■福島原発事故による日本のセシウム137の堆積と汚染■PNAS
14 November 2011

11月15日、PNASに発表された論文「全国のセシウム137汚染
見積もり分布」について

解析期間:2011年3月20日〜4月19日
分布の様子がわかるアニメーションが以下のページから閲覧できる
http://www.pnas.org/content/suppl/2011/11/14/1112058108.DCSupplemental

私たちは、東日本と北日本東部の広域でセシウム137が土壌を激
しく汚染したのを明らかにします。これに反して西日本は山岳地帯
によって保護されました。福島NPPと隣接県を取り巻く土壌は、そ
れぞれ、1キログラムあたり10万MBqと1万MBq以上の堆積で広
く汚染されてきています。日本列島と周囲の海(130−150°E and 30
−46°N)、そして日本列島と、2つの影響範囲全部を通してのセシ
ウム137の堆積の累算は、それぞれ5.6PBqと1.0PBq以上と算定
されました。

http://www.pnas.org/content/early/2011/11/11/1112058108.abstract

PNASの全国のセシウム137沈着見積もり論文は、あくまでモデル
の相対沈着量に各県で観測された定時降下物の値を反映したもので、
全国の分布を知るというのが目的ですが、モデルの解像度や不確定
性があります。この論文から言いたいのは、全国の土壌サンプリン
グを行ってほしいということです。
どんなに少ない沈着が予想される地域も、一度は土壌サンプリング
をしっかり行っていただきたい。全部の都道府県です。

http://togetter.com/li/214422

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■ 沈着は広範囲
 特に地形効果により、沈着量は大きく異なることが判明■

USRA、NILU、東京大学、名古屋大学

見積もりは、大気中の汚染物質の輸送・拡散を起算するためノルウ
ェーの研究グループによって開発された大気輸送モデルFLEZPART
と、文部科学省によって全国都道府県で毎日観測が行われた定時降
下物のセシウム137・日沈着量を用いて行った。

結果と考察
日本列島全体へのセシウム137の合計沈着量は1PBq以上と見積
もられ、特に東日本への沈着量が多く、1キロあたり1000MBq
以上の場所が広範囲に見られた。
場所によって大きく異なるが、西日本では1キロあたり250MBq
程度まで、岩手以北の北日本では25000MBq程度までの沈着量
がありそうなことが見積もられた。
沈着量は、特に地形効果によって大きく規定されることが示唆され
た。例えば、飛騨・越後山脈や関東山地があることにより、直接的
な汚染大気の流れが妨げられ、西日本が比較的低汚染となったと考
えられる。ただ西日本でも、汚染度が地域的にかなり異なることが
本研究の結果から示唆された。特に標高の高い山岳地域においては、
ホットスポット的に、例えば中国・四国山地などで平地よりも相対
的に汚染が高くなる地域がありうるとの結果が示された。一方、北
海道においては、夕張や日高山脈の辺りで標高の低さに関わらず、
やや広域の低度の汚染が見られた。また道東の一部で相対的に汚染
の高い場所も見られた。この北海道の分布は、福島からの汚染物質
が期間中に太平洋を北上し、直接流入する地表付近から対流圏下層
での大気輸送パターンによるものであることが示唆された。

今後の方策の提案
福島周辺だけでなく、どの都道府県においても、土壌サンプル中の
セシウム137の測定をさらに強化することを提案したい。特に、
山地や地形的に汚染度が相対的に高い可能性があるため、そのよう
な地域での測定を積極的に行っていただきたい。

(引用元:研究チームの日本語プレスリリース)
http://www.nagoya-u.ac.jp

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△全国のセシウム土壌汚染状況を推定、世界初

東京電力福島第1原子力発電所の事故で放出されたセシウム137
による日本全国の土壌汚染状況を推定した世界で初めての論文が、
米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)
電子版に発表された。

研究を行った米メリーランド州米大学連合宇宙科学協会(USRA)
の安成哲平客員研究員らは、過去の気象データを元にした粒子飛散
シミュレーションと全国での観測数値をもとに、福島第1原子力発
電所事故による汚染を見積もった。

研究が対象とした放射性物質のセシウム137は半減期が約30年
と長く、長期にわたって環境に影響を及ぼす。

この論文によると、福島県のおおむね全域、特に福島第1原発の北
西にある地域で蓄積したセシウム137の濃度が土壌1キログラム
あたり1000ベクレル程度の高い汚染があると推定されるという。

また日本政府はセシウム134とセシウム137を合わせた放射性
セシウム全体の濃度が、土壌1キログラムあたり5000ベクレル
を超える場所での稲の作付けを禁止しているが、論文は、土壌に沈
着した放射性セシウムのおよそ半分がセシウム137だと考えると、
福島県東部では稲の作付け禁止基準を超えるとの推定を示した。

さらにセシウム汚染がこの論文の推定値の上限に近ければ、宮城県、
栃木県、茨城県などの一部地域にも稲の作付け禁止基準に近い場所
があると見られ、「土壌1キログラムあたり250ベクレル以上の
値が出る可能性が排除できない岩手、宮城、山形、新潟、栃木、茨
城、千葉などの県でも、一部で(食料生産に)影響が出るだろう」
としている。

市単位での土壌検査を

一方、西日本では一部の地域である程度の影響があるとみられるも
のの、推定値と実測値による汚染の程度は土壌1キログラムあたり
25ベクレル未満で、 東日本ほど深刻ではなかったという。しかし
論文の執筆者らは、各都道府県に対し、市単位で土壌検査を行って
今回の推計結果を裏付ける補足調査を速やかに行うよう呼びかけて
いる。

(引用元:AFP BBNews 2011年11月15日)
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/disaster/2840912/8086304

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△ 東京電力福島第一原発の事故で大気中に放出された放射性物が
西日本や北海道にも拡散しているとの解析を日米欧の研究チームが
まとめた。15日の米国科学アカデミー紀要電子版に発表する。文
部科学省は長野・群馬県境で汚染の広がりはとどまったとの見解を
示したが、以西でも「わずかだが沈着している可能性がある」と指
摘した。

米宇宙研究大学連合(USRA)の安成哲平研究員らの研究チーム
は、大気中の汚染物質の拡散を20キロ四方で計算するシステムを
使い、事故後の天候や雨による放射性物質の降下を加味してシミュ
レーション。文科省によるセシウム137の測定値で補正して、3
月20日から4月19日までの沈着量を算出した。

分布状況は文科省の観測の傾向と一致していたが、岐阜県や中国・
四国地方の山間部で、原発由来の放射性物質が沈着している可能性
が示された。北海道にも広がりがみられた。

(引用元:朝日新聞 2011年11月14日)
http://www.asahi.com/national/update/1114/TKY201111140338.html


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