■日本のプロテストソングのニューウェーブ■NYTimes
30 June 2011 by DAN GRUNEBAUM

2009年に亡くなった燃えるようなロックシンガー忌野清志郎が、
チェルノブイリの当然の結果として一連の反原発ソングで日本の電
力会社と電子工学の複合企業を怒らせて23年過ぎて、なお論争を
起こしている。

今年3月、東日本の地震と津波に続いて福島第1原発で非常時が始
まってまもなく、この国の最も有名なロックミュージシャンのひと
り、忌野清志郎と彼のバンドRCサクセションの歌が、YouTubeで
幾千回もの視聴に浴しはじめる(現在その数は50万を超える)。

彼の歌や、日本の反原発の続発する最新のトラックは、主流の日本
のラジオとテレビに無視されてきている、反原発ソングをかけるの
をラジオやテレビは気が進まないらしく、インターネット上で理解
ある聞き手を見つける。

忌野清志郎とRCサクセションの歌が迂回路(既存のものと全く別の
経路)経由で聞かれてきているのは何も今回が初めてではない 。チ
ェルノブイリから2年後の1988年、バンドはアルバム「Covers:
カヴァーズ」を彼らのレーベル東芝EMIと無関係に発売した。親会
社が原発を作る東芝EMIは、それを発売しようとしなかった。アル
バムのトラックの中には反原発の歌詞を用いた1950年代のロッ
ク"Summertime Blues"があった。東芝EMIは会社の決定を説明す
るのに新聞広告を持ち出して、歌は、"強烈すぎて発売できない"と
ほざいた。

福島の災害の規模が明らかになる現在、日本のムードは原子力を嫌
いだしている。けれども、主流のラジオやテレビで聴いてもらうに
しろメジャーレーベルで発売されるにしろ、原子力を非難する歌詞
の付いた音楽には今まで通りに挑戦だ。事情は、結果が広告力に帰
する音楽産業界の多くが原子力会社によって権力を行使されるとい
うこと。(日経広告研究協会によれば、日本の公益事業は広告に年
ざっと10億ドルを費やす。)

災害から早めの週に、日本のラジオ局InterFMの司会者ピーター・
バラカンは、清志郎の"サマータイムブルース"ともうひとつRCサク
セションの反原発ソング、エルビス・プレスリーの"Love Me
Tender"をカバーした替え歌をかけるリクエストを受けるように
なった。どちらの歌もYouTubeで幾千回もの再生回数に浴してきて
いる。

RCサクセションの"Love Me Tender"バージョンを放送するにあた
り、バラカン氏が局に持ち出すとラジオ局は突っぱねた、そして「放
射能はいらねえ 牛乳飲みてぇ」の歌詞によって牛乳の放射線汚染
について有害な風評被害をもたらす可能性を挙げる。

人気のロックシンガーソングライター、斉藤和義もまたこの遠慮(気
が進まない)に出迎えられる。福島原発の危機によって奮起したと
き、彼は2010年4月のシングル"いつも君が好きだった"の替え
歌、"いつもウソだった"を作る。

アコースティックギターのソロ演奏で収録された新曲は4月7日
YouTubeにアップロードされた。歌の中で斉藤は、CMや学校の教
科書で原子力安全の幻想を作り出すとして、日本政府と東京電力を
非難した。

替え歌は、斉藤のレコードレーベル、ビクターエンターテインメン
トがウェブサイト運用者に取り除くよう依頼したあと、まもなく
YouTubeから削除された。朝日新聞によれば、レーベル会社の理由
は、斉藤のビデオは個人使用になるはずで、彼が意図しなかったや
り方でリークされたというもの。斉藤氏はビデオ撤去についてコメ
ントしてきていない。

どうであれ、斉藤氏の替え歌は一連の新しい反原発ソングによって
跡を継がれてきている、幾つかは目下オンラインで幾万もの視聴者
に浴する。中でも"You Can’t See It , And You Can’t Smell It
Either(見えないしニオイもない)"はランキンタクシー(Rankin’
Taxi )という名で通るベテランの日本のレゲエ作家によるものだ。

英語に訳された歌詞のついたバージョンを含め、彼のビデオは
YouTubeで10万回以上見られているにもかかわらず、原子力に対
して態度を変える日本のプロテストソングの潜在能力について彼は
用心深い。

「原子力を後押しする人たちは依然としている。彼らは当座目立た
ないようにしているが、国民が福島について忘れてしまった時はい
つでも戻ってくる。」

反原発のシンガーの目新しい収穫の中でも女性たちは注目に値する。

若い女性ラッパー、Coma-chitoとRumiはどちらも最近の東京での
反原発の抗議で重要な役割を演ずる。Coma-chiの効果的な歌"Say
‘NO"は、とりわけ原子力のリスクを控え目に扱う点で日本のニュー
ス媒体の共謀をあからさまにとがめてきている。東京での最近の反
原発の抗議からComa-chiが単調に歌う、「くだらない娯楽はもう
たくさん メディアとおえらいさん 命が危なくてももの申さん 
もう世界中があきれてるのさ」 

異なる針路を取っている人たちもいる。前衛作曲家の大友良英と福
島が活動拠点の詩人 和合亮一は、災害を単に原子力に向かっての激
昂としてのみならず、再生可能エネルギーや天然資源の保護管理に
焦点を合わせることでエネルギー政策を完全に日本に考えなおさせ
る触媒として活用したいと言っている。彼らは8月15日に福島の
市中で"プロジェクト福島(www.pj-fukushima.jp)"というおおむ
ね電気のない音楽祭を計画している。

産経新聞の娯楽リポーター岡田敏一によれば、多くの主流メディア
会社が相変わらず電力会社に縛られたままである日本では、たぶん
前向きのアプローチのほうがプロテストソングよりもっと広く聞き
届けられるかもしれない。「彼らは公益事業が広告停止でお返しし
ようとすると怖じけづく」と彼は言う、「だから反核運動にあって
は報じない。」

反原発ソングの多くは広くインターネットで入手できる。「日本の
主流メディアは年上の世代を相手に言論を尻に敷くことができる」
とラジオ番組の司会者バラカン氏は言う、「とにかく、テレビやラ
ジオに対してほとんどさじを投げてきている年下の世代を相手にで
はないということ。」

だが、これら政治的もしくはプロテストソングの主流の拒絶反応は、
必ずしも実業団の圧力にかかわる問題とは限らないかもしれない。
文化的なルーツもまたあるかもしれない。

「日本人はメッセージソングより意味のないデタラメソングの方を
好む」とランキンタクシーは言う。「先行きにも世の中にも思いを
はせるのはわずらわしいこと。人はメッセージではなくて娯楽が欲
しい。」

http://www.nytimes.com/2011/07/01/arts/01iht-JAPANMUSIC01.html?_r=1&ref=japan


 


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