■プーチンの地滑り的大勝利■ ICH by Eric Margolis

04 December 2007

予想されたようにウラジミール・プーチンの与党統一ロシア党は昨日の

下院選挙で圧倒的勝利を得た。これを書いてる時点で63%以上の票を

獲得、それはロシア帝国議会もしくはロシア議会において70%の議席

数を有することになる。

ロシア共産党はわずか11.6%。ジュガーノフ党首は不正を叫び、そ

の全歴史において一度も正当な投票など行ったことがない党からの非常

におもしろい非難、選挙は詐欺だったと主張する。

プーチンの統一ロシアに賛成して可決する、他の2つの小さな党が票の

15%を獲得した。ひとつはロシア・ネオファシストのジリノフスキー

率いる極右ロシア自由民主党だ。リベラルな西側を向く政党は締め出さ

れた。

プーチン大統領の土臭いフレーズはどうも目下のロシアの強いムードを

捕らえているようだった。ロシアの下院選に対する辛辣な西側の批判に

反応して「 Vlad the Bad 威勢のよい悪ガキ」を演じるプーチンは、彼

の国のビジネスに「生意気な鼻を突っ込むな」と西側勢力に警告した。

最近、ますます遠慮なくずばずば言うようになってきているプーチンは、

米国の同盟国グルジア(元ソ連)によるよく似たふるまいを無視する一

方で、ロシアの怪しげな選挙を非難し、対抗馬を黙らせ、反対者を手荒

く扱うジョージ・ブッシュ大統領のダブルスタンダードをバカにした。

彼はパキスタン、エジプト、アルジェリア、イラク、モロッコ、アフガ

ニスタン、ウズベキスタンのような他の重要な米国のクライアントにつ

いても補足してよかった。

1月の選挙から元首相のシャリフを排除するとの、米国が味方につくパ

キスタンの独裁者、軍司令官でもあったムシャラフによる決定は、ワシ

ントンのモスクワ非難を著しく二枚舌の偽善に見せた。

プーチン大統領が西側の批判をしかりつけてロシア選挙の外国の監視を

制限したのは正しかった。ロシアはバナナ共和国(外資への依存が高く

政治的に不安定な中南米などの熱帯の小国)ではない、偉大な歴史に残

る強国である。西側選挙監視員らが実際にモスコーやオムスク、カルガ

での投票を監督する必要があったとしても、それではなぜロシアの監視

員らがたまに油断のならないアメリカの選挙を監督しなくていいのか?

たとえば、死者がごく普通に投票するシカゴ、黒人が追い返されるフロ

リダ、あるいは2004年の選挙で共和党を勝利させた投票マシーンを

不正手段で操ったオハイオなど。

自由でフェアな西欧スタイルの選挙をロシアが行うというふりをやめれ

ばもっとよかったのだが。米国の元子分ボリス・エリツィン政権下の選

挙はすべて前もって結果を粉飾するか票が金で買われた。今日、ロシア

の野党にはほとんど資金が供給されておらず、広く政府にコントロール

されるほとんどのメディアから彼らは締め出される。7%以下の得票率

の党は排除され、独立した選挙委員会はない。

日曜の投票は実はプーチン大統領の人気を問う国民投票だった。大部分

の世論調査がプーチンには70〜80%の承認があることを示して、プ

ーチンを世界で最も成功し評価されたリーダーのひとりにする。選挙は

特に若いロシア人の間でこの事実をますます強めるのに報いる。

元諜報部員のプーチンと彼の KGB仲間のネットワークはロシアに奇跡を

行ってきている。取り乱して痴呆状態のエリツィンを駆逐したクーデタ

ー後、プーチンはワシントンからの施しのキャッシュで生計を立てる破

綻し腐敗した国家を受け継いだ。つまり懐が寂しい「ヴェイマール」ロ

シアは落ちぶれ、その先進軍事技術の多くが多額の精算(賄賂)のせい

で米国に売られてしまう。

強硬な経営手腕と国有化、そしてある意味でジョージ・ブッシュの無謀

なイラク侵略によって引き起こされた石油価格の高騰のおかげで、ロシ

アの国民所得はプーチン政権下で3倍以上になり、ルーブルは信頼でき

る強い通貨になった。プーチンは同時に重要な、このひどく狂信的愛国

主義の国に対する尊厳とプライドを復活した。

その課程でもって、彼は全権力をクレムリンの中央に集め、独立した新

聞雑誌の言論の自由を妨げ、反対者(対抗勢力)を脅し、政府に圧力を

かける一握りのグループを投獄し、カルトの魅力を創り出した。彼は無

慈悲にも独立を求めるチェチェン人の精気をしぼり取った、そして「便

所の中にいるチェチェンのゲリラ(悪党ども)を殺す」と断言すること

でモスリム(イスラム教徒)を憎むロシア人をぞくぞくさせる。彼らが

テロリストと烙印を押したチェチェン人に対し、ロシアの兵士と警官が

犯した暴虐非道なふるまいにロシア人は全然関心を持たなかった。イラ

クとアフガニスタンに押しつけた非常な苦しみにアメリカ人が関心を持

たなかった以上に。

西欧スタイルのデモクラシーをやかましく要求する微弱なリベラル党に

大多数のロシア人がまず関心を持てないでいた。ロシア人がデモクラシ

ーではなく経済発展と国家のプライドを注文したがったのは悲しい自明

の理である。柔道のチャンピオン、節制するプーチンは、歴史に残る強

くて男らしく高潔な父親らしいとっておきの独裁君主「反動の皇帝」と

して完ぺきにこの望みにかなう。

大多数のロシア人にとって「デモクラシー」はエリツィンの統治中にロ

シアの産業と資源を略奪した盗みを働く寡頭政治家と、ロシアの通貨を

堕落させ何百万もの年金受給者たちを飢えるにまかせた象牙の塔、エコ

ノミストらを連想させる。

デモクラシーはまた多くのロシア人には米国がロシアや後にウクライナ、

グルジア、中央アジアの上に迫る、経済的そして政治的影響力を主張す

るため使ったトロイの木馬に見えるようだ。同時に、ソ連が昔のワルシ

ャワ条約で待遇した方々に NATO軍を命じ、ロシアの西側国境にNATO

軍を推し進めるというブッシュ大統領の方針、そしてチェコとポーラン

ドに米国の ABMシステムを配備するという気のふれた計画がロシアの国

粋主義者のパッションを過度に刺激して、西側の脅威という歴史に残る

恐怖をふたたび燃え立たせた。

プーチンはロシアを主導し続けたいと述べる。だが、憲法上、大統領任

期の3選は禁じられている。従ってプーチンはこの上なく強力な首相と

してロシアを支配する計画である。統一ロシア党の党首として?最も若

い長老(元老)になるのか?あるいはあっさりとロシア帝国議会に憲法

を変えさせるのか?

彼はイワン雷帝の例にならうこともできる、嘆願者の群衆が彼に皇帝と

してモスコーに戻ってくれと懇願するまで公の場から一時的に身を引く

のだ。

あるいは彼は単に市民ウラジミール・プーチンのままでいることもでき

た。トウ小平がそれはあざやかに中国を支配したとき、彼が唯一保有し

た正式な称号は中国架橋協会の議長だった。だが、次も彼が中国を指揮

するのを誰も疑わなかった。

プーチンの近々の政治的プランがなんであれ、彼は世界の強国としてロ

シアの役割を復活させるつもりであり、米国の世界的優位に挑むつもり

なのは明白である。先週、ヨーロッパ通常兵器条約からロシアが離脱し

たのは最新の不吉なきざしだ。

プーチン大統領は昔のソ連の国境を復活させたい、だが共産党なしでだ、

共産党はみじめにも最低水準の公的支援をダメにしている。ロシアの莫

大なエネルギーと鉱物資源が結局ロシアを世界を主導する強国にするは

ずだとプーチンは考える。わずか55歳のプーチンは本国ロシアが意気

揚々と勝ち誇るこの日を見るために生きながらえるかもしれない。

▲サン・ナショナル・メディア・カナダに外国論説委員として寄稿する

エリック・マーゴリスは「 War at the Top of the World」の作者であ

る。彼のウエブサイトをご覧ください。

  http://www.ericmargolis.com/

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■ロシア「処刑ヴィデオ」の真相を突き止める■ BBC NEWS

14 August 2007

極右過激派によって処刑スタイルで殺される2人の男性を明らかにして

いるものと思われるヴィデオをロシア当局は調査している。

ウエブサイトに投稿されたそのヴィデオクリップは、明らかに打ち首に

されているひとりの男性と、もうひとりが撃たれているのを示す。

ひとりがロシア南部ダゲスタン共和国出身でもうひとりがタジキスタン

の出身であると、ヴィデオには説明がある。

ロシアの国家社会党員と名乗るグループが攻撃を実行したと伝えた。

ここ近年、ロシアではコーカサス出身や中央アジア出身、他の外国出身

者への暴力沙汰がますます増えてきている。

(バスに乗り込んできたとたんに外国人らしき人物を横なぐりにするなど

の憎しみの暴力が日常生活でよく見られる光景になっていると聞く)

ロシア内務省スポークスマンのイリーナ・ズバレヴァは RIA ノヴォスチ

通信社に当局はヴィデオが投稿されたところを調査してきたと話した。

「調査結果として、理事会の従業員らは2人の人間が処刑されたとされ

るヴィデオが投稿されたサーヴァーが複数の外国が主催するものである

のを確認している」と彼女は言った。

関連情報はすでにそれらの国々の当局に送られたと彼女は補足した。

◇ヘビーメタル

当初投稿されたウエブサイトから削除されているそのヴィデオはヘビー

メタルのサウンドトラックにその人殺しと申し立てられるものを見せる。

2人の男性は腕と脚をしばられており、伝えられるところでは「ボクた

ちはロシア人の国家社会党員に逮捕された」と言ってるのが聞き取れる

とのことだ。

マスクとカモフラージュの一式に身を包む2人の男は人殺しと申し立て

られるものを行う前にナチの敬礼をしているのがわかる。

ロシアの人種差別者の犯罪を監視することにかかわる活動家、アクサン

ダー・ヴァーコフスキーは、あの暴行を実行したと言った組織について

は一度も聞いたことがないが、映像は見たところ本物らしいと AP通信

に語った。

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■欧州人権裁判所 チェチェンでの殺害でロシアに有罪判決■

英インディペンデント紙  22 June 2007

欧州人権裁判所は、チェチェンの人権活動家とその家族がロシア語を話

す「国家の代理人」によって頭部を撃たれて死亡した超法規的殺人事件

について、ロシア当局の責任を認める判決を下した。

ロシアに対する一連の有罪判決のなかで最も最近の昨日の判決は、チェ

チェンにおけるすさまじい人権侵害についてロシア政府の責任を問い、

ロシア政府に8万5000ユーロ(5万7000ドル)の賠償金を遺族

に支払うことを命じるものとなった。

「ロシア兵士の母親委員会」のメンバーでチェチェンの優れた反戦活動

家でもあったズーラ・シャラニエヴナ・ビティエヴァは、2000年に

当局によって一ヶ月間収容されていた際に拷問を受けたとして欧州人権

裁判所に訴えを起こしていた。3年後、裁判で争っているなかで早朝に

覆面をした男たちが彼女の自宅を襲撃し、兄弟と息子といっしょに彼女

を殺害した。

その後、ビティエヴァの娘が母親の殺害について欧州裁判所に訴えを起

こすが、娘自身も当局によって嫌がらせを受けるようになった。

事件の始まりは、ズーラ・ビティエヴァと息子のイドリスが2000年

1月にパスポート照合のために地元の警察署に出頭するよう命じられた

ことだった。

警官は二人を帰宅させる代わりに「二度と生きては戻れない」と看守が

脅迫するチェルノコゾボの収容所に送還した。アムネスティ・インター

ナショナルによると、チェルノコゾボ収容所は「不純物を濾過して取り

除く」選別収容所と呼ばれており、女性と子どもに対する拷問とレイプ

で極めて評判の悪い収容所である。

証言によれば、ビティエヴァは収容中に銃身で殴られ、彼女自身も被収

容者が殴られるのを目撃している。彼女は治療を求めるが当局に拒否さ

れ、その後、病気になり入院を希望していた。2000年2月、彼女に

かけられたすべての容疑は晴れる。

判決は、「法の支配が徹底している状況では、一定以上の長期にわたり

責任者不在の違法な収容所で個人が自由を奪われることは到底許されな

い」としている。

「こうした状況によって、あらゆる類いの権利の濫用が罰せられない風

潮が蔓延している」

法廷で、2003年5月21日に迷彩服を着て覆面をした11人の男た

ちがナンバープレートのないクルマに乗ってビティエヴァの家に午前3

時半にやってきたという証言があった。午前3時半というのは、彼女の

村の道路が軍隊によって封鎖されていた時間帯だ。

彼らはビティエヴァの口をテープでふさぎ、彼女の両手をしばった状態

で、彼女の顔面と手を撃った。

証言によると、彼女の夫と兄弟、息子も両手をしばられ、一人はフード

をかぶせられて、全員が後頭部を撃たれたという。ビティエヴァの娘と

もう一人の息子は、運よく椅子の陰に隠れて殺人者から逃れることがで

きた。

判決では、殺人者の手口、パスポートのチェックや被収容者の頭にフー

ドをかぶせること、処刑の方法などに関する目撃者の証言を総合して、

ロシア軍が殺害の背後にいるという結論を出している。ロシア当局は3

ヶ月以内に控訴することができる。

欧州人権裁判所では、現在、数十件もの類似事件が係争中である。人権

団体が危惧するのは、嫌がらせから殺害の脅迫までに至る、欧州人権裁

判所に訴え出たことへの報復を怖れて、チェチェン人の遺族たちが法廷

に訴えられずにいるのではないかということだった。

今回の事件では、ロシアの人権団体メモリアルと欧州の人権推進センタ

ーが原告の代理人になった。判決によって「ロシア当局がチェチェンで

より広範な人権侵害をしていることが注目され」チェチェン共和国で起

こっている包括的な人権侵害に対して独立した国際的な調査を行う必要

性が強まったと、センターの代表フィリップ・リーチは語っている。

チェチェンでは1994年のロシアに対する最初の独立戦争以降、推定

10万人が死亡したとみられている。人権団体は、チェチェンにおける

大量の失踪事件についても報告しており、親ロシア派チェチェン治安当

局とロシア軍を糾弾している。

http://news.independent.co.uk/europe/article2692483.ece

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■プーチン大統領「言論の自由抑圧」で受賞■サンケイ新聞

19 June 2007

ドイツのジャーナリスト有志で作る「調査ネットワーク」は16日、今

年1年間で最も情報の流通を妨げた人物に与える「口の閉じた牡蠣(か

き)賞」をロシアのプーチン大統領に贈った。「容赦ない言論の自由の

抑圧者」というのが授賞理由。

南ドイツ新聞のヘリベアト・プラントル政治部長は授賞に関し「ロシア

の<言論の自由>とは、プーチン氏が欲することを書く自由である」と

指摘し、国家権力によるメディア弾圧を厳しく批判した。

同団体によれば、ロシアでは2000年以降、少なくとも14人のジャ

ーナリストが不可解な理由で死亡、殺害された。昨秋、独立系ノーバヤ・

ガゼータ紙の著名記者、ポリトコフスカヤさんが暗殺された事件は、世

界に強い衝撃を与えた。

国際ジャーナリスト連盟の世界大会では「ロシアは今やイラクに次いで

ジャーナリストにとって危険な国」という調査結果が公表された。同連

盟のホワイト書記長は「ジャーナリスト殺害に対するロシア当局の姿勢

は不十分だ。これは政治的意思の問題」とプーチン政権の姿勢を非難し

た。

プーチン政権は再三の要請にもかかわらず、同大会への関係者出席を拒

否している。ポリトコフスカヤさんの遺作集出版のニュースも国営通信

社、政権の支配下にあるテレビ局では黙殺された。


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