■WikiLeaksが戦争を止められない理由■ZSpace
13 August 2010 by ノーム・チョムスキー

組織WikiLeaksによってインターネットで公表されるアフガニスタ
ン戦争に関する機密軍事文書6年のアーカイブ、交戦ログ(日誌)
は、米国の将来の見通しから、よりきびしくなる厳然たるもがきを
詳細に記録します。そしてアフガン人にはかさむ恐怖を。

どんなに有益でも、交戦ログは、不適切でどちらかと言えばスター
リングラードの戦いのあとにナチスが感じたような、うまく行かな
かった場合だけ戦争はよくないという現行のドクトリン(教義)に
寄与するかもしれません。

先月、マクリスタル司令官の大失敗が生じ、アフガニスタンの米軍
総司令官として退くことを強要されて、彼の上官であるペトレイア
ス司令官に取って代わられました。

一般市民を殺害することがもっと容易になるために、もっともらし
い成り行きゲームは交戦規則の緩和です。ペトレイアスがこの成り
行きを達成するため米国議会で彼の威力を行使するとき、戦争の拡
大は将来性が見込まれます。

アフガニスタンは、オバマ大統領の現在最も重要な戦争です。政府
の目標は、職業上の文献で呼ばれてきているように、「ネットワー
クスのネットワーク」及び「指導者のいないレジスタンス(抵抗運
動)」、特定の母体によらない事実上の組織、アルカーイダから私
たち自身を守ることです。以前にもまして、目下のところアルカー
イダは、世界を通して緩く結びついた、かなり気ままな分派から成
ります。

50人から100人のアルカーイダ活動家が現在アフガニスタンに
いて、タリバンがアルカーイダに聖域を提供するという失策を再演
したがる徴候はないとCIAは見積もります。

対照的に、タリバンは、彼らの広大なけわしい景色、パシュトゥー
ン人の縄張りの大部分でしっかり固定されるように思われます。

2月、オバマの新戦略の最初の行動でアメリカ海兵隊は反乱の重要
な中心地、ヘルマンド州の小さな地区、Marjaを征服しました。

ニューヨークタイムズ紙のRichard A. Oppel Jr.が書いた記事があ
ります、「一人残らず心を動かす支配力を有する活動グループは味
方の町のただ一つの政治組織にいっそう類似すると思われる、それ
ほどにたいへん有力との認識のタリバンと海兵隊は激突してきてい
る。」

「我々は"敵"という言葉の定義を再評価するようになっているとヘ
ルマンド州海兵隊海外遠征隊指揮官ラリー・ニコルソン旅団司令官
は言った。ここのほとんどの人がタリバンを名乗る。我々は判断を
再調整しないといけない、つまり、我々はMarjaからなんとかタリ
バンを引きずり下ろそうとしているのではない、我々は敵を引きず
り下ろそうとしている。」

海兵隊は、常に征服者を悩ましてきている問題、ベトナムから米国
が非常になじんできている問題に向かい合っています。1969年、
ベトナムに関して米政府の指導的学者のダグラス・パイクは、敵で
ある人民解放戦線は、唯一の「南ベトナムで偽りなく庶民を重視し
た政党」だったと言って悔やみました。

そんな敵と政治的にやり合うどんな努力も、いつも小魚とクジラの
争いのようだったとパイクは認めました。それ故、私たちはかなり
の有利と暴挙を用いることで、人民解放戦線の政治権力に打ち勝た
なければなりませんでした。

あちら側も類似の問題に直面してきています、例えば1980年代
の間のアフガニスタンのロシア人、彼らはあらゆる戦闘に勝ちまし
たが戦争に負けました。

米国の別の侵略、「1898年のフィリピン島」の著述家であるシ
カゴ大学のアジア歴史学者、ブルース・カミングスは、すべてが今
日のアフガニスタンにあまりにもうまくあてはまることに注目しま
した。「彼の進路が災害を引き起こすと分かるとき、船乗りは進路
を変更する、だが帝国軍は、政治家がアメリカの理想という外国語
慣用句集を宣伝する間に、円陣を作ってならいいが、油断のならぬ
ものに追い討ちをかけて行軍し続ける。」

4月の米国陸軍の世論調査によれば、Marja勝利のあとに米国主導
の総勢は主要都市カンダハルを攻撃するものと期待されました、カ
ンダハルでは6人中5人がタリバンを「我々アフガンの同胞」と見
なす住民の95%によって軍事行動は反対されます、ここでもまた、
もっと初期の征服のおうむ返しです。カンダハル計画は、マクリス
タルのいとまごいのため、いわば目立たない位置に先延ばしにされ
ました。

これらの事情のもとに、アフガニスタン戦争に対する国民の支持が
さらに一段と減退するかもしれないとアメリカ当局が心配するのは
必ずしも驚きではありません。

5月にWikiLeaksは、西ヨーロッパの戦争支持をどんな方法でつな
ぎ止めるかに関して3月のCIA覚書きを公表しました。覚書きのサ
ブタイトルは、「無関心頼りが十分でないかもしれない理由」

「アフガニスタン任務の低調な国民一般の突出が、フランスとドイ
ツの指導者に一般的な反対を放任させ、国際治安支援部隊(NATO
による活動を国連が承認したもの。設立は2001年12月20日
の安保理決議1386号により、国連憲章第7章の発動の下で行われる
軍事的強制措置、すなわち集団安全保障の実行措置として、憲章第
43条の規定に基づいている)への彼らの軍隊の貢献を堅実に増や
すのを軽視させてきている」と覚書きは述べます。

「ISAF(国際治安支援部隊)の展開を増やすことにドイツとフラン
スの回答者の80%が反対にもかかわらず、ベルリンとパリは現在、
ISAFの軍勢に4番目と3番目に高い割合を維持する。故に、先手を
打つため又はとにかく反発を抑えるため、メッセージを送る調整が
必要不可欠である。」

列国には国内の敵、国家の方針が国民によって妨害されるとき必ず
コントロールされる自国の住民がいることを、CIA覚書きはたぶん
私たちに気づかせるでしょう。

民主社会は軍事力ではなくてプロパガンダをあてにします、そして
オバマのお気に入りの哲学者レインホルド・ニーバーを引用すれば、
「必要な幻想」と「単純化しすぎ」によって、意見の一致を裏工作
します。

さてさて、国内の敵(反対者)をコントロールする戦いは大いに直
接関係のあるままです、いやそれどころか、アフガニスタン戦争の
先行きは、多分それにかかっているでしょう。

http://www.zcommunications.org/why-wikileaks-won-t-stop-the-war-by-noam-chomsky


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