調査報道ジャーナリスト、ジェレミー・スケイヒルは、民主党のバラク・

オバマ大統領候補はイラクで活動するブラックウォータ社のような民間

軍事会社を使うことを「排除する」ことはないだろうと報告する。また

オバマは、2009年1月までに米軍の戦闘地域でこうした組織を使う

ことを禁じる法律に署名することはないとしている。オバマもヒラリー・

クリントンも反戦を主張しているが、実は2人とも、何万人という米軍

をイラクに長期駐留させる選択肢の可能性を残す議会での民主党の立場

を承認している。

(デモクラシーナウ!2008年2月28日)

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当初、反イスラエル的だと伝えられていたバラク・オバマ氏が、昨年2

月17日付イスラエル主流紙ハーアレツでアメリカはイスラエルの自衛

権を支援しなければならないと発言していた。「イスラエルはなによりも

隣国と平穏に暮らしたいと望んでいるが、イスラエルにはまた現実に非

常に危険な敵がいる」とオバマは述べた。

またハーアレツ紙の米首席特派員 Shumel Rosnerは、「まもなくオバマ

氏は他の候補者同様、イスラエル擁護者になる」と自信を持って語って

いる。

2月27日付 AFP通信の記事によると、バラク・オバマは「反イスラエ

ル」、「反ユダヤ人」を信条とする黒人イスラム教団体「ネイションオブ

イスラム」の指導者、ルイス・ファラカンの支援申し出を「辞退」した。

代わりにイスラエルに対する「強固な支援」を強調。「私はユダヤ系社会

から強力な支援を得ている。私はイスラエルの強固な友人であり、彼ら

はアメリカにとって中東地域での大変重要な同盟国である。彼らの安全

保障は不可侵なものであるべきだと考える」と述べた。

 

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■アメリカの政治の外観を改めるチャンス■

フィナンシャルタイムズ 7 February 2008

by フィリップ・スティーヴンズ

時々、私たちはわかりきったことを見落とす。今週、他のだれもがそう

であったように、私はヒラリー・クリントンとバラク・オバマの戦いに

催眠術をかけられたように唖然とさせられている。スーパーチューズデ

ーの翌朝、ワシントンで目をさました私はオバマ氏が優勢になっている

のは確かだと思う。ランチタイムにはミセス・クリントンの回復力が彼

女を有利にしたのがはっきりとわかった。数時間後、ディナーの席で友

人らはどっちが勝つかコインを投げていた。それはオバマ氏を最前列に

復帰させる、ミセス・クリントンが資金不足だとの急報より前だった。

ありったけの興奮のなかで忘れられるのは、アメリカの政治的景観での

異例なシフトである。民主党の指名争いを別の眺望から見るといい。第

44代合衆国大統領になる可能性が最も高い政治家は女性かアフリカ系

アメリカ人となる。こうも言える、おそらくは女性またはアフリカ系ア

メリカ人が来年1月の大統領就任演説をするであろう。

結局、民主党候補として明らかになるのがミセス・クリントンであれオ

バマ氏であれ、予備選はアメリカがアメリカをどう見るかを変え、世界

がアメリカをどう見るかを変えてきている。二人のうちどちらがホワイ

トハウスに入ってもアメリカは別の国になるはずだ。すでにかなり、ま

ったく人の注意を引かないように思われ始めているというのが、別の国

になるとの見通しをより著しいものにさせている。

夏の党大会後、ひとたび最終選挙が始まれば、男女の性と人種が間違い

なく論議をかきたてるはずだ。予備選で女性、白人、ヒスパニックの間

でミセス・クリントンがオバマ氏より有利な立場にあるという事実、そ

してオバマ氏が男性と黒人の間でより支持を得ているという事実が、変

わりばえのしない忠誠や偏見がなくなっていないことを教えている。サ

ウスカロライナで黒人有権者のあいだで見せるオバマ氏の予備選の強さ

には黒人的な裏面があるかもしれないと公表したとき、よりによってビ

ル・クリントンが亡霊を呼び出した。

にもかかわらず、白人男性の最後のよりどころの壁は破られてきている。

選ばれた民主党候補者が何らかの政治的アクシデントによって11月の

選挙で共和党に対してへまをやったとしても、壁を立て直させる方法を

見つけるのは難しい。

共和党側の妥協という政治用語における変化もまた十分なものだった。

共和党指名候補の有力な本命として今週のジョン・マケインの出現は広

く予想された。それでもそれは政治的大変動にほかならない。

近年のにがにがしい党派心にうんざりさせられる国で、一匹狼のマケイ

ン氏は最も選出されるにふさわしい共和党ライバルだ。原則に基づいた

政治力学との彼の評判は、すべての大統領候補者に対し有権者があてが

う人格テストに合格する。彼のことをジョージ・W・ブッシュと仲良し

すぎるとは誰も責められない。

共和党の見通しに楽観的なアナリストはもっとすごいシフトを無視する。

ブッシュ氏をホワイトハウスに8年許した保守連合はもろくも消え失せ

ている。マケイン氏の成功はその分解を具体化してきている。マケイン

氏は戦争のヒーローでイラク戦争の熱心な支持者かもしれないが、彼の

イデオロギー的異端ぶりをどなりつけるラジオのトーク番組のホストた

ちよりずっと保守的な多くの人たちに彼の政治力学は不快感を与えた。

ミット・ロムニーやマイク・ハッカビーにまさる彼の予備選の勝利は、

穏健な共和党員と無党派層へのアピールがその原因だ。党大会での彼の

支持者が南部出身者であるわけがない。保守派の中核地域では、減税に

反対したことや選挙資金改正での役割、不法移民への恩赦を支持したせ

いで、マケインは許されていないのだ。

ちょっと脇道にそれて、ここで政治力学の新しい規定(ルール)をどう

しても提案したくなる。政党の支配権はそれが永久不変だと宣言された

瞬間から破滅が運命づけられる。私は英国のマーガレット・サッチャー

の保守党の結末をよく憶えている。彼女が失脚するまさに前夜、慣習的

な分別(決まり文句)は、彼女が保守党に権力の自由裁量を許している

だった。それが3度続いた総選挙で負けをこうむりだした。

わずか3年前、共和党はよく似た傲慢(うぬぼれ)にしっかりつかまれ

ていた。ブッシュ氏の政治的策士カール・ローブは破壊できないマジョ

リティの開拓者として聖者の列に加えられた。アメリカは文化的に保守

的国家というローブ氏の手練手管でだます理論が通用する。ブッシュ氏

の党はその支持母体(地盤)を動員すればよかった、他のグループのひ

とりかふたりの支持をひっかければ優勢は保証された。

その戦略はいまや荒廃している。その一時的受益者のブッシュ氏は自分

の党でパッとしない人(失脚者)として扱われている。大統領の支持率

は底をつくまでに低落している。アメリカの有権者の四分の三以上が政

治の方向転換を望んでいるという。この故に、マケイン氏の穏健な共和

党員と無党派(独立系)へのアピールはうまくいきそうだ。とはいえ、

それが次には彼の党の保守派の怒りを倍増する。マケイン氏は保守派の

インポテンツ(無能)の象徴になっている。ハンディキャップをものと

もせずに万が一彼が11月の大統領選で勝利するとしたら、共和党とい

う彼の政治基盤ではなく、彼自身の政治基盤によるものとなろう。

いまのイデオロギー闘争が共和党員の一世代を政権から離れた孤立に追

い込むと予測する人々がいる。マケイン氏批判の保守評論家たちがホワ

イトハウスで彼らの代表者になる彼を見るくらいならミセス・クリント

ンに投票すると言いふらすのを聞くとき、なぜかが理解できる。だが、

そんな政治的決定論はおそらく、いまはすっかり無視されているかつて

ローブ氏が戦略の天才と考えられたのと同じくらい愚かなものだろう。

民主党の選挙戦は、もちろん、上記で触れた民族性や男女の性を超えた

範囲におよぶ民主党ならではの分裂を目立たせている。違いは、そんな

分裂に共和党員の中にある内ゲバのイデオロギーの深いねたみがないこ

とだ。この先何ヶ月も第一線の交戦状態があるのは民主党の大義の助け

にはならないだろうが、民主党員が彼らの候補者を支えることで一致団

結するのに妨げとなる大きな中身はなにもない。

民主党には大統領選に勝利する以上のことを成し遂げる一世一代の好機

があるのをこのすべてが伝えている。共和党の混乱(だらしなさ)がア

メリカの政治力学の輪郭をデザインしなおすチャンスを民主党に提供す

る。だがまさにそうなるというものでもない。健康保険介護を処理する

計画はもちろん、想像力、向上心、全米の興奮ムードという急激な変化

を必要とする。そこにオバマ氏の強みがある。

( philip.stephens@ft.com)


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