◇エジプトに民主主義は戻っていない
ワシントンポスト紙 02 August 2013

一年前、エジプトで発生しようとしている民主主義の実験が、大統
領としてモスリム同胞団のモハメド・モルシ選出につながったとき、
ヒラリー・ロダム・クリントン国務長官はカイロを訪れた。緊張や
制度・機関組織のもろさにもかかわらず、彼女は「エジプトの人々
によって求められた民主主義への移行に後戻りはありえない」と断
言した。彼女は、「5千年以上の歴史において一度もやったことが
ない驚くべきことを彼らはやっています。彼らは選挙をやりました」
と付け加えた。

次に続く年、モルシ氏はほとんど民主主義の手本ではなかった。彼
の政府は国の管理を誤り、経済はきびしい不景気で数百万人が彼の
統治に幻滅させられた。だが、彼は選挙で選ばれた大統領だった。
何週間も抗議がふくれあがったとき、彼はいきなりエジプト軍によ
って権力の座から解任され、投獄されて重大な犯罪で告発された。
それはクーデターだった。モルシ氏の支持者らは当然、強奪された
と感じる、そして暫定政府は妥協のきざしも交渉のきざしもほとん
ど見せていない。

木曜、パキスタンにいる間にジョン・F・ケリー国務長官はインタ
ヴューの中で、民主主義の世界チャンピオン、アメリカ合衆国はエ
ジプトの軍事弾圧支持をどのように正当化できるのか尋ねられた。
ケリー氏の返答は不可解だった。彼は、「軍は非常に多数の民衆に
よって介入を求められた、その誰もが混乱への下降、暴力への下降
を恐れていた。そして、これまで私たちの判断の限りでは、軍は支
配しなかった。国を運営する文民政府がある。要するに、彼らは民
主主義を元に戻していた」と言った。

それは、慎重に"クーデター"の言葉を用いるのを避ける一言で、ク
ーデターはアメリカのエジプトへの15億ドルの年間支援パッケー
ジの中断を引き起こす可能性があった。だが、国民によって選ばれ
た大統領を権力の座からまさに解任していたときに、エジプト軍が
"民主主義を元に戻している"と断言するのはまったく別だ。

国務長官の声明は大統領の方針を反映していないとホワイトハウス
は私たちに知らせた。好ましい事態だ、なぜならケリー氏の発言は
軽率で危険だからである。疑いなく、それは国防相シシ将軍寄りの
信任投票と受け取られるだろうし、軍を勢いづかせてモスリム同胞
団への暴力や抑圧のキャンペーンを急がせる。弾圧の結果として、
すでに治安部隊と抗議者との衝突で数百人の死者を生じさせており、
通りの緊張は激している。

実のところもっと損害を与えるケリー氏の声明は、民主主義がどこ
でもトランプの手品(たったいま見える、今度は見えない)になり
うるとイスラム教徒に示すことになる。社会のあらゆる見解を代表
してバランスを取ることで、民主主義はすぐれたシステムであると
イスラム教徒を説得することにアメリカ合衆国は多大な時間と努力
を投資してきている。ケリー氏の発言は、アメリカの友人が政権を
握るときだけアメリカは民主主義を好む証拠として受け取られるだ
ろう。それは考えうる最悪のメッセージだ。モスリム同胞団とモル
シ氏を迫害するよりはむしろ、それを含めてエジプトにおける本当
の民主主義のために国務長官と大統領がはっきりしゃべることが実
のところ今は緊急になる。昨年、民主主義に後戻りはありえないと
ここで主張したクリントンは正しかった。驚くなかれ、それは今日、
確かに事実通りだ。

http://www.washingtonpost.com/opinions/no-going-back-on-democracy-in-egypt/2013/08/02/bd8d5d20-fb9d-11e2-9bde-7ddaa186b751_story.html?hpid=z3

◇エジプト国防相、アメリカに仲介要請

エジプトの軍事クーデターを主導したシシ国防相が、米紙ワシント
ンポストのインタビューに応じ、軍主導の暫定政権とモルシ前大統
領の出身母体・イスラム組織ムスリム同胞団の対立を解消するため、
米国が同胞団に働きかけるよう求めた。

一方、戦闘機の引き渡し凍結を決めた米国の対応を強く非難。米国
は中東の友好国としてエジプトを重視し、毎年13億ドル(約13
00億円)の軍事援助を行っている。だがクーデターを批判する米
国内世論に配慮し、予定されていた戦闘機の引き渡しを一時凍結し
た。シシ氏は「愛国的な軍への対応だとは思えない。エジプト国民
にいつまで背を向け続けるのか」と述べ、軍への支持を明確にしな
い米国への不満を表した。また、次期大統領選への出馬について「私
は権力を望んでいない」と否定的な見解を示した。

(引用元:毎日新聞 2013年8月4日)
http://mainichi.jp/select/news/20130805k0000m030059000c.html

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◇ アメリカはモハメド・モルシに対するクーデターを支持するとザ
ワヒリ
ガーディアン紙 03 August 2013

アルカイダの最高位にあるアイマン・ザワヒリが彼の祖国について
ウェブメッセージを投稿、外国勢力やキリスト教徒、いくじのない
モスリム同胞団をとがめる

アルカイダの最高位にあるザワヒリが前エジプト大統領モハメド・
モルシを倒したとしてアメリカを非難している、しかしまたモルシ
にはワシントンをなんとかなだめようとしたことで彼自身の転落に
責任があったとも言っている。世俗主義者、コプト教会のキリスト
教徒、そしてエジプトの"アメリカナイズされた"軍隊の陰謀による
イスラム教徒を標的にした7月3日のクーデターで、モルシは追放
されたとエジプト人のアイマン・ザワヒリは言っている。

ザワヒリはこう述べた。「モハメド・モルシの政府を打倒するアメ
リカのたくらみと湾岸マネーに賛成して、十字軍戦士や世俗主義者
やアメリカナイズされた軍が一線に集まっている。」

彼はまた副大統領のモハメド・エルバラダイも攻撃した。

エジプトでは、日曜に軍が設置する政府が抗議の野営地からの安全
な退出をモルシ支持者らに約束し、政治プロセスに再び加わるよう
迫った。

内務省スポークスマンは、抗議者らはモスリム同胞団の指導者に操
られていると言った。

モルシの復権を要求して何千ものモルシ支持者がカイロの2つの野
営地に集まっている。軍は力によって彼らを排除すると脅してきて
いた。

だが、金曜日、外国政府に加えて、宗教指導者らからの流血を避け
よとの訴えのあとで、暫定政府は野営地は閉鎖するが彼らを襲撃し
ないと言った。

多くの人が離れたいのに抗議の指導者から脅しに直面すると内務省
スポークスマンは言っている。拷問、殺し、誘拐を含め、犯罪にか
かわった者は誰でも起訴に直面することになると彼は述べた。

民衆の反乱が独裁者ホスニ・ムバラクを倒して16カ月後、
2012年6月16日、モルシはエジプト初の自由に選ばれた大統
領になった。

http://www.theguardian.com/world/2013/aug/03/ayman-zawahiri-coup-mohamed-morsi?CMP=twt_fd


◇ 望ましいクーデター、有害なクーデター(Good Coups,
Bad Coups)

By Joost Lagendijk

サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェートは、カイロの新政
権に少なくとも120億ドルの支援を約束した。反革命的なペルシ
ャ湾岸の君主らが彼らの気前のよさと引き替えに何を要求するか、
実に明瞭になる、そしてそれは民主主義ではない。

実は7月4日にエジプト軍がモハメド・モルシ大統領とムスリム同
胞団の内閣を打倒したとき、この権力の強奪がクーデターと呼ばれ
てしかるべきかどうかの問題に私は長時間論争するとは思っていな
かった。多くのオブザーバーがその日、クーデターのようだ、クー
デターのようなにおいがする、クーデターのようにふるまうと公式
に表明した。従って、誰もこれに反対したがるとは思わなかった。

中東とその先の大部分の政府がこれに異議を唱えるのが判明した。
軍による乗っ取りに彼らが強く反対論をぶったとき、トルコとチュ
ニジアは不服だった。アンカラでは結局、めったにない同調の行動、
議会の4政党すべてによる共同声明にまでなった。アフリカ連合は
エジプトのメンバーの地位を一時停止することですぐに逆襲した。

アメリカ政府は懸念を表明したものの、民主的に選ばれた政府を軍
が退陣させる国々に対し援助を無理やり一時停止にさせる法的要件
がある事実を十分承知して、クーデターという言い回しは避け続け
た。兵器一覧と債務帳消しに与える膨大な予算を理由に、あると信
じるカイロにおけるアメリカの影響力をワシントンが失いたくない
のは明らかだ。

EUの表明は決断力に欠けるものだった。たぶん混じり合う外交的用
心深さを極端に押し出しすぎで、エジプト向けのEU資金を危険にす
るだろうとの心配と同時に、モルシとモスリム同胞団へのわずかな
愛着も失う。

トルコのエルドアン首相は、すぐにクーデター反対論をぶち損ねた
ヨーロッパを激しく叱り、ブリュッセルを偽善行為と非難する。ク
ーデターのいやな記憶を広く共有するトルコではそんな論難攻撃が
とても受ける。トルコはヨーロッパのダブルスタンダード(二重基
準)に気づくことでは、こっぴどくやられた憤慨で団結する。

(中略)

ジョージワシントン大学の教授、マーク・リンチは外交政策のなか
で説明する。「革命に反感を抱く湾岸の君主らが彼らの気前の良さ
と引き替えになにを期待するかはかなり明瞭です、そしてそれは民
主主義ではありません。保守的な湾岸諸国は新しいムバラク状態と、
このアラブ蜂起の不愉快すべての決定的終焉を買いたいでしょう。」

自由な報道機関でいいことは、特にアメリカで、"クーデターかクー
デターでないか"をめぐる議論が続くことだ。ニューヨークタイムズ
紙は、旧ムバラク政権に関連した強力なグループと個人がモルシ氏
の政権を徐々にむしばむために何ヶ月ものあいだ最大限のことをし
てきたのを示すと思われる報道記事を掲載した。たとえば、エネル
ギー供給を妨害することや、停電やガソリンスタンドで長蛇の列を
引き起こすなどして。軍が多数のモスリム同胞団の指導者の逮捕と
モルシ寄りのメディアへの締め付けを開始したあと、有力なAP通信
社が方針を変えることに決め、軍の打倒をクーデターと呼び始めた。

ウェブサイトのMonkey Cageで、専門のアメリカの研究者が、なぜ
この進行中の論争が重要かを明瞭に表した。「クーデターは、民主
主義やクーデター事項への国際的反応にとって不適当、そして民主
主義に向かう(あるいは民主主義から遠のく)エジプトの道はおそ
らく、選挙のやり方に復帰してできるだけ早く選挙結果を尊重する
として、強い国際的な圧力次第で決まるだろう。」

http://www.informationclearinghouse.info/article35536.htm
http://www.todayszaman.com/columnist-320771-good-coups-bad-coups.htm

 


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