◇無限の欲ある人こそ貧乏

「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲
があり、いくらあっても満足しない人のことだ。」
6月20日から22日までブラジルのリオデジャネイロで開かれた
「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)でウルグアイのホセ・
ムヒカ大統領が行った演説がネット上で話題を呼んでいる。

この演説は20日に行われた。

貧困層出身のムヒカ大統領は左翼ゲリラ活動を経て仲間らと政党を
設立し、2009年に現職に就任。今回の演説の日本語訳を載せた
サイト記事では、演説時の様子について「ウルグアイのような小国
の大統領は最後の演説者でした。彼のスピーチの時にはホールには
ほとんど誰もいません」と説明している。

同記事はフェイスブックで4万2000回以上共有され、ツイッタ
ー上では「ちょっと考えさせられた」などの感想が書き込まれてい
る。

(引用元:オルタナ:リオ会議演説 2012年7月24日)
http://www.alterna.co.jp/9584

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■リオ会議でもっとも衝撃的なスピーチ■
Posted by Akira Uchimura July 22, 2012

なんということでしょう。リオ会議(Rio+20)は、環境の未来を全
世界で決めて行く会議で、日本のメディアも新聞やテレビで大きく
取り上げてきたのに、もっとも衝撃的で環境危機の本当の問題を唯
一示し、考えさせられるウルグアイ大統領の本音スピーチを誰も日
本語に訳していません!
もう一つガッカリしたことがあります。リオ会議に期待を寄せ、
Youtubeで各首脳のスピーチや、かの有名な伝説のスピーチをした
サヴァン・スズキさんの映像も見ていました。リオ会議では各国首
脳が集まり、地球の未来を議論し合う場なのに、各国首脳は自分の
スピーチを終わらせたら、一人また一人と消えて行ってしまいまし
た。世界中から何時間もかけてこの場に来ているのに、みな人の話
は聞かず、自分のスピーチで済ませている代表者が多いリオ会議だ
ったと思います。
ウルグアイのような小国の大統領は最後の演説者でした。彼のスピ
ーチの時にはホールにはほとんど誰もいません。そんな中、カメラ
の前で残したスピーチは、その前まで無難な意見ばかりをかわし合
う他の大統領とはうって変わって赤裸々に思っていることを口にし
ています。世界で最も「貧乏」な大統領と言われているエル・ペペ
(愛称)が世界に対してどんなメッセージを残したのか。私にとっ
てはいつも考えなければならない重要なスピーチにもなりました。

追記:
◎ コメント欄でシェアや転載の許可を聞く方が多くてとても
嬉しいです。どうぞご自由に転載ください。許可なんてい
りません。
◎ムヒカ大統領のすごさというのは、言葉だけでなく行動に
も表しているからだと思います。「世界一貧乏な大統領」
と言われているのは資産が少ないからではなく、個人資産
を87%寄附して、家とトラクターだけで暮らしているか
らです。
◎私はいまウルグアイの近隣の国、パラグアイに一時滞在し
ています。先月のパラグアイでの政治混乱のときにも彼の
MERCOSURでのスピーチでかなり助かりました。私の本業
はこちら↓で見れます(英語です)。
http://nikkeiyouth.com/2012/07/11/nyn-phase2/
◎みなさんのつぶやき、シェア、ブログ紹介のおかげでムヒ
カ大統領のスピーチもたくさんの人に読まれています。
ありがとうございます。Muchas gracias!

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■ムヒカ大統領のリオ会議スピーチ(訳:打村明)

 会場にお越しの政府や代表のみなさま、ありがとうございます。
ここに招待いただいたブラジルとディルマ・ルセフ大統領に感謝い
たします。私の前に、ここに立って演説した快きプレゼンテーター
のみなさまにも感謝いたします。国を代表する者同士、人類が必要
であろう国同士の決議を議決しなければならない素直な志をここで
表現しているのだと思います。

しかし、頭の中にある厳しい疑問を声に出させてください。午後か
らずっと話されていたことは持続可能な発展と世界の貧困をなくす
ことでした。私たちの本音は何なのでしょうか?現在の裕福な国々
の発展と消費モデルを真似することでしょうか?

質問をさせてください。ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車を
インド人が持てばこの惑星はどうなるのでしょうか。
息するための酸素がどれくらい残るのでしょうか。
同じ質問を別の言い方ですると、西洋の富裕社会が持つ同じ傲慢な
消費を世界の70億〜80億人の人ができるほどの原料がこの地球
にあるのでしょうか?可能ですか?それとも別の議論をしなければ
ならないのでしょうか?
なぜ私たちはこのような社会を作ってしまったのですか?
マーケットエコノミーの子供、資本主義の子供たち、すなわち私た
ちが間違いなくこの無限の消費と発展を求める社会を作って来たの
です。マーケット経済がマーケット社会を造り、このグローバリゼ
ーションが世界のあちこちまで原料を探し求める社会にしたのでは
ないでしょうか。
私たちがグローバリゼーションをコントロールしていますか?ある
いはグローバリゼーションが私たちをコントロールしているのでは
ないでしょうか?
このような残酷な競争で成り立つ消費主義社会で「みんなの世界を
良くしていこう」というような共存共栄な議論はできるのでしょう
か?どこまでが仲間でどこからがライバルなのですか?
われわれの前に立つ巨大な危機問題は環境危機ではありません。政
治的な危機問題なのです。

私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。幸
せになるためにこの地球にやってきたのです。人生は短いし、すぐ
目の前を過ぎてしまいます。命よりも高価なものは存在しません。

ハイパー消費が世界を壊しているにも関わらず、高価な商品やライ
フスタイルのために人生を放り出しているのです。消費が社会のモ
ーターの世界では私たちは消費をひたすら早く、多く、しなくては
なりません。消費が止まれば経済が麻痺し、経済が麻痺すれば不況
のオバケがみんなの前に現れるのです。

このハイパー消費を続けるためには商品の寿命を縮め、できるだけ
多く売らなければなりません。ということは、10万時間保つ電球
を作れるのに1000時間しか保たない電球しか売ってはいけない
社会にいるのです!そんな長く持つ電球はマーケットに良くないの
で作ってはいけないのです。悪循環の中にいるのにお気づきでしょ
うか。これはまぎれもなく政治問題ですし、この問題を別の解決の
道に私たち首脳は世界を導かなければなりません。

石器時代に戻れとは言っていません。マーケットをまたコントロー
ルしなければならないと言っているのです。私の謙虚な考え方では、
これは政治問題です。

昔の賢明な方々、エピクレオ、セネカやアイマラ民族までこんなこ
とを言っています。
「貧乏な人とは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の
欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ。」
これはこの議論にとって文化的なキーポイントだと思います。

根本的な問題は、私たちが実行した社会モデルなのです。そして、
改めて見直さなければならないのは私たちの生活スタイルだという
ことです。

私は環境資源に恵まれている小さな国の代表です。私の国には
300万人ほどの国民しかいません。ですが1300万頭の世界一
おいしい牛が私の国にはいます。ヤギも800万から1000万頭
ほどいます。私の国は食べ物の輸出国です。こんな小さい国なのに
領土の90%が資源豊富なのです。

私の同志である労働者たちは8時間労働を成立させるために戦いま
した。そして今では6時間労働を獲得した人もいます。しかしなが
ら、6時間労働になった人たちは別の仕事もしており、結局は以前
よりも長い時間働いています。なぜか?バイク、車などのリポ払い
やローンを支払わないといけないからです。 毎月2倍働き、ローン
を払っていくと、いつの間にか私のような老人になっているのです。
私と同じく、幸福な人生が目の前を一瞬で過ぎてしまいます。そし
て自分にこんな質問を投げかけます。これが人類の運命なのか?

私の言っていることはとてもシンプルなものですよ。発展は幸福を
阻害するものであってはいけない。発展は人類に幸福をもたらすも
のでなくてはなりません。愛情や人間関係、子どもを育てること、
友達を持つこと、そして必要最低限のモノを持つこと。これらをも
たらすべきなのです。

環境のために戦うのであれば、人類の幸福こそが環境の一番大切な
要素であるということを覚えておかなくてはなりません。

ありがとうございました。

http://hana.bi/2012/07/mujica-speech-nihongo/

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◇ウルグアイ大統領、所有資産は18万円相当の車だけ

ウルグアイのムヒカ大統領(75)が大統領就任時の宣誓陳述書に
挙げた個人資産は、1920ドル(約18万円)相当の1987年
型フォルクスワーゲン・ビートルのみだったことが明らかになった。
3月に就任した同大統領は、元左派ゲリラ活動家で、質素な生活や
地に足の着いた態度が国民に支持されている。
先に公開された同陳述書によると、大統領には負債も預金もなく、
ほかに資産も何も持っていない。大統領としての毎月の給料は1万
1680ドル(約107万円)だが、その大半を左派の与党拡大戦
線や公共住宅プログラムに寄付。大統領官邸への入居も拒否し、上
院議員を務める夫人が所有する首都郊外の簡素な家に住んでいる。

(引用元:ロイター 2012年6月7日)
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-15695220100607


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