◇大統領の開会宣言なし 各地でデモ続き記者も負傷

サッカー・ワールドカップ(W杯)開幕日の12日、ブラジル国内
の各都市でデモ隊と警察官の衝突が起こったほか、リオ市では外国
人ジャーナリスト2人が負傷した。一方、工事の遅れが懸念されて
いたイタケロン競技場では一時停電などのハプニングがあったもの
の、ブラジルがクロアチアを3―1で破り、開幕戦は無事終了した。
13日付フォーリャ、エスタード両紙が報じた。

VIP席に娘のパウラさんと並んで座ったジルマ大統領(労働者党
=PT)はW杯の30年間の伝統を破り、開会宣言を行わなかった。
昨年のコンフェデレーションズカップ(コンフェデ杯)でブーイン
グを受けたことから安全対策として取った決断だったと説明してい
る。

(サンパウロ新聞2014年6月14日から一部抜粋)

http://www.saopauloshimbun.com/index.php/conteudo/show/id/17905/cat/1

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◇TVではわからないワールドカップ:抗議、催涙ガス、退去させら
れるファベラ住人
  デモクラシーナウ! 16 June 2014

ブラジルで開催中の2014年ワールドカップは大会5日目に入っ
ています。アメリカは今日、トーナメント試合の初戦でガーナと対
戦します。一方、抗議がブラジルの大通り(中心地区)で続いてい
ます。この国の病院や学校がひどく財源不足のままなのにブラジル
が概算110億ドルをワールドカップ主催で費やすことに多くのブ
ラジル人が激怒を表明してきました。日曜、AP通信によって撮影さ
れたヴィデオではリオデジャネイロのマラカナ・サッカースタジア
ム付近で警官が反ワールドカップの抗議者めがけて実弾一発と思わ
れるものを発砲するのが確認できます。伝えられるところでは、警
察はデモ参加者を分散させるのに、催涙ガス、ゴム弾、ノイズ爆弾
も使ってきています。日曜、抗議者を取材する間、催涙ガスを浴び
せられたスポーツライターのDave Zirinと話すため、私たちはリオ
に行きます。彼は新しい本、「Brazil’s Dance with the Devil: The
World Cup, the Olympics and the Fight for Democracy.(ブラジ
ルの悪魔を招くような危険なまね:ワールドカップ、オリンピック、
民主主義のための戦い)」の著者です。

(中略)

ジルマ・ルセフ大統領:侮辱(無礼なふるまい)は私をこわがらせ
ません。私はすくみません。子どもや家族に聴かせられない侮辱に
よって私自身を動揺させるわけにはいきません。

エイミー・グッドマン:ブラジル大統領、ジルマ・ルセフはかつて
政治犯として投獄されました。彼女はこう言い続けました、彼女が
言ったことを引用します、「人生において私はきわめて難しい事態
に直面してきました。難局は私を肉体の限界まで追いやりました。
その時、私が耐えなければならなかったのは、言葉による正当の理
由のない攻撃ではなくて、身体的攻撃でした」

昨年中ずっとワールドカップに反対する何百というデモ参加者がブ
ラジル中で急発展してきています。アムネスティ・インターナショ
ナルのような人権保護団体は、地元警察のデモ参加者に対する過剰
防衛の行使を非難してきています。日曜、AP通信によって撮影され
たヴィデオの中で、リオデジャネイロのマラカナ・サッカースタジ
アム付近の反ワールドカップ抗議者に向かって警官が実弾一発と思
われるものを撃っているのが確認できます。伝えられるところでは
警察はデモ参加者を分散させるために催涙ガス、ゴム弾、ノイズ爆
弾も使っています。彼らが向き合う危険物にもかかわらず、ブラジ
ル人は彼らの権利を求めて戦い続けると、抗議を組織する人たちは
言いました。

(中略)

エイミー・グッドマン:さらに多くを求めて私たちはブラジルのリ
オに行きます、そこで雑誌ネーションのコラムニスト、スポーツラ
ジオのエッジ、SiriusXの司会者、Dave Zirinが私たちに加わります。
彼はリオで2014年ワールドカップをニュースとして報道してい
ます。彼はマラカナ・スタジアムの外から私たちの番組に参加して
います。

デイヴ、昨日、あなたは催涙ガスを浴びました。その場面を説明し
てもらえますか?

DAVE ZIRIN:もちろんです。ボクの後ろに見えるのがマラカナ・
スタジアムです。まず間違いなく、地球上で最も有名なスタジアム
です。そして昨夜スタジアムは64年ぶりにワールドカップ開催の
場所となりました。そしてFIFAとワールドカップがブラジルにもた
らしているすべてに抗議して、約500人のデモが、ボクの左、マ
ラカナ街の通りを練り歩きました。

抗議者が警官に遭遇したとき起こることを捕らえられるようにボク
はカメラマンのZach Zillといっしょに約2ブロック先の進行方向に
走りました。そして抗議者の約1.5ブロック前で一連の機動隊が
ワゴン車から出てくるのを見ました、彼らはガスマスク、盾(シー
ルド)、残りすべてというきらびやかな正装で身支度していました。
そして周期的に盾を打ち始めました。約200人の観光客が野外の
カフェに座っていました、そして警官のためにサッカーの(繰り返
し歌う)チャントを始めました。「Oli, oli, oli, policia」とやり出し
ました。そうして警察が1.5ブロック先の抗議者に向けて催涙ガ
スを発射しました。弾道を誤って催涙ガスは抗議者の約100ヤー
ド手前に着地し、向かい風が催涙ガスを旅行者の上へ吹き飛ばしま
した、そしてちょっと前に警官を喝采していた200人の観光客を
追い立てて分散させて、まったくのパニックをまき散らしました。
催涙ガスは同じくボクにも吹き飛んできました。

そしてその瞬間、警察は弾道を修正しました。おまけに、ボクの勘
定で彼らはさらにもう2つ催涙ガス、衝撃手榴弾の散弾の弾体を発
射しました、それがあの時は500人の抗議を分散させるために力
を尽くしたことで、あとでAP通信が本当は警官が実弾を発射したと
報じたできごとでした。それはボクにはわかりませんでした、率直
に言って、とにかくあの時点で多くを確かめていませんでした。

ファン・ゴンザレス:デイヴ、この抗議に属する問題全体、特に建
設された幾つかの主要スタジアムの近くのファベラ(スラム街)破
壊について話してもらえますか?

DAVE ZIRIN:はい、もちろんです。ボクの右、文字通りマラカナ・
スタジアムから歩いて5分、それはFavela do Metriと呼ばれる場所、
忘れずにいる国際的なサッカーのシスティナ礼拝堂です。Favela do
Metriは家族と共に住む700所帯のわが家です。たった今それは
家族のいないわが家です。それは完全に徹底的に取り壊されていま
す。いまはすっかり通りに面した数個の店舗の店先とたくさんの瓦
礫、ネズミ、廃棄物です。つまり、純然たる惨状ってことです。そ
して計画はスラム街を取り壊して駐車場を造ることでした。駐車場
はまだ造られていません。まさに大量の瓦礫の山です。

そしてボクらは実際にそれを空にする任に当たらされた労働者の幾
人かと話しました、実際、うまくいけば駐車場は2016年オリン
ピックに間に合うかもと期待されています、もちろん、それは開会
式が行われたマラカナのあるリオで開催されることになっています。
Catalytic Communities出身のボクの通訳、テレサ・ウィリアムソ
ンといっしょに労働者に話しかけたことでとんでもなかったのは、
それに関してめちゃくちゃ動転したのは、彼ら全員がスラム街に住
んでいたことです、そして彼らは本当にスラム街を取り壊したあと
にそのエリアを一掃するため雇われた人たちでした、まさに恥と罪
です。

ファン・ゴンザレス:デイヴ、追い出された700所帯の家族はど
うなりましたか?移転させられたのか、どんなものでも給付金は渡
されましたか?

DAVE ZIRIN:それは的を得た質問ですね、ファン、というのもこ
れはブラジル出身の多くの人たちが得ている教訓だからです。ブラ
ジルが2016年オリンピック開催地に決まったあと、700所帯
のうちの最初の100家族が文字通り24時間以内に追い出されま
した。彼らは銃でおどされて追い出されました。彼らの財産は通り
に投げ出されました。彼らはただ消えたのです。彼らが浄化と呼ぶ
もの、一掃が始まっていました。他の600所帯の家族はこれに気
づいて組織的に結束し始めました。そして抗議を組織しました。彼
らは市を訴えました。弁護士を雇うために彼らは自分の金を共同出
資しました。なお、弁護士も公益のために活動しました。長年の弾
圧や社会の周辺的な地位に追いやられる非主流化にもかかわらず、
現にブラジルにはファベラの人々に賛成している多くの人がいます。
そして、その600家族は実は家賃引換券をもらい、数マイル離れ
ただけの場所にいます。それはほとんどブラジル政府から得るつも
りでいたのと同じくらい満足のいく待遇です。

エイミー・グッドマン:ピープルズワールドカップ(People’s World
Cup)の調整を手伝ったスラム街住民に話を変えたいと思います。
こちらがサンパウロのダウンタウンにあるスラム街のひとつの調整
役、Sandra Mojaです。

SANDRA MOJA:私たちにはCopa Buenaがあります。Copa Buena
では誰も代金を払う必要がありません、そしてみんながプレーしま
す。ワールドカップは貧しい人たちは行きません。ブラジル人であ
っても、誰もブラジルのワールドカップに行くお金が払えません。
ワールドカップについて私たちにはこれ以上言うことがありません。
私たちが無料のCopa Buenaをまとめるほうが賢明です。私たち庶
民は自分たちのコミュニティを受け入れなければなりません。政府
に期待しても、なにも得ません。

エイミー・グッドマン:SubVersiones.orgと話をするスラム街活動
家Sandra Mojaでした。デイヴ、聞き慣れない人たちにファベラ(ス
ラム街)をどう説明しますか?

DAVE ZIRIN:まあ要するにファベラはコミュニティです。悲劇は、
たいていそして最も主流のアメリカのマスコミでこれを読むとスラ
ムと直訳されることです、国連の”スラム”の定義を見ると、貧困者、
喜びのないことを言います。まあ要するにファベラは人々が自分た
ちの間に合わせのコミュニティを創造する場所です。そしてブラジ
ルには1世紀のあいだ世界最強の不法占拠者の権利擁護法があるの
でこのスラム街は存在します。非常にリアルな貧困やリアルな難題
をすてきに見えるようにしているように思われたくありませんが、
これらは実際に作り上げる、ぞくぞくするような盛んな文化の中心
です、ミルウォーキーのスポーツバーがワールドカップファンを引
き入れて飲んでワールドカップを観戦させる方法としてニセのスラ
ム街をしつらえたくらい、これらは実際にブラジルの全部、または
ボクたちがブラジル人として思い起こすものに一種の文化の中心地
をもたらします。それは、いわば文化の中心地です。もちろん問題
は文化の中心地を生みだしたことで彼らが得をしないことです。

しかし、何十年もここに暮らし、はなはだしい軽蔑と軽視でもって
ファベラを見る、ファベラに一度も足を踏み入れたことがない人々
もブラジルにはいると言われています。そして政府は土地を強奪す
る機会としてこれを利用しようと企てました。これを知っておくこ
とがとても重要です。特にリオ市は不動産投機ブームを経験してい
ます。ファベラがある土地は信じられないほど強力です。そして土
地を奪い取ってファベラの人たちを追い出し、そこを開発するのに、
ワールドカップとオリンピックが例外として知られているものを提
供します。

ファン・ゴンザレス:でも、デイヴ、ワールドカップとオリンピッ
クは、おそらくラテンアメリカ史上最も人気がある大統領で労働党
の党首であるルーラによってブラジルにもたらされたという所定の
事実、それについて尋ねたいと思いました。それと同時にブラジル
はルーラの1期目とジルマ・ルセフ政権との間に、金持ちと貧者の
隔たりが縮むのを経験しました。推定上、収入の不平等がブラジル
である程度まで減少してきているまさにこの時、この抗議のうねり
が生じているのをどう見ますか?

DAVE ZIRIN:それは大きな質問です、とはいえ、不平等はオリン
ピックの現場リオ市を除き、至るところで減少してきていると付け
加えておきます。でもそれは断じて的を得た質問です。まあ要する
に、ブラジルの経済が年間7%の成長率で景気よくいっていたとき、
ルーラはオリンピックとワールドカップの両方を争って勝ち取った
というのが答えです。まあ要するにエコノミスト誌の表紙はリオで
有名な救世主(Christ the Redeemer)像でした、実際、ロケット
推進船のように打ち上げました。そして、OK、リオは今や新しい大
国(世界的強国)だと思われました。わずかに2008年の不況を
感じました。そしてブラジルは大国です。ブラジルは現在、世界第
5位の経済大国です。そしてワールドカップとオリンピックがこの
新しい大国としてブラジルを告知しようとします。

もちろん、1つだけ問題がありました、経済が減速を始めたことで
した。そしてそれが起こったとき、FIFAとIOCは率直に言って気に
もかけませんでした。ブラジルはインフラ、安全確保、新しいスタ
ジアムを確約しました、それで最後までやり遂げなければなりませ
んでした。そしてそれが、期待にとても奮い立っていたブラジル国
民を非常にいらだたせたことでした、それにもかかわらずイベント
はやってきます、金はなおイベントにわたります、さらに事実上あ
の種のばかげた考えは非常に錯覚を起こさせることが証明される新
自由主義によって中国へ輸出することや石油発見によって実際に弁
済された社会福祉事業のための金にほかなりません。そしてスタジ
アムが建設されるまさにその瞬間にたじろいでいるように人々は感
じています。

エイミー・グッドマン:非常に有名なブラジルのサッカー選手、ソ
クラテスについて話してもらえますか?

DAVE ZIRIN:ソクラテス、もちろんです、彼は1982年のブラ
ジル・ワールドカップ代表チームのキャプテンでした。その代表は
実はワールドカップを勝ち取りませんでしたが、まず間違いなくブ
ラジルの歴史でもっとも大切なチームです。ソクラテスは2年前に
他界しました、あまりにも若く。またソクラテスはみごとな急進論
者といわれる偉い人だったので、ボクたちは彼の発言がないのをひ
どく寂しく思います。彼は自分のことを社会主義者とみなしました。
ブラジルが独裁政権の間、彼のチームCorinthiansは実際に社会主義
者の支部としてチームを組織しました、たとえそうであっても、チ
ャンピオンシップで優勝したチームだったときや満員のアリーナで
プレーしたとき、彼らはヘッドバンドとジャージに反独裁政権のス
ローガンを付けもしました。彼らはチーム置換問題を提案していま
した、そしてチームの戦略を提案していました。けれども彼らには
人気があったので、独裁政権は彼らに干渉できませんでした。ソク
ラテスが亡くなる前、ブラジルが例の7%の成長クリップで景気よ
くいっておりエコノミスト誌の表紙になった時でも、ソクラテスは
ワールドカップとオリンピックを持ってくることに非常に陰鬱な警
告を発していました。特にワールドカップは、ブラジルの貧乏階級
を締め出すことになりそうだと彼が言ったからで、まさしく先ほど
あなた方が流したヴィデオクリップでサンパウロ出身のファベラ組
織者が言ったこと、ワールドカップは旅行者と富裕層のためのもの
ということ、サッカーから人々の気持ちを離れさせることになるの
で、実はブラジルのサッカーの発達に損害を与えることになるとい
うことです。ソクラテスの言葉は予言だったと証明されました。ワ
ールドカップがブラジルに戻ってきた現在、これについて話ができ
る彼がいないことが、私たちにある共通の喪失感です。

(中略)

もちろん、確かに、ラテンアメリカでは金持ちと貧乏人に大きな格
差があります。もちろん、ブラジル人にもブラジル人の富裕層があ
ります。彼らはグレイトフルデッドのコンサートを追い回す人々の
ように、同じくワールドカップの試合のある12の都市にワールド
カップを追い回します。けれども、あなたが言うように、問題は普
通のブラジル人です、ブラジルが主催した普通のおなじみのブラジ
ル人、労働者階級のブラジル人でぎっしり詰め込まれた1950年
のワールドカップとは非常に異なります、その人たちが置き去りに
されています。1950年には22万5千人の席があり、リオ市の
人口の十分の一でぎっしり詰め込まれたマラカナによって非常に象
徴化されます、現在は贅沢なボックス席の存在のため、マラカナに
は7万5千人の席があるだけです。

エイミー・グッドマン:大統領選挙が10月にあります。サッカー
をめぐって、いま非常に不人気なジルマ・ルセフがまだ世論調査で
リードしています。そのことの意味は?そしてFIFAの汚職(腐敗行
為)は?

DAVE ZIRIN:まあ要するに、ジルマがまだ世論調査でリードする
意味は、ジルマに対する他の選択肢が抗議のムードと気持ちが通じ
ていない人たちだからです、単に最もジルマと競うことになりそう
な人たちはジルマより保守的な傾向があるからです。そして彼らは
ワールドカップとFIFAの汚職に関する問題を、問題化しようとして
います、そして実際これの多くに同意して引き受けている不動産業
界の連中については話していません、なぜなら、その有力な同業者
連、大手メディア関係者の多くもまた、この右翼の候補者たちを支
えているからです。そしてそれが、ダメージを受けたジルマがまだ
10月に再選されると、大部分の政治評論家が見ている理由だと思
います。

http://www.democracynow.org/2014/6/16/dave_zirin_on_the_world_cup

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