■自己欺瞞という西側兵器■ UKインディペンデント紙

07 June 2008

ベイルートには銃撃戦があり、事態は好転しているとアメリカは考える

By Robert Fisk

どうやらまた偉大でりっぱなアメリカの民主主義が米イスラエル公共問

題委員会( AIPAC)のイスラエルロビイストにへいこらしてご機嫌をう

かがうことをやっている、そして彼らはアラブの領土を盗み続けている

他国のために繰り返し同盟する。

これに終わりはあるのか?私のアイルランド人の友人が無邪気にすてき

に「バラッカ氏」と形容したバラク・オバマでさえ、エルサレムは分割

されてないひとつのイスラエルの首都だとユダヤ人の聴衆に話す時間を

見つけた。それはアラブの東エルサレム併合を違法とみなし続ける残り

の世界の見解ではない。イスラエルのセキュリティ。とっておきの尺度

として何千回となく繰り返すイスラエルのセキュリティ、そしてイラン

の脅威。

そうとも、イスラエルは安全保障を受けるに足る。だが、パレスチナ人

もそうなのだ。イラク人、レバノン人、広範にモスリム世界の人々もそ

うなのだ。いまはコンドリーザ・ライスも今年末までにパレスチナ国家

が無理なことを認める。もちろん、彼女も AIPACで話をしていた。11

月までにパレスチナ国家樹立というジョージ・ブッシュの裏付けはなく

なった、どのみち誰も信じなかった。ライスの哀れを誘う言葉、「ゴール

そのものは、現行の米首脳部の任務の範囲を越えて持続することになる

はずです。」

もちろんそうだろう。そしてガザ包囲は現行の米首脳部の任務の範囲を

越えて持続するだろう。そしてイスラエルの壁。そして違法なイスラエ

ル入植地建設。そしてイラクの死者は「現行の米首脳部」の任務の範囲

を越えて持続するだろう。臆病なブッシュがかかわり合うと「首脳部」

は、言葉の定義づけをやや押しつけぎみではあるが。そしてアフガニス

タンでの死者と、私が気づかうレバノンでの死者もまた持続するだろう。

どの程度まで自己欺瞞が次から次へと移るかにびっくり仰天している。

ブッシュの取り巻きたちは「アメリカに支持されたレバノンのシニオラ

政権」を彼らが支援しているとまだ考える。だがシニオラは、閣議決議

でヒズボラと他の敵対グループに拒否権を確保させる新たな規定の枠組

みを実行するため暫定内閣を作ることもできない。

従って、ヒズボラの武装解除はなく、従って、長年にわたるアメリカの

イラン憎しのたるみを引き締めるため、またヒズボラ対イスラエルの代

理戦争があるのではないかと再び私は気づかう。シリアのアサド大統領

がいまレバノンに凱旋旅行をすると言っておどしをかけているのも無理

はない。彼は勝った。そして国連の裁判所は2005年のハリリ元首相

の殺害の責任を審理することになっていなかったか?これは世界の歴史

のなかでも最も長い警察の取り調べになるはずだ。そしてゴールには決

して到達しないのではないか(少なくとも「現行の米首脳部」の下では)

と私はうすうす感じる。

夜、ベイルートでは銃撃戦がある。私の家の外の断崖沿いの道路を、黒

ずんだ軍服を着た内務省の軍隊が等しく黒ずんだ装甲車に乗って、夜間

パトロールする。

少なくともレバノンには元陸軍司令官ミッシェル・スレイマンという新

大統領がいる。最初は債権者の関心でレバノンを目を見開いて凝視する

ポスターで登場したインテリだ。いま彼は賢明にも、宗派心の強いグル

ープに彼らの殉教者や司令官の写真を降ろさせようとして、この手のポ

スター全部の解体を命じている。そしてアメリカはレバノンで事態は好

転していると考える。

そしてブッシュとその一団は、「テロリスト」とは絶対に話をしないと言

い続ける。その一方で何が起きているか?彼らのイスラエルの友人たち、

バラッカ氏のイスラエルの友人たちは、なぜかまさにこれを行っている。

彼らはエジプト経由でハマスに談じ込んでおり、トルコ経由でシリアと

交渉している、そしてドイツ経由でヒズボラとの交渉を終えたところだ。

そして2006年の戦争で殺されたイスラエル人の遺体の一部の見返り

に、イスラエルにいるヒズボラのトップのスパイのひとりを返したとこ

ろだ。なのにブッシュは「テロリスト」とは話すつもりはない、ではな

いか?今週ワシントンで、彼が同じ程度不運なオルメルトに対してそれ

を持ち出さないことに私は賭ける。

そういうわけで私たちの痴呆(狂気)は続く。今週私たちの面前には信

仰と神と宗教で派手に遊び回る、ますます狂気の目をしたブレアがいた。

そして一週間前に、神は決してブレアに助言を与えないようだと指摘し

た同僚によるすばらしい記事を私は思案せざるをえなかった。彼は、2

003年の4月前に、トニー、このイラク侵攻はうまい考えではないか

もしれないとせめて言っておいてもよかったのに。

いや実のところ、ブレアの神との関係はそれ自体が非常に奇妙だ。そし

てどういうことか私にはかなりわかっているのではないかと思う。完ぺ

きに正しいことが自分にはわかっているとブレアは神に語りかけるんだ

と思う、そして神は彼の言葉を承認する。なぜなら、踏み誤った多くの

政治家のようにブレアは神自身を演じるからだ。2人の神がいるわけだ。

ブレア神と彼のすべての言葉を祝福する無限の時間と、親切なあまり、

彼は彼にガザに行けとも言わない。

私は絶望する。テートギャラリーがそこの最新の展示会(東方の魅惑:

英国の東洋通の絵画)と同時に起こる東洋通の絵画のすばらしい本を私

に送ってくれ、私はこの作品の畏怖させる美に圧倒された。19世紀、

わが国の偉大な画家たちは東方の壮観に驚異の目をみはった。

今日、もう画家はいない。代わりに、私たちはカメラマンを送り、彼ら

はクルマ爆弾とバラバラになった死体と血と破壊された家屋と、食べ物

と燃料を嘆願するパレスチナ人たちとベイルートのストリートの顔を覆

ったガンマンの写真で答える。そうだ、死んだイスラエル人もだ。東洋

通はこの場所に威厳を見た、今日、私たちは、その創造に手を貸す荒廃

した不毛の地を見る。

でも大丈夫。イスラエルのセキュリティがなにより一番でバラッカ氏は

エルサレムのすべてをイスラエルのものにしておきたい。パレスチナ国

家の件はそれでおしまいだ。そしてコンディーは「ゴールは現行のアメ

リカの首脳部の任務の範囲を越えて持続することになる」と言う。そし

て私にはベイルートのわが家の外のヤシの木に居座る鳥がいて、毎朝1

時間ほど「チーチーチーチーチー」と鳴いてしかりつけるのだ、そのせ

いで私の家主はよく石を投げた。

だが、わが家の外にはかつて鳥のオーケストラがいて、ある日、バイオ

リンやトランペットのように聞こえたその鳥のほとんど全部が戦争に飽

き飽きして飛び去ってしまったと信じる親愛なる友が私にはいる(もし

その鳥たちが賢かったらキプロスだが、ことによるとアイルランドへ向

かったかもしれない)。中東のよごれた世界と私たちの臆病とウソつきの

(虚言癖のある)政治家どものことを私に思い起こさせるために、調子

はずれのフルートのスズメだけを残して。スズメたちは昨日の朝もまた

「チーチーチー( Cheep-cheep-cheep)」とどやしていた。

「 Cheap-cheap-cheap」彼らは正しいとも。

▲ロバート・フィスク

中東レバノンに長く住みその記事が幅広く信頼されるイギリス人記者。

ロンドンのインディペンデント紙に寄稿する。3月のインディペンデン

ト紙に彼は、この5年のイラク侵略戦争の収穫はなんだったか、総括す

る記事を書いている。

以下、2008年3月15日付エジプト紙アル・アハラームの記事から

抜粋 ―― 。

◇イラク攻撃から5年の収穫は、1121人の自爆者とその犠牲となっ

た1万3000人の死者ならびに1万6000人の負傷者だ

著名なイギリス人記者ロバート・フィスクが、アメリカとイギリスのイ

ラク攻撃から5年間の収穫は何だったのかを問う記事をまとめた。昨日

のイギリスの新聞「インディペンデント」に掲載された詳細な記事にお

いてフィスクは、「ジョージ・ブッシュ米大統領がイラク人にもたらした

のは、5年前に彼が繰り返し唱えていた<自由>などではなく、中東の

歴史を通じて先例のない自爆攻撃の増加であった」と指摘している。

フィスクは「公表されている各種の報告によればイラクで自爆を実行し

た人間の数は1121人、 1万3000人の男女や子供がそれによって

命を落とし 1万6000人以上が負傷した」と述べた上で、「これは極め

て控えめな数字だ。なぜならその多くが、イラクの治安情況に悪いイメ

ージを与えることを望まない政府発表に基づいているからだ」と語る。

またフィスクは、「自爆攻撃の犠牲者数は、2003年の攻撃開始以来の

イラク民間人の死傷者数の合計約50万人と比較すれば、たいして意味

がないように見えるかもしれない。だが、中東の歴史において最も高い

発生件数であることを考慮に入れるなら、中東地域の状況悪化を指し示

す危険な指標となるはずだ」と付け加えた。

フィスクは彼が言うところの「自爆文化」がイラク国境や中東の地理的

範囲を越えて、攻撃から1年のうちにパキスタンとアフガニスタンの国

境地帯へ広がったことに警戒を示し、「タリバーンは以前にはこのような

作戦は行っていなかったが、現在ではアフガン南部ヘルモンド地域にあ

る西側諸国の軍事基地や首都カブールに置かれた基地でも、タリバーン

による自爆という増大しつつある脅威に直面している」との見方を明ら

かにした。

(以上、東京外語大中東イスラーム研究教育プロジェクト運営サイトProject MEISより)


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