▼アメリカがイラクだったらどう見えるだろう▼
by ホアン・コール 22 September 2004

イラク人は悲観論に異議を唱えており、あの国で万事がよくなっている
のをほのめかすと火曜日(9/21)ブッシュ大統領は言った。

仮にアメリカがイラクの現状だったら、どのように見えるのだろうか?
合衆国の人口はイラクの11倍だから、多くの統計値をその比率で増や
す必要がある。従って、先週暴力によるおどしが300人のイラク人を
殺害したのは、3300人のアメリカ人に相当する。先週、クルマに仕
掛けられた爆弾や手榴弾、ロケット弾攻撃、マシンガン掃射、空からの
衝撃で3300人のアメリカ人が死んでいたならどうだろう?9月11
日の死者よりずっと多い数だ。そしてそれは進行中の、毎週あるいは毎
月の死者の数だ。

そして首都ワシントンDCを含め、国のそこらじゅうでこの死者が生じ
るとしたならどうだろう?主にボストン、ミネアポリス、ソルトレーク
シティ、サンフランシスコと奴隷解放前の北部と南部の境界、メーソン
・ディクソン線上において。

ホワイトハウスと遊歩道に接する省庁所在地周辺内が絶えず命に関わる
火がつけられるとしたならどうだろう?国務省、ホワイトハウス、ペン
タゴンのほぼ誰一人としてビルから思い切って出る勇気がないとしたら
そしてクリスタルシティやアレクサンドリアへ出かけて行くことが危険
とみなされたとしたならどうだろう?

主要TV局と新聞雑誌すべての記者たちがワシントンDCとニューヨー
クの5つ星ホテルに閉じこめられていたとしたならどうだろう?数ブロ
ック先には安全に進めない、そしてオクラホマシティやセントルイスで
何が起きてるか知るのに通信員に依存しているとしたなら。中西部に思
い切って立ち向かうには軍か州兵部隊にはまりこむしかないとしたなら
どうだろう?

イラクには一致した暴力によるおどしの行動に従事する2万5000人
のゲリラがいるとみられる。マシンガン、襲撃用ライフル(再び合法に
なってしまった)、ロケット推進式手榴弾、死闘の発射装置で武装した
しめて27万5000人の民兵がいて、全米の物騒な都市部に潜伏して
いるとしたならどうだろう?彼らがシアトル、ポートランド、サンフラ
ンシスコ、ソルトレークシティ、ラスヴェガス、デンヴァー、オマハを
完全に制圧していて、地元警察や連邦軍がそういった都市に入っていけ
ないとしたならどうだろう?

この一年に、国務長官(ハシェミ国務大臣)、大統領(サリム首相)、
司法長官(アル・ハキム法務大臣)、その3人ともが暗殺されていたと
したならどうだろう?

毎年主要都市ことごとくでの多数の殺害、誘拐、強盗、カージャッキン
グを有する犯罪の急激な増加によって、米国の全都市がひどく悩まされ
ていたとしたならどうだろう?

空軍が、毎日とか毎週とかごく当たり前にビリングス、モンタナ、フリ
ント、ミシガン、ロスのワッツ、フィラデルフィア、ワシントンDCの
アナコスタ、他の都市部を爆撃したとしたなら、そして、「けしからぬ
一味」の「隠れ家」を標的にしようとしたのが、必然的に多くの子供と
かよわい老婦人を殺すとしたならどうだろう?

時々、米軍がヴァージニアビーチを包囲して、武装したクリスチャン・
ソールジャーの仲間を殺すとしたならどうだろう?クリスチャン・ソー
ルジャーの民兵の小隊全体がアーリントン墓地に立てこもり持ちこたえ
ていたとして、毎日アメリカ空軍の戦闘機に爆撃され、何千という墓が
破壊されて遊歩道にあるヴェトナム記念碑も粉々に砕かれたとしたなら
どうだろう?ティモシー・マクベイ記念旅団のならず者一団を攻撃する
米軍が国民大聖堂を破壊するのを阻止するために、全米教会会議が国民
大聖堂に集まるよう大衆的な何千という信者の行進を呼びかける必要が
あったとしたならどうだろう?

軍用機のみで民間の航空輸送量がなかったとしたならどうだろう?多く
の道路、特にリッチモンドからワシントンDCに至る州間高速自動車道
I- 95 、そしてボストンに至るI- 95とI- 91が大いに危険だったとした
ならどうだろう?500マイル以上に伸びるI- 95を走っていたとして、
君にはカージャックされるか、誘拐されるか、クルマがマシーンガンで
掃射されるリスクがあった。

一日10時間以上電気が通じることがなかったとしたならどうだろう?
常にそれを下回るとしたら?工場を急停止させて真夏のヒューストン、
マイアミでエアコンを作動させなくする、予測できない回数停電になっ
たとしたならどうだろう?アラスカのパイプラインが爆撃され、少なく
とも毎月使えなくなったとしたならどうだろう?失業率が40%台で止
まったままだとしたならどうだろう?

一国の選挙が中止にされて新しい「大統領」と親密な派閥がそっと州会
議事堂に「知事」として就任するとしたならどうだろう?この知事の幾
人かは(特にモンタナとワイオミングの)就任後まもなく暗殺されるか
ゲリラによって子供たちが人質に取られたときに辞職させられたとした
ならどうだろう?

EU の指導者が、こういう状況下にある米国市民は悲観論に異議を唱え
ている、そして自由と民主主義は間近だとこれに固執したとしたならど
うだろう?

http://www.juancole.com/2004_09_01_juancole_archive.html#
109582366638394688

▼彼らに言わせれば共和党は投票を妨げようと動いている▼
by Joe Becker 26 August 2004 washingtonpost.com

最近の動きから、11月の米国大統領選でアフリカ系アメリカ人と他の
マイノリティ有権者を投票所に近づかせないように、どうやら共和党が
キャンペーンを開始しているらしいと、昨日 NAACP(全米有色人種向
上協会)と他の公民権指導者らが非難した。

8月25日共同で発表した新しい報告書「ジム・クロウ(黒人差別法)
の長い影:今日のアメリカにおける有権者に対する脅迫と弾圧」にて、
NAACPとPFAW(People for the American Way)はフロリダをはじめ
とする事件を引用する。NAACP の議長ジュリアン・ボンドは、かつて
南部黒人差別法で民主党の方便だった脅迫と弾圧での奮闘が、黒人有権
者のあいだで享受する民主党圧倒的優位に逆襲しようと努める共和党の
本分にますますなってきていると言った。

共和党全国委員会(RNC)スポークスマンのクリスティン・アイヴァ
ーソンは、党派に属さないこの二つの団体は関連のない出来事を陰謀に
仕立て上げようと企てており、その動機づけは民主党のジョン・ケリー
がブッシュ大統領を破るのを助けることだと言った。

フロリダで最近発生した事件について共和党が黙殺するのは、その申し
出が「印刷された投票用紙に値しない」のを物語る。「パージ」リスト
が誤って大部分がアフリカ系アメリカ人の多数の資格ある有権者から選
挙権を剥奪することになるのを新聞が発見した後、共和党州務長官は州
の投票名簿から凶悪犯を外すための奮闘を断念せざるをえなくなった。
そのうえ、米公民権委員会は11月の投票から追い払うためにフロリダ
警察がオーランドの黒人有権者を脅迫したとの申し立てを調査するよう
司法省に求めている。

登録の疑問が資格ある有権者の投票をじゃましたためか、欠陥のある旧
式のテクノロジーが引き起こすエラーのためか、2000年の選挙では
400万から600万の有権者が選挙権を剥奪されたのを調査は示す。
フロリダで投票用紙をはねられた黒人有権者が白人の10倍だったのを
公民権委員会は見つけた。傾向は他でも見つかった。

繰り返させないために、60以上の非営利団体が「有権者保護連合」を
組織するため団結している。グループは、投票日のホットライン(緊急
直通電話)や投票所をヴィデオに収める、必要なら裁判所に出向くスタ
ッフに、弁護士5000人を含める2万5000人のヴォランティアを
予定している。おまけに、この連合は昨日の報告書の基本を作り上げる
逸話の収集をしてきている。

▲報告書の事件で引用されたこと▲

ミシガンの共和党下院議員がデトロイトフリープレスに、デトロイトの
投票をやめさせないと共和党はきびしいことになると告げた。デトロイ
トは83%が黒人だ。

ケンタッキー州ジェファーソン郡で地元共和党は、有権者の有資格を調
べるため、黒人が主の民主党選挙区に選挙立会人を送る計画を立てる。
類似した2002年の計画では党員補充のフライヤーが明るみになった
後、有権者脅迫の嘆願を引き起こす。

アメリカインディアンが民主党のカギを握る地盤であるサウスダコタで
写真付きID (身分証)を持たなかったためにこの夏の特別選挙中に投票
所から追い返されたと言う。共和党が支配する議会が通過させた新しい
法律を理解していなかった、結果はともかく、善意でやった選挙業務に
携わる人間の問題と州務長官は責めている。

共和党員が運営する選挙管理事務所によるアメリカインディアンに対す
る差別は続いている。2004年、アメリカインディアン、黒人、他の
有色人種には写真付きIDの提示を求めている。サウスダコタのアメリカ
インディアンの数は約1万6000人、大半が民主党支持者だ。インデ
ィアンは免許を持っていないことが多く、写真付きIDを提示できない。
2003年に制定された法律には写真付きIDがない場合は宣誓供述書に
署名すれば投票できるという適用除外がある。それにもかかわらず、ほ
とんどのアメリカインディアンが投票所で威圧され、証明書の携帯と提
示を強要されている。しかも公共の広報システムが整備されてない田舎
では、このID提示は、投票日の当日になって初めて有権者に知らされた
と聞く。

引用された多くの事例で、誰が事件の黒幕かは不明だ。メリーランドの
2002年知事選では間違った投票日を教える差出人不明のフライヤー
がボルチモアの黒人地区の住民に配られた。それには駐車違反のチケッ
ト、未払いの家賃、未払いの負債を、いかにもきちっと払えとあった。

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フォックスニュース、CNNはもちろん、主流メディアには絶対に載らな
いアメリカの恥部は地方メディアでは頻繁に報道されている。以下は、
最近のアメリカ国内選挙における人種差別の実例だ。(ニュースソース
は先の報告書と地方のニュースサイト)
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20年ほど前から、共和党は「投票の保安」、「投票者の質の向上」を
名目に有色人種への組織的攻撃活動を始めている。少なくともこれまで
に3度、共和党による選挙妨害活動が法廷闘争に持ち込まれている。

最初の事例:1981年、ニュージャージー州で武装した警備員による
ヒスパニックとアフリカ系アメリカ人有権者への妨害事件が発生。同時
に郵便による投票権侵害行為が明らかになった。
第二の事例:ニュージャージーの事件から6年後、同じタイプの「投票
の保安」活動がルイジアナ州、ジョージア州、ミズーリ州、ペンシルバ
ニア州、ミシガン州、インディアナ州で行われていたことが発覚する。
暴露された共和党全国委員会の記録によれば、ルイジアナ州だけで6万
から8万人の有色人種が投票から排除されたとされている。(86年、
ルイジアナ州知事選では、選挙管理事務所の共和党員が1万人の黒人の
投票権を剥奪した事件が発覚している)
第三の事例:さらに3年後の1990年、ノースカロライナ州の上院議
員選挙では、共和党候補ジェシー・ヘルムズの選挙チームが、「投票時
に住民登録証を表示しないと逮捕される」というウソの選挙連絡ハガキ
を12万5000世帯(97%がアフリカ系アメリカ人の住人)に配布
アフリカ系アメリカ人有権者を投票所から遠ざけた。

1988年の大統領選挙でカリフォルニア州オレンジ郡の投票所に制服
を着たガードマンが現れ、ヒスパニック系住民の投票を妨害した。その
ガードマンは共和党が雇い入れていた。

1988年、サウスカロライナ州の黒人居住区で州議会議員が、「警察
当局は選挙日に捜査活動を行う」と書かれたパンフレットを約3000
枚配布して、「刑務所に行く犠牲を払ってまで投票する必要はない」と
有権者を脅迫した。

2000年大統領選挙時、フロリダ警察は異例の交通警備を実施して、
黒人有権者が投票所に行けないように威圧した。フロリダ警察は貧困層
が多く住むレオン、ベイ、エスカンビア郡の道路を封鎖し、免許証、住
民登録証を検査、レオン郡に至っては無許可の道路封鎖を実施して投票
所から2マイル離れた場所に150台以上の車を停車させた。

現在、フロリダ州オーランド地区では、武装した州当局の私服捜査官が
2003年市長選挙の不正捜査の調査と称して、黒人の年配者が住む家
の個別訪問を繰り返している。地元住民はこの行為を黒人住民の今度の
大統領選への参加を諦めさせるためのフロリダ州当局による威圧行為と
批判し、司法長官に人権侵害を訴えている。

現在、フロリダ州、ミシシッピ州、ミズーリ州でも、同じように有色人
種住民に対して投票時に写真付きIDの提示を求めているらしい。(ブッ
シュ政権が新たに制定した米投票支援法は全州に写真付きIDの提示を求
めているが、多くの州が反発している)

2003年、フィラデルフィアで警察当局を偽装した記章付きの黒塗り
セダン約300台が、黒人居住区で投票行為を妨害した。

2004年初頭、テキサス州ウォーラー郡で地元地方検事が黒人が多数
を占める地元の大学に在籍する学生は投票資格がないと説明した。26
年前、この土地では連邦裁判所が学生への人種差別を禁止している。

現在、テネシー州ナッシュビルの下院議員に立候補している共和党ジェ
ームズ・L・ハートの公約は、アメリカ全土に優生学を浸透させること
だそうだ。彼は、政府が移民流入を禁止し、福利厚生を停止しなければ
合衆国は「巨大なデトロイトになってしまう」と警告している。他にも
ハート候補は「全ての白人家庭はその児童も含め、防弾チョッキと銃を
携行すべき」と主張している。彼はすでに予備選挙で勝利している。

そして2004年、アリゾナ州に遊説に来たブッシュ・チェイニー選挙
キャンペーンの選挙事務所に地元新聞記者が取材を申し込んだ際、「取
材に来る記者の人種を教えてくれ」と言われ、話題になっている。
アリゾナにはアメリカインディアンが多く住む。記者もまた先住民の血
を引く者だった。ブッシュ選挙チームの広報担当者によれば、取材者の
人種を記録するのは、「シークレットサービスが報道関係者を識別する
ために必要」だとしているが、取材を申し込んだ企業によって対応を変
えていることが明らかになっている。(ブッシュ・チェイニー遊説の際
に取材申込をする記者は、人種情報の他に事前に名前、生年月日、社会
保険番号を申告する義務があると聞く)

11月の大統領選投票日にはマイケル・ムーアや欧州安保協力機構(O
SCE)の選挙監視団がフロリダ州の投票状況を監視するというが選挙
不正はなにもフロリダに限ったものではなかった。