1月22日、ガザ情勢の悪化を受けて、国連安全保障理事会は緊急の会

合を開いた。イスラエルによるパレスチナ封鎖を非難し、イスラエルに

パレスチナへの人道支援を求める議長声明を採択しようとしたが、米国

の反対により失敗に終わった。

安保理は23日にも協議を行ったが、欧州連合( EU)が準備した第3草

案に同意することを再び米国が拒み、交渉は暗礁に乗り上げた。

こうして安保理での審議がストップする中、ガザの状況は日に日に悪化

している。国連人道問題調整事務所( UNOCHA)によると、ガザ在住の

パレスチナ人のうち約80%が極貧状態にあり、必要物資を援助機関に

頼らねばならない。また、世界保健機関( WHO)も、過去2ヶ月間、必

要な物資のわずか半分しか輸入できなかったとしている。

だが、米国のせいで安保理は動くことができずにいる。米国はこれまで

も、イスラエルの行為を非難する安保理決議案に実に40回以上も拒否

権を行使してきている。

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■ガザのすごみのある現実■ New Statesman

by Mohammed Omer 10 December 2007

決定的な医療補給から燃料と共に子どもたちの冬の衣料にいたるまで、

ムハンマド・オマールが、ガザの欠乏について報告する。

先週、ガザ地区の交通量はぽつりぽつりにまで落ち込んで、今週、メデ

ィカルセンターは、医薬品での治療と見捨てられた地区の維持とを縮小

している。

「イスラエルの決定は死刑である。われわれの燃料の備蓄はほとんどゼ

ロで、今日中にもおそらく使い尽くすことになろう」と簡単に片付けら

れるハマス政権の保健相スポークスマンは述べた。

生活のあらゆる面でガザの居住者の力を失わせている血も涙もない削減、

さらなる燃料削減を許す11月30日のイスラエル最高裁の決定に関し

て彼は話した。その裁決より先に、イスラエルは10月にも、ガザがす

ぐ後に深刻な50%以上の削減に耐えることになる燃料の制限を開始す

ることにした。極度の数値は国連の組織体 UNOCHA(国連人道問題調整

事務所)によって確認される。

そこを経由してすべての燃料がガザに入る Nahal Oz交差点で、2006

年10月以降、イスラエルはガザ地区に必要とされる35万リットルに

及ばない一日わずか19万リットルのディーゼル油を出しているだけだ

とパレスチナ石油(ガソリン)当局は報じた。この数字は11月29日

にはイスラエルが解放する乏しい6万リットルに急に下がった、3日後

の12月2日には9万リットルの解放にわずかに改善しただけだ。

今週のますますの削減はガザのガソリンスタンドが数日店を閉じる結果

となった。燃料の施しを通常受け取る四分の一に認めたことに抗議して

店のオーナーがストライキをしたのだ。

ガザのガソリンスタンド経営者協会は次のようにコメントした。「ガソリ

ン商店は取るに足らない量とみなした、それでイスラエルの削減に抗議

して、ガザ市民に欠かせないニーズを満たすのにほど遠い、取るに足ら

ない提供の受け取りを拒絶した。」

ガザのタクシー運転手は彼の心配を話した。「燃料の削減はわれわれの暮

らしの削減を意味する。燃料は薪や石炭の代わりにすべてに使う。イス

ラエルがガザにこの包囲を押しつけているだけでなしに、人々がガザの

ハマスに反対するようになるとの愚直な考えのせいで、あるパレスチナ

人たちがこのあこぎな停止を支持していることが悲劇だ。」

燃料不足は公共の交通機関システムにものすごい影響がある。ガザ市に

ある大学から南のハン・ユニースとラファに戻る交通機関を待つのに何

時間も立つことで学生たちを遅らせた。

ぽつりぽつりの影響

燃料削減は次には水を利用する手段を妨げる。ガザの水道局によれば、

ディーゼルで動くポンプが機能できなくなるせいで7万7000人以上

を新鮮な飲み水なしに置き去りにする。オックスファムインターナショ

ナル(世界13カ国に拠点を持つ人道支援の NGO)は、じきに22万5

000人のガザっ子らが不十分な水の供給に苦しむことになり、公衆衛

生の懸念を持ち出すと警告している。

救急車や子どもたちもまた苦しむ。事実をハレード・ラディが繰り返す。

彼は燃料不足がすでに救急車を止めていると話した。「今朝のような、進

行中のイスラエルの空からの攻撃の最中、特に致命的な救急車の機動力

を妨げている。」

欠乏はさらに、常に電力が不足するガザ地区で補充用の発電機に頼る欠

くことのできないクリニックを閉めるおそれがあると彼は付け加えた。

2つの救急医療センターがすでに電力削減中に治療の一時停止を余儀な

くされている。 WHOによれば、開業しているところでも欠くことのでき

ない医薬品416項目のうち91項目が消耗するなど、医療品不足で苦

しむ。

基本的な必需品にも不足する。12月の寒い時期、特に電気とガスがな

いままで欠乏しているときに緊急の割れた窓を修理するためのガラス一

枚を見つけるのに居住者たちは死にものぐるいである。

31歳のパレスチナ人教師イヤード・ユセフは、ここ何ヶ月間手に入ら

ないセメントがガザに入るのをずっと待っている。と同時に、建築資材

の価格が最悪3倍にまで急騰している。ユセフはどんな類の建築資材で

も期待するが、徹底してエリア中をきれいに捜しているので、どんなも

のも見つからないとわかる。「マイホームを完成させるには床がまだなん

だが、ガザではどんな建築資材も入手できないので完成は無理」と彼は

言った。「家の窓を覆うのにナイロンのはぎれを使っているけど、これで

は長くはもたない」と付け加えた。そして、国境を解放して生活に欠か

せない物資をガザに入れるよう国際社会がイスラエルに圧力をかけるの

を期待すると話す。

死刑

最近の死者、イスラエルの国境封鎖と西岸の病院はもちろんイスラエル、

エジプト、ヨルダンの病院への治療アクセスを妨害する結果、先月以降

ガザで死んでいる少なくとも31人の患者より、ユセフはラッキーだと

言える。

6月にハマスが政権を引き継いで以降、この結果として起こるイスラエ

ルの封鎖はパレスチナ人がガザから出るのを事実上不可能にさせてきて

いる。そうして情況はガザの唯一の商業上の交差点、最も基本的な食料

必需品のためにだけ開かれるカルニ交差点の閉鎖で悪化した。イスラエ

ルの地上と空からの爆撃といっしょになり、イスラエルが昨年10月に

ガザを「敵対する存在」と公表したときよりもさらにいっそうパレスチ

ナ人の情況は悪化した、さらに国際舞台と向き合ってその国境封鎖政策

を正当化するのをイスラエルに許す。

人口が密集した地区で医薬品の欠乏とクリニックの閉鎖に直面するガザ

市民たちは、イスラエルの国境制限で死刑を言い渡されている。何百人

のなかのひとつの事例、53歳のヤーハ・アルジャマールはガンで十分

設備の整った病院で本格的な治療の必要がある。 2カ月以上のあいだ彼は

治療のためにイスラエルへ入るのを拒否されている。必要な治療が受け

られないのであれば、まもなく息子は死ぬことになると、苦悩する父は

報告した。イスラエル全体の結論は、病気が峠にあるヘルスケアという

ぜいたくに不同意だ。

すでに建設用で不足するセメントが、もはや最近の多くの死者の墓を作

るのにも手に入らないとは踏んだり蹴ったりだ。

在庫品の欠乏

世界食糧計画( WFP)のような救援機関は、食料の輸入量がガザ地区の

需要のわずか41%を満たすにすぎないと報告する。

冬が進行するとき、弾力性のある市民たちは生き残るために必死で探し

求める。ラファの土曜市場で、ウンム・ムハンマド・ズーラブはさらに

もう一度露天をあさりまわる。「子どもたちの冬の服を捜しているんです

が、国境の閉鎖でガザに生地が入ってこないせいで、まったく見つけら

れないでいます。」と43歳の母親は嘆いた。

それどころか、世界から隔離した、他に類のない欠乏で苦しめられる全

住民に、寒さが急激にやってきている。水不足でエアコンがファンタジ

ー(空想)の数ヶ月間の夏の酷暑から、いまガザっ子たちは極端な寒さ

の準備ができていない同じ家の中でつらい寒さを経験する。そしてもう

一度、彼らが気まぐれな監禁と、イスラエルの空と地上の攻撃に加え、

国際的な領域で圧倒的な内密状態に放置されているという、つらい実感

を味わうのだ。

「世界が危機的状況にいたるのは、危機を及ぼす者でなく、それを目の

あたりにしながら何もしないでいる人たちによってなのである。」

―― アルベルト・アインシュタイン

▲ http://www.newstatesman.com/200712100003 (この記事の原文はここ
にあります。)

◇前回の号に登場した「バンクシー」関連の記事は、ブログのほうで読
むことができます。

・2007年12月12日「ホリデイスナップ」

http://tequilamama.blogspot.com/2007_12_01_archive.html

・2008年2月1日「バンクシーたちのアートアタック」

http://tequilamama.blogspot.com/

どちらからもバンクシーの作品の一部がご覧になれます。

彼の作品は、パレスチナ自治領ヨルダン川西岸の分離壁のもロンドンの

ストリートものでも、刺激に満ちたものなので、ぜひ一度ご覧になって

ください。


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