■西洋の教訓はどこへ行ったのだろう?■ ICH 2 January 2009

by ポール・クレイグ・ロバーツ

行く年の最後の日に二人のイスラエル人、イスラエルの平和運動 ICAHD

を率いるジェフ・ハルパーと、ベングリオン大学の政治と政府分野の学部

長ネーヴ・ゴードンは、「ガザの大学の爆撃に関して大学の憤激はどこに

いったのか?」と尋ねた。

( http://www.counterpunch.org gordon12312008.html )

「2007年9月、イスラエルの大学をボイコットするイギリスの大学人

による奮闘を顕著に糾弾した、アメリカの専門学校と大学のほぼ450人

の学長の誰一人として今週初めのガザのイスラム教大学のイスラエルの

爆撃に反対する声を上げてきていません」とハルパーとゴードンは報告し

た。過去に、イスラム教の代表者を無知から起こる恥知らずにも侮辱した

コロンビア大学のリー・C・ボリンガー学長が「沈黙を守ったまま」であ

ることに二人は特に言及する。

沈黙を守るのはユダヤ人ではなく、ユダヤ教の戒律を守らないユダヤ人モ

ラリスト(人間の生き方や人間性を探り批評する)である。パレスチナ人

に対するイスラエルの力の濫用について報道を提供するのは、ユダヤ教の

戒律を守らないユダヤ人のメディアではなく、イスラエルの新聞ハーアレ

ツだ。ギデオン・レヴィの「隣の弱い者いじめがまた急襲」はユダヤ教の

戒律を守らないユダヤ人の報道機関ではなくて、12月29日付ハーアレ

ツ紙に掲載された。「今度もまた、彼らには正当性があるにせよ、イスラ

エルの正当な理由のないレスポンスは、程度の限界を超え、慈悲と人道に

かなった国際法と懸命な態度のレッドラインことごとくを超える」とのレ

ヴィの言葉は、アメリカの印刷物や TVメディアではお目にかかれない言

葉である。イスラエルの新聞で印刷されたそのような言葉は、ユダヤ教の

戒律を守らないユダヤ人には決して届かない。

アメリカ人の無知の程度にはハラハラさせられる。イスラエルはガザとヨ

ルダン川西岸として知られる、きつく管理されたゲットーにパレスチナ人

を無理やり押し込んできている。エジプトのおかげで、イスラエルは食糧、

医薬品、水、燃料のガザへの流入を支配する。ガザのパレスチナ人はイス

ラエルやエジプトに入るのが許されない。先週、食糧と医薬品を積んだ人

道的な船がイスラエルの小砲艦に激突されて追い返された。

西岸のパレスチナ人は、彼らの畑や仕事、メディカルケア、教育、水から

壁で隔てられ、終わりの見えない検問所と「ユダヤ人専用」道路、防護壁、

有刺鉄線、マシンガンを構えた見張り塔によって互いから隔てられる。パ

レスチナ人は自分の町から家ごとに街区ごとに追い立てられてきている。

イスラエルのパレスチナからの緩慢な窃盗は、国際法のもと違法ではあっ

ても、アメリカの「外交」によって擁護される。

ナチ国家にとってワルシャワのゲットーのユダヤ人が脅威でないと同様

に、イスラエルにとってパレスチナ人は脅威ではない。なのに、アメリカ

議会、行政府、印刷メディアと TVメディア、大学、福音主義キリスト教

協会のいたるところで、イスラエルがパレスチナ人テロリストによって全

滅寸前であるとの信念がある。イスラエルロビーによって非常に慎重に教

化されるこの無知が、大量虐殺の理由のない侵略を自衛に言い換える。

それはアメリカ人をかついで夢中にさせるが、イスラエル人を夢中にさせ

たりしない。「自衛」とはシオニストの領土拡大という政策のための仮面

だとイスラエル人は常に承知してきている。この政策はイスラエル内で論

議を呼んでいる。ちょうど多くのアメリカ人がブッシュ大統領の違法な戦

争とアメリカの市民的自由に関する基本的人権の侵害に反対するように、

多くのイスラエル人が反対する。多くのイスラエル人が彼らの道徳上の良

心を口に出すが、彼らは既得権益占有階層によってくじかれる。

道徳体系は既得権益占有階級のための単なる仮面にすぎないとカール・マ

ルクスは宣言した。マルクスとエンゲルスの著作は好意(親善)と道徳

上の観念を歴史における事実上の兵力として軽蔑する。イスラエル国家は

パワーだけが事実上の兵力とのマルクスの教義の縮図である。

保守的なアメリカ人の多くがイスラエル国家のパワーの効力の確信を共

有する。アメリカは情け容赦のなさが十分でなかったので、保守主義者は

ブッシュの戦争に嫌悪を抱いた。ファンが負けてるチームを見捨てる状態

で、彼らはブッシュの長期の決定的でない戦争を顧みなかった。

「ペンは剣より強し」とアメリカ人はよく言ってきたものだが、アメリカ

とイスラエルの正統な理由なき侵略の場合はこれではなかった。全住民に

恐怖を徐々に教え込んできた二つの政権の上首尾は、いわば道徳体系の無

力の釈明だ。既得権益占有階層が道徳体系に強力な制約だというのがもう

ひとつの説明の一部だ。

リー・ボーリンガーの場合をよく考えてみてくれ。コロンビア大学はユダ

ヤ人の金と教授陣と学生に依存している。もしボーリンガーがイスラエル

のパレスチナ人虐待に対し断固とした態度をとったなら、彼は反ユダヤ主

義者として糾弾されることになっただろう。商売がたきの大学の学長らが

彼を擁護するはずもなかった。彼らはコロンビアのトップの教授陣と学生

をリクルートする期待に群がり進むだろうし、財源の流れをコロンビアか

ら自分たちの大学へ向け直すことだろう。

イスラエルのパレスチナ人虐待に断固とした態度をとったアメリカの新

聞または TV局は、AIPACによって組織化される広告ボイコットに対峙さ

せられることになる。イスラエル批判をするアメリカの政治家はイスラエ

ルロビーの金によって打ち負かされる。

ヘーゲルはあまりにも観念を強調しすぎ、マルクスはあまりにも物質的関

心事を強調しすぎる。両方の力が世界で作用する。歴史では革命的な観念

が物質的関心事を打ち砕く時代がある。残りはこの二つが力のバランスで

共存する時代だ。もうひとつ物質的関心事が道徳体系にまさる時代だ。

私たちは後者の時代に生きている。財政上の利益と軍事警備複合体とイス

ラエルロビーがアメリカを統治する権力だ。ネオコンとキリスト教徒のシ

オニスト(国家統一のためにユダヤ人のパレスチナ復帰をめざすユダヤ民

族運動)と、アメリカが世界で有効な積極的役割を果たす主要勢力だとの

愛国的うぬぼれによって、それらは支持される。アメリカが犯す悪事は善

なるものの恩恵に不可欠として却下される。たとえば、イラクの破壊は「イ

ラク国民に自由と民主主義をもたらす」として正当化される。

自分自身を含め、多くのコメンテーターがアメリカの経済的パワーの衰え

を予測する。これが起こるとイスラエルは国の暴力による威嚇の方針を断

念せざるを得なくなるだろう。国の方針が助長してきた、つのった憎しみ

で、イスラエルは攻撃されやすくなるはずだ。

イスラエルはユダヤ人国家だが、多くのユダヤ人が好ましく思わない、異

議の余地を見いだす国の方針であることを世界は憶えておくべきだ。ちょ

うどアメリカの大多数のユダヤ人が中東でのブッシュの侵略戦争と自国

の憲法違反の政策に反対するようにだ。アメリカ国民をブッシュ政権の戦

争犯罪人と混同してはならないように、私たちはイスラエルのシオニスト

政府を世界のユダヤ人と混同してはならない。

あなた方の市民的自由であなたが信頼するのは誰かをよく考えてくれ、ア

メリカ司法省か、それとも ACLUのユダヤ人弁護士の同志の集まりか?

ヒットラーの責任はドイツ人にあると責めたことで犯した過ちを私たち

は避けねばならない。ヒットラーを排除しようとしたのは貴族政治を支持

する排他的なドイツ軍だった。対照的に、民主党の下院議長ナンシー・ペ

ロシはジョージ・W・ブッシュとディック・チェイニーを弾劾する試みを

妨害した。ペロシはカリフォルニアのつらよごしだが、ペロシの戦争犯罪

人の擁護の責任はアメリカ全部にあると私たちは責めるだろうか?

デニス・クシニッチ下院議員が勇敢にも議場で弾劾の条項を音読したとき、

なぜそれができない?

クシニッチが首尾よくいかなかったせいで、 アメリカ人のすべてが気が

とがめたりする?

▲ポール・クレイグ・ロバーツは、一期目のレーガン政権で財務省次官補

だった。彼はウオールストリートジャーナル紙社説の准編集員でナショナ

ルレヴュー誌の寄稿編集員だった。戦略国際研究センター、ジョージタウ

ン大学、フーバー協会、スタンフォード大学などを含める、彼は非常に多

くのアカデミックな役職を占めてきている。彼はフランスのフランソワ・

ミッテラン大統領によってレジョンドヌール勲章を授与された。共著に

「 The Tyranny of Good Intentions」がある。

ポール・クレイグ・ロバーツは、20年間におよぶショッキングな検察官

の悪弊(職権濫用)の事件を報告してきている。


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