ベネズエラのチャヴェス大統領の信任を問うリコール投票は罷免に反対
する国民が499万票(58%)と賛成の357万票(42%)を上回
り、チャヴェスが任期満了まで大統領を務めることが決まった。投票の
当日には一部で暴力騒ぎがあり、カラカスの大統領支持派の地区で女性
一人が死亡、数人が負傷している。
反対派は、予想通り、即座に投票結果はイカサマだと主張してチャヴェ
スを排除するまであきらめない意向を示した。
ほとんどのメディアに抜け落ちているのが、今回の国民投票に発展する
大統領支持派と反対派の対立の影に隠れる本当の問題点、立憲政治を支
持するのか、それとも暗殺未遂を含むクーデターやサボタージュといっ
たアメリカが影で糸を引く違法手段を許すのかという対立軸だ。これは
世界のトップ記事に値する大ニュースである。
ジョージ・W・ブッシュに比べれば、1998年の民主主義に則った大
統領選で地滑り的勝利を収めたチャヴェスは、はるかに正当な大統領と
言える。一方の反対派は、これまでにさまざまな非合法活動を行ってき
ている。2002年4月のクーデター未遂事件。米国民主主義基金など
おなじみの組織がクーデターを起こしたグループを支援、チャヴェス反
対キャンペーンをはったベネズエラの民間メディアの多くがこれを支持
してニセの「チャベス辞任」情報を流したりした。(詳しくはバックナ
ンバー No.28 を参照して下さい)
米国の一部の「民主主義」団体が、チャヴェスに向かって「国民投票を
行ない民意を問うように」述べていたが、57%近い得票を得て大統領
になった人物に、クーデターやサボタージュを繰り返す反対派の意向を
考慮して憲法規定にない時期に「国民投票を」と言うのも、考えてみれ
ば奇妙なことだった。
結局、いずれの非合法活動にも失敗した反対派が、大統領任期半ばを過
ぎたところで、一定数の請願があれば大統領の罷免を求める国民投票を
行うことができるという世界でもユニークなこの国の憲法規定を利用し
て、署名活動を行い、今回の国民投票に至ったわけだ。
日本のメディアには、国民投票の実施を求めた反対派の中に2002年
のクーデターやその後のサボタージュに関与した勢力が含まれていると
いう言及は皆無だった。富裕層や経済界、チャヴェスの改革で損失をこ
うむった人々が主導する反対派が最も気にしているのは、チャヴェスが
これまでの寡頭政治体制を切り崩し、貧困層を含むベネズエラ国民への
福祉・医療・教育を強化する政策を採ったことだった。

▼ベネズエラのフロリダ化 ▼by グレッグ・パラスト
ZNet 11 August 2004

フロリダを片づけたギャングが日曜、カラカスで票を不正工作

ウゴ・チャヴェスはブッシュを狂気に追いやる。それは嫉妬かもしれな
い。ブッシュと違い、チャヴェスはベネズエラで過半数の票を得て大統
領に就任した。

あるいは石油かもしれない。ベネズエラはイラクに匹敵する石油埋蔵量
の頂点にある。そして原油を汲み出す米英の石油会社が16%以上の採
掘権を彼の国に支払うべきだとウゴは考える。おい、ニューヨークでデ
ィナーを食べたときのチップ、16%など全く容認できないというわけ
だ。

それがなんであれ、私たちアメリカの大統領はベネズエラの大統領は排
除されるべきだと決めている。チャヴェスがベネズエラの貧しい人々に
支持されているとすれば、これは容易なことではない。そして、地元の
寡頭政治の支配者と結託した合衆国の石油産業はベネズエラの大多数の
人々が結局は貧乏となる手段を講じてきている。

その結果、チャヴェスは8月15日のリコール投票で勝つことが予想さ
れる。投票が自由で公正なものとすればだ。

数カ月前に誰かが私のところにファクスを送ってきた。ジョン・アシュ
クロフトの司法省と、アトランタのチョイスポイント社という会社との
契約に関するマル秘の書類らしきものを。その密約は対テロ戦争の一部
なのである。

6ヶ国の市民全員の個人情報を用いてコンピュータでその輪郭を描くの
に、司法省は納税者の金から6700万ドルを入札なしの契約でこのチ
ョイスポイント社に捧げた。密かに調査するのにどこの国の市民を選ぶ
かが私の目を引いた。対テロ戦争の一部のはずが、9月11日のハイジ
ャッカーたちはサウジアラビア、エジプト、レバノン、アラブ首長国連
邦からやって来たのに、チョイスポイント社のメニューにあるのはベネ
ズエラ人、ブラジル人、ニカラグア人、メキシコ人、アルゼンチン人に
ついての記録だった。なんておかしなことだろう。メキシコ料理、チリ
ソースをかけたエンチラダ(ひき肉を載せて巻く)に爆発物を仕掛けて
自爆タンゴダンサーたちが国境を越えてこそこそ忍び込むラテン版の筋
書きをCIAは発見したとでもいうのかい?

9月11日の攻撃に関係ないことを除き、これらの国々に共通するのは
何か?偶然にも、各国が大きな選挙戦と必死で取り組んでいる。そこで
首位に立つ候補者たち、ブラジルのルラ・イグナシオ・ダ・シルヴァ、
アルゼンチンのネストル・キルシュネル、メキシコ・シティ市長アンド
レス・ロペス・オブラドル、ベネズエラのチャヴェスが、勇気を出して
ジョージ・W・ブッシュのグローバル化要求に挑戦していた。

この前、チョイスポイント社が有権者のファイルを私たちの政府に売っ
たのは、ジェブ・ブッシュ州知事がフロリダの有権者名簿について悪党
を見つけて示し、パージするのを助けるためだった。チョイスポイント
社の悪党とは、結局、単に投票する黒人というだけで有罪の民主党員だ
ったことがわかる。このエラーがアル・ゴアのホワイトハウスを犠牲に
させたのだ。ブッシュ政権はどうやらフロリダの見世物ツアーを国境の
南でも興行しているようだった。

しかしながら、チョイスポイント社が市民のファイルを持っているのを
メキシコが発見したとき、政府は刑事告発すると会社の重役どもを脅し
た。チョイスポイント社は無罪だと抗議して、要求する国のファイルは
どれも破棄すると申し出た。

だが、チョイスポイント社は明らかにベネズエラのチャベス政府にはそ
のような申し出を提供していない。

カラカスで私は、チョイスポイント・アッシュクロフト合意をニコラス
・マドゥロ議員に見せた。チャベスの政党の党首であるマドゥロは、ベ
ネズエラ市民のファイルが合衆国の諜報機関に売りに出たのを知らなか
った。だが、それが水を差すのに価値あることを彼は理解した。

もしこのリストが何らかの方法でベネズエラの反対派の手に渡ったら、
チャヴェスをリコールして排除するためのコンピュータに支援された流
れを計り知れないほど助けることになる。そんな風にリストを使っては
いないとブッシュ政権が会社に語ったとチョイスポイントの宣伝係は言
った。彼らがそう言ったときブッシュの奇人たちが笑っていたかどうか
このPRマンは言わなかった。

政府からチャヴェス・リコールの組織者たちに5万3000ドルの支払
いがあったのを私たちのチームが突きとめた。抵抗する者たちのコンピ
ュータ・リストで武装していると彼らは主張する。そんなリストをどう
やって手に入れたのか?意図的か否か、チョイスポイント社の手助けで
フロリダで実践された不正工作は、ベネズエラ向けに再編成されるのが
はっきりしてくる。そうしてこの先、ブラジル、メキシコ、そして他に
どの国で使われるかは誰も知らない。

こういうことだ。司法省はサウジアラビアから注視をそらすが、ベネズ
エラで有権者の記録を万引きする。ということで、こう問うのがフェア
というものだ。ブッシュの戦いは、「対テロ戦争」か、それとも「対民
主主義戦争」か?

▼愛してるよ、図書館の司書夫人▼ by カート・ヴォネガット
06 August 2004

大部分の人が見てるように、私もマイケル・ムーアの「華氏911」を
見ている。映画のタイトルはレイ・ブラッドベリのすばらしい SF 小説
「華氏451」のパロディだ。ついでながら、華氏451という温度は
本が成り立つ紙の燃える発火点。ブラッドベリの小説の主人公は本を燃
やすのが仕事の市の労働者だった。

そして本を燃やすことについて。体力や強力な政治的コネクションや冨
とかではたいしたことない図書館員に祝辞を述べたい。全米の図書館員
たちは書棚からある特定の本を取り除こうとしている反民主的な弱い者
いじめの暴漢どもに水も漏らさぬ抵抗を示している。そしてそのような
本を借りてる人物の名を思想警察に明かすのを拒んでいる。

そういうわけで私の愛したアメリカはまだ存在する、ホワイトハウスや
最高裁、上院、下院、メディアにはないとしても。私の愛したアメリカ
は公立図書館の受付に存在する。

なお本に関して。私たちの毎日のニュースソース、新聞、TVはあまり
にも臆病、アメリカ人を代表するにはあまりにも油断していて情報価値
がない、そこで実際に起きてることを発見できるのは本だけになる。例
を引用しよう。クレイグ・アンガーの著書「House of Bush, House of
Saud 」はこの恥ずべき血に染まった屈辱的な年の冒頭に出版された。

あなたが気づいていないといけないので、何万人ものアフリカ系アメリ
カ人が勝手に選挙権を剥奪されたフロリダの恥知らずにも不正手段で操
った選挙の結果として、ひどく強力な武器と反対する者のないせいで、
人を見下し、にたにた笑い、顎を突き出した、無慈悲な戦争愛好者だと
私たちはいま残りの世界に自己紹介している。

気づいていないといけないので、私たちはいま、ナチと同じくらい世界
中から恐れられ嫌われていた。 それにふさわしい理由のせいで。

気づいていないといけないので、選挙で選ばれてないわが指導者たちは
単純に宗教と人種のせいで何百万もの人間から人間性を奪っている。私
たちはやりたい放題、彼らを傷つけて殺し、彼らを拷問して拘束する。

やさしくて愉快な仕事。

気づいていないといけないので、宗教や人種のせいでなく、社会的階級
の低さのせいで、私たちはまた兵士の人間性をも奪っている。

連中をどこだろうと送り出せ。どんなことでもさせろ。

やさしい仕事。

ビル・オライリー的要素。

やさしい仕事。

だから、図書館員と、君が読んでるシカゴを拠点にする雑誌「In These
Times 」を除いては、私は国のない男だ。

イラクを攻撃する前、威厳のあるニューヨークタイムズ紙は大量破壊兵
器があると請け合った。

アルバート・アインシュタインとマーク・トゥエインは人生の終わりに
人類に見切りをつけた。マーク・トゥエインが第一次世界大戦を見ずに
すんだと言えどもだ。戦争は今やTVの娯楽の雛形だ。第一次世界大戦
を特におもしろくさせたのはアメリカの2つの発明品、有刺鉄線とマシ
ンガンである。榴散弾(シュラプネル)はシュラプネルという名のイギ
リス人が発明した。自分にちなんで名前が付けられるものがあるなんて
いいなと思うんじゃない?

紛れもない自分よりすぐれた人たち、アインシュタインとマーク・トゥ
エインのように、私も人に見切りをつけたくなる。そしてわかってる方
もいるかもしれない、無慈悲な戦争マシーンに私が降服するのはこれが
最初ではない。

最期の言葉?「ネズミ一匹でも、動物を虐待する人生はダメだ」

ナパーム弾はハーヴァードで造られた。本当だよ!

私たちの大統領がキリスト教徒?アドルフ・ヒットラーもそうだった。

良心がなく、同情心とか羞恥心のない人たちのことを言う、精神病質人
格者たちが政府と企業の財産である金を奪って、全部自分たちのものに
してしまう昨今、若い人々になんと言えばいいんだい?