◇ネタニヤフとヨーロッパの極右が共通拠点を見いだす
ICH 19 January 2015 by ジョナサン・クック

1月のパリ殺害の重要性について、ヨーロッパで表出されるものと
はまったく別の懸念のせいで、イスラエルには独自の立場の内部討
論があった。

ヨーロッパ人が世俗社会における言論の自由とイスラム教の役割に
ついて論議に巻き込まれる間、概してイスラエル人、そして特に彼
らの首相ベンヤミン・ネタニヤフが、世界中のユダヤ人にとり唯一
の安全な避難所としてイスラエルの立場を確かにすることとして、
攻撃を検分する。

パリの17人の死は、イスラム教徒の人口が急速に増えることで、
ヨーロッパが戦う準備ができていない文明の衝突に引きずり込まれ
ているとのイスラエルの訝りに勢いを付けた。もっと厳密に言えば、
4人のユダヤ人を殺害したユダヤ教の掟に適う食品を販売するスー
パーマーケットを標的にすることが、イスラエルの外のユダヤ人が
死を免れない危険にあるとの確信を高めた。

調査が信じられるものなら、そのような心配事はヨーロッパのユダ
ヤ人社会に伝えられる。先週発表された調査が1930年代に匹敵
するイギリスのユダヤ人の56%が今のイギリスについて反ユダヤ
びいきだと思うことを見つけ出した。

もっと落ち着いたイスラエル人アナリストが指摘したように、調査
結果は、「ヒステリーに近似する現実からの分離」をほのめかした。

そのような恐怖は先週ダブリンのイスラエル大使館によってフェイ
スブックに投稿された、モナリザがヒジャーブを着て大きなロケッ
トを持ち運ぶのを示すような画像によってかきたてられてきている。
下に一行、「イスラエルは自由世界の最後のフロンティア」とある。

同様な調子で、イスラエルのチャンネル10のアラブ問題の記者が、
おそらく都市は聖戦戦士であふれることがわかる恐怖をあおる”調
査”をロンドンから放送する。

ヒステリーはイスラエルの政治家、とりわけネタニヤフ氏によって
そのまま繰り返される。パリの攻撃以来、フランスを含めヨーロッ
パはイスラエルが証明するよりはるかにユダヤ人にとって安全との
事実を無視して、彼は”不快きわまる”イスラム教が西側諸国を征服
するとの警告を繰り返してきている。

右派左派両方の政治家が、ヨーロッパのユダヤ人は”わずかに一つの
国があるだけと、心の奥底ではわかっている”との彼のメッセージを
オウム返しにしている。イスラエルは明らかに4人のユダヤ人犠牲
者の家族を納得させた、彼らはエルサレムに埋葬されるためイスラ
エルに空輸された。

対照的に、彼もまた銃撃者によって殺害されたイスラム教徒の警官、
Ahmed Merabetのパリでの埋葬は、フランスの一致団結のメッセー
ジを伝えてフランスのユダヤ人指導者に注目した。これは、彼のコ
ミュニティが「他のすべての人々のように私たちはここに埋葬され
る。私たちはフランス人であり、私たちはあきらめなかった。」と
言うための瞬間だったと彼は付け加えた。

ネタニヤフ氏には他の考えがあった。すでにフランスからのユダヤ
人移住者の数が急上昇するとき、さらにいっそうイスラエルに来る
よう誘導する方法を見つけるため、彼は聖職者の委員会を設立した。

彼にはそこにいたい理由があった、とりわけイスラエルの選挙運動
中に世界の指導者らと一緒にスタンドプレーするために。加えて、
大イスラエルを建設しようと試みて国家の地位を求めるパレスチナ
人の名誉心をくじくとき、いわゆるユダヤ教とキリスト教の共通の
西側がイスラムとの衝突の方向にあるとの彼の主張をしつこく布教
することは、みごとに彼を天使の側に据える。

だが、ネタニヤフ氏の主張を単に日和見主義者と見るのは間違って
いる。たとえ逆説的な先例によるものでも、それは本物の世界観に
よって支えられている。彼のアプローチは、選挙のため延期する、
ユダヤ人民族国家としてイスラエルを定義する基本法を通すための
最近の努力に具体的に示される。それは5級市民がパレスチナ人の、
イスラエル市民の指導者というよりも、世界中におよぶユダヤ人の
指導者にネタニヤフ氏をつかせる。

そのような市民権と国民性(独立国家としての地位)の概念は領域
に基づくのではなく、民族的結合に基づく。それは多文化主義に対
峙するどころか、市民の愛着よりむしろ種族の愛着から誘導する国
家への忠誠と考える。それはほとんどのヨーロッパ諸国の市民権の
観念にまったく反対の立場にある。

結果として、イスラエル首脳部は、イスラエル市民のパレスチナ人
を含め、すべてのパレスチナ人が信頼できるはずがなく、地域に本
当の平和は決してこないと決めてかかる。それが、要塞ユダヤ人国
家を建設するためにイスラエルがどこにも鉄の壁を築いている理由
である。

だが、当然の結果は、たとえばフランスで暮らすユダヤ人もまた他
国に忠実であるはずがないことだ。ネタニヤフ氏の概念では、ユダ
ヤ人の本来の結束は、彼らの”真のわが家”、ユダヤ人国家イスラエ
ルであらねばならない。

逆説的に、パリのような攻撃に引き続いて人気が高まってきている
フランスのナショナルフロント(国民戦線)のような組織を含めて
その見方はヨーロッパの極右によって共有される。マイノリティは
本質的に容疑者(注意人物)であり、ヨーロッパは彼らなしのほう
が好都合だと彼らは文句を言う。

これに関して、ネタニヤフ氏と極右は大いに共通基盤を分担する。
彼はそれがユダヤ人の利益のためと思うゆえ、ヨーロッパのイスラ
エル支持を徐々に蝕むイスラム教徒に加えてヨーロッパのユダヤ人
離れを手に入れたい。単なる思惑上の”生まれながら(出生地)”の
白人マジョリティの利益のためと思うから、極右は同様のことを手
に入れたい。

ネタニヤフ氏のようなイスラエルの政治家は、「ユダヤ人のいない
フランスにしたナチやヴィシー協力者によって始められた仕事を完
了させる」のを手助けしていると、あるイスラエル人解説者は明白
に注意した。

パリ攻撃の後、逃げるようにユダヤ人を誘いに立ち寄るなかで、ネ
タニヤフ氏はヨーロッパの極右の危険な論拠をテコ入れしている。

http://www.jonathan-cook.net/2015-01-18/netanyahu-and-europes-far-right-find-common-ground/#sthash.5HfSPgZ6.dpuf

△ジョナサン・クックは、ナザレに駐在するジャーナリストで、ジャーナリズムに与えられる Martha Gellhorn特別賞の受賞者
http://www.jonathan-cook.net

 


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