■世界最強の通貨、シェケルのデビュー■イスラエル紙 HAARETZ.com

02 June 2008 by Nathan Sheva

2008年の初めのころから、たぶん世界最強の通貨となっているイス

ラエルのシェケルと競争するのはパワフルなユーロでさえ厄介になって

きている。

2008年の初めからシェケルはほぼすべての世界の主要通貨に対し油

断のならない価値を増してきている。対スウェーデン・クローネ8%、

南アのランドに対し24%と同様に、シェケルはドルに対して15%、

英国のポンドとカナダ・ドルに対してそれよりわずかに強くなっている。

堅実なユーロでさえシェケルと競争するのは厄介になっており、ユーロ

は4月初めには NIS 5.74から5年で最低のレートNIS 5.00まで下落して

きている。今年の初め以来、シェケルはユーロに対し9%も強くなって

いる。

一週間前、欧州中央銀行総裁ジャン・クロード・トリシェは、欧州通貨

は中期的に物価の安定を提供するだろうと言って、ウォールストリート

ジャーナル紙にユーロを自慢した。

オーストラリアやカナダといった天然資源とレアメタルが豊富な国々の

通貨と比べても、シェケルはうまくやっている。

ドルとユーロに対し、シェケルはあと数ヶ月は強いままだろう、少なく

とも11月の選挙までは、というのがひとつの意見だ。

現実問題はどちらの選挙かということだ、アメリカの選挙なのか、それ

ともここイスラエルの選挙なのか?

(1シェケル=約32円)

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■そして勝者は、イスラエル・ロビー■ Asia Times 02 June 2008

By Pepe Escobar

彼らは全員ここにいる。そして彼らは全員パーティの準備ができている。

3人の合衆国大統領候補者、ジョン・マケイン、ヒラリー・クリントン

とバラク・オバマ。下院議長ナンシー・ペロシ。ほとんどの米国の上院

議員と国会議員の半数も同然。ディック・チェイニー副大統領の妻、リ

ン。コンドリーザ・ライス。戦いの最中にあるイスラエルのオルメルト

首相。そして関係者7000人の中のホスト役、ユダヤ人と非ユダヤ人

の政治的でアカデミックな重鎮たち。

そんなワット級の権力者スターが顔をそろえるワシントン版アカデミー

賞は、主要なイスラエルロビー団体 AIPAC(米国イスラエル公共問題委

員会)の顧客評価なのだ。一般にイスラエルロビーとして知られるなか

でも決定的なプレーヤーである団体は、最有力者がレクチャーを提供す

る年次政策協議を今週ワシントンで催す。

ここ何年かに、2007年に出版されたハーバード大学のスティーヴン・

ウォルトとシカゴ大学のジョン・ミアシェイマーによって書かれた「イ

スラエルロビーと米国の外交政策」ほど論議を呼ぶか論争上の、ほんの

少数の本がある。本の中でウォルトとミアシェイマー教授はイスラエル

ロビーの問題を「米国の外交政策をコントロールする秘密結社あるいは

陰謀」としてではなく、ユダヤ人と非ユダヤ人で編成されるすこぶる強

力な利益集団、「米国の外交政策をイスラエルの方に動かすため精力的に

働く個人と組織の自由な連合」として論じた。

またウォルトとミアシェイマーは、「イスラエルの行動を批判する者、ま

たはイスラエルびいきのグループが米国の中東政策に重大な影響を持つ

と言う者は誰でも反ユダヤ主義のレッテルを貼る見込みが十分ある」と

の基本点を指摘した。さらに言えば、「イスラエルロビーがいると言う」

者もまた、反ユダヤ主義で非難されるリスクを冒す。

・上院の全大統領候補者が「はい」と言う

共和党大統領候補者マケインが今年の AIPACジャンボリー(お祭り騒ぎ

の余興付大会)の開会を宣する。クリントンとオバマが水曜に閉会を宣

する。大統領候補者と AIPACとの危険な密通に関するウォルトとミアシ

ェイマーの判断は非難できないままだ。「候補者の誰ひとりとして、意味

ありげにイスラエルを批判しそうもない、または米国は中東でもっと公

平な政策に従事すべきだと示しそうもない。そして、そうする人はたぶ

ん途中であきらめるだろう。」

2月ニューヨークでの AIPACの会合でクリントンが言ったことを無断で

借用する。「急進主義、極端主義、独裁制、そしてテロリズムの不正によ

って光を奪われた近隣国でイスラエルは正しさとはなにかの指針とな

る。」一年前、クリントンはイランの指導部と席について話し合うほうを

選んでいた。

そして3月シカゴでの AIPACの会合でオバマが言ったことを無断で借用

する。彼が2007年3月遊説で行ったような、パレスチナ人の「苦し

み(受難)」への論及は少しもない。米国とイスラエルの関係を改めるこ

とで、彼が何もするつもりがないのを、オバマもまた明白にさせた。

AIPACが米議会メンバーの大部分によって、全米ライフル協会、あるい

はアメリカ労働総連や実業団会議よりずっと強力だとみなされても不思

議ではない。

AIPACには明白なシオニスト(国家的統一のためにユダヤ人のパレスチ

ナ復帰をめざすユダヤ民族運動)のルーツがある。創設者のケネン(カ

ナダ生まれのジャーナリスト)は、1951年シオニスト評議会の議長

だった。その母体が1953−54年に米国ロビー、アメリカンシオニ

スト公共問題協会として再編され、その後、1959年に AIPACと改名

された。1970年代、トム・ダインの下でそれは150人以上の従業

員を有する大組織となり、今日予算6000万ドルまでになる。ダイン

はタカ派には不十分とみなされたために、後に追い出された。

ふつう AIPACの元会長の、中東での首脳部は、常にほとんどのユダヤ系

アメリカ人よりタカ派である。1999年バラクがイスラエル首相にな

ったときそれを是認する以外は、 AIPACはパレスチナ国家に反対して議

論をやめにするだけだった。

AIPACは、アメリカンエンタープライズ研究所、安全保障政策センター、

ハドソン研究所、ユダヤ人国家安全問題協会、中東フォーラム、アメリ

カ新世紀プロジェクト( PNAC)、ワシントン近東政策協会のような、影

響力のあるシンクタンクのお歴々と非常に緊密な関係を保つ。これらの

シンクタンクにばらまかれるネオコンは、より広範のユダヤ人と非ユダ

ヤ人イスラエルロビーの小宇宙とみなされてよい。(リチャード・パール、

ダグラス・フェイス、デイヴィッド・ウルムザー、その他5人のネオコ

ンが、1996年ベンジャミン・ネタニヤフに中東全体でのハードコア

の政権交代のための究極のロードマップ、悪名高き「突然の中断」を立

案したのを思い出すことが重要だ。)

・AIPACが築いた会堂

米議会で AIPACは実に乱暴な野獣だ。ビル・クリントン元大統領はそれ

を「気絶させるほど強い印象を与えるもの」だと定義を下した。ニュー

ト・ギングリッジ元下院議長はそれを「地球全体で最も有能な総利権グ

ループ」と呼んだ。ニューヨークタイムズは「アメリカのイスラエルと

の関係に影響を及ぼす最も重要な組織」であると。汚職スキャンダルへ

のかかり合いを前に、戦いの最中にあるイスラエルのオルメルト首相は

こう言った。「全世界にいる私たちの最大の支援者であり友人の、 AIPAC

がいることを神に感謝する。」

AIPACは米議会に事実上の完全な支配を維持する。ウォルトとミアシェ

イマー以外のイスラエルロビー批評家もまた、アメリカのイスラエル向

け政策で討論を開始する可能性を AIPACはどうしても防ぐと主張する。

ペンタゴンの防衛学会議による2004年の報告どおりに「イスラム教

徒はわれわれの自由が嫌いというより、むしろわれわれの政策が嫌い」

というのとそれを比べることだ。

AIPACはじゃまされない。その予定表を支援するものに報酬を与え、支

援しないものを罰する。結局、すべては金なのだ。とりわけ選挙戦の寄

付金である。ワシントンポストによると2000年から2004年まで、

AIPACの上役らは選挙戦と政治委員会にそれぞれ平均7万2000ドル

寄付した。 AIPACびいきの政治家たちには、明快に米国中から金が注が

れる。

米議会のメンバー全員が AIPACの隔週ニューズレター、Near East

Report(近東報告)を受け取る。議員とそのスタッフが情報を必要とす

るとき、「通常、 AIPACに問い合わせる;AIPACは、演説の立案、立法

措置の取り組み、戦術に関するアドヴァイス、リサーチ、共同スポンサ

ー集め、票まとめを頼まれる。」とウォルトとミアシェイマーは強調する。

ヒラリー・クリントンはずいぶん前に AIPACをじゃますべきでないと学

んでいる。1998年クリントンはパレスチナ国家を支持したものだっ

た。彼女は1999年アラファトの妻を抱き締め喜んで応じさえした。

うんと叱られた後、彼女は突然イスラエルの精力的な擁護者になった。

そして何年か後にはレバノンのヒズボラに対する2006年のイスラエ

ルの戦争を全霊を傾けて支持した。クリントンが彼女の2008年大統

領選挙戦でユダヤ系アメリカ人の寄付金の大半をもらっていてもふしぎ

ではない。

ライスもまた現場で事実を知った。2007年3月中東を訪れたとき、

彼女は永遠に停滞した「和平プロセス」をなんとか再開させようとした。

「イスラエルを認め、テロを放棄し、パレスチナ・イスラエル間の取り

決めに関して甘んじて受けることに同意する」まで、新しいパレスチナ

の統一政府とは話すなと彼女に断言する、79人を下らない米上院議員

の署名入りの AIPACの手紙を彼女は中東行きの前に受け取った。

・ AIPACとイラク

イラク戦争に向けた宣伝でどんな関与も否定することで、あるイスラエ

ルロビーの仲間などが比較的売れっ子になっている。だが、2003年

1月ニューヨーク・サン紙に AIPACの専務ハワード・コールが言ったこ

とを思い出す人はめったにいない。「イラクでの武力行使を是認すること

で遠回しに議会に圧力をかける活動は、昨年中の AIPACの成功のひとつ

だった。」

そして、ニューヨーカー誌のスティーヴン・ローゼンの人物紹介は、

「 AIPACはイラク戦争に賛成して議会に圧力をかけた」で始まった。ス

ティーヴン・ローゼンはイラク戦争に向けての準備期間中、 AIPACの政

策ディレクターだ。

アメリカ人の52%と比べてユダヤ系アメリカ人の77%がイラク戦争

に反対したとあるとおり、13の異なる世論調査をベースにした200

7年ギャロップ社の調査とそれを比べるといい。

「戦争は大がかりな関与でロビーの影響力、特にそのネオコンのせいで

ある。ロビーは常に、意見を伝えるのだと頻繁に要求する、大きな社会

の代表者ではありません。」とウォルトとミアシェイマーは主張した。

・ AIPACとイラン

さてイランの番である。「米国が進路をくつがえしてテヘランとの友好回

復を模索するのを妨げるためにロビーは闘っている。代わりにますます

対決的で逆効果の政策を彼らは促進し続ける」とウォルトとミアシェイ

マーは主張した。戦いの最中にあるオルメルトとそれほど違わない。彼

は2007年4月ドイツのフォーカス誌に、イランの核開発計画をくじ

くのに「10日かかるだろう、それと1000基のトマホーク巡航ミサ

イルがいる」と語った。

ウォルトとミアシェイマーは空論家ではない。二人は、米国外交政策界

の主流派トップでそれはもう気楽な、現実的政策実務家(現場の人)で

ある。彼らの本の最も魅惑的な局面はことによると、主流派が一度も公

然と言及しない4つの点を論じたことかもしれない。本質的にこういう

ことになる:

・アラブの非宗教的なナショナリズムに対する戦争、共産主義に対する

戦争と、米国はすでに中東における主要な戦争に勝ってきており、イス

ラエルを必要としないといってよいくらいだ。

・イスラエルはいまアラブ国家を全部あわせたよりはるかに強力なので、

自分の面倒は自分で見られる(他国の世話を必要としない)。

・その乱暴な行為に頓着なく、イスラエルのための無条件の支援は米国

の国益を害する、ムバラクのエジプトやアブドラ国王のヨルダンのよう

な親米政権を不安定にして、イスラム聖戦急進派の術中に陥る。

・イスラエルの代理としてイスラエルの戦争を戦うのは、中東における

米国の力を間違いなく崩壊に導く道である。

また、なぜ米国がイラクで戦争を行ったか、そしてなぜ近い将来イラン

を攻撃することになるかで、石油と、ロシアや中国との競争がまた決定

的な役割を演じているというのを、ウォルトとミアシェイマーは認めな

いように思える。

同時に、ロビーのパワーは難攻不落に思える。2007年3月、米国

下院はイランを攻撃する前にジョージ・W・ブッシュ大統領に議会の承

認を得るよう命じることになる規定をペンタゴンの浪費する勘定書にな

んとか付与しようとしていた。 AIPACは激しく反対した。立法措置を軍

事的選択をするのを「検討から外す」との見方で見るというのがその理

由だ。その規定は葬られた。これは AIPACに与えるべきだったとデニス・

クシニッチ下院議員は言った。

その年の年次総会のテーマが「アメリカとイスラエルは反テロの任務を

果たす」だった2002年、 AIPACは多くの波風を立てた。それと同時

に、2002年4月ブッシュに宛てた PNACの手紙の中でアメリカと並

んでイスラエルもまた「悪の枢軸」と戦っていると主張したように、だ

れもかれもが、アラファト、オサマ・ビンラディン、サダム・フセイン、

タリバン、ハマス、ヒズボラ、イラン、そしてシリアを叩いてへこませ

た。

2004年の AIPACのジャンボリーの間にブッシュは彼のイラク政策を

擁護するスタンディングオヴェーション(総立ちの拍手喝采)を23回

受けた。昨年、スターはイラクでの部隊の「サージ(大波)」を弁護する

チェイニーだった。下院議長マダム・ペロシはうやうやしく参列した。

だが、「反ユダヤ人びいきは神に対するユダヤ人の反逆の結果」とヘギー

が主張しても、実際に大金をつかんだのはマケインが最近その人の支持

を拒んだ牧師のジョン・ヘギーだった。

イランについて、ヘギーは論調を限定的に設定する。「イランは1938

年のドイツ、アフマディネジャド大統領は次なるヒットラー。われわれ

はイランの核の脅威を止めなければならないし、大胆にイスラエルに賛

成しなければならない。」彼は多数からなるスタンディングオヴェーショ

ンを受けた。今年、マケインが同じ待遇を得るのは確かかもしれない、

そしてメッセージを守ることできっと彼にはなんの苦労もない。

▲ぺぺ・エスコバルは「 Globalistan: How the Globalized World is

Dissolving into Liquid War (Nimble Books 2007) )と「 Red Zone

Blues: a snapshot of Baghdad during the surge」の著者。

彼への連絡: pepeasia@yahoo.com.

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▲ジョン・ヘギー牧師の過去の問題発言:

「神は女性が嫌い」「カトリックは間違ったカルトシステム」 

「ハリケーンカトリーナの被害は都市の罪に対する神の判断」

「神はユダヤ人を天国に送るためにヒトラーを地上につかわした」


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