■石油の価格はなぜ高い■ ICH   11 June 2008

by ポール・クレイグ・ロバーツ

石油価格をどう説明する?なぜこんなに高いのか?使い尽くしている?

供給が中断されるか、高値は石油会社または OPECの強欲の反映か?

チャベスとサウジが私たちに陰謀を企てている?

私の意見では、石油の高値における2大要因は、米ドルの交換価値が弱

いのと、連邦準備銀行が息切れさせている流動性(流動資産を保持する

こと)だ。

大きな貿易と財政赤字のせいでドルは弱く、その決算はアメリカの政治

的意向の範囲を超えている。濫用が米ドルの準備通貨の役割をすり減ら

すとき、売り手は、その下落している交換価値の損失防止措置と準備通

貨ステイタスの最大の損失防止措置として、いっそう多くのドルを要求

する。

本格的な景気後退と派生的なきっかけとなるもののさらなる危機を出し

抜くための骨折りで、連邦準備銀行は石油先物契約での投機に融資して

いる流動性をとうとうと注いでいる。ヘッジファンドと投資銀行は、大

いに投機を行わせる石油先物契約に投機することによる利益で減損した

資本組織を修復している。ちょうど契約に夢中になる不動産投機家が家

の価格を上げたように。石油先物バブルもまた、はじけるだろう。うま

くいけば新しい派生物が高い石油価格に基づいて引き起こされる前にと

期待される。

石油価格に影響を及ぼす別の要因がある。イスラエル・米国のイラン攻

撃の見通しが、混乱に対して資本金を造るため、現行の需要を増加させ

てきている。そんな邪悪に考えつく正統な理由のない攻撃(国権の侵害)

の結果は誰もわからないし、たぶん中東全体が大火災に飲み込まれるか

もしれぬ不確実性が石油の価格を押し上げる。しかしながら、貯蔵施設

は限られているし、もっと広範な在庫の価格への影響には限界がある。

最近、サウジの石油大臣アリ・アル・ナイミが、「目下の価格の上昇には

正当性がない」と述べた。大臣が言ってる意味は不足も供給崩壊もない

ということだ。投機的あるいは心理学的な理由とは性質が異なるゆえに

彼はそれを本当の理由と思って言っていない。

石油価格の急騰は、中東における米国とイスラエルの正当の理由のない

軍事攻撃が強まる段階と同時発生する。しかしながら、最大の急騰はこ

こ18カ月にある。

2003年にブッシュがイラク侵攻したとき、石油の平均価格は1バレ

ルあたり約27ドルか、2007年のドルレートで約31ドルだった。

2004年にはまた10ドル上がって年間平均価格42ドル(2007

年のドル換算)になり、2005年にはまた12ドル、2006年には

また7ドル、そうして2007年には65ドルにまでなった。だが、こ

こ数カ月で2倍以上の約135ドルにまでなっている。70ドルの価格

の急騰は投機以外の言葉では説明しがたい。

これまでにも石油価格は高くなっている。2008年までは1979年

12月の104ドルが石油価格の月間記録だった(2007年のドル換

算)。1998年は、石油の標準価格が1バレルあたり1ドル63セント

だった1946年より石油価格は実質低かった。ブッシュ政権中に20

07年のドルで石油価格が27ドルからほぼ135ドルに上がっている。

http://inflationdata.com/inflation/Inflation_Rate/Historical_Oil_

Prices_Table.asp)

ひょっとして、民主党員らがついに戦闘を終わらせ、中東和平とパレス

チナ人にとっての正義のためにイスラエルを抑えるとの期待で、石油価

格の値上がりは最近の急騰より先に低く抑えられたかもしれない。オバ

マがイスラエルロビー AIPACに忠誠を誓い、イランに向かうブッシュの

態度を採用するいま、高い石油価格はおそらく、米国・イスラエルの政

策がどうやら実質の崩壊を満たす結果になるらしいとの前触れだ。さら

に、イラン攻撃は「避けられない」との最近のイスラエルの声明が石油

価格を8ドルばかり急騰させた。

あるいは、石油の高値よりも理解しがたいのが米国の長期利率の低さだ。

危険にさらされたドルの交換価値はとんでもないため、米国の利率は実

際にインフレ率を下回っている。理性をわきまえた正気の市場における

正気の関係者を当然のことと決め込むエコノミストたちには、なぜ指導

者らが利率がインフレ率を下回るのをいつまでも曖昧に受け入れようと

するのか説明できない。

生活費全体の精算を退職者に与えないことで社会保障の支払いを低く抑

えるため、クリントン政権中に消費者物価指数が不正手段で操られて以

来、もちろん、アメリカ人は彼らの政権から現実のインフレ数値を受け

取っていない。統計学者ジョン・ウイリアムズによると

( www.shadowstats.com)、クリントン政権前の消費者物価指数を利用

すると現行の消費者物価指数はおよそ7.5%を示す。

インフレを低く言うことが実際の GDP(国内総生産)の成長を高く見せ

る。もしインフレが正しくきちんと評価されたなら、21世紀に米国は

たぶん実質の GDP成長は経験してないはずだ。

何十年ものあいだ、政権が少しばかり自分たちのことをよく見せるため

インフレと雇用番号をもてあそんできていると統計学者ウイリアムズは

報告する。累積効果がこれらの測定値の正確度を悪化させることになっ

た。ウイリアムズの言ってる意味を私が了解するとして、本来の今日の

インフレ率と失業率はどちらもおよそ12%になる。

景気後退の規制を制してバランスシート(貸借対照表)問題をとりつく

ろうための奮闘で金を息切れさせることによって、連邦準備銀行は日用

品と食品価格を一般に値上げしてきている。さらにアメリカ人の実質所

得は増えてきていない。仕事のオフショアリング(海外委託)をしなく

ても、米国の経済政策は生活水準を低くする行路へ人口の大半を追いや

る。

米国に気味悪く迫る危機は、世界通貨の役割の喪失だ。ドルがその役割

をひとたび失うと、米国政府は海外で借りることでその運用に金を融通

させることができなくなり、外国人たちは大量の米国貿易赤字に金を融

通するのをやめようとする。この危機は世界パワーとしての米国を消す

ことになる。

▲一期目のレーガン政権で財務省次官補、ウオールストリートジャーナ

ル紙社説の准編集員で、ナショナルレヴュー誌の寄稿編集員だったポー

ル・クレイグ・ロバーツは、20年間におよぶショッキングな検察官の

悪弊(職権濫用)の事件を報告してきている。

また、戦略国際研究センター、ジョージタウン大学、フーバー協会、ス

タンフォード大学などを含め、彼は非常に多くのアカデミックな役職を

占めてきている。彼はフランスのフランソワ・ミッテラン大統領によっ

てレジョンドヌール勲章を授与された。共著に「 The Tyranny of Good

Intentions」がある。


♯お知らせ♯

きままなブログを始めました。よりのんきでよりビジュアルな内容に

なっています。こちらもごひいきに。

http://tequilamama.blogspot.com/