■ユーゴスラビアを忘れるな■ ICH 15 August 2008 by John Pilger

ジョン・ピルジャーがユーゴ解体で一般に認められた知識のすぐ下を掘

り起こしてハーグの元主任検察官によって広く無視された研究論文と、

目下のコーカサスでのできごとから過去のなごりを指摘する。

ブレア戦争指揮官がコソボ「解放」の勝ち誇った歴訪の旅に出ていると

きでさえ、コソボ解放軍( KLA)はコソボ自治州の20万人以上のセル

ビア人とロマ人を民族浄化していた。

ユーゴスラビア壊滅の秘密がわかってきている。現代世界がどう治安を

維持されるかについて、もっと秘密を漏らしてくれたまえ。ハーグのユ

ーゴスラビアに対する国際戦争犯罪法廷の元主任検察官、カーラ・デル・

ポンテが今年自伝を出版した。英国で広く無視された彼女の著書「 The

Hunt: Me and War Criminals(捜索:私と戦争犯罪人)」は、コーカサ

スでなごりがある西側のコソボ介入について不快な真実をあばく。

ハーグの法廷は主として米国によって進められ資金を供給された。デル・

ポンテの役割は1990年代にユーゴスラビアが分割されたとき犯した

犯罪を調査することだった。これには病院、学校、教会、公園、 TVスタ

ジオにいた数百人を殺害して経済基盤を破壊した1999年のセルビア

とコソボに対する NATOの78日間の爆撃が含まれると彼女は主張した。

「 NATOの顔ぶれを起訴するつもりがないなら、私は自分の任務をあき

らめるしかない。」とデル・ポンテは言った。それは虚偽の抗弁だった。

ワシントンとロンドンからの圧力で、 NATOの戦争犯罪への調査は削ら

れた。

分離派コソボ自治州でセルビア人らがアルバニア系住民に対して「大量

殺戮」を行っていたというのが、 NATO空爆を正当化させる理由付けだ

ったのを読者は想起することだろう。戦争犯罪に十分な、アメリカ大使

デイヴィッド・シーファーは、「年齢14歳から59歳のアルバニア系男

性22万5千人ほど」が殺されているかもしれないと発表した。トニー・

ブレアはホロコーストと「第二次世界大戦の亡霊」を引き合いに出した。

西側の勇ましい同盟軍はコソボ解放軍( KLA)だった、彼らの殺戮の記

録は無視された。英国の外相ロビン・クックはいつでも彼のケータイに

電話するよう彼らに忠告していた。

NATO爆撃を終えて、「ホロコースト」を明るみに出すために国際調査団

がコソボに押しかけた。 FBIはたったひとつの集団墓地も見つけられずに

帰国した。スペインの法廷調査団も同じだった、そのリーダーは「戦争

プロパガンダ機構による意味の歪曲のつまさき旋回」と罵倒する。一年

後、デル・ポンテの法廷がコソボの死者の最終的総数を発表した。それ

は2788人。これには双方の戦闘員と、 KLAによって殺されたセルビ

ア人とロマ人が含まれる。コソボに大量殺戮はなかった。ホロコースト

はウソだった。 NATOの攻撃は詐欺行為だったのだ。

デル・ポンテは本の中でこれがすべてではなかったと言う。 KLAは数百

人のセルビア人を誘拐してアルバニアに輸送した。そこで彼らの腎臓と

他のボディパーツが取り除かれた。それらは他国での移植のために売ら

れた。彼女はまた、戦争犯罪でコソボのアルバニア人らを起訴するのに

十分な証拠があったが、法廷は「セルビア人によって犯される犯罪」に

集中させようとしたため、調査は「未然に芽を摘まれた」とも言う。 NATO

の権威を持ってまさしくセルビア人たちを攻撃していたにほかならない

人びと、コソボのアルバニア人らにハーグの判事らは恐れをなしていた

と彼女は言う。

それどころか、ブレア戦争指揮官がコソボ「解放」の勝ち誇った歴訪の

旅に出ているときにも、コソボ解放軍( KLA)はコソボ自治州の20万

人以上のセルビア人とロマ人を民族浄化していた。昨年2月、コソボは

正規の経済がないところで、事実上、ドラッグや密売品や女性を売買す

る犯罪集団によって支配されるのを、米国が率いる「国際社会」は受け

入れた。だが、コソボにはひとつの役に立つ強み、欧州議会の人権擁護

委員によって「グアンタナモの小型版」と説明される米軍基地キャンプ

ボンドスティールがある。スイスの外交官であるデル・ポンテは、彼女

の政府から本の販促を止めるよう忠告されてきている。

冷戦時代の政治的そして経済的な橋として自己の立場を守ったユーゴス

ラビアは、欠陥はあるにせよ、唯一無比の独立した多民族連邦だった。

これが拡大するヨーロッパ共同体、特に新たに統合されたドイツには喜

ばれなかった。クロアチアとスロベニアのユーゴスラビア人地区にある

「持ち前の市場」を支配するため、ドイツは東の大攻勢を始めていた。

1991年にヨーロッパ人たちがマーストリヒト(オランダ)で会合を

開く時までには、秘密協定が批准されていた。ドイツはクロアチア、そ

してユーゴスラビアは不運だったとの事実を認めた。ワシントンでは、

じたばたあがくユーゴスラビア経済が世界銀行の融資を拒まれて、現存

しない NATOが力づくで守らせるものとして徹底的に作り直されるのを、

米国が保証した。1999年フランスのコソボ「和平」会議で、セルビ

ア人たちは NATO軍による占領と市場経済を受け入れるか、または爆撃

されて降伏するかだと忠告された。それはアフガニスタンとイラクにお

ける大虐殺に至るまでの申し分のない前兆だったのだ。

▲ www.johnpilger.com

▲ジョン・ピルジャー:独自の取材方法で有名なイギリスで活躍するオ

ーストラリア出身のジャーナリスト、ドキュメンタリー映画作家。50

本以上のドキュメンタリーを制作し、戦争報道に対して英国でジャーナ

リストに贈られる最高の栄誉「ジャーナリスト・オブ・ザ・イヤー」を

2度受賞、記録映画に対しては、フランスの国境なき記者団賞、米国の

エミー賞、英国のリチャード・ディンブルビー賞などを受賞している。

ベトナム、カンボジア、エジプト、インド、バングラディッシュ、ビア

フラなど世界各地の戦地に赴任した。著書には「世界の新しい支配者た

ち」(岩波書店)など多数の著書がある。最新の著作は Freedom Next

Time: Resisting the Empire(「次こそ自由を──帝国への抵抗」)で、

アフガニスタン、ディエゴガルシア島、インド、パレスチナ、南アフリ

カの現状などについて書いている。 

=======================================

■石油の争い:ロシアのエネルギーを迂回する EUの希望の綱は非現実的

な話かもしれない

The Independent 12 August 2008 By Claire Soares

グルジアには、言われている天然資源がないことになっていても、領土

をくねりつつ進む155マイルのパイプラインのために、そこはヨーロ

ッパにとってキープレーヤーになっている。

モスクワへのエネルギー依存をなんとか減らそうとする欧州連合には取

っておきたい重宝なもの、バク・トビリシ・セイハン・パイプライン( BTC)

は、ロシアを避けてカスピ海の石油を西側市場に運ぶ唯一役に立つルー

トである。

トルコの南東地中海沿岸の貿易港セイハンと共にグルジアの首都トビリ

シを経由してアゼルバイジャンのバクにつながる BTCは、かつて「平和

のパイプライン」として切り札にされた。いまそれがロシアとグルジア

が対決するにつれて二次的な交戦地帯にあるのに気づく。

「衝突全体がパイプラインに従事して行われてきてはいない。動機は明

確に地政学的」であるとグローバルに洞察するロシアアナリスト、ナタ

リア・レシュチェンコは説明した。「しかしながら、グルジアにとってパ

イプラインが重要なのをロシア人たちはよく承知しているので損害を与

えようとするかもしれない。彼らには損害を与えるための手腕がありま

す。」

戦闘が週末にかけて高潮に達したとき、ロシアの戦闘機がパイプライン

を標的にしたがねらい損ねたとグルジア当局者らは言った。「ロシアはグ

ルジアの経済販路ではなくて国際的な経済販路を標的にしているのをこ

れが示す」と言って、経済開発大臣 Ekaterina Sharashidzeは国家の運

命を西側のそれに固く結びつける。プロジェクトに30%の利害関係を

有する BP(英国石油)が爆発に気づかなかったといえども、空襲につい

て自主的確認はなかった。

先週、クルド人分離主義者によるトルコ人地区に対する攻撃の後、パイ

プラインの安全確保がすでに注目を浴びていた。そしてロシアとグルジ

アの衝突がこれらの心配を和らげることにはならない。パイプラインは

南オセチアの国境から35マイルにおよび走り抜ける。

欧州連合は石油の四分の一と天然ガスの半分を供給するロシアから自分

たちを乳離れさせることを切望している、そしてほとんど未開発の世界

の石油地区のひとつ、中央アジアをターゲットにしている。

建設に40億ドル費やした BTCパイプラインはその努力の心臓部だ。そ

れはモスクワによって痛烈に反対された。モスクワはエネルギーの完全

な支配をゆるめることと、その地域での影響力の希薄を心配した。

ジェームズ・ボンド映画「 ワールド・イズ・ノット・イナフ」で重要な

役割を演じたパイプラインは一日あたり約100万バレルくみ出すこと

ができる。バク・スプサ・ラインからの原油流出量のほうが少ない。バ

ク・トビリシ・エルズラム・パイプラインを通るガスもまたグルジアを

横切る。それは年間65億立方メートル以上を提供する。だが、それで

は気楽とはいかない量なのだ。

「ヨーロッパ人にとって代替の供給ルートは心理的安堵なのです。ロシ

アを通さないルートがあることです」とレシュチェンコは言った。「でも、

パイプラインが通過する他の国々は結局、もっとあてにならないとわか

るかもしれません。」

モスクワから独立した領土を通過して非ロシアのガスを輸送することを

意味する、ナブコ・パイプラインという別のガスの EUルートを起こす計

画がある。最近までグルジアはその理想的候補だった。

「だが、もはやグルジアが安全な通路でないとすれば、ロシア依存を減

少させるためのこれらの計画はすべて無に帰すことになる」と「 Rising

Powers, Shrinking Planet: The New Geopolitics of Energy(エネル

ギーの新地政学)」の著者マイケル・クレアは言う。

=======================================

アメリカの元司法長官ラムゼー・クラークが1992年に創設した団体、

国際行動センター( International Action Center:IAC)が、ブッシュ

大統領とチェイニー、ライス、ゲイツなど米政府高官や米議会指導者ら

に次の3点を要求する手紙を出すよう署名運動を呼びかけている。

「アメリカはグルジアとロシアに手を出すな 」

「 NO NEW WAR」

「 END NATO NOW!」

◇こういうことです:

また新たな危険、今度はロシアに対する戦争の危険をともなう新たな軍

事行動をアメリカ政府が威嚇するのを私たちは心配をつのらせながら監

視する。

ブッシュ政権とアメリカの新聞雑誌 TVなど企業ニュースメディアは憎し

みの反ロシア・キャンペーンに着手してきている。イラクとアフガニス

タンの占領やイランに対する脅迫のときのように、ロシアとの軍事対決

の威嚇もまたウソに基づいている。

大部分の企業ニュースメディアによって隠される真実は、グルジアのミ

ハエル・サーカシビリ大統領が米国とイスラエルの兵器で身を固め、訓

練された彼の軍隊を南オセチアの小さな自治州に向けてけしかけて、一

般市民を殺害し、そこに駐留するロシアの平和維持軍を攻撃したという

ことだ。そのときロシア軍は応戦したにすぎない。

サーカシビリはアメリカ主導のイラク占領に加わるため2000人のグ

ルジアの若者を送った大統領だ。アメリカは彼の軍隊に兵器を支給する。

アメリカ特殊部隊とイスラエルの軍事顧問と傭兵請負人らがグルジア軍

を指揮する。グルジア軍は7月にアメリカ陸軍と海兵隊と一緒に3週間

の合同演習を行ったばかりだ。

中央アジアの石油の主な輸送ポイントとして、イラクやイランのように

グルジア自体がアメリカの石油企業のお宝、目的物であることに私たち

は注目する必要がある。

アメリカのグルジア武装と、グルジアを NATOに加盟させようとのふん

ばりが、南オセチアへのグルジア侵攻を設定して新たな大戦争の脅威を

引き起こしたことにまず疑いの余地はない。いまワシントンはそこの圧

倒的多数の国民の意志にさからってポーランドとチェコ共和国にミサイ

ル基地を置くことでロシアを脅してもいる。新たな NATO同盟国の軍事

同盟でロシアを包囲するのは世界規模での平和と安定にとって最も危険

なことである。

第二次世界大戦によって弱体化したヨーロッパの植民地主義勢力で社会

主義革命を妨げて資本主義支配の強化をめざす、反ソ連軍事同盟として

NATOが設置されたのを思い出すときだ。ソ連崩壊とワルシャワ条約の

消滅以降、アメリカは NATOを大いに拡大しようともくろんできており、

ロシアと中国を包囲して元植民地世界を再征服するアメリカの企業権力

を強化するため、それを軍事的手先に変えている。

◇以下に挙げる例を斟酌してくれ:

・ユーゴスラビア

NATOは小国を防衛してきたとのウソに基づいて、アメリカとNATOが

介入、爆撃が多民族国家ユーゴスラビアを破壊してバルカン諸国をアメ

リカと西ヨーロッパ勢力によって支配されるミニ独立国家の山に変えた。

・アフガニスタン

これはテロリストに対する治安活動だったとのウソに基づいてアメリカ

と NATOがこの国をだいなしにし、奴隷状態のまま放置する、7年間の

占領を行ってきている。

・イラク

大量破壊兵器に関するウソはあまりにもあくどく、アメリカの論拠はあ

まりにも説得力がなかったため、ほとんどの NATO加盟国が占領とイラ

クの完全破壊に加わるのを拒絶した。

◇グルジアでブッシュが和平を推進しているなどと誰が信じられようか。

この拡大を止めるばかりか、 NATOを解体することでNATOという戦争

マシーン(機構)を完全に終わらせるときである。

グルジア人みずからがサーカシビリ一派をとがめる声明を出しているこ

とは世界中の反戦市民への励ましである。

「この同胞殺しの戦争と、子どもや女性や高齢者数千人の死者と、南オ

セチアとグルジアの居住者に対する全責任はもっぱら、グルジアの現大

統領と議会と政府にある。」(8月11日)とグルジア平和委員会は言っ

ている。

少なくとも、現大統領に反対して NATOの役割を望まないグルジア市民

ぐらいは私たちにできる。ワシントンから私たちは以下のことを要求し

た:

1)グルジアとコーカサスへの介入をやめよ

2)東ヨーロッパの国々とロシアと国境を接する国々に NATO軍組織を

拡大する挑戦をやめよ

3)好戦的な NATO軍事同盟を終結せよ

4) No New Wars !

◇戦争は最悪の環境破壊。戦争はすべてを破壊して子どもを含める罪な

き人びとを傷つけ殺すだけで、なにも解決しない。私たちには21世紀

を戦争のない世紀にする責任がある、次の世代に平和な地球を残す責任

がある。

署名サイトは以下にあります。

http://www.iacenter.org/anti-war/handsoffcaucasus/


♯お知らせ♯

きままなブログを始めました。よりのんきでよりビジュアルな内容に

なっています。こちらもごひいきに。

http://tequilamama.blogspot.com/