4月16日水曜日、パレスチナのガザ地区でまた18人のパレスチナ人

がイスラエル軍によって殺された。日本の報道では、決まって「戦闘に

よって」とか、「衝突の最中に」死亡したことになるのだが、パレスチナ

保健相によれば、子ども2人を含む8人の検死結果が銃撃戦が行われて

いたのでないことを明らかにする。

パレスチナ・ナビによると、今回の殺戮は以下のようになる。

・侵攻してきたイスラエル軍を待ち伏せして、武装勢力がイスラエル兵士

3人を殺害。

・報復としてブレイジュ難民キャンプ東部に砲撃と空爆が行われる。

・12歳〜15歳の子ども5人を含む18人(現在では 22人)のパレ

スチナ人が殺された。そのほとんどが一般市民。

・殺害された人たちのなかに取材中だったロイターのカメラマンが含まれ

ていた。カメラマンといっしょに、通行人2人も戦車からの砲撃を受け

て殺された。

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■ガザのイスラエル軍がジャーナリストを故意に殺す■

PCHR(パレスチナ人権センター)17 April 2008

By Nidal al-Mughrabi

水曜夜、パレスチナ人権センター( PCHR)はイスラエル占領軍(IOF)

が人殺しを犯したと強く非難する。その日、パレスチナ人ジャーナリス

トのファデル・シャナがガザで取材を行っているとき殺された。イスラ

エル占領軍によって犯されるジャーナリストやマスコミ媒体のプロに対

する犯罪が続くことにパレスチナ人権センターは最大限の懸念を表す。

それは一般市民に対する度を超えた力の行使の反映であり、彼らを妨げ

て一般市民に対して犯される犯罪を取材させないために組織的にわざと

ジャーナリストを標的にする。

パレスチナ人権センターが手に入れた情報と、2008年4月16日水

曜夕刻5時ごろのその攻撃で負傷したロイター通信の音響効果係ワフ

ァ・アブ・メジッドの証言によると、どちらもロイター通信の仕事をす

る23歳のカメラマン、ファデル・シャナと25歳の録音技師ワファ・

アブ・メジッドは、ガザ市の南東 Juhor al-Dik村のal-Ihasnモスクのそば

にいて、その地域でイスラエル占領軍が犯した犯罪を詳細に記録する。

二人が取材を終えたとき、シャナとアブ・メジッドは村を離れるため記

者とわかる標識「 TV」と「Press」が貼ってあるSUVで幹線道路に向か

って走った。アブ・メジッドは次のようにはっきり述べた。

「ボクらが幹線道路に向かって走っていたとき、イスラエル軍の車両は

ボクらから700メートルくらい離れていた。ボクらはクルマを止めて

外に出た、シャナは軍の車両を撮影し始めた。ボクらは防弾服を着てい

てカメラを持っていた。ボクが幾人かの子どもたちを追い払っていたと

き、車両の近くに立っていたシャナの至近に砲弾が着弾したのに驚いた。

ボクは地面に倒れている彼を見た、そしてボクは爆弾の破片で左手を負

傷した。もう一発の爆弾がクルマの後部に命中してボクは爆弾の破片で

骨盤と右足を負傷した。ボクたちを救ってくれとボクは泣いて救急車に

向かって走った。」

ただちに、救急車がシャナとアブ・メジッドを Deir al-Balahのアルアク

サ殉教者旅団に避難させた。医師の情報筋によると、シャナは病院に運

ばれたとき死んでいた。

「激しい暴力の一日について、シャナはロイターのためにガザで起こっ

たことを取材していた」とロイターはそのウェブサイトではっきり申し

立てた。「爆発が彼を殺し、2人の若者に気づかぬふりをしたとき、彼は

数百メートル離れたイスラエルの戦車が塹壕を掘るのを撮影するためク

ルマから降りた。シャナのカメラで撮られたヴィデオが、その戦車が射

撃を開始するのを明らかにした。撮影から2秒後にその疾風でほこりが

立ち、テープはからっぽになるーーどうもその瞬間にシャナは殺された

ようだ」とロイターの声明は付け加える。

パレスチナ人権センターはこのイスラエル占領軍によるいわば故意にジ

ャーナリストたちを標的にする最新の犯罪を強く非難する。2000年

9月末の現行のインティファーダ開始以降、イスラエル占領軍はイタリ

ア人と英国人ジャーナリストを含める9人のジャーナリストを殺してき

ている、そして他に少なくとも170人が負傷してきている。

パレスチナ人権センターは、国際社会と戦時における一般市民の保護で

1949年ジュネーブ条約関連事項の重要な条例締結当事者らに、あら

ゆる情況において国際条約に対する敬意を確実にするため彼らの義務を

果たすこと、そしてイスラエル占領軍によって犯される条約の危機をは

らんだ違反を止めるのにただちに介入すること、この要求を繰り返す。

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■ガザ、ロイター通信■

空中で破裂するイスラエル戦車の砲弾からの金属ダーツ(矢)がロイタ

ーのカメラマンの死因であることが木曜、医師の検死で明らかになる。

ガザのシーファ病院でファデル・シャナの死体を検査した医師によって

並べられたレントゲン写真が、フレシェット(第一次大戦で空中より投

下されたスチール製の矢弾)として知られる、論議のある兵器が幾つか

23歳のパレスチナ人の胸と脚に埋め込まれるのを明らかにした。

蛍光性の「 Press(報道関係者)」文字の紋章で飾られるシャナの防弾ジ

ャケットと、「 TV」と「Press」マークがついてる彼のクルマ、非装甲の

SUVにも3センチの長さのダーツ数個が見つかった。

「ファデルは祈りの言葉を言ってるように思えました。それが彼の最後

の言葉でした」とロイターの音響効果係、ワファ・アブ・メジッドは言

った。彼はダーツ弾のひとつで手首に負傷し、初期のショックが徐々に

消え去った後、わずか一日後にはその事件を思い出していた。

2月のアルジャジーラ TVのインタヴューで、「どんな状況下でも、ボク

がジャーナリストとして働くのを止めることは不可能です。死ぬことに

なろうと、両脚を失うことになろうと。」と言って、シャナはジャーナリ

ズムへの彼の専念について語った。

一日でまた新たに16人のパレスチナ人と3人のイスラエル兵が殺され

た激しい暴力の日についてロイターのためにハマスが支配するガザ地区

におけるできごとをシャナは取材していた。

「イスラエル戦車がおそらく、ロイターのクルーの方向に小さな金属ダ

ーツがぎっしり詰まったミサイル2基を発射したと私たちは考える、そ

して最初の一発がファデルと他の2人を殺し、2発目が私たちのクルマ

を破壊した」と、記者会見でロイターの支局長アラステア・マクドナル

ドは述べた。

イスラエル軍は「あのとき、あの場所で戦車が発射したとは確認できな

いと私たちに言ってきた」とマクドナルドは述べた。

「だが、彼らはわびた。彼らはジャーナリストを標的になどしないと言

っており、ジャーナリストの安全を改善するために事件の調査で私たち

と協力できることを期待すると言っている」と彼は付け加えた。

・調査

ロイター通信の編集主任デイヴィッド・シュレジンジャーは、検死結果

の証拠が「イスラエル治安部隊とイスラエル政府による迅速で誠実、偏

らない調査の重要性を強調する」と述べた。

「ファデル・シャナの車両にある目印が、彼が職務を果たすプロのジャ

ーナリストであったのをあいまいでなしに明白に示した。なぜこの悲劇

が実行されたのか、そして将来どうしたら同様の事件を避けられるかを

理解するために、私たちと軍は緊急にいっしょに努力して進まなくては

ならない」とシュレジンジャーは付け加えた。

イスラエルのフレシェット弾がシャナを殺したとの情報について尋ねら

れイスラエル軍のスポークスマンは言った。「たいてい、イスラエル治安

部隊は彼らが使用する兵器についてコメントはしません。ですが、その

兵器は国際法の下で合法です。」

「フレシェットは国際法の下で合法であり、イスラエル最高裁における

それの使用に反対する請願の戦いは拒否されました」と彼女は付け加え、

2003年の判例に言及する。

シャナのカメラからのヴィデオが戦車が射撃を開始するのを明らかにし

た。テープをコマごとに調べてみると、砲弾が空中で破裂して黒い形状

のものがそこから勢いよく飛び出るのを明らかにする。

シャナの最後の瞬間を説明するアブ・メジッドは、後ろで爆発の音を聞

いたとき彼はカメラマンのじゃまをしていた子どもの一団を立ち退かし

ていたと言った。

振り返った彼は、血の海に横たわるシャナと2人の若者を見た、彼らも

また死んだ。

木曜日、シャナの葬儀の行列で地元のジャーナリストを含める数百人が

練り歩いた。彼の遺体はパレスチナの国旗で飾られ、砕かれたカメラと

防弾ジャケットが別々の担架車の上に載せられて運ばれた。

会葬者たちは敵対する派閥ハマスとファタハの旗や他の運動の旗を持っ

ていた。それはシャナとロイター通信がガザ地区の取材で示した偏らな

いこと・公平さへの敬意のしるしであると地元の活動家たちは言った。

シャナの死体を調べた医師のひとり、ユネス・ラマダン・アワダラーは、

シャナが発射体から多様な裂傷を負っていたと言った。あるものは首や

肩を貫通して胸に入ったのは明らかで、脊髄を断絶している。

「この悲劇的事件はニュースを報道するため毎日ジャーナリストが冒す

危険を明らかにする。すべての政府と組織には精力的に仕事をしようと

するプロを保護するために最大限取りはからう責任がある」とシュレジ

ンジャーは言った。

イスラエル軍当局者は言った。「カメラマンが傷つけられたエリアでは毎

日のように過激で危険なテロリスト組織との戦闘が進行中のエリアであ

ることが強調されるべきだ。」

「戦争地域でのメディア、写真家、他の単純な個人の存在はきわめて危

険で生命への脅威を提出する。」

未婚のシャナは穏和で礼儀正しく、ガザ地区の屈強の15人のロイター

通信チームの中で人気があった。昨年のガザでの党派争いの報道でその

局は英国のロイヤルテレヴィジョンソサイエティから名誉を与えられた。

パレスチナ自治区では非常に多くの折に触れてジャーナリストが犠牲に

なってきている。メディア監視役たちは、2000年以降、西岸とガザ

地区で9人が殺されてきていると見積もる。

10月、ガザでイスラエル兵士がロイターの写真家の脚を撃った。20

03年、飛び地でイスラエル戦車の砲弾によってロイターのジャーナリ

ストたちが負傷した。

2003年にはまた、ロイターのために働く最も高名なパレスチナ人ジ

ャーナリストのひとり、 TVカメラマンのマゼン・ダナが、バグダッドで

米軍兵士によって射殺された。その戦闘で他に6人のロイターのジャー

ナリストが殺されてきている。

(追加取材はエルサレムのジェフリー・ヘラーとガザのニダル・アル・

ムガラビによるもの。 Writing by Jeffrey Heller; Editing by Samia Nakhoul )

▲シャナの死因とされるフレシェット弾とは、砲弾の中に2.5〜5セ

ンチくらいのスチール製のクギ(形状はダーツ)が約5000本仕込ま

れており、砲弾が空中で炸裂する際に勢いよく飛び散り、無差別に人体

を切り裂く、対人殺傷兵器のこと。

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