▼ブッシュマフィアの名を汚すやつは見逃すものか▼
New York Press 08 June 2004

ブッシュ・ホワイトハウスは、よくできたシナリオと妖しい魅力のTV
ドラマ「哀愁のマフィア ザ・ソプラノズ」にはとても対抗できない。
だが、セラピーに通うボス、トニー・ソプラノのマフィアとW(ダブヤ
ことブッシュ大統領)のマフィアの類似性を見つけるのは難しくなかっ
た。ホワイトハウスで編成される組織犯罪が、架空のTVドラマでない
のを除いては。ディック・チェイニーのハリバートン・利益分配と賄賂
に始まり、ラムズフェルド支部長とその子分の拷問、ボスに挑む者は誰
だろうと発砲するカール・ローヴのシナリオと、ひどいなわばり争いを
ちゃんと完備したますますコーザ・ノストラのように見えてくる。今年
5月末日、ジョン・アシュクロフトと彼の子分がトム・リッジのテロの
なわばりに押し入りもちろんミーティングを急がせる。そうして、CIA
長官だったジョージ・テネットが除けものにされた。

「沈黙の掟」というファミリーのブランドを冒涜する人たちをブッシュ
マフィアがどう扱うか私たちはよく知っている。元財務長官ポール・オ
ニール、元テロ撲滅権力者リチャード・クラーク、元大使ジョー・ウイ
ルソンらは、空想を描いてる、ウソつき、精神異常と中傷され、厳しく
やっつけられた人たちのほんの少数だ。そしてウイルソンがホワイトハ
ウスから受けた著しいブランドの懲罰を忘れないようにしよう。ひょっ
として世界のあちこちの合衆国の防衛手段を傷つけかねない諜報活動に
従事するCIA のスパイというウイルソンの妻の身分を暴いている。ザ・
ソプラノズを製作したHBO も真っ青のシナリオだ。

ブッシュ一味がチャラビというペラペラで冷酷な殺し屋とはしゃぎまわ
ることがあった。ただし後で彼もまたやっつけられた。これらは明確な
態度の命中弾にすぎない。約束の日のトニー・ソプラノよりずっと頻繁
にそしてずっと目立たずに、ブッシュファミリーはきちっと復讐する。
ワシントンDCの共和党市参事会委員デイヴィッド・カタニアが大統領
に逆らったせいで綱領委員会の委員から外され、共和党全国大会から追
放された。彼は2000年大統領選の遊説に加わり、8万ドル以上の選
挙資金を集めた。連邦の婚姻修正案のブッシュの後押しが、大統領不支
持を彼に決断させたと言ったせいで、ブッシュマフィアは率直にゲイと
公言する共和党員、カタニアを下請けに出した。

確かに天からの命令なのかカタニアにはわからない。だがニューヨーク
の共和党大会で彼をカメラから遠ざけようとするのはもちろん、全米の
共和党とブッシュキャンペーンには彼をやっつけるあらゆる理由があっ
たと彼は推測した。2000年にブッシュと出会ったいわゆるオースチ
ン12の一人で、党の出世盛りのスターとみなされた男カタニアはゲイ
のすぐれた共和党代表者だ。ブッシュキャンペーンに少なくとも5万ド
ル集めた40歳以下に与えられる共和党のレッテル「マーヴェリック」
のひとりだ。だがここ数ヶ月、カタニアはずばずば遠慮なくものを言っ
ている。そして強行にブッシュ批判を表出する。

ブッシュがFMA(連邦婚姻修正案)への支持を表明した3月から彼はブ
ッシュについて「ボクは彼を糾弾している」と言い、ブッシュ選任に反
対する決意をした。

その種の発言をブッシュマフィアは大目に見ない。そしてカタニアは、
ブッシュを支持するかどうかまだ言わないがFMA支持についてブッシュ
を攻撃する広告をTVで流したログキャビンリパブリカンズ(LCR )以
上になっていた。LCR が2000年にブッシュを批判したときブッシュ
はLCR の指導者たちを完全に破壊し参加できなくした。そして後に「哀
れみ深い保守派」を演じる骨折りで、会うことにするゲイのグループに
オースチン12を自分の都合で選んだ。LCR はそれから4年、ごまをす
って過ごし、見せかけの接近を回復しようと試みた。だが、ブッシュは
FMAを支持した。知るか、彼らは再び断固とした態度を取ることを余儀
なくされた。

さて、またも反ブッシュの考えを持ってコマーシャルを流すせいで、ロ
グキャビンの人たちはもう一度やっつけられるようだ。HIV/AIDSに関
する大統領諮問審議会( PACHA )の一員であるログキャビンメンバー
は再び任命されることはないと事務官トミー・トンプソンから告げられ
た。

ワシントンブレイド紙によると、「ホワイトハウスの命令で行動するト
ンプソンが全米ゲイ団体、ログキャビンリパブリカンズとの絆のせいで
ドリスコールと他のゲイ共和党員を PACHA から外すよう求めていたと
匿名を条件にあるPACHA の情報源が述べた」

懲罰を恐れてか、ログキャビンの議長パトリック・ゲリエロはゲイ共和
党員のパージがあったことを否定して、ブッシュマフィアの名誉を守っ
た。

ゲイと公表しないままブッシュ政権内で勤勉に働くゲイは、職に留まり
骨折って上に進むのが許されるとわかる。ブレイド紙はまたこうも報じ
た。キャンペーン内の「上位の」ゲイ、キャンペーンマネージャーのケ
ン・メハルマンに、キャンペーンやホワイトハウスで働く彼または他の
誰かがゲイだとして、連邦婚姻修正案のブッシュの圧力を支持している
のは誰か訊ねた。独身の37歳は、彼自身や他の誰かの性的位置づけに
関する質問に答えるのを断った。

「ログキャビンに所属する者も含め、(多くの)どのゲイ共和党員も、
現に計画事業のトップレベルにゲイの代表がいると迫る」とブレイド紙
は報じた。「だが、80年代スタイルのすぐれた党員に対するアウティ
ング(ゲイとばらす)キャンペーンを避けようと、ログキャビンとオー
スチン12のメンバーはブッシュの隠れゲイのスタッフの実生活に関す
る情報を漏らすのを拒んだ」。換言すれば、彼らは沈黙の掟をあがめ、
ぜひともブッシュマフィアの支部長を保護しようとする。

▲ブッシュマフィアの懲罰係、カール・ローヴは共和党の黒幕的参謀で
共和党内の極右勢力を全面に出すことによって民主党との違いを打ち出
した。共和党内の穏健派と極右派を分裂させるために、キリスト教原理
主義や中絶、同性愛者同士の結婚許可などの問題を倫理的にシロかクロ
かで論議し、極右勢力による党内のコントロール取得に成功をおさめて
いる。同様に、この「分割して制覇する」という伝統的支配戦略を駆使
し、民主党の票を割るために現在、緑の党ラルフ・ネーダーを多大な資
金で支援し、アメリカ各州で極右のアジェンダの拡大に成功している。


ブッシュ大統領が、30年以上前にベトナム戦争徴兵を逃れるため父親
のコネでテキサス州空軍に入隊したうえ、州兵としての兵役義務も十分
に果たしていなかったのではとの軍歴疑惑が再燃している。そんな中、
CBSテレビの看板キャスター、ダン・ラザーがブッシュの疑惑を立証
する「新たな記録」と報じたメモが偽造だった疑いが強まり、保守派は
猛反発。肝心のブッシュの疑惑そっちのけで、メモの信憑論争、メディ
アのあり方、ラザーの辞任問題まで巻き込んで大騒動に発展している。
ラザーが8日の番組「60ミニッツ」で報じたのは、ブッシュの州兵時
代の上官キリアン中佐のメモ。ブッシュの訓練や健康診断を免除したり
評価に手心を加えるよう上層部から圧力がかかったことを記す内容だっ
た。
だが放送を見た視聴者から、メモはタイプライターでなくマイクロソフ
トのワープロソフトで書かれたものではないかと偽造を指摘する声が相
次いだ。15日には中佐の秘書がラザーの番組で、「私がタイプしたも
のではない」と指摘したうえで、「(メモに書かれた)情報は正しい」
と強調した。
ラザーは、偽造メモの疑いが強まったことについて「深刻だ」との認識
を示し、結論がはっきりしたら視聴者に自ら伝えると表明したが、ブッ
シュの疑惑自体を追及せずに信憑論争にばかり注目する同業他社に苦言
を呈することも忘れなかった。
また8日の同番組では、当時、テキサス州議会の下院議長だったベン・
バーンズとの会見も放映された。バーンズは州空軍の責任者に連絡して
ブッシュを推薦し、優先入隊に便宜をはかったことを認め「権力を乱用
した」などと後悔の念を語った。だが、ブッシュの疑惑を立証するこう
した証言も、今や信憑論争の陰に隠れがちとなっている。
(毎日新聞 17 September 2004 )

▼リンチにされるダン・ラザー▼GNN
by グレッグ・パラスト 20 September 2004

「ジャーナリストが、最も不愉快なきびしい質問を口にするのを禁じる
危険」と円熟する米国のジャーナリストが英国のTV視聴者に述べた。

2002年6月、くじかれて老け込んだダン・ラザーは、ひどい検閲と
合衆国のニュース編集室がよく承知していた自己検閲について恐れずに
彼が米国のTVで話さないのを白状する。9月11日後、合衆国のTV
ニュースは縛られ、言論の自由を抑圧された。一線を越えたリポーター
は誰もがアメリカ人でないとして故意にリンチにされたと彼は言った。

「なんとも我慢がならない比較だが、燃え立つタイヤを意見を異にする
人びとの首からさげた時代の南アフリカだよ。ややもすればここで首か
らさげられるという危険。愛国心がないために燃え立つタイヤが首から
さげられるんだ」。「きびしい質問を押し分けて進む」キャリアや首を
合衆国のリポーターは評価しない。

こういったことをすっかりダンは英国の視聴者に話した。しかしながら
合衆国に戻ると良心をあっさり抑えて、「ジョージ・ブッシュは大統領
だ。彼が決断を下す。命じる通りに私に一列に並んでもらいたいのだ」
とTV視聴者に述べた。

ヴェトナム戦争中にCBSのダンの前任者、ウォルター・クロンカイト
はヴェトナム戦争に関するニクソンの手際についてそれはきびしい質問
を口にした。今日、私たちアメリカ人の息子や娘がブッシュの戦争で亡
くなっている。だが、クロンカイトとは違ってダンはトップガンの戦闘
パイロット、対テロ戦争の大切な最高司令官ジョージ・ブッシュに異議
を唱えることができない、疑おうとしない。

ゲームをすることで自ら強く不満を抱き、動揺するダンを、ネットワー
クの番人の詮索なしに英国の放送で見ることができた。

「どうなってるんだ」彼は言った。「遺憾だと思うのは国民は知る必要
がないとの考え、そして戦争を預かっている人たちの尻をかばうため、
情報を制限し、アクセスを制限することだ。はなはだしく危険だし、受
け入れられない、受け入れるべきでない。遺憾だと思うのはこのインタ
ヴューの瞬間を含め、今までのところ圧倒的にアメリカ人に受け入れら
れていることだ。そして現政権はそれにふける、彼らはそれを楽しみ、
それに慰安を求める」

ダンの言葉には本人の痛快な響きがこもっていた。私のリポートを放送
する、目下の関心を呼ぶ事件を追うBBCの夜の番組ニューズナイトで
彼は話していた。偉大さにもかかわらず、好んで私はBBCの記者では
ない。刺激的なアメリカに関する調査報道を夜のニューズに含めたいな
らロンドンから追放されてそれを放送しなければならないのが真実だ。
アメリカ人には私の放送は電気のベルリンの壁で阻まれる。

実際、何年か前に私の調査チームが英ガーディアン紙とBBCのTVに
含めた記事のせいでダンは面倒なことになる。1999年当時、子供じ
みたジョージ・ブッシュをヴェトナムから助け出し、テキサス州空軍に
入れるのに、元テキサス州副知事ベン・バーンズが苦しい羽目に陥った
ことを私は書いた。

アメリカの今月のホットニュースは残りの世界には5年前の古いニュー
スだ。そして番組「60ミニッツ」のプロデューサといっしょに、つい
にうんざりして線を越える用意ができたダン・ラザーではあるが、それ
でもアメリカではそれを見たくなかった。そしてダンが予言したように
彼は首を突きだしてチョン切られた。

ラザーの報道は正確か?ジョージ・ブッシュは戦争のヒーローそれとも
特別免除されたせこい最高位の忌避者か?今日、私はワシントンポスト
のまぬけな見開き2ページで徴兵忌避の話に全く重要でないメモを書く
のに使われたタイプライターについて知った。私の国のメディアで読ん
でないのは、BBCとCBSの記事を支える2つの決定的な記録につい
てだ。一つは、1999年にテキサス州空軍不正取り決めに不利な証言
をするバーンズが署名して供述書に偽りのないことをテキサス州議会に
宣誓した記録。機会を与えられたテキサス州知事ジョージョW.ブッシュ
は、説明の要求を拒否した。

米司法省のファイルに、ジョージの白いケツをヴェトナムから避けさせ
る不正取り決めの記事を再度確認する2つ目の記録がある。昨年BBC
のドキュメンタリー番組「幸運なブッシュ一族」で示されたその記録は
1999年の罪の告白前にもバーンズの正体を金の運び屋として正しく
割り出す。

バーンズの依頼で、ブッシュに代わって州空軍司令官に電話をした男の
陳述も私たちはBBCで手に入れた。その記録を見たい?サイトに投稿
してあるので読んでくれたまえ。

これはダン・ラザーの話ではない。裕福な白人の有名人は私の助けなし
に自分の身を守ることができる。この政権がどこへ先導するかについて
その証拠を追跡することから合衆国の他の記者たちを止める危険、これ
はまったくその危険についての記事なんだ。アメリカの男も女もニュー
ス記者は、常に笑顔を実践し、ヘアスプレーのレベルを調整し、歯を白
くして、アメリカが気にかける他のすべての活発な動きを騒ぎ立てる。
TVジャーナリズムはダン・ラザーの論じ方を見て、「この世間知らず
私は違う」と言うだろう。ダンが予言したように、彼らは首から燃えた
タイヤをかけられてニュースアクター(関係者)としてのキャリアを火
あぶりに処せられるといけないから、何も質問はしない。

▲ジョージ・ブッシュとテキサス州空軍の顛末を含めるグレッグ・パラ
ストのBBC調査報道からなる1時間のドキュメンタリー番組「幸運な
ブッシュ一族」は、一部このサイトで見ることができます。
http://www.guerrillanews.com/

▲GNN (Guerrilla News Network )
NY に拠点を置くアングラニュース組織。WebとTVでゲリラをプログ
ラミングすることで重要な世界の問題を人びとの目にさらすのが使命。