国際条約にのっとり亡命が認められたジュリアン・アサンジを逮捕
するため、治外法権である大使館に踏み込むとのイギリス政府のべ
らぼうな脅しから、マイケル・ムーアとオリヴァー・ストーンが NY
Times 紙のオピニオン欄に寄稿した。

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■WikiLeaksと言論の自由■NY Times 20 August 2012
by MICHAEL MOORE and OLIVER STONE

私たちは、アメリカ合衆国のニュースメディアが、たびたびわが国
の政府の醜い行動についてアメリカ人に知らせるのを怠るという事
実を実証する映画監督としてキャリアを捧げてきています。それ故
に、私たちはWikiLeaksの功績に深く感謝しているし、その創設者
ジュリアン・アサンジに外交的亡命保護を与えるとのエクアドルの
決定を拍手喝采で称賛しています。彼はいまロンドンのエクアドル
大使館に住んでいます。

エクアドルは重要な国際的人権の原則に従って行動してきています。
それどころか、極めて神聖な外交関係の原則に違反しアサンジ氏を
逮捕するため大使館に侵入するとのイギリス政府のおどし以上に、
エクアドルの行動の妥当性を実証できるものはありません。

WikiLeaks 創設以来、合衆国のアパッチ攻撃ヘリによるバグダッド
市民の無差別殺人を示す"コラテラル(二次的)殺人"、さらにイラ
クとアフガニスタン戦争の真実の顔についてきめ細かい詳細な叙述、
爆撃するにつき私どもの責任を隠蔽するため合衆国がイエメンの独
裁と共謀したこと、拷問でブッシュ時代の高官を訴追しないためオ
バマ政権が他国にかけた圧力、等々をあばいてきています。

予想通り、アメリカ人が事情に無知なままでいるのを好む人たちか
らの反応はすさまじいものでした。両党のトップで選ばれた指導者
はアサンジ氏を"ハイテクテロリスト"と呼んでいます。そして上院
諜報特別委員会を率いるカリフォルニア選出民主党のダイアン・フ
ァインスタイン上院議員は、彼がスパイ法のもとで起訴されること
を要求してきています。いかなる犯罪でもアサンジ氏が正式に起訴
されていないのを、ほとんどのアメリカ人、イギリス人、スウェー
デン人は知りません。確かに、2010年の性的暴行疑惑について
彼に尋問するため逮捕状が出ています。

スウェーデンの司法制度の手の届かないところに置くといってもい
い国にアサンジ氏が移動させられる前に、そのような主張はすべて
徹底的に調査される必要があります。しかし、調査の邪魔になって
いるのは、アサンジ氏でなく、イギリスとスウェーデンの政府です。

必要とあらば尋問を執り行うためスウェーデン当局は他国に行って
いるし、WikiLeaks 創設者はロンドンで尋問を受ける意向を明らか
にしています。そのうえ、エクアドル大使館内でアサンジ氏を尋問
してよいと、エクアドル政府がスウェーデンに直接申し出を提示し
ました。どちらの場合も、スウェーデンが拒否しました。

アサンジ氏はまた、もしもスウェーデン政府が彼の身柄をアメリカ
合衆国に引き渡さないと確約するなら、ただちにスウェーデンに行
く約束をしてきています。スウェーデン当局はこの提案を試してみ
ることに全く興味を示しませんでした、また最近、カール・ビルト
外相がスウェーデンはそのような確約をするつもりはないとアサン
ジ氏とWikiLeaksの法律顧問に明白に述べました。スウェーデンか
らアメリカへアサンジ氏の引渡しを防ぐことで、イギリス政府にも
関連する条約の下に権利があるでしょう、イギリスもまたこの力を
行使すると誓約するのを拒否してきています。両国政府と申し合わ
せを進めることでエクアドルの試みは拒絶されました。

イギリスとスウェーデンの政府の行動が一緒になって、彼らの本当
の実践すべき義務はアサンジ氏をスウェーデンに至らせることだと
私たちに示唆します。条約や他の考慮事項のため、彼はおそらくも
っと簡単にそこから告訴に向かうためアメリカ合衆国に引き渡され
る可能性があります。そのような結果を怖れるあらゆる理由がアサ
ンジ氏にはあります。司法省は最近、Wikileaksを引き続き取り調べ
ていることを確認しました、そして今年2月からようやく開示され
たオーストラリア政府の文書が「アサンジ氏による犯罪指揮の可能
性のアメリカの調査は1年余りのあいだ進行中である」とはっきり
述べます。WikiLeaksそのものが、大陪審がすでに密封されたアサ
ンジ氏の起訴状を答申していることをはっきり述べる民間情報会社
Stratforからのeメールを公表してきています。そして歴史は、アサ
ンジ氏を引き渡すにつきスウェーデンがアメリカからのどのような
圧力にも屈するだろうことを示します。2001年、スウェーデン
政府は亡命を求める2人のエジプト人をCIAに引き渡しました、CIA
は2人をムバラク政権に与え、ムバラク政権は2人を拷問しました。

もしアサンジ氏がアメリカに引き渡されるなら、結果は何年も世界
中で波紋を呼ぶことでしょう。アサンジ氏はアメリカ市民ではあり
ません、また彼の行動のどれ一つとしてアメリカの国で行われてい
ません。もしもアメリカがこのような状況で一人のジャーナリスト
を起訴できるなら、ロシアや中国の政府は同じロジックで地球のど
こであれ外国人記者が彼らの法律に違反したせいで送還を要求する
ことができることになります。そのような先例の敷設は、WikiLeaks
の賞賛者であろうとなかろうと、だれもが深く懸念すべきです。

政府にいくつか基本的な疑問に答えるよう要求することで私たちは
イギリスとスウェーデンの人々を激励します。
なぜスウェーデン当局はロンドンでアサンジ氏に尋問するのを拒否
するのですか?また、なぜどちらの政府もアサンジ氏をアメリカに
送還しないと確約できないのですか?
イギリスとスウェーデンの市民には地球全体を代表して言論の自由
のために抵抗する、めったにない機会があります。

△ マイケル・ムーアとオリヴァー・ストーンはアカデミー賞受賞映
画監督です。

http://www.nytimes.com/2012/08/21/opinion/wikileaks-and-the-global-future-of-free-speech.html?_r=1&hp

 

 


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