■アイ・ウェイウェイはどこに■NY Times 05 May 2011
 by Roberta Smith

マンハッタンのプラザホテル戸外ピューリッツアーファウンテンに
ある中国人アーティスト、Ai Weiwei(アイ・ウェイウェイ:艾未
未)による一巡りの動物・獣の頭は、ブロンズの鋳型として12獣
を特徴づける。

今週、中国人アーティスト、アイ・ウェイウェイは拘留2カ月目に
入った。それでもなお中国政府は、ますます憤慨して不安な世界に
対して、彼の所在も状況も彼に対する罪状に関する問いにも満足な
応答を一つも提供してきていない。

だが、普段通りの仕事は往々にして特有の静かな反抗の形態であり
うる。アイ氏の不在にもかかわらず、欧米では彼のアートを展示す
る彼の計画が予定通りに進んできている。この前の終末、ベルリン
のNeugerriemschneiderギャラリーで新作の展示が始まった、展覧
会の建物の正面には「アイ・ウェイウェイはどこに」の言葉を黒で
印刷したすばらしい白い横断幕が掲げられた。(アーティストRirkrit
Tiravanijaによってデザインされた。)来週、もっと大がかりな展
示がロンドンのLissonギャラリーで始まる。そしてマンハッタンで
は、アイ氏の最初の公設彫刻と称される「Circle of Animals/ Zodiac
Heads(一巡りの動物・獣の頭)」がプラザホテル正面のピューリ
ッツアーファウンテンでこぬか雨の水曜朝オープンが宣べ伝えられ
た。

式典はマイケル・R・ブルームバーグ市長が管理し、アイ氏のイン
タビューやブログの掲示から短い適切な一文を読むことでアイ氏不
在を表現した12人のアーティストと美術役員を含める何ダースも
のニューヨークアート界や報道機関の顔ぶれがこれに臨んだ。"自己
を表現する万人の権利を猛然と擁護する"都市としてニューヨーク
を引き合いに出してブルームバーグ氏はアイ氏を「この上なく才能
がある人で尊敬される私たちの時代の見事なアーティストのひと
り」と呼んだ。"一巡りの獣"は中国の12獣、子年、丑年、寅年、
卯年、辰年、巳年、午年、未年、申年、酉年、戌年、亥年とも呼ば
れる十二支、ネズミ、牛、トラ、ウサギ、ドラゴン、ヘビ、馬、羊、
サル、鶏、犬、イノシシのシリーズ。各頭部はざっと高さ4フィー
トのブロンズの鋳型だ。 作品は7月15日まで公開し、その後ロサ
ンゼルス、ヒューストン、ピッツバーグ、ワシントンに移動する。
さらに別の複製が来週ロンドンのサマセットハウス戸外で公開され
る運びである。

作品のタイトルに反してプラザの頭は昨年サンパウロ・ビエンナー
レで展示されたときのようにひと巡りに配置されてない。2段の泉
に設置されすべてが北に向かっている。それらはイソップの寓話の
作中動物のように、広くよく知られている動物の頭だ。心持ち並み
でもある。

ブロンズの彫刻は、たとえバックストーリーを知らなくても人を引
きつけるが、もし知っていれば、それはさらに破壊活動分子にふさ
わしい。頭は、北京に近い頤和園またはYuanmingyuanのヨーロッ
パ様式の庭園の有名な噴水時計の一部として満州の皇帝Qianlong
(乾隆帝)のためヨーロッパのイエズス会によって18世紀にデザ
インされた。各オリジナルは一日2時間水を噴き出す、多分そのこ
とがアイ氏の復元した動物の口が開いている理由を説明するだろう。
あたかも、動物たちがやかましく思う事を述べているかのように。

この広大な建物と庭園の複合体が、国家の恥の際立ったシンボルの
ままである出来事、1860年の第二次アヘン戦争の間に、英国と
フランスの軍によって引っかき回されて燃やされたとき、頭は略奪
された。2000年にそれらが再び浮上して現在、中国政府は5つ
の獣、牛とトラと馬とサルとイノシシを取り返した。

他のネズミとウサギは2009年にファッションデザイナーのイ
ブ・サン・ローランと彼のパートナー Pierre Berge´のコレクション
のパリの競りの一部だった。中国政府はネズミとウサギの返却を求
めて不首尾にも訴えた。愛国的な抗議の所為として当時それにカネ
を払うのを拒絶した中国人収集家によってまんまと入札された。そ
して今度はBerge´氏の手に戻される。残った5つの頭は多分永久に
行方不明だろう。

以上述べたことすべてを知ることでアイ氏の作品にある身震いをも
たらす、そして満州人と中国人とヨーロッパ人の混血の起源から始
めて、オリジナルの著作物のスケールの拡大と欠けている頭の再想
像までにおよぶ。投獄の前に行なわれたインタビューでアイ氏は、
人民の作品の楽しみにとってそれは重大ではなかったと言って、今
述べた知識の重みを手際よくすり替える。

「世間の人はとにかく対象を見るべきで、その物の経験を通して因
縁を理解するはずだ」と彼は言った。

頭はまた、ますます有名なアーティスト、活動家、デザイナー、作
家としてアイ氏の偉業のしるしでもあり、その構成要素の合計より
すごいかもしれない反体制が全体を形づくる。けれども、確実に、
もっと彼は外部との連絡を断たれたままであり、中国の冷酷な権力
に直面してなおさら彼の勇気はこの上ない役割として目立つように
なる。なんと彼の勇敢さのせいで報いを受ける犠牲に、相変わらず
気づかされるままである。

式典の席上でアイ氏には鶴の一声があった、そしてグッゲンハイム
美術館のアジア芸術作品上級キュレーターのアレクサンドラ・マン
ローが読みあげる決定的な引用文はとりわけぴったりだった:
「言論の自由なくして、少しの近代的社会もなく、とにかく野蛮な
社会に過ぎない。」

http://www.nytimes.com/2011/05/05/arts/design/ai-weiwei-sculpture-near-plaza-hotel-review.html?ref=arts

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■中国は著名な芸術家アイ・ウェイウェイを釈放せよ■
 ヒューマンライツウォッチ 2011年4月7日

2011年4月6日、ニューヨーク:中国政府は著名な芸術家であ
る艾未未(Ai Weiwei)氏を直ちに釈放し、反体制活動家への恣意
的な弾圧を止めるべきであるとヒューマンライツウォッチは述べた。

艾氏は中国政府への厳しい批判で知られる。艾氏は2011年4月
2日の朝、香港行きの飛行機に乗ろうと北京空港に行った際に逮捕
された。国内および国際的な多大な関心にもかかわらず、中国政府
は艾氏が拘禁されている場所や彼の逮捕の理由を開示することを拒
否している。

艾氏に対するような情報を遮断した隔離拘束は、刑事訴追の前兆で
あることが多いと、ヒューマンライツウォッチは指摘。

ヒューマンライツウォッチのアジア弁護局長ソフィー・リチャード
ソン(Sophie Richardson)は「中国ではすでに弾圧が深刻である
にもかかわらず、艾未未氏の逮捕はこれがさらにエスカレートして
いる実態を反映している」 と語る。「今、艾未未氏を助けることが
できるのは、継続的な国際的圧力だけである。」

艾氏の拘束を中国政府が最初に認めたと見られるのは、4月6日の
国営グローバルタイムズ(Global Times)掲載のある新聞記事(下
記に記事の翻訳あり)だ。艾氏は活動家であることで「代償を払う」
とし、政府に対する彼の批判に「法律は譲歩しない」と発表した。

中国政府による艾未未氏の拘束は慎重に計画されていたとみられる。
彼が逮捕された日、北京公安が北京の郊外にある彼のアートスタジ
オを捜索し、さらに彼のスタッフ8人、妻の路青(Lu Qing)氏、
艾氏の友人で弁護士の劉暁原(Liu Xiaoyuan)氏を尋問のために連
行。ただし、全員その日中に釈放された。警察はコンピュータ、ハ
ードドライブなどを押収。国営メディアはこの事件を報道しないよ
うに指示されており、インターネットやツイッターの中国版といえ
る"Weibo(微博)"など人気のマイクロブログでも艾未未氏の逮捕へ
の言及はすべて検閲された。

中国の法律では、警察は個人を逮捕した場合、釈放するか検察に逮
捕令状を請求するかを決定するまでに最長3日間その人物を拘束で
きるとされている。けれども、警察はしばしば拘禁を7日間に延長
する(限られた状況では30日)例外条項を濫用している。また、
法律上は弁護士には拘禁中の被疑者に接見する権利が定められてい
るものの、実際には警察が日常的に弁護士の接見を妨害している。

艾氏の弁護士で北京の著名な弁護士である浦志強(Pu Zhiqiang)
氏は、これまで依頼人である艾氏への接見はもちろん、逮捕に関す
る正式な通知を得ることさえ妨害されている。中国では通常、検察
によって逮捕を承認されれば、その後はほぼ自動的に起訴・有罪判
決・刑罰(多くの場合は投獄)となるのが実態である。2010年
ノーベル平和賞受賞者の劉暁波(Liu Xiaobo)氏は、海外で出版さ
れた論文の内容を理由として、2009年12月、懲役11年の刑
を宣告されたが、その前に1年間拘禁された。

政府批判や平和的な社会運動を理由に中国政府によって逮捕、失踪、
自宅軟禁、尋問のための召喚、逮捕を脅迫された人は、2007年
2月半ば以降だけで200人以上に上っている。中国の非常に著名
な人権弁護士6人、滕彪(Teng Biao)氏、唐吉田vii(Tang Jitian)
氏、江天勇(Jiang Tianyong)氏、劉士輝(Liu Shihuiix)氏、唐荊
陵(Tang Jingling)氏、李天天(Li Tiantian)氏は、警察に「失踪」
させられた状態にあり(http://www.hrw.org/ja/news/2011/02/22-1)
虐待や拷問にさらされる深刻な危険性がある。

また、4人の著名な活動家、冉雲飛(Ran Yunfei)氏、陳衛(Cheng
Wei)氏、丁矛(Ding Mao)氏、李 双?(Li Shuangde)氏は、
治安関連容疑で正式に逮捕されている
(http://www.hrw.org/en/news/2011/03/31/china-arrests-disappearances-require-international-response)
3月25日、長年の活動家である劉 顯斌(Liu Xianbin)氏は、
「国家政権転覆扇動」の罪で10年の刑を宣告された。政府はまた、
インターネットの検閲を大幅に強化。リベラルな新聞の編集人の中に
は強制的に退陣させられた人がいるほか、外国メディアに対しては
北京での報道に対し新たな制約を課した。

最も有名な中国の芸術家の一人で、ロンドンのテート・モダンで現
在展覧会を開催中の艾氏。その逮捕に対しては、複数の外国政府が
声を上げている。ドイツの外相は、彼の安否に関する緊急の説明を
中国に呼びかけた。英国のヘイグ外相は、早急に艾氏の状況と健康
と安全を明らかにするよう中国政府に求めた。欧州連合の北京代表
団や欧州議会の複数の議員、そして、オーストラリア政府も懸念を
表明している。米国務省のマーク・トナー報道官は4月4日、政府
は「深く懸念している」と述べた。

「艾未未氏の逮捕は国際社会を試している」とリチャードソンは言
う。「この数年間、融和政策と"静かな外交"では中国政府が反体制
活動家の弾圧を止めることはない、というのが明らかになっている
のだから。」

(引用元:ヒューマンライツウォッチ2011年4月7日
 翻訳:土井香苗 & 吉岡利代)
http://hrw.asablo.jp/blog/2011/04/07/5782357

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■法律は異端児に屈して敗北を認めない■GLOBAL TIMES 
 06 April 2011

前衛芸術家として知られるアイ・ウェイウェイは近ごろ拘留されて
いると言う。いくつかの欧米諸国の政府と人権機関がまもなくア
イ・ウェイウェイの即時釈放を要求した。そしてアイ・ウェイウェ
イを「中国の人権闘士」と見なすと同時に、それを中国の「人権悪
化」だと主張する。

中国の特定の事例を大げさに言って、本当のところを見つけだすよ
り先にすさまじい批評で中国を攻撃することは、中国の根本の政治
的骨組みに対する向こう見ずな抵触で、中国の公正な主権の無知で
ある。欧米の挙動は中国社会の注意の混乱にねらいをつけ、中国人
の価値体系を修正することをねらう。

アイ・ウェイウェイは活動家だ。中国社会の異端児として彼は「驚
くべき演説」や「驚くべき挙動」を選び取る。彼は法律上の何やら
紛らわしいことをするのも選び取る。4月1日、彼は香港経由で台
湾に行った。だが、彼の出発手続きが不完全だったのが報告された。

アイ・ウェイウェイは「他人があえてしない」何ごとかをするのを
好む。彼は中国の法律のレッドラインすれすれだった。客観的に言
えば、中国社会にはそのような人たちに対処する経験が多くない。
しかしながら、アイ・ウェイウェイが絶え間なく前進する限りは、
当然のことながら、彼はある日レッドラインに触れるだろう。

中国のような人口稠密な国家ではアイ・ウェイウェイのような人が
数名いるのは普通である。しかしまた法律で彼らの挙動を制御する
ことも普通である。中国では、アイ・ウェイウェイのような人間が
一人もいないのも法律に従って彼らに対してレッドラインがないの
もあり得ない。

欧米は、中国の現行の公正な環境の複雑さやアイ・ウェイウェイの
独特な行ないの特性を考慮しない。彼らは単純にそれを中国の「人
権抑圧」と記述した。

この世界で彼らが事実をふきとっているところで、「人権」が実に
欧米諸国の政治家やメディアのペンキ(描写)になってきている。
それはまったく大したジョークである。中国の暮らしは発展途上で
あり、もはや世論は明けても暮れても同じ模範に従うものでないし、
「社会的正義」が大いに論じられてきている。これらを否定できま
すか?中国の人権発展や進歩と同様に、アイ・ウェイウェイや他の
異端児の経験は同じ物差しに基づいて位置づけられるはずがない。

アイ・ウェイウェイは法に対して俗人とは異なる態度をとることを
選ぶ。しかしながら、ただ欧米メディアの非難を理由に法律は「異
端児」に屈して敗北を認めたりしない。

アイ・ウェイウェイは歴史によって判断されるだろうが、彼は例外
的な選択と引き換えに代償を払うだろう。それはどこの社会も同じ
だ。全体として中国は発展しており、誰ひとりとして国家に彼個人
の好き嫌いに順応するようにさせる権限は持たない、しかしそれは
少数派の権利が考慮されるかどうかとは別個のものだ。

http://en.huanqiu.com/opinion/editorial/2011-04/641187.html

 

 


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