原発や放射線の問題でセカンドオピニオンが必要として3月16日
首相が官邸に引き入れた内閣官房参与、東大大学院教授の小佐古敏
荘(こさこ としそう)氏が、4月29日彼を推した空本誠喜民主党
衆議院議員同席の元、辞任会見を行った。冒頭、泣き出した小佐古
氏の記者会見の映像はYouTubeでご覧になった方も多いだろう。
彼はチェルノブイリ原発事故の研究家として国際的に認知されてい
る日本の原子力分野を代表する学者だそうだ。だが、Wikipediaに
よると、2003年以降の原爆症認定集団訴訟で小佐古氏は国側の
証人として出廷し、国の主張に沿った証言を行っている。特に被爆
者の放射線量を評価するシステム、DS86とDS02については妥当性
を主張しており、この点で原爆症の認定が不十分だとする原告の主
張と対立している(被爆者約25万人のうち、国が原爆症と認定し
たのは約2000人)。なお、小佐古氏が証人として出廷した裁判
では、国側がすべて敗訴している。
ところで、日経新聞(5月1日付)によると、辞任会見に同席した
空本誠喜が小沢一郎グループ出身の当選一回の衆議院議員であるた
め、首相官邸内では辞任劇の背景を「反菅」勢力との関わりと勘ぐ
る向きもあるとか。
辞任にあたって小佐古氏は、「辞任記者会見要旨」なるものを配布
した。その要旨にはこうあるーー。

1)原子力災害の対策は「法と正義」に則ってやっていただきたい
○緊急時迅速放射能予測ワークシステム(SPEEDI):
 法令等に定められている手順どおりに運用されていない 
 (略) 
 公衆の被ばくの状況もSPEEDIにより迅速に評価できるようにな
 っているが、その結果も公表されていない
○ 小児の甲状腺の等価線量:
数値を20,30キロ圏の近傍のみならず、福島県全域、茨城県、
栃木県、群馬県、他の関東、東北の全域にわたって、隠さず迅速
に公開すべき
○ 数十キロから数千キロの広域をカバーできるシステム
(WSPEEDI):
データを隠さず開示し、福島県、茨城県、栃木県、群馬県のみな
らず、関東、東北全域の、公衆の甲状腺等価線量、並びに実効線
量を隠さず国民に開示すべき
○ 緊急時被ばくの「限度」決定プロセス:
放射線業務従事者の緊急時被ばくの「限度」を決定する放射線規
制室および放射線審議会における判断と指示は法手順を軽視して
いる
 放射線審議会での決定事項をまったく無視したこの決定方法は、
 誰がそのような方法をとり、そのように決定したのかを含めて、
 明らかにされるべき。この点。強く進言する

2)「国際常識とヒューマニズム」に則ってやっていただきたい
○福島県の小学校等の校庭利用の線量基準年間20ミリシーベルト
(20mSv):
 通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも年
 間5mSv)で運用すべき
○ 国際原子力機関(IAEA)の調査団:
4回の調査報告会等が行われているが、そのまとめの報告会開催
の情報は、外務省から官邸に連絡が入っていなかった
 原子力外交の機能不全が生じているので、国際常識ある原子力安
 全行政の復活を強く求める

(引用元:ブログ「やぶから棒」2011年4月29日)
http://091117.at.webry.info/201104/article_29.html

 

■福島の子どもたちは私たちが保護しなければならない■
共同通信 by ティルマン・ラフ(Tilman Ruff)26 April 2011

今週はじめに日本の文部科学省が福島県の子どもたちの電離放射線
許容量を拡大したのを知って、わたしは愕然としました。

文部科学省が設定した線量、毎時3.8マイクロシーベルトは1年
間で33ミリシーベルト以上に相当します。これが、幼稚園、保育
園、小中学校の子どもに適用されます。

放射線の健康リスクは線量に比例することを、すこぶる容認できる
科学の研究が教えます、線量が増えるほどリスクは大きくなり、リ
スクのない安全なレベルなどありません。

すべての放射線被ばくはできるかぎり低く抑えておくこと、そして
宇宙のあらゆる方向からやってくるマイクロ波の放射(背景放射)
や医療行為による放射線をうまく処理して、国民には年間1ミリシ
ーベルトの限度を超えさせるべきでないと、国際放射線防護委員会
(ICRP)は忠告します。

ICRPは、原子力産業の作業員には、どの年も50ミリシーベルトを
越えることなく、5年間の平均が年間最大許容量20ミリシーベル
トを推奨します。

日本の作業員に対する年間最大許容量100ミリシーベルトはすで
に国際的な標準より高いものでした。これが福島の大災害に応じて、
250ミリシーベルトにまで増してきています。

放射線1ミリシーベルトごとに、白血病以外のガンのリスクを約1
万人にひとり増加させ、白血病のリスクを約10万人にひとり増加
させて、ガンで死ぬリスクを1万7500人にひとり増やすと、米
科学アカデミーの報告書BEIR VIIは統計的に予測します。

けれども重要な要素は、誰もが同じレベルのリスクに直面しないと
いうことです。1歳以下の幼児の放射能関連のガンのリスクは大人
より3〜4倍高く、女児は男児の2倍影響を受けやすい。

女性の被ばく関連のガンの総合的なリスクは男性より40%増大し
ます。なかでも子宮内の胎児が最も放射能に傷つきやすい。

胎児への10から20ミリシーベルトの放射線量を意味する母親の
エックス線検査は15歳までの子どもの中にガンの率を40%増大
させることになるのを、先駆的なオックスフォード小児ガン調査が
見つけました。

ドイツでは全国小児ガン25年の記録の最近の研究が、原子力発電
所の正常な運転でさえ、原子力施設5キロ以内に暮らす5歳以下の
子どもには白血病の恐れが2倍以上増すことに関連することを示し
ました。

リスクの増加は50キロ余り遠くまで観察されました。これは予期
されるよりはるかに高く、とりわけこの、子宮内の胎児と子宮外の
幼児の放射能に対する脆弱性を強調します。

典型的な放射線測定器によってきちんと測った外部被ばくとは別に、
福島の子どもたちはまた、吸い込んで肺に止まった粒子からや汚染
された食品や水を通して取り込んだ内部の放射線も受けます。

たくさんの放射性物質が食物連鎖に集結し人間に集結します。福島
の子どもたちがこのような有害なレベルの放射線にさらされるのを
可能にする決定は、親として、内科医として、わたしたちの子ども
と将来の世代に対する配慮と管理の責任の受け入れがたい放棄です。

△ ティルマン・ラフは、「核兵器廃絶国際キャンペーン」の議長で、
オーストラリア・メルボルン大学のノッサル(Nossal)グローバル
ヘルス研究所の准教授。また、1985年にノーベル平和賞を受賞
した団体、核戦争防止国際医師の会(東南アジア太平洋地域)副代
表でもある。1955年アデレード生まれ。

http://english.kyodonews.jp/news/2011/04/87835.html


 


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