8月4日、イギリスのバンド、フェイスレスが「MASS DESTRUCTION
大量破壊兵器」というエレクトロ・ファンクの反戦歌を発売した。ブッ
シュを支援するクリアチャンネルが支配するアメリカのラジオでは流れ
なくても、ハワード・スターンのお下劣番組を放送する独立系のオルタ
ナティブ・ロック専門局ではときたま流れ、最近はクラブでも流行しつ
つあるそうだ。
http://www.musicremedy.com//audio/index.cfm?FuseAction=
ShowVideoPlayer&AudioId=1678&Quality=3

=MASS DESTRUCTION by Faithless=

長距離ミサイルだろうと自爆テロだろうと
悪意が、大量破壊兵器

ザ・サン(フォックスニューズを使ってブッシュを支援したニューズ・
コープがイギリスで所有するタブロイド紙)だろうとBBCだろうと
情報操作が、大量破壊兵器

白人だろうと貧しいアジア人だろうと
民族差別が、大量破壊兵器

インフレだろうとグローバリゼーションだろうと
恐怖が、大量破壊兵器

ハリバートンだろうとエンロンだろうと
強欲が、大量破壊兵器

見て見ぬふり、何もしない怠惰が、大量破壊兵器
怠惰が、大量破壊兵器

▼オリンピック金メダリストのヒーローがブッシュを非難▼
The Observer by Denis Campbell and Helena Smith
29 August 2004

大統領選の前段階で自分の優位になるようアテネオリンピックを食い物
にしたと昨日、アメリカ随一のオリンピック・ヒーローがジョージ・ブ
ッシュを非難した。

記録破りの走りでオリンピックの金メダルを9個獲得したカール・ルイ
スが、再選のチャンスをあおるTV広告でアテネのイラクとアフガニス
タン・チームを利用したとして、ブッシュを糾弾した。

アテネで競技することが許されているふたつの国を彼の外交政策に結び
つけて考えるとしてブッシュを非難するルイスは、「腹黒いと思った。
アフガニスタンを支援して1980年のモスクワオリンピックをボイコ
ットしたのが滑稽だ。それで今度はアフガニスタンに爆弾を落としてい
る」と昨日、アテネニュースに語った。

「もちろん、私たちはイラクを侵略しているし、イラクにいて政治の足
しに利用している。それにはあきれる。そしてなぜイラクの選手たちが
気を悪くしているか理解する。選手や地域社会を支援するのはりっぱだ
が、政治の足しにするのは意見が異なる」

思いがけなく準決勝に進んだイラクのサッカー選手たちは、ブッシュが
政治的に利用したとされる広告が嫌いで、アメリカ兵のことを解放者と
いうより占領者とみなすのを先週、わからせた。ブッシュは、もしイラ
クが決勝に進んだら、ギリシャのアテネを訪れて昨日の決勝戦に出席す
る計画を立てていた。だが先週、彼らは準決勝で敗退した。政治を抜き
にしたスポーツの祭典という象徴が保護されるオリンピックのシンボル
を許可なく悪用したことでもブッシュは批判された。

米国務長官コリン・パウエルは、抗議者たちが彼の訪問を粉砕するかも
しれぬ危惧にまみれて、今夜のオリンピックの閉会式に出るためアテネ
に滞在する予定をキャンセルした。

当然ギリシャに向かう便に乗り込むと思われていた数時間前にパウエル
は予定を変更してあいだに介在する「緊急の責務」とやらを説明した。

アテネは、「びっくりするような主催者ぶりと安全な大会にちなんで」
金メダルを受けるに値すると同時に、切迫する職務の負い目がパウエル
が大会を見届けるのを止めるであろうと米国外交使節が言ったと、ギリ
シャの国務長官ペトロ・モリヴィアティスは通知する。

▼ブッシュのブレイン▼by J. Hoberman
VIllageVoice 23 August 2004

目下アメリカで上映される反ブッシュキャンペーンの最新ドキュメント
は、昨年ダラスの取材記者コンビが出版した政治操作が専門のブギーマ
ンことカール・ローヴの詳細な人物描写から数多くの論証を引く、その
名も「ブッシュのブレイン」だ。

大学の学部在学中から野心的でうまく人の気を変えさせるローヴはリー
・アトウォーターといっしょにきたないトリックを学び、1973年に
はジョージ H.W.ブッシュ(ブッシュのパパ)のために仕事に取りかかっ
た。忠実な一族のおかかえ(1980年の選挙期間中ふざけた行為のせ
いで解雇されたが)、ローヴは息子 Dubya が映画「マンチュリアン・
キャンディデート」の洗脳された大統領候補になる潜在性を有するのを
明確に理解して、息子ブッシュがアン・リチャーズ知事を破るのに必要
な、売り込みに用いるかっこうな4つの呼び物キャンペーンを取りまと
める。

2000年大統領選のジョン・マケインに対する中傷デマ行為を含め、
ローヴの最近の大成功は、ジョージア州上院議員マックス・クリーラン
ドの愛国心へのグロテスクな攻撃と、たぶん元大使ジョセフ・ウイルソ
ンの妻がCIA だとリークしたのもそうだ。彼の慣例上のリアリズムで、
ローヴは、売買の手段として、イラクは「私たちが燃料として走れるも
の」だと理解した。選挙で選ばれてない最高司令官を影で操る悪の天才
はディック・チェイニーと考える人がいる。映画製作者たちは、それは
「共同大統領」のローヴだと主張する(ヒラリー・クリントンが愛用し
た執務室に座ると聞く)。もしチェイニーが放り出されマケインが代わ
りに就くなら、彼らは正しかったであろう。

▼決して勝てない情況▼by ポール・クルーグマン
ニューヨークタイムズ紙 31 August 2004

「誰もがバグダッドに行きたがる。本物の男はテヘランに行きたがる」
イラク人は花を手に歓迎するとチャラビがみんなに請け合った2年前、
これがワシントンの意向だった。最近はこんなスローガンを唱える人が
いる。「誰もがナジャフにいらいらする。真に留意している人はラマデ
ィに気をもむ」

4月に蜂起して以来ずっと、イラクのファルージャの町は要するに厄介
な小さなイスラム社会だった。だが、残りのスンニ・トライアングル(
スンニ派の三角地帯)はどうか?

先月、ナイト・リッダーの記事が、米軍は多数の都市部を効果的に反乱
分子に引き渡してきたと思うがどうかと提案した。世界の注目がナジャ
フに集中している一方でイラク西部はしっかりと反抗者の管理下に留ま
るのを先週日曜にタイムズが確認した。合衆国が就任させた暫定政府は
脅迫され、暗殺されるか処刑されている。

他のサマワのような町もまた反乱者に落ちている。石油パイプラインへ
の攻撃が急激に増している。そして私たちはいまだにサドル師とのモグ
ラ叩きをやっていた。マハディ軍はナジャフを見捨てたが、200万の
住民でサドルシティを支配したままだ。「サドル師が広がる基盤と以前
にも増して好戦的な支持者を得て行き詰まり状態から立ち直っているの
をバグダッドでのインタヴューが示す」とクリスチャンサイエンスモニ
ター紙は報じる。

長い間、ヴェトナムとの類似を提案する人は物笑いにされた。だが、私
の計算ではイラクに楽天的な人たちはもう3回も勝利宣言をしている。
まずは、続いてエスカレートする反乱行為が起きた、「任務完了」で。
次に、続いて4月の流血の蜂起が起きたサダムを捕らえたときに。最後
は、これが推移(8月の砲火によって論破されるとりとめもない空想)
を明らかにしたとの信じがたい主張に加えて、アラウィへのごまかしの
形式上の統治権の移譲において。

さて、本格的な安全保障の分析家たちが、民主主義のゴール、親米イラ
クが手の届かないところに遠のいているのを認め始めている。反戦運動
家でなしに、国際戦略研究センターのアンソニ・コーデスマンが、「ど
んなに早くとも、2005年末前にイラクに安定と平和の見込みはほと
んどない」と書く。

コーデスマンはなお、イラクの成功の見込みは「少なくとも五分五分で
はある」が、政府を作るという意味での成功では、欧米が考えるより「
バース党員、強硬路線の宗派、分裂を生じる民族・宗派心の強い運動を
含めたより包括的なものになるのはほぼ確か」であると考える(あるい
は数週間前にそう考えた)。そして万一に備えて、合衆国は、「失敗の
不測事態対応計画」を準備すべきだとしきりに促す。

酷評屋フレッド・カプランはもっと悲観的だ。彼は最近こう書いた。「
こんなことを言うのはひどく冷酷だが、イラクの問題に答はないかもし
れない。民主的政権は言うまでもなく、安定したゆるぎなさを結実する
道もない。そしてその国やその地域をどうあってもなおさら深刻な災難
に投げ込むことなしに、私たちが撤退できる道はない」と。さらに深刻
な災難?そう。ラマディにいらいらさせられた人々が今はパキスタンに
いらいらさせられている。

で、答えは?ひとつの考え:選挙を先延ばしにする。ごく普通の多数決
原理を妨げるいつもの手をなんとか考え出そうとする。独裁者としてま
ずはチャラビを、次にアラウィを就任させようとするなど、イラクでの
合衆国の方針のほとんどが、大アヤトラ・シスターニ師に当然の、最も
有力な役割を与えるのを避けるためのしつこい奮闘と見られる。だが、
最近のナジャフで起きたことが、聖職者の畏怖させる影響とアメリカの
力の限界の両方を明らかにしている。私たちがシスターニ師よりかえっ
て悪くしかねないことを悟る時期ではないのか、そして彼が望むものは
なんでも与えてやる時期ではないのか?

もうひとつの考え。イラクの悩みは予期しない「突然の大変動(破局)
という上首尾」の結果だとブッシュ大統領は言う。だがその突然の大変
動は多くの専門家によって予言された。私たちの国家安全保障会議がア
メリカの戦争後の歴史において最も軟弱で最も無力だから、彼らの警告
は無視されたとコーデスマンは述べる。そして現実を理解することや平
和を具体化するどんな計画もなしに戦争を具体化した少数のネオコン提
唱者グループに監督権を与える。

ちょうど数ヶ月前に「うまくいっている対テロ戦争」バスツアーを行っ
たブッシュは昨日、「テロとの戦争に勝てるとは思わない」と認めた。
だが、彼は国家安全保障顧問を変えることもしなければ、この勝てない
情況に私たちを従事させたネオコン提唱者の誰一人として解雇してはい
ない。彼は間違いを犯したと認めるよりも、むしろ機会があれば、私た
ちを第2、第3、そしてたくさんの泥沼に導こうとする人々に忠実であ
り続ける。