■チェイニーの任務完了■ ICH 17 March 2009

by ホアン・コール

ディック・チェイニー：「イラクと結果に関して、私の大まかな感じでは

ほぼ６年間、私たちが着手したほとんどすべてのことを完了してきている

と思うね .....」

ディック・チェイニーが実際にイラクで完了してきていることとは？

・イラク人２７００万のうち、推定４００万人が自宅から退去させられて

きており、ホームレスになっている。２７０万人はイラク国内で流民とな

る。数十万人がヨルダンで長いこと待たされている。そして、おそらく、

１００万人があっけなく金を使い果たして、しばしばシリアでみじめな境

遇のなか暮らしている。チェイニーの戦争はイラク人の約１５％を国内ま

たは海外でホームレス状態に放置する。それはまるで自宅から追放された

４５００万人のアメリカ人ってわけさ。

  ・２００３年の侵攻とその余波の結果いったい何人のイラク人が死んだ

かが議論の的となる。だが、２０００年の時点の私たちの予想範囲外の死

者１００万人というのが私にはまったく妥当に思える。犠牲は確かに甚大

だ。チェイニーがそのすべてを殺したのではなかった。２００３年以降す

べての非業の死の三分の一にアメリカは直接責任があったとランセット

の調査が説明した。私たちが殺したのは３０万人ということになる。残り

は、私たちが侵略によって彼らの死の手はずを整えただけ。

・バグダッドは、２００３年に人口の約半分がシーア派でもうあと半分が

スンニ派の混合都市から、スンニ派の人口が１０〜１５％ほどのシーア派

の都市に変わってきている。スンニ派の見るところ、チェイニーの戦争は

長いあいだ汎アラブ・反帝国主義のシンボルだったイラクの首都のシーア

派（とイラン人）の支配権取得に帰する。

・イラクの選挙ではイランと密接に同盟するシーア派原理主義者の政党

が勢力を得た。議会の主要政党イラク最高評議会は１９８２年テヘランで

アヤトラ・ホメイニのたっての頼みで国外に追放されたイラク人によって

創設された。イスラム教伝道のダーワ党はイスラム国家のために働く最も

古いイデオロギーのシーア派政党だ。ダーワ党は１９８０年代前半にベイ

ルートでヒズボラを組織するのを助けた。２００５年以降選出される両方

の首相をその党が占める。文明化された立法府がイスラム法に違反する法

案を可決するのを禁じる憲法を原理主義者のシーア派が作った。意見を異

にする反体制の人々は新しいイラク政府をイラン人の操り人形だと非難

してきている。

・アラブ人とクルド人の暴力による脅威が北で急上昇しており、シリア、

トルコ、イランは言うまでもなく、オバマの撤退計画を、いやそれどころ

かイラク全体を危険にさらしている。

・あまたのイラク人女性が戦争とその余波で未亡人になってきており、大

部分が支援の手段なしのまま放置されてきている。イラクの未亡人は多く

の場合、飲料水や電気を利用する手段がない。

・イラク再建に３２０億ドルがムダに使われて、その大部分が何に使われ

たかたどることもできない。繰り返す、誰がそれを盗んだか私たちが必ず

確かにすることもできないような状態で、チェイニーは匿名の親友どもに

３２０億ドルを分配した。それなのに、あなた方は４億ドルのボーナス！

で AIGに怒っている。私たちが話してるのは褐色の紙袋に入れて配られた

３２０億ドルのことだ。

・イラク軍がかかわりをもつのをひどく嫌う、派閥抗争と復讐を表すとも

いえる、地方の殺人率が大急騰するイラクでは、政治権力が細分化されて

いる。

・イラク経済は打ちのめされる、そして新政府の官僚主義と内ゲバが投資

家たちを誘致するのを難しくさせてきている。

・ブッシュ・チェイニーの侵略は地中海東部をさらに不安定にするのを助

長して、クルド人のナショナリズムに影響をおよぼし、トルコをこわがら

せる。

チェイニーは彼が引き起こしてきた宇宙規模のありとあらゆる人間の難

儀に言及するのを避ける。そして（この国の２０００年の規定の事実、彼

が民主主義と混同する）選挙のような手続き上の事項に焦点を合わせる。

あるいは彼は、イラクにおけるイランの威力はさまたげられたと言うとき

のように、ウソをつく。他に、ちょうどイラク人に対抗したように米国は

イラクでアルカイダと戦っていたというウソがあった。彼らが、イラク人

女性の暮らしをましにしたとまで、彼とブッシュは公言する。

本当の問題は、人道に反する犯罪と反逆罪でチェイニーを告発するガッツ

があるやつがいるかどうかだ。

▲ホアン・コールはミシガン大学で中東史と南アジア史を教える。彼の最

新本「ナポレオンのエジプト：中東を侵略（ニューヨーク、ポールグレー

ヴマクミラン、２００７年）」が出版されている。彼は中東問題の解説者

として TV、ラジオ、署名入り記事で、すこぶるよく見かける。そして

Salon.comに定例のコラムがある。彼は１４冊の本を書いたり、編集し

たり、翻訳してきており、６０本の定期刊行物の記事を書いてきている。

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