■ブラックウォーターの持ち主にはいつでも雇えるスパイがいる■

元米国政府の専門職(スパイ)が会社の名簿に点在する

by ワシントンポスト紙のライター、ダナ・ヘッジペス

03 November 2007

最初その会社はイラクとアフガニスタンでの警備の仕事で有名になった。

いまそこは諜報業務を引き受けている。

ブラックウォーター・ワールドワイドを所有する持株会社、プリンスグ

ループは、自然災害やビジネスに味方する政府、海外の規制、産業界と

政府のクライアントのための世界規模の政略上の発展に関する情報に気

づく事業を築いてきている。

「 Total Intelligence Solutions:絶対的な情報の解決」が安全を理由に

名前を公表したがらない2人のアナリストがバルストンの本社で働く。

批評家はそこが「金で動員したスパイ」を雇うと言い、一方で、会社の

会長は「われわれは法を犯していない。」と言う。

その事業、「 Total Intelligence Solutions」は、ブラックウォーターを

運営する元軍人の候補者名簿を反映させる、 CIAや防衛情報部といった

政府機関出身の高官など、元スパイを集めて名簿を整理していた。会長

は、アルカイダ容疑者の引き渡しと尋問、海外の秘密の刑務所での容疑

者の拘留が含まれる、その機関のたくさんの論議ある計画でもかなり論

議を呼ぶ計画を指揮する役割で知られる、 CIAで反テロリズムを指揮し

たコファー・ブラックだ。

最高取締役は、イラク戦争で諜報機関の役割を実施することに深く掛か

り合った、 CIAに密接な結びつきのある作戦の元副指揮官、ロバート・

リッチャーだ。

「 Total Intelligence Solutions」は、危険性分析といった情報サーヴィ

スを企業や政府に提供する成長するたくさんの会社のひとつだ。元海兵

隊シールの大富豪という会社の持ち主エリック・プリンスとのきづなと

その名簿のせいで、この世界での会社の急な押しが政府や産業界と公式

に秘密裏に動く諜報員に確保された活動との境目をぼやけさせ不鮮明に

するのを強調する。

たとえば、リッチャーはかつて CIAの近東部門のチーフとして務めたこ

とがあり、ヨルダンのアブドラ国王に義理があると言われる。 CIAは情

報と交換にヨルダンの諜報業務の訓練を助けるのに何百万ドルも費やし

た。いまヨルダンは特殊部隊を訓練するのにブラックウォーターを雇っ

ている。

「コファーは便宜を与えられる」と、22年 CIAで務めたリッチャーは

言った。「私は便宜を与えられる。われわれは会う必要がある人に会う

ため、たいてい乗り込むことができる。われわれは賄賂を払うのを助け

ない。法律の範囲内ですべてのことを行うが、適切な大臣だとか人物と

取引はできる。」

Total Intelで知られるその会社は、CIAのスパイによって伝統に基づい

て研がれたスキルをただちに会議室にもたらしているとブラックは言っ

た。ブラックは CIAと共に28年の経歴があった。

「彼らには人が望むことをなんでもやるためのスキルと背景がある」と、

「私に請求書を送ったスパイ」と呼ばれる国家安全保障ブログを書く RJ

ヒルハウスは言った。「手落ちはありません。彼らは、フリーランスの

スパイによる諜報活動業務を提供する独立した会社です。彼らは、金で

動員したスパイなのです。」

Total Intelの作戦本部は部屋の中央にある小部屋にアナリストたちが座

り、外周部は上級管理職のガラスのオフィスといった、かつてブラック

が指揮した CIA反テロリストセンターの後をかたどるバルストンの事務

所用タワービルの9階の一続きの部屋だ。

20代と30代の一握りのアナリストたちがマッキントッシュのコンピ

ュータにかがみ込み、ウェブサイト、データベース、新聞、チャットル

ームをスキャンする。照明は薄暗くされている。背後では3台の大型ス

クリーン TVが動いており、1台はアルジャジーラ放送になっていた。

グローバルフュージョンセンターと呼ばれる部屋には、会社のビジネス

に影響を及ぼしかねない過激なイスラム教徒のウェブサイトにあるテロ

リストの策略から、アジアで起こりうる政治的激変、南米やヨーロッパ

での労働ストライキ、経済の大変動などについての徴候を検索するアナ

リストとして24時間ぶっ通しでスタッフが置かれる。

「われわれは私立探偵ではない」とブラックは言った。「われわれはク

ライアントに情報を提供する。写真を撮ることじゃない。やるべき仕事

上の情報だ。われわれは公然と入手できる情報すべてを集める。これは

まったく合法の事業だ。われわれは法を犯さない。法を犯すことには近

づかない。われわれには犯す必要がない。」

Total Intelは2月にプリンスによって始められた。彼は10年前にノー

スカロライナのモヨックに法執行訓練センターを開設した、以後それは

ブラックウオーター・ワールドワイドと呼ばれる5億ドル事業に成長し

ている。プリンスは他に彼のプリンスグループ帝国に9つの会社と補助

的なものを所有し、広範囲の警備と訓練業務を提供する。(そのうちの

1社、ブラックウォーターセキュリティコンサルティングは、会社の武

装した警護要員が関係してイラクの民間人17人が殺された9月16日

のイラクでの銃撃事件のせいで、監視下にある。)マット・デヴォスト

が所有する2つの会社、テロリズムリサーチセンターとテクニカルディ

フェンスを買うことでプリンスは Total Intelを築いた、そしてそれらを

ブラックのコンサルティンググループと合併させる。サイバーセキュリ

ティとリスク管理の専門家、デヴォストはいま Total Intelの社長だ。

デヴォストは日々、業務を指揮してフルタイムの従業員65人を監視す

る。グローバルフュージョンセンターでは若いアナリストらが60カ国

以上の国の動きを監視する。なかにはアラビア語が流ちょうな25歳の

フルブライトの学者や他に中東に集中させた国際事件の修士号を持つ人

物が含まれる。その人物は、ブラックとリッチャーがそこへ行くのに多

くの時間をかけた、サウジアラビアの石油産業と安全保障を追跡する。

彼らはどことは言わない。それは CIAの仕事だ。ブラックは最近「中東

のどこか」から Total Intelについて説明してくれと真夜中に呼び出され

た。

「いわばビジネスとして私がどこにいるかは人にあまり教えていない」

と彼は言った。「どこに行き誰に会うかに私は慎重だ。コネを作るため

に私は政府の高官との交渉にほとんどの時間を費やした。」

ブラックウオーター・ワールドワイドの副会長でもあるブラックは、ビ

ジネス好機を探し求めて会議や試写会に行くようなもっと世俗的なこと

もたくさんすると言った。「私は行かなければならないことになってい

る」と彼は言った。「うちの連中が私に身振りで合図している。人に会

いに行かなければならない。」

誰に?

人々だよ。

政府の人?仕事の人?

あらゆる類の人だ。

会社はそこの財政上の情報、客の名前とか業務の詳細を明かしたがらな

い。グローバルフュージョンセンターのアナリストのスクリーンを見る

のも許されなかった。

「ダメ、ダメ」と言って彼は両手を上げた。「客の名前があるかもしれ

ない。君に知られたくない。」

グローバルフュージョンセンターを見下ろす会議室で、 Total Intelの専

務理事らは、彼らのある仕事のリストに質問を出し尽くした。インドの

主要都市での最近の爆発は孤立した出来事か、それとも人員を撤退させ

るべきか?パキスタンの政治的進展はあなたのビジネスになるものか?

ジハードする連中のウェブサイトにあなたの会社が突如持ち上がってい

るか?メキシコの港町で、ひょっとしたら悪党の警官による犯罪が最近

あった。政府は安全を確保できるつもりでいるか?

2000年以降、会社のテロリズムリサーチセンターの分け前はデータ

の申し込みや他の業務を買うことでの、主として陸軍、海軍、空軍、税

関、米国特別作戦司令部のような機関からの政府との契約で150万ド

ルに値した。

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■諜報活動の民営化■デモクラシーナウ 26 July 2007

国家機密機構関連の調査員である RJヒルハウスによると、アメリカの諜

報活動予算の70%がアブラクサス、ブーズ・アレン・ハミルトン、ロ

ッキード・マーティン、レイセオンなどの大企業への外部委託に割り当

てられているという。彼女が8月初めにワシントンポスト紙で明らかに

した調査結果である。さらに、彼女の調査によると、これらの企業の影

響力が直接大統領執務室にまでおよび、アメリカという国の意志決定を

左右している。

CIAを含む16の公認諜報機関組織のスパイ活動にはアメリカの国益を

守るという名目があり、政府機関として責任が追及される。だが、民主

国家として国民の信頼や利害を扱う重要な諜報機関そのものが、利益追

求を最優先する民間巨大企業(特に軍事企業)に委託されることにより、

スパイ活動もまた「企業秘密」の範疇で守られ、名目上の説明責任さえ

不明になる。政府の職員でなくなったスパイたちは、利益拡大を最優先

する請負企業の社員となり、「国家のため」ではなく企業の利益拡大を

動機にして行動するようになる。

国家機能の核心部分を企業の利害が侵食して民主国家における情報管理

が不能に陥いることになったプロセスを支えてきたのは、

「 Privatization(私的利害のあること以外には関与しないこと)」と呼

ばれる経済的な仕組みだ。この言葉は普通「民営化」と訳されている。

一般的には既存の公共事業をより資本効率の高い民間の経営にまかせる

という風潮のなかで広がってきた経済政策モデルで、クリントン大統領

時代に急激に普及した。当初は、企業に対する規制や監視を十分に整え

た上で使われてきた経済変革モデルだったが、その後、急速な規制緩和

により環境問題や労働問題など企業利益の追求が公共の利益を踏みにじ

るさまざまな弊害が表面化して、「民営化」という中立で温和な言葉か

らは想像できない状況が進行している。

現に、「民営化」は国民の長期的な利益を守らず、「民意」を反映してな

いばかりか、国民の5%に満たないごくわずかなエリート階級のみが多

大な利益を吸い上げる資本集中の仕組みで、公共資産を「私有化」する

構造だ。企業資本が大きな影響力を振るい、民主主義制度を踏みにじっ

て国家機能と企業が融合した状態を定義する言葉がある。それは「ファ

シズム」と呼ばれる。

「国家機密の管理能力と災害に対応する能力を失った政府はもはや国家

の機関だと言えるのだろうか」と、ヒルハウスは問いかける。彼女は、

アメリカという「国」の内臓がそっくりえぐり取られ、そこに巨大な企

業資本の利害が挿入されている驚くべき現状を告発している。

(デモクラシーナウ・ジャパンより引用)

▲ RJヒルハウス:小説家でブロガー。彼女の調査はブログサイト

( http://www.thespywhobilledme.com/)で読むことができる。また

彼女は諜報活動の内情を描いたフィクション小説「 Outsourced」も書

いている。

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■イラク政府「米警備会社の発砲は計画殺人」■ CNN 09 October 2007

ブラックウォーター USAの従業員がイラクの首都バグダッド市内の銃撃

戦で民間人を死亡させた事件で、イラク政府の委員会による調査結果は

事件を「計画殺人」と断定し、死亡したイラク人17人に対し、それぞ

れ800万ドル(約9億3000万円)の賠償金支払いを請求している。

イラク政府高官が8日語った。

イラク政府側の調査はすでに終了し、報告書がマリキ首相に提出される

予定。賠償金は事件の遺族に支払われるべきだとしている。

イラク政府報道官は7日、イラクの調査委員会が、ブラックウォーター

社の警備員がいわれもなく銃を民間人に発砲し、イラク人の人権を侵害

したとの見解を示した。一方のブラックウォーター社は、敵の攻撃に合

法的かつ適切に対応したとして、同社要員に発砲した相手が武装勢力だ

ったため自衛のため応戦したと主張。ただ、イラク政府側は、事件当時

に直接もしく間接的な発砲があった証拠はなく、投石さえもなかったと

している。

イラク政府側はまた、ブラックウォーター社がイラク国内で操業する民

間警備会社の業務倫理および基準に違反したとしてイラクの法律で処罰

されるべきだとの認識を明らかにした。ただ、米軍のイラク駐留初期に

定められた規定で、同社のような治安業務委託業者はイラクの法律に基

く訴追を免責されている。

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■傭兵会社ブラックウォーター■ CounterPunch 25 January 2007

by ジェレミー・スカヒル

これらの傭兵は、ほとんどまったく監視も実効力のある法的拘束もなし

に活動しており、そうとは言わずに占領の射程を広げている。契約要員

の多くは、1日1000ドル近くを稼いでおり、戦地勤務の兵士よりは

るかに稼ぎがいい。さらに、契約要員が死んでも公式な犠牲者数には考

慮されないため、これらの部隊は政治的にも好都合だった。

民間予備部隊のアイディアを思いついたのは、これを提案したブッシュ

大統領ではない。この民間版は2年前にエリック・プリンス(秘密主義

の超億万長者の保守派、ブラックウォーター USAを所有し、長年にわた

り傭兵を合法的な兵力として見直すよう求めるキャンペーンの笛吹役を

務めてきた)によって提案されている。2005年初頭、大統領の巨大

な資金源であるプリンスとその仲間たちは、軍関連の会議の場で、正規

軍を補完するのに「契約要員隊」を設けるという考えを売り込んでいた。

ペンタゴン内部には「軍の通常規模を拡大し続けることには困惑があ

る」とプリンスは述べた。政府関係者らは「3万人の増員を望んでおり、

それには36億ドルから40億ドルを要すると言っている。ところで、

私の計算では、それは兵士一人あたり13万5000ドルだ。」 彼は

さらに続けて「われわれは確実にそれより安くあげることができる。」

と述べた。

プリンスはただ抽象的に考えてるだけの人ではなかった。彼は自分の軍

隊を所有していた。ブラックウォーター社は1996年、「政府のアウ

トソーシングが見込まれるなか、その需要を満たす」ための民間軍事訓

練キャンプとして始まった。今日では同社の契約対象は、軍や諜報組織

の中枢から、ホワイトハウスの上層部にまで及ぶ。同社は地球規模の「対

テロ戦争」のためのエリートペンタゴンの警備としてその地位を確立し、

世界最大の民間軍事基地と、出動待機体制にある航空機20機の部隊に

2万人の兵士を擁している。

イラクやアフガニスタンから、ハリケーンで破壊されたニューオーリン

ズの街、カリフォルニアの災害に対応するためのアーノルド・シュワル

ツネガー知事との会見と、ブラックウォーター社は今では防衛・本土安

全保障作戦の FedEx(空路、地上、重量貨物、ドキュメント、および

物流サービスを提供する世界最大手の貨物航空会社、フェデックスと言

えば「宅配便でモノを送る」意味に使われるほど世界を変えている)と

なりつつある。


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きままなブログを始めました。よりのんきでよりビジュアルな内容に

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