■種をまくことと報い:ガザについてマルコス副司令官のスピーチ

6 January 2009

二日前、私たちが暴力によるおどしについて論議したと同じ日、言語に絶

するアメリカのコンドリーザ・ライス国務長官が、その暴力的な気質によ

り、ガザで起きてることはパレスチナ人の責任だと言明した。

世界を交差する地下水の流れは地形を変えることがあるが、彼らは同じこ

とを繰り返す。

そしていま私たちが聞くのは同一の戦争と苦痛である。

ここから遠くない、ほんの隣の、中東パレスチナのガザという地で、イス

ラエル政府のきびしく鍛えられた軍隊が死と破壊の進軍を続ける。

起こした行動は征服という伝統的な軍の戦争のそれである:まず「戦略

的」軍事拠点を破壊するのとレジスタンス(抵抗運動)の強化を「弱める」

ための激しい大量爆撃(軍のマニュアルにある通りのこと);次に猛烈な

情報コントロール:軍事行動の舞台外、「外の世界」で聞いたり見たりす

ることすべてが軍の判断基準で選別されなければならない;さて、新たな

局面へと進撃する軍を擁護するため敵の歩兵に激しい大砲を発射する;そ

して敵の守備隊を弱体化させるため包囲する;それから陣地を攻略して敵

を全滅させる急襲、そうしてもっともらしい「レジスタンスの巣」の「一

掃」だ。

幾つかのヴァリエーションと追加のある近代戦争の軍事マニュアルは、侵

略軍によって着々と跡を継がれる。

私たちはこれについてよく知らない、そしていわゆる「中東戦争」にはも

ちろんスペシャリストがいる、だがこの人目につかない辺鄙な場所から私

たちには言いたいことがある:

ニュースの写真によると、イスラエル政府の空軍によって破壊された「戦

略的」拠点は、民家、ぼろ屋、一般市民のビルである。私たちは瓦礫のな

かに、たったひとつのバンカー(隠れが、掩蔽壕)も兵舎も軍の滑走路も

大砲も検分してきていない。つまり(私たちの無知をお許しを)、爆撃機

が目標を誤ったか、ガザにそのような「戦略的」軍事拠点が存在しないか

だと、私たちは考える。

パレスチナを訪れるという光栄を私たちは一度も有していないが、兵士で

なく、人びと、男性、女性、子ども、かなりの年配者たちが、あの家屋、

あのぼろ屋、あのビルで暮らしていたのだろうと私たちは考える。

瓦礫だけで、私たちはレジスタンスの強化にも遭遇してきていない。

しかしながら、情報の包囲という役に立たない努力と、世界の政府が侵略

を無視するか是認を表明するかのあいだでなんとか決着しようとするの

に、そしてかつて停戦に役立たずだった国連が気が入らない記者発表を出

すのに、私たちは遭遇してきている。

だが待ってくれ。ことによるとイスラエル政府には、あの男性、女性、子

ども、かなりの年配者が敵の兵士であり、彼らが住んでいたぼろ屋、家屋、

ビルが破壊しなければならない兵舎なのかもしれないと、私たちはふと思

った。

では、今朝ガザに降った弾丸の雨あられはきっと(もちろん)、あの男性、

女性、子ども、かなりの年配者からイスラエルの歩兵連隊の進軍を守るた

めのものだった。

そしてガザ全体に展開する包囲でもって弱めたかった敵の守備隊は、そこ

に暮らすパレスチナの全住民だ。そして急襲はその全住民を全滅させよう

とするものだ。そして予言できたすさまじい急襲からなんとか逃れるか隠

れようとする男性、女性、子ども、かなりの年配者いずれもが、後で「狩

り立てられ」て、浄化は完了、軍事行動を担当している司令官らは上官に

「任務は完了しました」と報告ができる。

また、私たちが言ってることは見当違いかもしれない、無知をお許しを。

進行中の犯罪をとがめる代わりに、その土地特有の先住民で戦士である私

たちは、それを始めたのは「シオニズム」か「反ユダヤ主義」か、あるい

はハマスのロケット弾か、について論議しているべきであり、論議で立場

を取っているべきなのだ。

私たちの考え方はたぶん非常に単純かもしれないし、常に分析にひどく欠

かせないニュアンスや注釈に欠けているが、サパティスタには、プロの軍

隊が無防備の全住民を殺しているように見える。

下の者から左派まで誰が黙ったままでいられようか?

なにか言うことは有効か?私たちの叫び、大声が爆弾一発でも止めるか?

私たちの言葉がパレスチナ人ひとりの命でも救うか?

そうとも、有効だと私たちは考える。たぶん私たちは爆弾一発止めやしな

いし薬莢の土台に「 IMI」とか「イスラエル軍事産業」の文字が刻まれた

5.56ミリや9ミリ口径の弾丸が少女少年の胸に当たらないようにする

ため、私たちの言葉が装甲のシールドになることはないかもしれないが、

ことによると私たちの言葉はメキシコや世界の他の人たちが参加する社会

的勢力(影響力)にうまくなって、最初はつぶやきのように聞こえたのが

大声となり、その後にはガザで彼らが聞く絶叫になるかもしれない。

私たちはあなた方について知らないが、私たちは EZLN(サパティスタ民

族解放軍)のサパティスタ、破壊と死のまん中で励ましの言葉を聞くこと

がいかに重要かを私たちはよく知っている。

どう表現するか私にはわからないが、遠くからの言葉は爆弾を止めないか

もしれないが、あたかも死という暗闇の部屋のひび割れが大きくなって一

筋の光線がすべりこむように、結局有効だとわかる。

他はどうかといえば、すべて起こるべきことが起こるだろう。イスラエル

国民から第一級の大殺戮を隠して、イスラエル政府はテロリズムに対し容

赦ない一撃を加えたと宣言するだろう、大兵器製造業者は危機直面で経済

支援を手に入れていることだろうし、常に流行している人に影響されやす

い存在の「グローバルな世論」は顔をそむけ、すたれるだろう。

だが、それだけではない。パレスチナの人びとはまた抵抗して生き残り、

戦いを続けるだろうし、彼らの大義の故に、下の人びとから同情され共感

を持たれ続けるだろう。

そうしてことによると、ガザの少年少女たちもまた生き延びる。ことによ

ると、彼らは成長して、度胸と憤りと激しさを増すだろう。ことによると

彼らはパレスチナで苦闘するグループのひとつの兵士または民兵になる

だろう。ことによると、彼らはイスラエルとの戦闘に適所を得る。ことに

よると、彼らは銃を撃っている。ことによると、ダイナマイトのベルトを

腹に巻いて自分を犠牲にする。

そうして、天国から、彼らはパレスチナ人の暴力的な気質について書き、

その暴力性をとがめる声明文を出して、シオニズムか反ユダヤ主義かの論

議に戻るのだろう。

そして、報いを受けることになる種をまいたのが一体誰なのか、誰も尋ね

ようとしない。

サパティスタ民族解放軍の男性、女性、子ども、かなりの年配者のために

反政府運動集団マルコス副司令官 メキシコにて 4 January 2009

http://mywordismyweapon.blogspot.com/2009/01/of-sowing-

and-harvests-subcomandante.html

▲サパティスタ民族解放軍は、メキシコ最貧の州チアパスを中心として活

動する反政府運動組織である。単にサパティスタと呼ばれることも多い。

サパティスタは、チアパスの貧しい先住民のカンペシーノ(農民たち)を

主体に組織されているが、その支援者はメキシコ都市部の知識層にまで幅

広く存在すると共に、いち早くネットを活用して世界に呼びかけたことか

ら、ウェブサイトでも世界的な支援を受けている。特に、そのスマートさ

からマルコス副司令官はカリスマ的人気を誇る。


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