■テロリストは実はピースメイカー(調停者)■ Real News

04 April 2008 by ぺぺ・エスコバル

イランは十分に停戦協定を仲介する能力がある

ひどい衝突の一週間後、バスラでの戦闘は鎮まってきている。ムクタダ・

サドル師は彼のマフディ軍戦闘員を街の通りから引き離しており、マリ

キはバスラのシーア派民兵の暴力行為を片付ける軍事作戦は成功したと

宣言した。だが、バスラの戦闘で勝者は誰か?私たちはこの疑問に答え

るのに Real News のアナリスト、ぺぺ・エスコバルに頼る。

ぺぺ・エスコバル、 The Real Newsのアナリスト:バスラの戦闘はイラ

クに定義を下す決定的瞬間だったとジョージ・W・ブッシュは言いまし

た。なるほど、それは定義を下しています、でも彼が意図した状態では

ないかもしれません。停戦がありました。誰が停戦を仲介したかおわか

りですか?彼の名前はカセム・スレイマニ准将。彼はイラン共和国防衛

隊の特殊部隊 Quds Forceの指揮官です。誰でも知ってるように、イラ

ン政府の防衛隊は昨年、米国によってテロリスト組織と認定されました。

つまり、このイランの宗教的中心地 Qomの男が、イラクから来たムクタ

ダ・サドル師の外交使節らとイラクのイスラム最高評議会のナンバー2、

ハーディ・アミリ師との間の停戦を仲介したのです。ハーディ・アミリ

師はバドル組織(イラク・イスラム最高評議会傘下の民兵組織バドル軍)

の司令官です。彼はバグダッド政府の一部です。つまり、ムクタダの人

間がバグダッドからやってきた。ハキム師の人間、バドル組織、イスラ

ム最高評議会がバグダッドからやってきた。彼らはイランの Qomに行く。

そして特殊部隊 Quds Forceの指揮官が停戦を仲介し、バスラの戦闘は

終わります。ということで、勝者は誰で、敗者は誰なのか?おわかりで

すね。勝ったのはイランとムクタダ・サドル師、負けたのはバグダッド

のマリキ政府とジョージ・W・<決定的瞬間>ブッシュです。これはサ

ドル師がイランの言いなりになるということではありません。イラクの

最も重要な2つの宗派、サドル主義者とハキム師のイスラム最高評議会

を、イランによってとりまとめられた停戦を仲介させるため、イランに

近づかせる十分な能力がイランにはあるということです。これは、テロ

リストが必ずしもテロリストではないということ、テロリストたちが実

は調停者であることを意味します。

▲ブラジル、サンパウロを拠点に活動するぺぺ・エスコバルは、アジア

タイムズ・オンラインで「 Roving Eye(きょろきょろ色目をつかう)」

を書く。彼はイラク、イラン、中央アジア、米国、中国から報道してき

ている。彼は最近出版された本「 Red Zone Blues」の著者である。

ぺぺは Real News Networkでは正規のアナリストだ。

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■イラク和平条約を仲介したのは

   米国のテロリスト監視事項リストに載るイラン人■

McCLATCHY 紙 31 March 2008

一週間近く続いたイラク南部でのイラク政府軍とシーア派民兵との戦闘

終焉の仲介を助けたイランの将軍は、本当とは思えない調停者だ。

主にシーア派のイラク南部での戦闘を止めるため、米国が支援するイラ

ク指導者らが急進的な聖職者ムクタダ・サドル師と協定するのを助けた

カセム・スレイマニ准将は、真偽の疑わしいテロや核とミサイル技術の

拡散の関与で、米財務省と国連安保理の監視事項一覧表に挙げられる。

「イラン人たちは多くのことにのめり込んでおり、たいへん影響力があ

る」と今はワシントンの国防大学にいる元 CIA分析官ジュディス・ヤフ

ェは言った。

http://www.mcclatchydc.com/227/story/32141.html

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■ばつの悪い思いをする米国がバスラ作戦との関係を否認しはじめる■

IPS 31 March 2008 by Gareth Porter

バスラでの「騎士急襲作戦」が困った事態になってることが先週明白に

なったとき、ジョージ・W・ブッシュ政権はマリキ首相がワシントンに

相談なしに作戦を始めたとオフレコの声明でジャーナリストらに主張し

はじめた。

最高司令官のデイヴィッド・ペトレイエス将軍とライアン・クロッカー

大使が今にも議会の前で証言しようというとき、作戦についての責任を

放棄しようとの骨折りは、この作戦が重大なきまり悪さと検分されるし

るしである。

このすさまじい発言の逆転の裏には、サドル師とマフディ軍に関する重

大なブッシュ政権の誤算がある。もはや統合した軍事作戦の力はないと

ブッシュ政権は考えた。サドル師が軍事的選択をあきらめたとかマフデ

ィ軍を制しきれなくなったからではなく、彼らが依然として再訓練と再

編成の課程にあったために、サドル師とマフディ軍が押しとどまったの

がいまはっきりと理解できる。

ブッシュ政権がバスラの作戦から距離を置くプロセスは、匿名で話をす

る政権当局者らがマリキは「米国の同盟軍に相談することなしに攻撃を

行うことにした」と述べたのをワシントンポスト紙が報じた3月27日

に始まった。ある当局者は、どういうことなのか、「判読を止めることは

われわれにはできない」と言い、あのときなぜマリキが実行したかで「き

わめてひどい陰謀論を誰が持っているか」の問題だったと付け加える。

3月30日ニューヨークタイムズ紙は、「マリキがそんな大胆な一撃を意

図したと信じるように思われるオブザーバーはイラクにはほとんどいな

い」、そして「名うての用心深い政治家が重大な急襲でへまを犯したと多

くの人が言っている」とバグダッドから報じた。

通常は大使や軍司令官上層部に対して使われる言葉、「バグダッドの西側

当局上層部」が「マリキは見込み違いをした」と言い、「マリキのつまず

きは、まさにこの大軍事作戦を開始するつもりだったのではなく、力の

誇示だったとあらゆる筋から聞いている」と付け加えたとして、タイム

ズ紙はこれを引用した。

バスラで見込み違いをしたのはマリキだったとの、これらの入れ知恵は

明らかにウソである。重要なイラクの軍事行動が米国の司令によって着

手される軍事支援職務の範囲外で計画されることはあり得ない。ちょう

ど作戦がバスラで始まっていた3月25日、米軍スポークスマンのビル・

バックナー大佐は、「連合軍は作戦に情報と監視と支援航空機を提供して

きている」と言った。

さらに、ぴったり埋め込まれる米軍移行チーム( MTTs)の任務が、ど

んなイラク軍事行動も彼らの全面的関与なしに計画されるのを不可能に

させる。

作戦にかかわったイラク治安部隊の米国顧問は3月25日電話で、作戦

には一週間から10日かかると思うとワシントンポスト紙の記者に語っ

た。

騎士急襲作戦はまた、事実上の米国・イラク合同戦闘作戦を必要とした。

米軍スポークスマンのケヴィン・バーグナー少将は3月26日、作戦に

かかわったどんな「在来型」アメリカ部隊もいなかったと否定した。3

月30日、米軍司令官はバスラでのイラクと米国特殊部隊による合同の

急襲が「民兵と推測される22人を殺害」したことだけを認めた。

まだペトレイエス将軍とクロッカー大使の議会証言が終わらないのに、

よく地歩を固めたシーア派民兵に対するリスキーな計画をバスラでマリ

キが行うのをブッシュ政権が選択するということに疑いを表明している

オブザーバーたちがいる。だがこれは、バスラのマフディ軍を排除する

か猛烈に弱めようとする大規模な骨折りにありうる危険を、むろんディ

ック・チェイニー副大統領とペンタゴンは明確に理解していたと決め込

んでのことだ。

現に3月25日、バスラのマフディ軍が治安部隊を攻撃して街にとって

重大な戦闘を起こしたとき、ブッシュ政権とイラク軍が不意を襲われた

のは明白だった。

先週、サドルシティのマフディ軍司令官が「いま我々はもっとよくまと

め上げられ、もっとよい兵器があり、司令が一点に集まって、武器と資

金の支援にアクセスしやすくなった」と言ったのが、カナディアンプレ

スによって引用された。

マフディ軍のバスラの部隊が、2004年以降それに対する攻撃が開始

されて最大の作戦の途中でやめられることが、占領に対するシーア派軍

隊の抵抗がほんの始まりにすぎないことをほのめかす。ペトレイエス将

軍の証言直前に必ずこれを行うのを忘れないことで、サドルはブッシュ

のイラクでの軍の成功物語に大チャレンジをする態度をとっている。

▲ Gareth Porterは歴史家で国家安全保障政策のアナリスト。ペーパー

バック版の彼の最新の著書「 Perils of Dominance: Imbalance of Power

and the Road to War in Vietnam」は2006年に出版された。

http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=41804

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イラクのマリキ首相は4日、民兵組織などへの掃討作戦を全土で停止す

るとの声明を出した。イスラム教シーア派民兵組織マフディ軍を率いる

サドル師が3日、大規模デモを呼びかけており、声明はマフディ軍との

再衝突を避ける狙いがあるとみられる。

AP通信などによると、サドル師は旧フセイン政権崩壊5周年にあたる9

日に中部のシーア派聖地ナジャフで大規模デモを予定。「占領に抗議する

ため」に参加するよう呼びかけており、治安部隊との再衝突の懸念が出

ている。

先月末に南部バスラや首都バグダッドなど全土で400人以上の死者を

出した治安部隊とマフディ軍との戦闘は、イランの仲介でイラクのシー

ア派与党議員とサドル師側が「停戦」にこぎつけた。しかし、マフディ

軍は停戦後も首相が求める武装解除に応じていない。首相の指導力不足

と、イランの影響力があらわになっている。

(朝日新聞2008年4月5日)

 

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イラク南部バスラなどで続いていたイラク治安部隊とイスラム教シーア

派強硬指導者ムクタダ・サドル師の民兵組織「マフディ軍」との戦闘は

2日、先月30日のサドル師の戦闘停止呼びかけをうけ、一応、沈静化

した。

隣国のシーア派大国イランが、マリキ政権とサドル師双方に働きかけ、

シーア派同士の抗争に歯止めをかけたとみられており、イランが現在の

イラクに対して持つ影響力の大きさが改めて浮き彫りとなった。

アラブ圏有力紙アッシャルクルアウサトなどによると、マリキ首相と

同じダアワ党(シーア派)のアリ・アディーブ議員や、マリキ政権を支

えるシーア派最大政党「イラク・イスラム最高評議会」( SIIC)傘下の民

兵組織バドル軍のハーディ・アミリ司令官らが3月30日、イランを訪

問。イランの仲介で、同国中部コムに滞在するサドル師と会談し、停戦

に合意したという。イラク政府のダバグ報道官は「交渉に政府は関与し

ていない」と述べたが、交渉自体は認めた形だ。

サドル師の戦闘停止声明を受け、マリキ首相も4月1日、マフディ軍掃

討作戦を終了させると発表した。現地からの情報では、バスラでは1日、

中心部からマフディ軍が撤退、治安部隊が展開した。

ただ、サドル師派バグダッド事務所のハッサン・ルバイエ幹部は本紙に

対し、「マリキ政権が、我々を再び攻撃する可能性がある以上、武装解除

に応じるつもりはない」と強調しており、戦闘再開の火種は残ったまま

だ。結局、マリキ首相が今回の作戦で目標に掲げたバスラからの「民兵

の一掃」は達成されず、政権のさらなる求心力低下は必至だ。

(読売新聞2008年4月2日)


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