カート・ヴォネガットの息子、マーク・ヴォネガットは、戦争と
平和について父が書いたものをまとめた「追憶のハルマゲドン」
の序文"はじめに"でこう書いている:イラク戦争が起きるまで、
そして人生最後の日を迎えるまで、父が心から憂鬱になったこと
はなかった。

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■ファルージャでのガン発症率はヒロシマよりいっそう悪い事態■
World Socialist Web Site 23 July 2010 by Tom Eley

イラクの都市ファルージャは、2004年後期、アメリカの激しい
軍事攻撃の恐ろしい結果を苦しみ続ける。

最新の調査報告「イラク2005−2009、ファルージャのガン、
乳児死亡率、性別出産率」の執筆者によれば、1945年アメリカ
の原爆投下によって日本の都市が燃えて灰と化して何年も後にヒロ
シマとナガサキの生残者の間に記録されたガン、乳児死亡率、性の
突然変異よりずっと高い率をファルージャの住民は経験している。

環境研究と公衆衛生に属する国際的機関誌に掲載する疫学調査報告
も、やはり、隣接する列国の数十倍も大きいファルージャでのこの
事情の有病率を見つけ出す。

バグダッドの西43マイルに位置するファルージャ市内への襲撃は、
私たちの時代の最も恐ろしい戦争犯罪のひとつだった。ウソに基づ
いて始めた新植民地強奪の戦争、米国主導のイラク占領に住民が抵
抗したあと、ワシントンは大部分がスンニー派信徒の街を見せしめ
にしようと決意した。これは「見せしめ」または「集団的」懲罰と
呼ばれ、交戦条例によれば違法だ。

全市民の最新の公衆衛生調査報告が、長い間、そうではないかと疑
ってきたことをほとんど証明する:襲撃に使用される兵器類の高い
割合に劣化ウランが含まれる、効果を増強するため弾丸に放射性物
質を用いた。

2010年1月と2月、711の家屋と4843の個人の調査報告
が行なわれて、作成者のクリス・バズビー、マラク・ハムダン、エ
ンテサール・アリアビと研究員チームは、5年前の米国攻撃以前よ
りガンの割合が4倍に増加していたこと、ファルージャのガンの種
類がヒロシマとナガサキの原爆生残者の間に見いだされるのに類似
していることを見つけ出す。ヒロシマとナガサキの生存者は強烈な
放射性物質の降下により放射能にさらされた。

ファルージャでは白血病の発症率はエジプト、ヨルダン、クウェー
トの住民の38倍、児童期のガンの率は12倍、乳がんは10倍で、
むしろざらにある。また成人のリンパ腫と脳腫瘍の深刻なレベルも
報告される。出産1000件ごとに80件が死産、ファルージャの
乳児死亡率はエジプト、ヨルダンの5倍以上、クウェートの8倍に
なる。

著しく、2005年あとにファルージャで生まれた女の子の割合が
はっきりと増してきている。平均的な住民では女の子1000人ご
とに男の子1050人が生まれる。米国襲撃後の4年間にファルー
ジャで生まれた赤ちゃんの中でその割合は、女の子誕生1000人
ごとに男の子860人に減少した。この変移は、1945年アメリ
カの原爆投下のあとにヒロシマで発見される性別比に類似する。

研究員によれば、男女比における変化のいっそう有望な理由は、重
大な突然変異誘発性の成り行きの影響、おそらく米国の兵器の劣化
ウラン使用だ。男の子がX染色体1つなのに対して女の子は豊富なX
染色体があり、その結果、遺伝子損傷のせいで1個の染色体の損失
に耐えることができる。

「これは異常で、由々しき結果」と、アルスター大学分子生物学教
授で独立した環境調査グループ"Green Audit"の科学研究責任者の
バズビーは言った。「こんな結果を産む前、攻撃がふりかかった
2004年に、かなりの極めて重大な突然変異誘発性の被爆が持ち
上がったに違いない。動因が何だったか、私たちは切実に見つけだ
す必要がある。多くがウラニウムではないかと思うが、さらに進ん
だ調査と領域からのサンプルの偏見のない分析なしでは確信はでき
ない。」

バズビーは、ファルージャの放射能に関連した病気の「異常な」増
加は、1945年米国の原爆投下あとにヒロシマとナガサキの住民
に認められるより高いとイタリアのテレビ放送ニュース局RAI 24
に語った。「私の推測ではこれ劣化ウランによってもたらされた」
と彼は言った。「関連があるに違いない。」

米軍は、鉛の質量が2倍重いために装甲を貫通する砲弾と銃弾に使
用済み核燃料としても知られる劣化ウラン使用する。しかしながら、
これらの砲弾がひとたび攻撃目標を襲うやいなや、ウラニウムの
40パーセントの量が爆発周辺でごく小さな粒子の形をして放出さ
れる。それは幾年もそこに残存することがあり、容易に人間の血液
循環に入り込む、そこでリンパ腺にその本来の状態を宿して影響を
受けた成人の精液と卵子で作るDNAを攻撃する、そして今度は次世
代に重い先天的障害(奇形)を引き起こす。

調査は、ファルージャでの乳児死亡率、先天的障害、ガンの急激な
増加を明らかにする具体的証拠の最初の理路整然とした系統的な裏
づけである。

2009年10月に数人のイラクと英国の医師たちが国連に、市中
の放射能関連の病気の急増への調査追求を要求する手紙を書いた。

「イラク、ファルージャの若い女性たちは、頭がないだの、頭がふ
たつあるだの、額に目がひとつ、身体にうろこがある、手足が欠け
ているだの、グロテスクな奇形で生まれてくるたくさんの乳幼児が
ますます増えるとあって、子どもをもうけることにひどくおびえて
います。加えて、ファルージャの小児は目下のところ恐ろしいガン
であるとか白血病を経験しています... 」

「2009年9月にファルージャの総合病院には170人の新生児
がおり、その24%が最初の7日以内に亡くなりました、死んだ乳
幼児の目の玉が飛び出る75%が、奇形として分類されます。... 」

「ファルージャの医師たちは、彼らが前代未聞の多数の先天的障害
に立ち合っているばかりか、2003年のあとに早産がかなり増し
てきていることを明確に指摘してきています。けれども、それ以上
に由々しいことは、かなりの数の乳幼児が重い障害になり始めるも
っと後の段階より長生きするとファルージャの医師が言っているこ
とです。」

奇形または米軍の戦闘に関連したほかの病気のいかなる急増たりと
も証明する調査報告はひとつもなかったと断言することで、ペンタ
ゴンはこの報告に応酬した。

「本日まで、特定の健康問題になる環境の問題を調査報告は一つも
明らかにしてきていない」と、3月に国防省スポークスマンがBBC
に語った。しかしながら、ワシントンとその操り人形のバグダッド
政権がそれらを封じてきているために、ほとんど調査報告はないの
である。

「ファルージャのガン、乳児死亡率、出産性別比」の執筆者によれ
ば、イラク当局は彼らの調査を廃棄しようと企てた。「アンケート
調査が仕上げられたのちにまもなく、報道によればアンケート調査
はテロリストによって持ち出された、アンケートに応じる者もアン
ケートを管理する者も、だれでもがおそらく逮捕されることになる
とイラクTVが放送する」と調査報告は報告した。

ファルージャ住民に対するアメリカ帝国主義によって犯される残虐
行為の履歴は2003年4月28日に始まった。そのとき地元学校
の米軍基地への転換に抗議する約200人の住民の群衆に向かって
米陸軍兵士が見境なしに発砲した。正当な理由のない攻撃で17人
が殺された、そして翌々日、アメリカ兵は殺害に対する抗議に発砲
して、さらに2人を殺害する。

これが大衆の怒りを激化させて、ファルージャは占領とアメリカの
報復措置に対するスンニー派抵抗運動の中心地になった。2004
年3月31日、怒った群衆が、戦争犯罪の自分の分担に寄与する民
間警備会社"Blackwater USA"の軍用車隊を停止させた。4人の
Blackwaterの傭兵が彼らの車両から引きずり出されて、連打され、
焼かれて、ユーフラテス川にかかる橋からつるされた。

米軍はその時、ある誰とも分からない士官が「キリングフィールド」
になるだろうと言うのと同時に、街をなだめるつもりだと断言した、
だが、2004年5月、数千の海兵隊員を没頭させるVigilant
Resolve(絶えず注意を怠らない不屈の意志)作戦は、結果として
米軍による包囲の放棄に終わった。圧倒的な軍事的優位に対してフ
ァルージャの住民の勝利はイラクのすみずみまで祝われて、世界の
至る所で見守られた。

2004年11月、ペンタゴンはその返事を伝えた。街は包囲され
た、そして街の中に残った住民全員が敵性戦闘員であり、世界史で
最も大量に装備する殺害マシーン向きのいいカモだと申し渡された。
AP通信社は、家族と共に街から逃れようと試みる男たちがスロータ
ーハウス(修羅のちまた)へ引き戻されたと報じた。

攻撃で、米国は化学剤白リン弾を多用した。表面上は戦場を明るく
照らすためのみに使用した。白リンはちょくちょく恐ろしい致命傷
をもたらす、そして皮膚それから骨を破壊してしまう前に、建材や
衣服を貫いてやけどさせる。化学物質は、一般市民が隠れていた建
物から酸素を吸収するためにも用いられた。

住民に向かうワシントンの復讐心は、生きたまま捕虜として引っ捕
らえた人々(1300〜1500人)とどっこいどっこいの数の
"ガンマン(殺し屋)"が殺された(1400人)と米軍が報じた事
実によって表される。ひとつの例でアメリカ兵が負傷して体の自由
がきかないイラク人男性を処刑するビデオの場面をNBCニュースが
うまく再現した。海軍の調査は後で、海兵隊員のふるまいは正当防
衛だったと下した。

10日間の戦闘で51人の米兵が死んだ。殺された街の住民の本当
の数はわからない。攻撃の前の街の人口は42万5000と60万
のあいだであると見積もられる。現在の人口はたしか25万と30
万のあいだだと思う。ほとんど女性と子どもの、幾万もが攻撃より
前に逃げた。街の建物の半数が破壊された。その大部分が瓦礫と化
す。

イラクのほとんどのように、ファルージャは見る影もない廃墟のま
まだ。人道主義の業務連携を得ようとする国連事務局の事業、IRIN
からの新しい報告によれば、ファルージャは攻撃後6年にしていま
だ下水システムがなにも作動しない。「排泄物が通りに流れ出て飲
料水の水道に浸透する」と報告は書き留める。「ファルージャ総合
病院の医師、Abdul-Sattar Kadhum al-Nawafは、汚水問題が住民
の健康に大きな損失をもたらしてきたと言った。住民は下痢、結核、
腸チフス、別の伝染病にますます冒された。」

米国の襲撃の蛮行は世界を憤慨させる、そして、ミライ、
Sabra-Shatila、ゲルニカ、南京、リディツェ、ウーンデッドニーの
戦いを含める悪名の高いリストにファルージャの名を追加した。

けれども、ほかの大虐殺と異なって、弾丸がもはや発射されなくて
も、爆弾投下をやめたときも、ファルージャに対する犯罪は終わり
にならなかった。

ファルージャでのガン、乳児死亡率、出産性別比によってほとんど
証明された劣化ウランを大量に配備する米軍の決定はむちゃな非道
行為だった、そして2004年にまだ生まれていない子ども世代を
まるごとだめにする。

米国がアフガニスタンで大きな暴力の段階的拡大を準備するために、
ファルージャの調査報告はタイムリーだ。アフガニスタン作戦本部
の元指揮官スタンリー・マクリスタル大将はローリング・ストーン
誌の特集記事に促進され、とりわけ、アフガンの反乱者への反応に
従事してアメリカ兵の行動を拘束すると彼を非難する、メディアの
キャンペーンのあとに先月解任された。

マクリスタルの後任に元アメリカ中央軍司令官のデイヴィッド・ペ
トレイアス将軍がつく。ペトレイアスは、疑わしい戦闘員に対して
過度な軍事力の行使を認めることをもくろむ、新しい交戦規則の輪
郭を描いてきている。

そして今度は、中央司令部のペトレイアスの後任にジェームズ"マッ
ドドッグ(狂犬)"マティスがなる。この狂犬マティスは2004年
ファルージャでの米国の襲撃で重要な首謀者の役割りを演じた。マ
ティスは殺すことに夢中になる。「ある人々を射殺するのは楽しい... 
あのなー、とてつもないおもしろいことだ」と2005年に公然の
集まりで話す。


♯お知らせ♯

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