■ゴーホーム、グリンゴ■ The Guardian 12 September 2008

By Richard Gott

ボリビアとベネズエラの米国大使の追放がいまいちど北米の外交政策の

誤りの工程をあらわにする

1973年9月11日、あからさまな米国の支援があった軍部によるチ

リのサルバドール・アジェンデ転覆から35周年、ボリビアとベネズエ

ラの大統領が信任状を与えられた米国大使に国から出て行くよう求めて

きている。

アメリカ人が関与すると非難する差し迫るクーデターの可能性に彼らが

直面しているとどちらも考える。3つ目の国パラグアイは10年前に軍

の司令官と野党政治家らが関与する陰謀の正体を見破ったと発表した。

いまラテンアメリカは20世紀末の民主的実践の再導入以降、最も重大

な危機に直面する。

ブラジルとアルゼンチンはどちらも、彼らの国に供給する天然ガスパイ

プラインを閉鎖に導いてきているボリビアの野党グループの極端な行動

を糾弾してきている。同時にベネズエラのウゴ・チャベス大統領は、ボ

リビアのエボ・モラレスに対するクーデターがその国の武装した暴動に

「青信号(ゴーサイン)」とみなされたのだと警告してきている。

引退した軍の司令官と野党の人間がのめり込むと、彼自身の国での計画

されたクーデターの詳細を述べてチャベスは米国大使パトリック・ダデ

ィの追放とワシントンから駐米大使を召還すると発表した。ベネズエラ

に対するどんな攻撃も、米国に供給するベネズエラ石油の停止が伴うと

チャベスは言った。

チャベスの決定は、モラレス大統領がラパスの米国大使フィリップ・ゴ

ールドバーグを放り出して一日後に起こった。ゴールドバーグはサンタ

クルズの東部州で分離主義者の政治家とたくらむとして、ボリビア政府

から頻繁に非難されてきている。

どちらの国も年末には重要な選挙のバトルに直面しているが、ボリビア

はベネズエラよりもっとただちに劇的な情況だ。

西のアンデス地方出身の先住民政治家エボ・モラレスは、東部平地の右

翼と人種差別者の白人政治家が痛烈に反対する新しい憲法について国民

投票を主催してきている。終わりのない政治デモ、数人の死者、地方空

港の包囲、国の経済が依存する石油とガス設備のサボタージュを有する

暴力の空気がいま急に明るみに出てきている。クーデターに必要な条件

を引き起こすとして、モラレスは東部5県の州知事を告発してきている。

「ボリビアは孤立してない」、モラレスとの連帯の行為として、カラカス

から米国大使を追放する決意をチャベスは独創的に発表した。だが、彼

が対処する彼自身のクーデターの可能性があったのがまもなく明らかに

なった。2002年4月の失敗したクーデターにかかわり合う、引退し

た軍の司令官同士の電話の会話を録音したテープが水曜夜、ベネズエラ

TVで放送された。そしてミラフローレスの大統領宮殿を包囲して、大統

領専用機を捕獲するか、撃ち落とす計画が明るみに出る。

大統領を暗殺する計画があったとの説明で、木曜夜、チャベスとの連帯

を示そうと大群衆がシャンティタウン(貧民街)から下りてきた。陰謀

とやらの幾つかは引き留められた。大統領の人気を判断するものとみな

される地方選挙と国政選挙が11月にあることから、ボリビアのように

ベネズエラには判然としない選挙前の風潮がある。

失敗したクーデターの専門家、引退したリノ・オヴィエド将軍と武官と

の間の予備的な討論に必要とされるだけと思われるゆえに、パラグアイ

でのクーデターの可能性は見たところさほど重要ではないように思われ

る。それでも、8月以降政権を握っているだけの左翼の元司教フェルナ

ンド・ルゴの政府以来、起こりうるクーデターの話が大陸中に響きわた

っている。ボリビア、「または他のどこのラテンアメリカの国」において

も、クーデターを許容することはないとブラジルはあてつけに宣言した。

もちろん、米国はイラク、アフガニスタン、パキスタンに心を奪われて

いるが、いずれにせよ1月に引き継ぐ大統領候補者が、また彼の未決書

類入れのトップにあるラテンアメリカを見つけるはずだ。

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ボリビアでは、先住民出身のモラレス大統領が、憲法改正による大土地

所有制限と、国民の約6割を占める貧しい先住民への土地の再配分を目

指しており、12月にそのための改憲の是非を問う国民投票が予定され

ている。

これに対し、天然資源に恵まれ、富裕層の多いアンデス山脈以東の平野

部4県の住民が激しく反発。反対派は8月末から、国民投票の中止を求

めて、ストや道路封鎖を展開した。10日にはタリハ県で、反対派によ

ってガスのパイプラインが爆破され、ブラジルへのガス輸出に影響が出

たのに続き、11日には、パンド県で大統領派との間の衝突で8人の死

者が出た。

大統領は8月10日の信任投票で、貧困層を中心に約67%の高い支持

を得て信任され、改憲に向けた弾みをつけた。これに危機感をつのらせ

た反対派が、実力行使で国民投票阻止に乗り出した格好だ。

(時事通信 2008年9月13日)

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■ボリビアの反対勢力のハートランド■ BBC News

14 September 2008 by Daniel Schweimler

彼らはボリビア西部サンタクルズ市にある略奪された政府の役所から残

骸を片づけている。

宗教団体が平和を大声で要求して街の中心を行進し、反体勢力の指導者

らが先週衝突が勃発した危機の解決策を見つけるため政府と話し合って

きている。

だが、緊張させるソワソワした平和だ。反対勢力はサンタクルズの空港

への進入路を支配する。乗客は苦労して空港外辺部に進み、道路封鎖を

うまく通り抜けて、そこからタクシーに乗らなければならない。

一定の会合があり、ウワサでもちきりだ。

「政府の戦車がサンタクルズに向かって移動している」とある男が陰謀

の口調で言った。

「市の反対側でずっと銃撃があるんです」と女性がボクに教えた。

壁の落書きがエボ・モラレス大統領の死を要求する。

・秘密の場所

ボクはサンタクルズで政府の使節ガブリエラ・モンタノにインタヴュー

した。彼女は反対勢力から脅されているので、安全措置として秘密の場

所で会うことになった。

彼女の補佐官たちがホテルでボクを拾い、クルマで個人宅まで疾走した。

若干の内密のケータイ電話の会話の後、ボクは中に入るのを許された。

「反対勢力は何ヶ月も、サンタクルズで政府の威信を失墜させるキャン

ペーンに取り組んできています。」と彼女は言った。

そのせいで、通りで権限のない人たちが証明書調べを要求し、人びとを

たたきのめすのに出くわしても驚かなかったと彼女は付け加えた。

その地域に権限を回復するのが政府の目的だったと彼女は言った。

よく地域を代表して口をきき、中央政府からの大自治権のための活動に

味方する、選ばれてもいないビジネスマングループ、サンタクルズ市民

委員会にモンタノは断固として責任を負わせる。

・市の正反対の人びと

ラテンアメリカで、サンタクルズは最も急成長した都市のひとつだ。

市の石油と天然ガスの富がピカピカのオフィス街と通りに並ぶ豪華なシ

ョップに金を融通する。

多くがヨーロッパの子孫の人口は、ピックアップやバンなど 4x4sを乗り

回しデザイナーブランドの現代的な服を着る。

だが、サンタクルズのあるコーナーには、もう一面のボリビアをまった

く思い出させる人、不毛な土地でいまも伝統的な服を着て細々と生計を

立てる貧しいボリビア先住民がいる。

プラン3000は、仕事を探して国の西部からやってきた人びとの多く

が定住しているところだ。

そこの通りは舗装されておらず、カラフルなショールで赤ちゃんをくる

んで運ぶ女性たちが暗闇で覆われた市場で豆やコーンを用意する。そし

てモラレス大統領を支持するポスターや落書きがその壁を飾る。

大統領反対派支持者らによって略奪された政府の先住民権利局で働くマ

リア・サヴァイアは、常にサンタクルズを支配してきたのと同じ、政府

に圧力をかける一握りの閥(寡頭政治グループ)が攻撃の背後にいると

彼女は信じると言った。

「問題は土地です、彼らは自分たちの土地のどれも手放したがらないの

で、私たちの権利を求める戦いは続くでしょう。」と彼女は言った。

・反ヨーロッパ人差別

カルロス・ダブドーブは反対派勢力のリーダーのひとり。

中央政府と州政府との関係は破られたと彼は言った。

彼は断固としてモラレス大統領のもとに責任を負わせる。

「彼は大自治権を支持するこの州の民主的投票を尊重するのを拒む」と

彼は言った。

サンタクルズの住人マリテ・シュミッターは、彼らの先祖がヨーロッパ

人のせいで彼女とその友人らは差別されたと感じたと言った。

「彼らは私の髪のブロンドを見るなり、どこの出身か証明するのに私に

身分証を求める」と彼女は付け加えた。

「私はサンタクルズ出身のボリビア人よ。」

仕事が不公平に先住民労働者に与えられたと彼女は言った。

先週あったような、十数人の死者を出した暴力が勃発する前、ボリビア

の大部分の人間が時間の問題だと言っていた。

・分極化した国

エボ・モラレスと国の西にある山岳の先住民社会にまじる彼の支持者と、

ムシムシ暑い石油とガスでリッチな東との分裂は、2006年1月に大

統領が政権に就いてからほぼ日決めで広がってきている。

モラレス大統領は反対派勢力のリーダーらと話してきており、ある同意

に達していると言う。

だが、彼はまた、ボリビア憲法を根本的に変えるための計画を前に押し

すすめる、そして先住民の大きな社会に大発言力を与え、大土地所有者

にそれを持てなくする土地改革プログラムを実施するとも言った。

12月7日に予定される憲法改正に関する国民投票に先だって緊張は必

然的に増すはずだ。

サンタクルズのルーベン・コスタス知事は、ボリビア東部で政府が支配

を再確立しようとするとき、反対勢力の支持者がひとりでも死んだら、

会談は終わりだと言った。

月曜、ボリビアの危機に対して外交的解決を見つけ出す手助けをしよう

と、南米の指導者らがチリに集まっている。だが、2つの側にはあまり

にも見解の一致点(共通基盤)がないために、取り扱うことはほとんど

ない。


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