の HMO団体がどう働くか。医療団体はより少ないケアを提供すること

でより多くかせぐつもりでいます。患者に与えるケアが少なければ少な

いほど、会社の利益は大きくなる。」と言う。ニクソンが「おお、悪く

ないね!」 このすべてがテープにある。

AG:そして彼らはカイザーパーマネントについて話しているんですね。

そしてニクソンはカイザーに会ったと言う。

MM:そうなんだよ、エドガー・カイザーにね。

AG:説明してもらうために彼を引き入れたのね。

MM:カイザーと会った翌日、ニクソンは彼の新しい医療プログラムを

発表する。もちろんこれには、カイザーパーマネントが含めたがったこ

の HMO団体が含まれることになる。それが始まりだ。そしてすべてが

映画に収まっている。「やれやれ、すべての道はさかのぼってニクソン

に至るのかい?」って思ったよ。ニクソンの足下にたくさんがらくたを

置いたのはわかっているが、 HMOもそうなのか?ってことでね。ボク

らがいるこの現代の利益がつがつの困った状態に究極の責任があるのは

彼か?ってこと。そして答えはイエスだ。

これらの健康保険会社は、まさしく、健康産業のハリバートンだな。

彼らは殺しをうまくやりおおせるわけだからさ。欲しけりゃなんだって

請求する。政府のコントロールはない。そして率直に言って、この民間

保険会社を一掃するまでは、オレらのシステムを修繕するのは実際ムリ

だろうよ。連中は文字通り排除されるべきだということだよ。この国に

存在するのを許してはおけない。

AG:他の国々で提供されてるものを、そしてこの情況が自然ではない

ことを、なぜこの国の人々は理解しないのか、だってものごとがあるべ

き状態に変える方法はあるのに? 国民をこれに取って代わるオルタナ

ティブからこうも分離させておく、政府やメディアや保険会社のやり口

についてはどうなの?

MM:アメリカ人をマヌケのままにしておくと呼ばれる、強制的無知だ

ね。ボクらの教育システムにせよ主流のメディアにせよ、他国がどうな

ってるか国民にわからない手段を講じることがすべてなんだよ。オレら

は残りの世界についちゃなんにも知らない。カナダやメキシコに旅行す

るならパスポートが必要だと言ったときに、最近までこの国では80%

以上がパスポートを持ったこともなかったということ。つまり旅行をし

ない。とんでもなく知らないんだよ。

AG:ヒラリー・クリントンについて、彼女がビル・クリントン大統領

の下でなんとかやろうと試みたことについて言ってますね。彼女がやろ

うとしたことを説明してください。

MM:今から14年前に彼女はとても勇敢なことをやろうとしたと思う

よ。彼女は当選すると、すべての国民に医療があるべきだと言ったんだ。

既往制約をなくすべきだ、金持ちだろうとなかろうと、仕事があるなし

にかかわらず、すべての人をカヴァーすべきだとね。それは彼女にはと

ても大胆な行動だった。その結果として彼女はだいなしにされた。彼女

をやり込めるのに1億ドル以上と思うほどの大金を出したんだ。

AG:それでも、巨大保険会社はそれが気に入った、なぜなら彼女は5

大保険会社を保存したがったからです。もし彼女が保険会社全体を除い

ていたら、個々の支払人であるアメリカ国民に対してもっと明確にでき

たはずだと述べた人がいました。

MM:とことんまでやらなかった彼女の誤りだ。民主党がそうだよ。彼

らの本質は道を外れてないだろ。いわばヒラリーの本質がまともなとこ

ろにあるとボクが考えるのといっしょだ。彼女は国民全員が補償される

ようにしたい、でも現実に保険会社は除けない、それならいまエドワー

ドが提案しているみたいな、ちょっとした取引でまるくおさめましょっ

てことだろ。2000年大統領選でのアル・ゴアのようなものだよ。彼

が勝っていたはずのフロリダ州全部の票の数え直しの代わりに、票をか

せげると考えた民主党の郡だけを数え直したがった。いい加減にしろ!

だよ。なんだって郡だけなんだよ、中途半端な処置を講ずるからオレた

ちさらにひどくなるじゃないか。ヒラリーで話が飛ぶけど、彼女は今の

時点で健康業界の金のナンバーワンの受け皿なんだ。やつらの金は彼女

のもの、そして彼女はやつらの言いなり、これを見るのはとてもつらい。

だからボクは彼女にはそれほど期待してないよ。

AG:代替案を提唱しているとあなたが感じる大統領候補はいますか?

MM:そうね、特定の計画の点から見るとエドワード以外は誰も明確で

はないね、それにエドワードの計画は適したものではない。オバマの計

画は明確ではないし、間違いなくエドワードとヒラリーの古い案と同じ

欠陥だらけだよ。クシニッチはまともな案に一番近い、もちろん彼は「非

営利的」とか言い続けてる。でもね、ボクはもうどちらかと言うとその

言葉は使いたくないんだよ。デニス(クシニッチ)が使わないことを願

うね、カイザーパーマネントは非営利だからね。ブルークロスは非営利

だぜ。

AG:実際、あなたを批判したサクラメントビーは「カイザーパーマネ

ントが非営利なのを理解してないのか?ではなぜこれが(資本主義によ

る)営利産業だと言うのか?」と書いていましたね。

MM:その通りなんだよ。営利ってだけではない。民間であろうと非営

利的であろうと、本来どんな民間保健会社にもかかわって欲しくないと

ボクが言うのは、「営利」というときに非営利をよそおうこれら巨大な

非営利があるからなんだよ、やつらはみんな資本主義の利益を追求する

ものだからな。

AG:つまり個別支払人について言ってるのですね。個別支払人と万人

共通適用範囲とに区別はありますか?

MM:もちろん区別はあるさ。ボクらは仲介人(ブローカー)を取り除

く必要がある。政府がこのプログラムを運営できるんだよ。他の国では

まったくうまくやる。上位25カ国を取り上げて、25カ国がやってる

のにボクらの国だけやってないとしよう、ボクらは他の25カ国が大へ

まをやってるだけでボクらは利口なんだと精一杯言ってみてるわけか?

ボクはそうは思わない。

AG:英国の病院や医者の自宅訪問、そして映画公開でオプラ・ウイン

フリーや You Tube、MoveOnといっしょにやることについて彼が話し

ます。

MM:この国のAMA(全米医師協会)は、医療社会化制度になろうも

のなら、医者はとても貧しくなるんだと、医者すべてを納得させている。

それは事実ではない。われわれがカナダで会った医者、英国、フランス

で会った医者らはまったくいい暮らしをしている。ヤッピーライフを送

ってるよ。ボクの映画を見に行った医者どもが見終わって「医療社会化

制度のもとで少なくともわれわれのいい暮らしは守られる」とわかって

くれるのを期待するね。彼らの豪邸なんか誰も取り上げたくないよな。

AG:「ドヤ街」はマイケル?

MM:君はこれを報道していると思うよ、病院の支払を払えないロスの

患者、病院が彼らをドヤ街に放り出している。彼らは患者を病院からた

たき出し、病院のガウンのままのときもある、タクシーに乗せるんだ、

タクシーの運転手には「ドヤ街に連れていって降ろせ」と伝える。

AG:ヴィデオに撮ったのね。

MM:そう。実はわれわれにあるのは、病院のガウンを着た靴もはかな

いこの女性を連れて行き道路のど真ん中で降ろすために、カイザーが雇

ったタクシーによって曲がり角で降ろされてるカイザーの客(犠牲者)

の防犯カメラで撮った映像なんだよ。これをいまそこで見てごらん、こ

れがアメリカとは信じられないから。われわれが人々をどう扱うかだ。

AG:支払請求をためてる人たちに(正当性を疑って)異議を申し立て

るため健康業界に雇われた男性が映画に登場します。彼が何をするのか、

どうやって調査するかを説明してください。

MM:健康保険業界は請求を支払うのを好まない。儲からないからね。

利益を生める唯一の方法は手術に金を払わないことだ。だから連中のゴ

ールはできる限り支払わないように精一杯やることだ。ただちにうせろ

だよ、人助けに従事すべき医療という分野に保険会社が入る余裕などあ

るはずがない。そして決定は必ず、いかに節約できるか、いかに手術の

要求を拒めるか、これを基本にされるべきでない。

ということで彼らは、われわれが保険会社の殺し屋と呼ぶ、この殺し屋

どもを雇う。君が足首を折ったとかで求めなければならないとしよう、

すると彼らはその請求書を見てこうくる、「足首の骨折で5000ドル

だって、1000ドル以上かかってるはずがない。全額払いたくない

ね。」そういうわけで雇う、彼らにはこういう調査員がいる、保険会社

には調査部がある。そして「あのね、エイミー・グッドマンの過去を洗

うんだ。たぶん彼女の健康保険申請書に10年くらい前にあったなにか

で記入してないことがあるかもしれん、それを見つけ出せ。」と言う。

文字通り彼らは記録を手に入れようとする、そして君の健康履歴につい

てできるところまで驚くべき調査をすることになる。そうして言うんだ

よ、「あのね、あなたは申請書に本当のことを書いていませんでしたね。

あなたには既存の病気(既往症)がありました。これについて当方は承

知していませんでした。あなたは言わなかった。つまり、その故に、手

術にかかったお金を返してもらいたい、または、手術代を払うつもりは

ありません。」

AG:この映画の最も効果的な役割のひとつは、もうできないと言って

長いこと人の調査をしてきてない男性のように、進み出ている人たちで

す。それからリンダ・ペノーですね。

MM:そうなんだ。映画の中の告発者、特にリンダ・ペノーね。彼女は

ケンタッキー出身の医者なんだ。 Humanaで働いていた。彼女は医療評

論家だった。医師としての仕事は請求をよく調べて、認可するか拒むこ

とだ。それが本当か否かに頓着なく、患者(客)から届く請求のある一

定率を拒むよう期待されていたのを彼女は映画と議会前の証言で述べる。

会社は拒否率10%を期待したと言うんだ。最高額を拒否した保険会社

の医者、医療評論家は、クリスマスボーナスみたいなものをもらった。

これまた断然クレイジーじゃないか。

AG:週給数百ドルから6桁の数字まで彼女のサラリーは跳ね上がった

んでしたね。

MM:彼女は拒み続けたからね。彼女はもうこれ以上やってられなかっ

た。辞職してから議会に内部告発した、その証言が映画にある。それは

とても効果的だよ。

AG:そんなふうに応酬した人はあとどれくらいいますか?健康保険で

経験したありとあらゆるひどい問題について2万5000人の応答があ

ったとあなたは言いました。その結果がこの人たちなのですね。

MM:その通り。製薬業、病院法人、健康保険業など、業界内の2〜3

百人がボクらに手紙をくれて種々のことを分かち合いたがった。ファイ

ルを送ってくれた人もいる。これほどの人がどうしても良心の呵責に耐

えられないでいたとは、ほんと驚くべきことだったよ。

AG:これは「華氏911」とどうつながっているのか?「シッコ」は

あなたの前作や「ボウリング・フォー・コロンバイン」とどうリンクす

るのでしょう?

MM:いい質問だよ。実は「ボウリング・フォー・コロンバイン」から

「華氏911」を経てこの映画に至るまでの筋道がある。いわば恐怖の

利用だよ。上等なシステムがない理由は、ボクらがカナダのシステムと

かの医療社会化制度を恐れるようしむけられてきたからだよ。国の恐怖

レベルを増すためのやり方のように無知を利用してアメリカ人を恐れさ

せようと精一杯やっている。「ロジャー&ミー」以来、ボクはこれに取

り組んできている、これらは究極の経済システムについての映画だ。前

にも言ってるように、われわれの経済システムは不正で不公平で民主的

でない。そして、われわれが資本に関係ありとする一面でまったく異な

った経済の形をうち立てるまで、究極的に変わるまでは、持たざる者た

ちが苦しみ、持てる者たちが強盗のように持ち逃げする、この問題を持

ち続けることになるんだと思うよ。

AG:どうやってまとめあげているのですか?今後数週間に国内の何千

という劇場でこの映画を上映するときに、労働組合ともいっしょにやる

し、 YouTubeともオプラ・ウインフリーともつるんでやりますよね、

議会前の証言もします。説明して。

MM:ある種奇妙な集合だよ。でもね、この問題は全アメリカ人に響く

からだ。あらゆる種類の、いまこれにかかわりたいって人や団体から連

絡を受けている。 MoveOnはとても積極的にこれにかかわろうとしてい

るよ。つまり左翼の団体や組合の多くがそれに関してまとめあげている。

でも、 YouTubeだったり、これをとても重要な問題にすると決めてい

るオプラみたいな人物もいたりするんだよ。ボクは2〜3週間前に彼女

の番組に出たんだ、そこで彼女は映画公開日に医療の恐怖談を彼女のウ

エブサイトに貼り付けるようファンに求めている。彼女は秋にタウンホ

ールでこの問題についてやるつもりでいる。

AG:YouTubeは?

MM:YouTubeでも医療にまつわる怖い話をヴィデオに撮ってYouTube

に貼り付けろと要求している。 YouTubeの全セクションが、保険会社

が彼らやその家族または友人にしたことや、病院または製薬会社で薬代

を支払わなくちゃならないか薬が入手できない話を教えるものになるん

だよ。

ある意味でこれにはウイルス効果というものがあると思うんだよ。この

人たちが表明するのを願うね。ボクのウエブサイト、カリフォルニア

看護士協会、 YouTube、オプラのウエブサイト、他にもこれに進み出

ようという人々を介して表明するのを期待する。アメリカ人が実際にど

んな体験をしているかをボクらは聞くことになるんだと思うね。これで

なにかいい結果が出ることになると信じなくちゃね。それにこの問題で

われわれは大統領候補の足下に火をつけるつもりでいる、特に民主党の

ね。

AG:この映画を作っていてわかったことで驚いたことはありますか?

MM:あるよ。常にね。これにはほんと圧倒された。英国の医師にイン

タビューしているときにどれくらい稼ぐのか訊ねていた、彼は年収20

万ドルに満たないような稼ぎなんだ、なのに彼は言ったよ、「でも私の

給料は私がいかにいい仕事をしたかに基づくんです。今年タバコをやめ

る患者が増えれば、あるいはコレステロールが下がるとか血圧や血糖値

が下がれば、私はもっと稼げるようになります。つまり私の患者がいか

に健康であるかが実はそれの根拠になるんです。ですから、稼ぐために

ここで現によい仕事をするという私には励みがあります。」

これは驚いた、ここと正反対みたいだなと思ったよ。タバコを吸ったり

まともな食事をしない人々のほとんどが具合悪くなったり病気になる、

すると製薬会社が儲かり、医者が儲かり、病院が儲かるってことだ。病

気になればみんなが稼げる。

そして個人的にボク自身のことについてうんと考えさせられたよ、だっ

てボクが進み出て言ったとき、健康でいろというのがボクが言うべき点

かもしれないだろ、システムをやっつけるためのひとつの行動、ボクた

ちみんながもうちょっと自分自身の健康に配慮するようにやってみるこ

とが、ついにはこのシステムをやっつける道かもしれないじゃないか、

そして一番にボク自身から始めるとしよう。

http://www.democracynow.org/article.pl?sid=07/06/18/1326235&mode=thread&tid=25#transcript

=======================================

■ビョーキ?アメリカ医療システムの真実■英インディペンデント紙

4 June 2007 by アンドリュー・ガンベル

いまだに未解決とはいえ、この15年間、医療サービスを受けるための

経済的手段を持たない貧困層についての話題は減っている。代わりに、

医療サービスを受けられると期待された人々の恐怖体験談が増えている。

職があって職場で医療保険に加入できる中流階級の人々、あるいはかつ

て手堅い医療保障を受けられた職業に就いている人々が前より退化した

保障、さらにはいろいろな理由で保障を削減される憂き目に遭遇してい

る。

マイケル・ムーアの最新ドキュメンタリー「シッコ」が暴露するのがこ

の泥沼だ。ムーアは、保険会社や製薬会社をうるおわせる、誰にとって

もまったく公正でない現状の医療システムには必然性もなければ必要性

もないのを実証してみせる。

映画の冒頭で披露される話は残酷だ。無保険の大工が1万2000ドル

払って切断された薬指を接続するか、または6万ドル払って切断された

中指を接続するかという選択を迫られるのだから。それからムーアは、

珍しい病気を治療するために骨髄移植手術が必要になった夫を持つ病院

職員に注目する。その夫婦の加入する医療保険会社は、移植手術が「実

験的」であるとして費用負担を拒否した。職員の夫は死亡した。

ジョージア州では、ある夫婦の乳児が心臓停止に陥った際に、医療保険

会社側の命令で約72キロ離れた病院に連れて行かざるを得なくなった

話もある。乳児は生き延びたが、迅速な治療があれば避けられたはずの

障害に苦しむことになった。ニューヨークではブライアン・ジョーンズ

という名の乳児、事件当時地元メディアで盛んに取り上げられた新生児

が、出産後24時間で病院を退院せよという医療保険会社の要求により

心臓疾患が発見されず死亡した。異常を発見できたかもしれない検査を

あまりにも急いで実施したためだ。

アメリカの医者は世界のどこの医者より高給であり、最高の医者たちが

集まることになる。それでもなお、ほとんどではないにせよ、多くのア

メリカ人はこうした恩恵を受けられない。実際、ニューヨークタイムズ

紙で経済学者ポール・クルーグマンが指摘するように、研究とハイテク

機材は、その利益を享受できる少数の富裕層とますます享受できなくな

る大衆という、不公正の原因のひとつとされている。「医療システムは、

一部の人にはより高額な治療を提供する一方でそれ以外の多くの人々を

さら遠ざける。ごく少数に最先端治療を受けさせるために大多数の基礎

医療機会を奪っている。」クルーグマンは書いている。「このようにわ

が国では医学の進歩が多くのアメリカ人の健康にとって悪い事態になる

という矛盾に直面している。」

利益追求型の医療保険企業によってシステムが運営されると、非効率で

高額、さらには人間性も奪われることになる。アメリカの国民 1人あた

りの医療費負担額はフランスの2倍以上、イギリスの2.5倍ほどにな

る。それでもなお国民健康指標ではほぼ全ての面で他国を下回っており、

おそらく最もショッキングな指標として乳児死亡率を挙げるとイギリス

との比較でアメリカは36%も乳児死亡率が高い。

民間医療保険業界の過剰な官僚制のコストビジネスの発掘、苦情処理、

客の医療費負担請求を拒否する理由を説明するための「拒否管理スペシ

ャリスト」の雇用などにかかる費用は、年間980億ドル(約 12兆929

億円)にのぼる。注目すべきはその金額の大きさで、マッキンゼーの試

算によれば、医療保険未加入のアメリカ人すべての費用を合計してもそ

の金額は770億ドルである。もしも合衆国政府が、製薬業界の不当に

高い独自価格設定を許すのでなしに、医薬品大量購入割引の交渉をする

なら、さらに660億ドルの節約になるという。

アメリカ国民5000万人(うち 1000万人は児童)が無保険状態なの

は誰でも認識しており、文明社会としては受け入れ難い。

貧困層はメディケイドと呼ばれる政府プログラムに依存し、高齢者はメ

ディケアと呼ばれる政府プログラムに依存している。そしてアメリカの

医療システム全体でおそらく最も効率がよい部分は、退役軍人向けの国

民保険サービスの一種、復員軍人援護局である。

ウォルマートの経営者リー・スコットが、ウォルマートの労働環境に対

する厳しい批判で知られる米サービス業界労働組合と協力して、国営の

全国民向け健康保険システムを2012年までに確立するよう働きかけ

ている。この闘争は困難なものになるだろう。これまでのところ、医療

保険業界と製薬業界は、多数の議員に選挙資金を提供し、残酷なまでに

手際よく自らの利権を守ってきている。クリントン夫妻が1994年に

敗北した理由のひとつは、こうした業界側のロビー活動によるものだ。

システム改善のためには並外れた政治的勇気が必要になる。

♯お知らせ♯

きままなブログを始めました。よりのんきでよりビジュアルな内容に

なっています。こちらもごひいきに。

http://tequilamama.blogspot.com/