1980年当時レーガン支持の民主党員「レーガン・デモクラッツ」の
ひとりだったミュージシャンのデイヴィッド・バーンと元ハーバード大
の精神科学者で未来学者、60年代に始まるサイケデリック革命の中心
的人物、「意識の向上、意識の自由化」の罪で囚人となったこともある
ティモシー・リアリ博士の、サイバーパンク誌 Mondo 2000 の仲介で
実現した対談にこんな箇所がある。
(TL:ティモシー・リアリ、DB:デイヴィッド・バーン)

TL:Joseph Kasuitt がまとめた本のなかで君は「人種差別から徐々に
浮かび上がる」と言っているが、これについてコメントは?

DB:僕は 「人種差別者ではない、リベラルな人間で自由思想の持ち主
だ」と明言した後で、僕のなかに「過去を見てない」、「自分では気づ
いてない」というリアクションがあるのを認めることにしたんだ。僕は
必ずしも親のせいばかりとは言えない、たぶん社会やシステム、TVな
んかによって仕組まれた人種差別で躾られた。そしてそれを追い払うに
は大変な努力が必要だ。みんなが平等で幸せ、なんてとても言えない。
条件づけはとても威力があって、ずっとそれで進むしかない。

TL:それは目に見えない。人種差別は私たちが泳ぐ水だね。

TL:君のコメントが国(レーガン政権当時)の政策がすっかり人種差
別者の時代に出てきたのは興味深いね。いま共和党は全力を挙げて白人
中産階級党だ。ウイリー・ホートンの広告やトーマス(セクハラ疑惑を
かわしレーガンによって最高裁判事に任命された)の指名などはすべて
アパルトヘイトにまっしぐらだ。連中がそれを否定するのはもはや至難
の業だね。みずから人種差別を高らかに布告してるんだからね。これに
ついてはどう説明する?アメリカはどうしてこんなことになってしまっ
たのか?

DB:それにはレーガンが深く係わってると思う。

▲全文はこちらから。http://www.fair-port.com/tama/dropout1.html

▼人殺し、臆病者、詐欺師、いい厄介払い、ペテン師...
ますます善人だけが若死にする証拠▼ 英オブザーヴァー紙
by グレッグ・パラスト 06 June 2004
http://www.gregpalast.com/detail.cfm?artid=336&row=0

こういうのは気に入らないだろな。死んだ人間のことを悪くいうべきじ
ゃない。だがこの場合は、誰かがやらなければならない。
ロナルド・レーガンは詐欺師だった。レーガンは臆病者だった。レーガ
ンは人殺しだった。
1987年、私はニカラグアのチャグイティロという小さなまるでだめ
な町で行き詰まっていた。ひとりの不機嫌な若い男を除き、人々は空腹
とはいえ、まずまず親切だ。若い男の妻は結核で死んだばかりだった。
抗生物質が手に入りさえすれば、人は結核では死なない。だが、広い心
を持った男、ロナルド・レーガンは、そこの国民が選んだ政府が気に入
らなかったので、ニカラグアへの医薬品を厳重に監禁して没収してしま
った。
若い女性の肺が詰まって呼吸が止まったのに、ロニーは歯を見せて笑い
冗談を話した。彼らが三人の子供の母親を埋葬するのに、レーガンは例
のB級映画のニヤニヤ笑いを見せびらかした。
そしてレバノンでヒズボラのテロリストが、睡眠中の何百人ものアメリ
カ海兵隊員を襲って殺害したとき、TVの勇者はむち打たれた犬のよう
に逃げ出すと、くるりと向きを変えてグレナダに侵攻した。あのちっぽ
けな地中海クラブ戦争は、空港を建設するキューバ人を撃ち殺すのにち
なんでロニーがパレードを行えるように、流血を伴うPR用のスタント
だった。
私はナンシー、デザイナードレスを着ていばり歩くドクロを忘れずにい
る。帽子から百万ドルの邸宅まで、贈り物には政府の不正利益でたっぷ
り埋め合わせをした旧友たちからレーガン家に殺到したものがある。そ
れは賄賂と呼ばれるものだ。
そしてこのご老人、ニヤニヤ笑ったおじいちゃんは、自分の孫には会お
うとさえしないのに、その間ずっと「家族の重要性」についてべちゃく
ちゃたわごとを言った。
ニューヨークタイムズは今日(6日)その陳腐な死亡記事に、レーガン
は「アメリカの小さな町の信条」と「古きよき時代の真価」を生き生き
と伝えたと書いた。「真価」、ばかな。それは組合つぶしであり、貧乏
人や誰であれデザイナードレスを買えなかった人に対して戦争を宣言す
ることだった。それは「新しい卑しさ」だった、そして百万長者がもっ
と金儲けをするためにアメリカに窮乏を呼び戻した。
「小さな町」の真価だと?太平洋を見下ろす断崖の映画スター出身のマ
リブの大御所がかい?誤りをしつこく指摘したいものだ。
そしてその間ずっとホワイトハウスの地下で彼の脳が沸騰し続けたとき
最後の正気のある行いが私たちが選んだ議会に対するクーデターの容認
だった。レーガンの国防長官、オバケのキャスパー・ワインバーガーは
熱狂したオリバー・ノース大佐といっしょに中東の怪物、アヤトラ・ホ
メイニ氏に武器を与えることをたくらんだ。
カーターはアヤトラ政権に一歩も引かなかったのに、レーガンの取り巻
き連中はジミー・カーターを幼稚で女々しい男と呼んだ。映画のイメー
ジ、カメラの前のタフガイ・ペテン師に対し、レーガンは怖気づいたゴ
キブリみたいにホメイニ氏に頼むことになる、そして人質解放を膝を折
って嘆願した。
オリバー・ノースは狂信的な宗教指導者の誕生日を祝うカギの形をした
ケーキを持ってイランに飛んだ。冗談ではなくね。ロニーのハートの扉
を開ける鍵だ。
そうしてレーガン・ゴキブリ政権は彼らの臆病さと犯罪を結びつけた。
専制政府に反抗して武器を取る、自由の戦士の態度を取るニカラグアの
麻薬密売人、「コントラ」に流す武器を買うために人質を獲られた相手
から金を受け取ったのだ。
バークレーの学生として私は拡声器から耳障りに言い立てる、「カリフ
ォルニア州知事、ロナルド・レーガンはこれによってこのデモの解散を
命じる」という言葉を忘れずにいる。それから、催涙ガスと警棒の出番
だ。そしてその間ずっと、ペテン師からは牙が隠れて見えないニヤニヤ
笑いだ。
チャグイティロでは一晩中、レーガンのコントラ・テロリストの攻撃か
ら子供を守るために農民たちは眠らずにいた。 その農民たちはサンディ
ニスタではなかった。脳がいかれたわが大統領が私たちに「共産党のシ
ンパ」だと断言した人々はテキサスからクルマでたった48時間のとこ
ろにいた。とにかく、テキサス相手に一体何の用があるというのか?
それでもなお、農民とその家族は、レーガンの標的だった。
さびれたチャグイティロの暗闇でTVがわめき立てた。 奇妙にもそれは
三流のギャング映画「悪党兄弟」だった。主演はロナルド・レーガン。
では、友よ、今夜は安心して眠ることができる。悪党は死んだ。

Q.「大統領、あなたはニカラグアの現政権を不安定にする秘密工作を是
認しているのですか?」
A.「いや、私たちは彼らを支援している、あー待ってくれ待ってくれ、
すまない、君がニカラグアと言ったとき早とちりしてエルサルヴァドル
のことかと思ってしまった。ではもう一度、これは国家の先取特権に関
することで、コメントするつもりはないとだけ言っておく」
「Heroes 」でジョン・ピルガーが引用した、1983年2月13日の
ワシントンの記者会見での元合衆国大統領ロナルド・レーガンである。

▼グッバーイ、せいせいした▼ by フィル・ガスパー06 June 2004

93歳でついにレーガンが死んだ。もしこれがアメリカの支配階級の利
益になるなら、喜んで労働者の賃金を大幅削減し、家族が路上に投げ出
されるのを見て満足し、喜んでサディスティックな死の部隊を支援して
他国に爆弾を落とす男だった。この打算的で不道徳な男に対し、二大政
党の政治家が大げさに賛辞を発しているのは予想できることである。
同時に、最近の歴史が指針であるなら、主流メディアは一個の男性そし
て大統領、レーガンの正確な記述をうまく避けようとするだろう。昨年
すばらしい臆病なふるまいでCBSはロン&ナンシーのThe Reagans
についての大いに宣伝したドキュドラマをキャンセルした、そして共和
党全国委員会、右翼のラジオ司会者、FOXニュース、保守的なサイトに
よるキャンペーンに屈服する。映画は代わりとして、見る人がはるかに
少ないケーブルネットワーク、ショータイムで放映された。
保守派は映画がレーガンを同性愛嫌悪、ナンシーを威張り散らす妻、そ
して子供たちを虐待する一方、裏で糸を引く母親として描くせいで攻撃
した。リベラルのイコン、バーブラ・ストレイザンドの夫、ジェームス
・ブロリンがレーガン役を演じたことに彼らがもっと激怒したのは明ら
かだった。
The Reagans は確かに三流TV のろくでもない記念碑的例だったのに、
保守派によって引用された本当の間違いの例は示さなかった。苦情のひ
とつはレーガンがゲイセックスとの関連のためにエイズ危機を無視する
のを映画が明らかにしたことだった、そして彼は妻に「不義の生活をす
る彼らは無駄死にする」と漏らす。
だが、実生活でレーガンは6年のあいだ公の場でエイズに言及すること
を拒んだ。病気に対処する連邦プログラムに不十分にしか財源を与えな
かったし、公認された彼の伝記によると、「不義のセックスはモーゼの
十戒に反する」ので、「たぶん神がこの伝染病をもたらしたのだろう」
と言った。
映画で、ナンシーは5歳の娘パティをひっぱたく。実生活でパティは、
「8歳のとき母がわたしをぶったのを憶えている。成長するにつれエス
カレートし、毎週になり、時には毎日のできごとになった」と書いた。
映画でナンシーは「ケチャップは野菜よ!肉ではないでしょ?なら野菜
なの」と譲らない。実生活で、レーガンは連邦の学校給食プログラムか
ら1.5億ドル削減する企てで、1981年9月にケチャップを野菜と
して分類するよう農務省に指図した。
保守派はまた、それが含まれていないと映画を批判した。「戦後史にお
いて最長で最強の景気回復があったのを映画は示したのか?」レーガン
のホワイトハウス報道担当官マーリン・フィツウォーターが口にした。
だが、レーガンの経済政策は、労働者階級のアメリカ人には大災害だっ
た。1930年代以降、最悪の景気後退をレーガンは主宰した、そして
80年代の経済成長は70年代より低く、ケインズ理論の軍事刺激策に
もかかわらず、大規模な連邦予算赤字を作り出し、連邦債務を3倍に増
やした。80年代の終わりには、実質賃金は下がり、貧困率は20%に
まで増え続けていた。
映画The Reagans での実際の問題は、それがレーガン大統領に対し、
批判的過ぎるというのではなく、主として批判的でないことだった。ニ
ューヨークタイムズによると、映画は「レーガンを例外的にずばぬけた
才能のある政治家として鮮やかに描写して、よくしきりに促す助言者に
逆らって、信念を貫いた行いの正しい人として描写する」
レーガンには多くの実体があったが、「ずばぬけた才能のある」はその
ひとつではなかった。最も緊密な国際的盟友、英国の首相マーガレット
・サッチャーは、「可哀想な人、彼の耳と耳のあいだにはなにもない」
と述べた。「行いの正しい人」はどうかといえば、レーガンの道徳体系
には1981年のストをする航空管制官の解雇で始まる組合潰し、貧困
層に対する前例のない戦争、公民権への敵対と南アフリカのアパルトヘ
イト政策への支援が含まれた。「行いの正しい」レーガンはテロリスト
を訓練して支援した。それには3万人以上を殺害したニカラグアのコン
トラ(「合衆国憲法制定者たちに匹敵する行いの正しい人たち」)、後
にアルカイダ・ネットワークを形成したアフガニスタンのイスラム過激
派が含まれる。
レーガンはウソつきでもあった。1986年11月、彼の政権が違法に
イランに武器を売却して、その収入をコントラに資金供給するのに使っ
ていたのを公然と否定した。一週間後、彼はこの声明を撤回せざるをえ
なくなったが、武器売却がアメリカの人質解放のための取引の一部であ
ったのを否定した。翌年、レーガンは武器人質交換取引があったのを認
めたが、これについてなんでも知っていたのを否定した。
1992年、「5人の人質を解放するためにイスラエルによってイラン
に合衆国のミサイル4千基を売却するというイスラエル・イラン提議と
同調することを大統領が決めた」のを暴く、1986年1月の会合での
覚書を元国防長官キャスパー・ワインバーガーが仕方なく公開したとき
それがウソであることも判明した。
富裕層に代わってその政権が階級闘争の先頭に立ち、アメリカの政治を
右に引っ張り、ヴェトナム総崩れ後にアメリカ帝国主義を再建した男が
死んだ。せいせいしたよ。

▲フィル・ガスパーはカリフォルニアのノートルダム・デ・ナミュール
大学の哲学教授。彼は全米作家組合のメンバーで、Socialist Worker
誌とInternational Socialist Review 誌のなじみの寄稿家である。