■ ブラッドリー・マニングとエイドリアン・ラモと
WikiLeaksの奇妙で必然の事件■
Salon 18 June 2010
by Glenn Greenwald

有罪とされるコンピュータハッカー、エイドリアン・ラモ(Adrian
Lamo)とのインターネットのチャットで、目下のところ有名なア
パッチヘリ攻撃ビデオとアフガニスタンでの民間人殺害空爆の未公
開ビデオと「無数の国務省機密文書」をWikiLeaksにリークするこ
とに関して自慢したあとに、22歳のイラクの陸軍二等兵ブラッド
リー・マニングが拘留されていたのを、6月6日、Wired誌のケヴ
ィン・ポールセン(Kevin Poulsen)とキム・ゼター(Kim Zetter)
が報じた。自分をあくまでジャーナリストと考えて、マニングにも
そう伝えたラモは、むしろ政府の情報提供者として行動した。マニ
ングが彼に話したとされることを連邦当局に知らせ、そのあと連邦
捜査官と会ったとたん、何日もマニングを尋問するようになり、マ
ニングの拘留を誘導した。

匿名のアメリカ当局者を口に出して、「もし公表すれば国家安全保
障に大打撃を与ることもあり得る国務省の機密ケーブルの大変なキ
ャッシュを公表させないため、ペンタゴン(米国防総省)捜査官ら
が、秘密主義のウェブサイトWikileaksのオーストラリア生まれの創
立者(ジュリアン・アサンジ)の所在を押さえようとしている」と
取り次ぐのを、6月10日、ニューヨークタイムズ紙の記者フィリ
ップ・シェノンが「Daily Beast」に書き込む。ある種の危険な逃亡
者と言わんばかりにアサンジを求めて進行中の「ペンタゴンの捜索」
があったのを知らせるため、いくつかのニュース販路がその記事を
用いた。

元々、この全貌は、幾多の理由のせいで、かなり普通ではなかった。
実は何が持ち上がったかについて一段と透明さを手に入れる試みで、
先週、私はこの事件に結びつく一切を再吟味すると同時に、ラモを
はじめとする数人の手がかりとなる関係者と話をして過ごした(ラ
モとは昨夜、下記のレコーダで聴取できる1時間のインタヴューを
行った、そしてポールセンとは長いEメールのやり取りをして最大限
ここに掲載する)。

主としてほとんど一人から生じるとわかる一切が、きわめて当てに
ならない出どころなので、ラモ自身、正しくは何が起こったかにつ
いて決定的な理解を得るのはほとんど不可能だ。ラモから生じたこ
との大部分がただ1人のジャーナリスト、ポールセンを通して漏れ
るという事実が、これをもっとひどくする。ポールセンはずっと持
ったきり、手がかりの証拠を明らかにしない、そして彼には、実際
に何があったかについて、余白に透けて見えるだけにしておくラモ
との長くて奇妙な過去がある。

一切の再検討が最終的に役に立つというより、いっそう疑問を膨ら
ませるのがわかる。何が生じたかに関する私の見通しは下記に。だ
が、手初めに念頭に置くのはひとつの事実。2008年、アメリカ
陸軍対敵情報活動センターは(皮肉にもWikiLeaksによってリーク
され掲載された)NYタイムズが掲載するように、「アメリカ合衆国
の安全性をおびやかす敵のリスト」にWikiLeaksの名を置く機密報
告書を作成した。その報告書は、WikiLeaksの評判と効力を壊す手
段を論じた、そして、リークするのは危険との印象を作り出すこと
を強調する。

言い換えれば、WikiLeaksを破壊するのに、米政府が起こす必要が
あったことがこの時点で持ち上がってきている。重要なWikiLeaks
の情報源が身元を確認され、逮捕されているとニュースは報じる、
続いて、編集主幹あてに匿名の政府当局者から現在世界的な「捜索」
があるとの通告が起こる。情報源の身元を危うくすることで、たと
えWikiLeaksがまるで何もしなかったとしても(この場合もこれま
でも)、「WikiLeaksの情報源逮捕される」、「世界的なWikiLeaks
の捜索」、「国家安全保障の重大な脅威」、どれほどこの金切り声
を上げるメディア報道が、とにかくWikiLeaksに将来情報を漏らす
人に二の足を踏ませることになるか?気づくのは容易でない、全く
ペンタゴン・レポートが果たそうと努める通りに。しかもそのペン
タゴン・レポートはアパッチ・ビデオが公表される前の2008年
からだ、現在、WikiLeaksを破壊するペンタゴンの意欲がどれほど
激しいものか想像してみよう。NYタイムズ紙もニューズウィーク誌
も近ごろ気づくことが、オバマ政府の異例の対告発者戦争であるの
とこれを結びつけてみよう。そして、何が起こったかわかっている
と仮定する前に、ここで手柄とされる警告を言い過ぎてはいけない。

* * * * *

エイドリアン・ラモとケヴィン・ポールセンは、一緒に遠く過去に
及び普通でない過去を経験する。両方ともコンピュータハッキング
(不正アクセス)に関して重大犯罪で有罪と宣告された。ニューヨ
ークタイムズ紙への不正アクセスでポールセンは1994年に、ラ
モは2004年に(ポールセンが3年半の実刑を言い渡されたとき
皮肉にも友人が彼をたれ込む政府の密告者になった)。2003年
米政府がラモを取り調べたとき、彼らはラモだけでなくまたポール
センとの会話を反映する書類はどれも裁判所へ提出するよう通信社
に命じた。そのわけは、ハッキングの冒険の後、ラモは典型的にメ
ディアの周知を追い求めた。そしてほとんど常に周知を用意するの
にポールセンを利用した。

重大なハッキング犯罪で有罪と宣告されたにもかかわらず、ポール
センは、「Security Focus News」として不正アクセス社会を取材
するジャーナリストになるのを米政府によって許可された。
2002年にさかのぼって、「Information Week」が奇妙なラモ
とポールセンの関係をこのように記述した。「彼の仕事ぶりを宣伝
するため、ラモはたいていジャーナリストに変身した元ハッカーの
ケヴィン・ポールセンを代弁者として指名した:ポールセンは不法
アクセスした会社(NYT)に接触して不法乱入について注意を喚起
し、ラモの協力を申し出る、次にSecurity Focusオンラインウェブ
サイトで不法アクセスを報じる、彼はそこのニュース編集者だ。」
ラモがNYTに侵入したとき、ラモに代わって新聞の首脳部に知らせ
たのはポールセンだった、そしてあとでそれについて書いた。私は
ポールセンにラモを友人と見なすかどうか尋ねた、彼はただこう言
うことで応じた、「彼は主題であり情報源」と。

実際に何年にもわたり、ポールセンは、およそラモの個人的なメデ
ィア代弁者としてつとめてきている。2000年にさかのぼって、
ポールセンはよくラモをハッキングのくろうと情報源として引合い
に出したものだ。同年、ラモからの独占的な内部情報を備えたポー
ルセンは、ラモの多方面のハッキングの珍しい体験について書き始
めた。ラモの有罪判決後、ポールセンはラモの拘留後の法執行との
戦いとラモを特徴づけるリーク文書について書いた。下に詳述する
ように、ラモはハッキング界で程度の低さで評判だ、自己宣伝とメ
ディアの注目を得ようと飽くなき要求を有する取るに足らないハッ
カー、過去10年その要求を満たすのがポールセンだった。

1カ月前の5月20日、幾年もどこからもニュースにしてもらって
いないにもかかわらず、ラモが経験した重いメンタル上の健康問題
を説明するWired誌の記事をポールセンは詳しく記述した。ポール
センが書いた話は以下の通り:4月のいつか、ラモのバックパック
に入れている薬剤品が盗まれた(所定の抗鬱剤だったとラモは主張
する)ラモが警察を呼びよせる、ひどい極度の精神病に苦しんでい
ると断じた警察は思わず彼を3日間精神病院入れた。72時間の仕
方なしの精神科拘束はそのあと裁判所によってもう6日間延期され、
その後、彼は両親の家に放たれた。

アスパージャー症候群と診断されたとラモは主張し、コンピュータ
界の多くの人気者がかかる流行ぎみの自閉症診断だとも主張してき
ている。その記事でポールセンはラモの広範囲のハッキング経歴も
要約した。ラモは私にこう言った、彼が精神病院にいた間に何が起
こったか話すためポールセンに電話をかけた、それからWired誌の
記事としてそのことを書いてくれてもいいとポールセンに伝えた。
ラモはそうとうメディアの注目に飢えていたので、Wired誌の記事
が彼の名を挙げることを意味するなら、彼が主張する精神的問題に
ついて書くことで進んでポールセンを励ましていた。

ポールセンがキム・ゼターといっしょにマニング二等兵が拘留され
ていると報じたのは、ラモのアスパージャー症候群、うつ病とハッ
キング経歴について書いた2週間あまり後だった。のちに彼らは、
マニングは「インスタントメッセンジャーとEメールによって先月末、
元ハッカーのラモと接触していた」と言った。

しかしながらラモは、マニングがWired誌の記事からでなく、
Twitterの単語「WikiLeaks」を検索することでラモを見つけたと私
に言った、マニングは記事について一度も言及しなかった。Twitter
は、ラモが単語「WikiLeaks」を含めて書き込んでいたつぶやきに
マニングを誘導した。たとえマニングが「WikiLeaks」のTwitter検
索を通して本当にラモを見つけたとしても、WikiLeaks支持を表す
ためにつぶやいている数え切れない人々を含め、マニングがTwitter
で単語「WikiLeaks」について言及している他の無数の人々より彼
に的を絞った理由をラモは説明できなかった。

Wired誌の記事のどれもこれについて言及してないものの、最初の
ラモ・マニング交信は実際にチャット経由ではなかった。それより
も、マニングが真っ先にひと続きのコードに置換するEメールを彼に
送ったとラモは私に話した、マニングは旧式のPretty Good Privacy
(PGPは暗号化プログラム)キー入力コードに置換したので、ラモ
はそれを解読することができなかった。この最初のひと続きのEメー
ル受信後に、誰からのメールかも何についてのメールかもわからな
いにもかかわらず、ラモはメールの送信者にアメリカオンラインの
インスタントメッセージで彼とチャットしようと誘う返事をしたと
言う、加えて、そうするため彼のスクリーン(隠蔽)ネームを与え
た。マニングはその後、一般に行われているPGPキー・コードに置
換した追加のEメールを彼に寄こしたが、それをわざわざ解読するこ
とは一度もしなかったとラモは言う。そうする代わりに、マニング
のEメール全部を、いつもひとつも読まずにFBIに引き渡したとラモ
は主張する。従って、先立って行われ二人のチャットに導くマニン
グとラモとの実際の冒頭のコミュニケーションはあらゆる点で詳ら
かでない。Wired誌によって掲載されるごくわずかなチャットの短
い抜粋以外、ラモはEメールもチャットも公表するのを断る。

ラモがポールセンに用意したラモとマニングの間のチャット記録を
手段に使うWired誌の書き手(記者)は、「元ハッカーで気心の合
う人と感じた」という理由で、陸軍二等兵がラモを信頼すると推測
した。ポールセンとゼターは、マニングが「やり取りで非常にあっ
さり」アパッチ攻撃ビデオをリークしたのは自分だと認め、それか
ら「機密扱いの大使館ケーブルをWikiLeaksにリークした」のに加
えて、自慢を始めたと書く。最初のチャットのあとただちにラモは
マニングが彼に教えたことを連邦捜査官に知らせた、連邦捜査官と
相談するかたわら、次の数日間、マニングに対してさらに話し始め
る、そうして、マニングがイラクで拘留されたのを知った。

* * * * *

とにかくラモとWired誌によって取り次がれるとき、この場合の多
くの怪奇な様相はおのずから明らかだ。なぜイラクにいる22歳の
兵卒が国家安全保障に大打撃をもたらすこともあるというように、
注意を要する外交関係のケーブルから25万ページを自由気ままに
アクセスしようとしたのか? もしかすると一生くらい非常に長い
あいだ自分を刑務所に送ることもあるとわかる行いを「あっさり」
白状するために、なぜ彼はTwitterの検索からランダムに見つけた全
くの他人に接触しようとしたのか? なぜ彼は、無担保のインター
ネット、おそらく保存され、傍受され、またはそうでなくとも監視
されることで、見え透いた安心にふけっている、世界的なアメリカ
オンラインのインスタントメッセージのチャットを通じて白状した
いと思ったのか? これらは、信じがたいほど無謀かまたは実際し
きりに逮捕されたがっている誰かのふるまいだ。

この一連の出来事はまったく受け入れがたいと言うほどではない。
イラクで孤立状態にある、このどちらかというと重要なリークに従
事した22歳に、見知らぬ人に自白することで重荷をおろす願望が
あったなら、それはありうる。ラモのハッキングと彼がしたことに
共感する「ジャーナリスト」の素性を持っている誰かを彼が待ち受
けたなら、それはありうる。それでも、このような重大犯罪に関し
てインターネットのチャットを通じてそんな念入りな細かな点でマ
ニングがあっさり知っていることを告白したところで、明白な軽減
は極度に未知だ。それから、まさに一度も、ラモのことを信頼でき
ないと悩むことなく、何日にも及ぶラモの非常にはっきりした探り
を入れる尋問に続けて答えた。

Wired誌の説が主張する通りのことが起こったと人が推量するなら、
ラモはこの点で卑しむべきことをした。彼は自分自身を「受賞ジャ
ーナリスト」と持ち出してマニングにすごいやつだと話した(「ジ
ャーナリストとして職についていたと彼に言った」とラモは言った)。
確かにラモは、早くからマニングに自分はジャーナリストだからカ
リフォルニアの取材情報源秘匿法のもと2人が話し合った何にでも
守秘を提供できるだろうと彼に話したと私に言った(もっとも
Wired誌に掲載されたチャットログには載らないが)。また、マニ
ングに自分は正教師でマニングの話を告白として処理できると言っ
たとラモは話した(2人のチャットで初期にマニングは「あなたに
告白しているだなんて考えられない」と言った)。要約すれば、ラ
モは明確に自分のことをあてにできて、2人の話し合いは内密だろ
う、たぶん法律上内密のままにしておけると、マニングを信じる気
にさせた。結局、あの時マニングが言った一切が政府に報告される。

いっそう悪いことに、ラモは自分の守秘責任を破って、マニングが
国家安全保障に損害を与える何かをしていた微々たる徴候もないの
に密告者になった。確かに、マニングによってリークされるどんな
文書にも国家安全保障を損なうものに相当するただ1つの事実も見
分けることができなかったのをラモは私に認めた。そして、適応障
害のため流出を検討中であり、もはやどんな文書にも近づかないと
彼がラモに即座に告げたのを考慮すれば、今後マニングのリークの
可能性は存在しそうもなかった(ラモ:「なぜ君の仕事は君にアク
セスを与えるのか?」マニング:「ワークステーションにいるの
で... 」「わかった」)

チャットログが主張することを人が信じるなら、マニングは確かに
自分が高潔な動機で動く告発者だと考えた、しかも恐らく全くその
通りだった。そしてもし彼が本当に、私たちの戦争がもたらす心底
の真相について、非常にまれに見る大いに必要な理解に火を点けた
ビデオ、アパッチヘリの攻撃ビデオをリークした人なら、それなら
彼はダニエル・エルズバーグに等しい国民的英雄だ。本当に、ちょ
うど昨日、番組「Democracy Now!」でエルズバーグ自身がまさ
にその意見を言った:

 実は、マニングが述べているとラモが報告することには、私には
それはありふれた説得のうまい響きがある。マニングは彼が読んだ
り伝えてきたことは多くの真相で彼がほとんど犯罪に入れる、中東
のすみずみまで米国の不正な取引による恐ろしい悪だくみの証拠、
ぞっとするようなことだったと言ってきているとラモは報告する。
そして、彼は法律家ではないと私は推測する、けれど私は彼を犯罪
のように見ようとすることは犯罪と判じるだろう、また、彼が発表
していたと判じるだろう。彼がラモに主張したビデオを彼が発表し
たと、あるいはともかく、彼が発表したのは極めてもっともらしい
と、私たちは認める。しかも彼らをその気にさせて、彼の追跡もほ
かのだれかの追跡も、どんどん先に進ませるのに十分だ。

 ということで、私が達することは、また仮に故意に軽率な挙動に
出るとして、これまで私がアサンジとマニングについて聞いてきて
いることは、そして私はどちらにも会ってきていない、彼ら2人は
私のニュー・ヒーローだということ。

なぜそうなるかを理解するため、Wired誌に掲載された手を入れた
チャット記録のなかに反映されると同様に、彼がリークを選んだ理
由について、マニングが言ったこと若干を今すぐ調べなおそう:

ラモ:それで、君の終盤(大詰め)計画は何です?

マニング:そうですね、WikiLeaksに転送されて、次にどうなるか
だれも知らない、うまくいけば世界的な論議、論争、そして改善、
もしそうでないなら、人類として運が尽きるよりは、何も生じない
なら、私たちのいる社会を表向き放棄するつもりだ、ビデオに対す
る反響が無限の希望をボクに許してくれた;CNNのiReportはたじ
たじだった;Twitterは激発した、異状があったことに気づいて認め
た世間の人たち、世間の人たちに実情に気付いてもらいたい... 彼
らを無視して... 情報が欠けているという理由で 、国民として情報
をもった決定をすることができない。

初めて真剣に米国のイラク戦争を彼に疑わせた出来事をマニングは
説明する。「反対分子(暴徒)」の文献をばら撒いたとして拘留さ
れていたイラク人「反対分子」の事件を手がけるよう指示されたと
き、そのとき彼はそれを翻訳すると主張してイラクのマリキ首相に
対する造詣深い評論(批判)にすぎないことが判明した:

 それを読むのにボクには通訳がいた... そしてそれが「金はどこに
消えた?」と表題のある、腐敗の手がかりを首相の内閣内部にたど
る親切な政治評論だったとわかったとき... ボクはすぐにその情報
をつかむなり何が起こっているか説明するため士官のところに走っ
た... 彼は少しも聞きたがらなかった... だまれ、さらに拘留者を見
つけ出すことで我々がFPsを助けることができる方法を説明しろと
彼はボクに命じた...

 ボクは常に手を加えられた事態を疑った、そして本当のところを
見つけ出すため調べた... でも、それはボクがいくらか役割だった核
心だ... ボクがまったく反抗した何ごとかにボクは積極的に巻き込
まれた...

また彼は、外国の権力に彼がリークしていたこの極秘情報を売ると
いう考えが一度も頭に浮かばなかった理由を説明した:

マニング:つまり、ボクがもっと腹黒い何者かであれば、ロシアま
たは中国に売ってもよいはずだっていうか、現金を手に入れたって
いうか?

ラモ:どうしてしなかった?

マニング:そのわけは公共のデータだから

ラモ:つまり、ケーブル

マニング:それは、自由でなければならない情報、本来自由に使用
できるものであるべきだ、というのは、もしそれが公然でないと、
他国はまあ情報につけ込もうとするだろう...ある優位を得ようと努
める、それは公益でなければならない。

最も純粋な形をした告発者とは:犯罪や堕落した行為に属する政府
の隠し事を見つけだし、次にそれらを利益目的のためでなく、他の
諸国に優位を提供するためでなく、「世界的な話し合い、論争、改
善」を誘発するために世界に宣伝する。エイドリアン・ラモが密告
してきわめて長い間刑務所に送る危険にさらした人物がこれだ。

(略)

* * * * *

また、以上述べたことすべてで、Wired誌の役回りについてはどう
か?さまざまなインターネットニュース解説者並びにWikiLeaksも、
マニングに関して情報を流すことでラモに共謀するポールセンはジ
ャーナリズムの倫理規約を破ったと暗示してきている。私はそれに
対するどんな証拠も見ていない。これから述べることは、マニング
に関してラモの情報を流すことに加わったかどうか彼に質問したと
きポールセンが私に言ったこと:

 「外国の全国紙」に26万件の国務省外交関係のケーブルをリー
クするのを自ら認めていた陸軍情報分析官によってどのように接触
されてきたかの話を私に知らせるため、エイドリアンは5月末に私
と連絡を取った。すでに政府に事態を報告してあり、チャット記録
を伝えるため、本人自ら陸軍とFBIに合流していたとエイドリアンは
私に言った。彼は、立証できる詳細、または名前による情報分析官
の身元の確認を単独で供給するのを断った、理由は事態が注意を要
するのを考慮に入れたといって。

 彼が禁止するチャット記録を進んで私に提供するのに幾日か経過
した。私は5月27日にそれを入手した。それが、マニングの名前
とエイドリアンへの彼の主張について詳細をまるごと知ったとき
だ... マニングでも別のだれかでも、情報を流してくれないかと頼
むなら、返事はノーだ、そして質問は侮辱的だ。

マニングを説得して有罪にする供述をさせることでラモが連邦捜査
官と共謀していたとき、同時にポールセンは彼自身の説明によって
これが行なわれていたのを知っていた、だが彼がラモと何らか関係
した徴候(指摘)は少しもない。とは言え、なんとラモが未編集版
のマニングとのチャット記録全部をWired誌に与えたというのが真
実だ、けれどWired誌は極端に編集したそれのサンプリングだけを
掲載した。これから述べることは、ラモが彼にチャット記録全部を
提供したのかを尋ねたとき、ポールセンが私に言ったこと:

 彼は全部を提供した、けれども、私たちがいつでもすぐにそれ以
上のものを掲載することになるとは思わない。残りは、マニングが
彼の逮捕に疑う余地なく関係のない個人的事柄を論じるか、または
私が第一に綿密に調べないで持ち出していない明らかに注意を要す
る政府の情報かだ。

Wired誌のこの部分の処理はもっと多くの注目を受けて当然だ。第
一に、私とのインタビューで、(a)起こったことにきわめて関連の
ある、彼とマニングとの間の話し合いで位置づけたあらゆる種類の
ものごとは、(b)マニングの私的な問題にも、注意を要する国家安
全保障の秘密にも少しも関係ない、それにもかかわらず(c)Wired
誌によって掲載されるチャット記録のどこにも見つからない、とラ
モは主張した。ラモが書かれていることについてウソをついている
か、またはWired誌が2人の話の大いに関連のある様相を隠してい
るか、という結果になる。その中には、どんなふうに彼がラモを見
つけたかと、なぜ彼に接触したかについてのマニングの説明が含ま
れ、マニングがそう言ったとされる(疑わしい)主張は、彼の「意
図は当面はアメリカ合衆国の外交関係の能力を奪うこと」だったと
いうのと、彼らがしゃべっていたことで「二人は役割について検討
した」だ。

2番目に、ジャーナリストに転向したハッカー2人、ポールセンとラ
モが、今は自ら任命するアメリカの国家安全保障の保護者という皮
肉に人が注目するのはどうしようもない。不明確な国家安全保障の
拠所に基づいてジャーナリストとして身につけた前者の秘密の隠匿、
そして最たるもの、「売国奴」や「スパイ」をめぐる右翼のきまり
文句や、彼の行動は「アメリカ人の生命を守る」ため必要不可欠だ
ったとの命令を引き合いに出すことで密告屋になる後者。

3番目に、Wired誌は全部のチャットログを掲載するか、偽りなく
マニングの私的で個人に向けられたことだけに関係する部分のみを
差し控えることに大いにいっそう骨を折るべきで、国家安全保障の
隠し事をあばこうとすべきである。すなわち、そのことで少しでも
正当化があるとすれば、決定するのに秘密にしておく部分を再検討
する評判のよい第三者を手に入れるべきである。とにかく、もし人
がラモの主張を信用するとすれば、Wired誌が隠し続けるそのチャ
ットの部分に明らかに関連がある。

ポールセンのお互いにためになるラモとのマルチ層になった関係を
考慮すれば、彼らにははるかにスタンダードのジャーナリスト情報
源以上の関係がある。どのような意味の論争においても、大いに問
題のあるラモについてのポールセンの記事がこれまで実際彼につい
て冷淡に批判的ということは決してない。元々、ポールセンが決し
て調べなかったかもしくは実地踏査しなかったラモの話には無数の
怪奇な向きがあった。ポールセンの正直も誠実も疑わしく思う根拠
を一つも私は目にしない。それでも、いくつかのレベルでこの話の
重要性とラモとの長い関係を考慮すれば、ラモとマニングの対話に
ついて世間に何を知らせ何を知らせないでおくか、ケビン・ポール
センは単独で決めるべきでない。

* * * * *

偽りなく勇気ある22歳の告発者が、きわめて長い刑期に直面して
いることの真相かもしれない事実は別として、この話の事情がそれ
ほど重要である理由は、WikiLeaksが成し遂げるユニークで比較で
きないほど価値のある働きだ。アパッチヘリコプターのリークの前
にも、私はそれがとても致命的な理由について詳細に書いた、それ
を全部ここで繰り返すことはしない。ほとんどあまり実体がないと
言うことで事足りる、仮に少しでもあるなら、それは堕落した行為
を究極の秘密の壁の陰に覆う政治と企業のエリートの能力にとって
なかなかの脅威だと触れ込むことである。

最も勢力のある党派にとってWikiLeaksを険悪のように見せるのは、
彼らがWikiLeaksを操縦できないということだ。この前の告発者が
国内最大の法人メディアの販路で申し分なくすぐれたジャーナリス
トに重大な腐敗と犯罪になる行為をリークしているときでも、どん
なふうに情報が公表されるかを政府の役人は制御できた。2004
年ニューヨークタイムズ紙が、ブッシュ行政府が令状なしに違法に
アメリカ人を盗み聞きしていたのを知ったとき、ジョージ・ブッシ
ュは新聞の発行者と幹部編集長を大統領執務室に呼び出して記事が
掲載されないことを求めた、すると新聞はブッシュが無事に再選さ
れたのちまで丸々一年握りつぶすことで応じた。ワシントンポスト
紙のダナ・プリーストが、CIAが秘密刑務所のネットワークを維持
していたのを知ったとき、このような計画のためそれらの国々を働
かせ続ける米国の能力を中断させないために刑務所がある国々を特
定しないようにとの政府の上級役人の依頼を彼女は重んじた。

WikiLeaksもマニングも、2年前にイラクに関して本を書くときに
ワシントンポスト紙のデイヴィッド・フィンケルはアパッチヘリコ
プターのビデオを所持していたが、決してそれを世間に公表しなか
ったと述べている(マニング:「ワシントンポストはビデオをほう
っておく... イラクで埋め込み取材する間にデイヴィッド・フィン
ケルはそのコピーを手に入れた」)。コロンビア・ジャーナリズム・
レヴューが報告したように、その主張に向けて言うことでポスト紙
もフィンケルもかなり秘密主義でのらりくらり回避的だった、そし
てフィンケルは持っていたかどうか話すのを断ると同時に、「ポス
ト紙」はまさかビデオなど所有していなかったとあてつけに言い立
てる。同日、所有してたがそのビデオを決して公表しなかったとの
WikiLeaksの主張について私がフィンケルに尋ねるため彼に電話を
かけたとき、同じ事が持ち上がった。そつがない法規主義の言葉を
用いて彼は、「ポスト紙は決してビデオを所有しなかった」と非常
にぶっきらぼうに私に告げた、だが、フィンケル自身は持っていた
かどうか私が尋ねるより早く、彼は突然ぶっきらぼうに、もうこれ
以上話せない、他に言うことは何もないと告げると電話を切った。
ポスト紙への私の問い合わせは、「ワシントンポストはビデオを持
っていなかった、そしてまたどんなこともほうっておかなかった」
という形式上の応答に出くわした、だが透明性を求めるこのジャー
ナリズムの十字軍は、フィンケル彼自身が持っていたどうかでは、
私の質問に答えるのを拒絶した。

まるで対照的にWikiLeaksは、政府や軍や企業が包み隠すのを助け
ることに気乗りしない。彼らは反対のこと、おびただしい彼らの大
量の現実の秘密行為を進める機関に透明性を強制することに関心が
ある。彼らは政治や法人の役職者からの圧力に動かされやすくない、
むしろ彼らに責任をとらせたい。エリート機関にとってWikiLeaks
をそれほど唯一無類に険悪にさせるのはそこだ、また疑わしく思う
誰でもが、WikiLeaksを滅ぼすやり方を論じる2008年ペンタゴ
ン・リポートを絶対に読むべきだ、または世間一般に不都合なこと
を公表する告発者を用いてオバマ政権の類のない飛躍的戦争拡大を
調べ直すべきである。

いくらか道理のわかる人間は、まれに政府の秘密厳守が正当と認め
られること、そして正当な秘密のリークのせいで重大な危害になり
うることを認めるはずだ。WikiLeaksからの何かリークがそうなっ
ているただ1つの実例も私は見ていない、だがある時点で、確かに
ありうる、そうなってもよさそうなものだ。けれども今のところ、
はるかに大きな危機がそれをもっと悪化させもっと増すにまかせる
ことから生じるまでに物差しは別の極端な方向、強烈な秘密厳守へ
と傾く。実際それは間一髪どころではない。何であれその秘密崇拝
をくつがえす尽力は極度に推奨できる、またWikiLeaksほど有効に
だれもそれをしていない(そして彼らの重要性はリークに限られて
いない、まさにアイスランドが調査報道と匿名の告発者のための万
国共通の避難所に変わるため、非常に立派な努力を喚起したように)。

もくろみによるものであろうと日和見主義者のようにつけこまれた
のであろうと、このマニングの拘留は、WikiLeaksを重大な国家安
全保障の脅威になるもので危険な破壊活動分子同様に連想されるも
のとして描写するのに利用されている。とにかく先週のみで数人が、
WikiLeaksを後押しすることまたはそうでなくともできるようにす
ることが責任又はいっそう悪い事態に彼らをさらすこともありうる
との懸念を私に表してきている。それが間違いないと信じる理由は
ない、けれども、法を守らない拘留、引渡し、それどころかアメリ
カ国民の暗殺と、剛腕・米政府の要求を考慮すれば、作り出してき
ているのは脅迫の風潮だ。この最新の出来事は明らかに勢力のある
党派をチェックすることや透明性を負わせるWikiLeaksの不可欠な
機能を妨害するのに用いられてきている、そして、なにが起きたか
を理解する本物の懐疑的な態度と一緒に、そうであるからこそ、こ
れはしっかりした吟味に値するきわめて重大なケースなのだ。

* * * * *

△グレン・Greenwaldの要求されていない活動範囲:
私はあらかじめニューヨークで憲法上の法令と市民権の法廷弁護士
でした。私は2冊のニューヨークタイムズ紙ベストセラー本の著者
です。ブッシュ政権の行政権行使に関する批判(評論)「How Would
a Patriot Act?」(2006年5月)と、ブッシュの遺産を検討する
「A Tragic Legacy」(2007年6月)。GOP(共和党)によっ
て用いられ、体制報道機関によって宣伝されるごまかしの選挙駆け
引きを検討する私の最近の書物「Great American Hypocrites」は
2008年4月、Random House/ Crownから発売された。

♯お知らせ♯

きままなブログを始めました。よりのんきでよりビジュアルな内容に

なっています。こちらもごひいきに。

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