銃乱射の容疑者ディラン・ルーフの特徴を述べるためにメディア評
論家を自認するお偉いさんたちがすでに「精神疾患」の語りを使い
始めている。なぜ彼のことをテロ容疑者と呼ばない?

◇ 有色人種の射撃犯は「テロリスト」や「凶悪犯」と呼ばれる。
なぜ白人の射撃犯は「精神疾患」と呼ばれるのか?

大量殺人を取り巻くこの人種差別メディアの叙述部分がチャールス
トン教会銃乱射でばらばらにこわれる。

ワシントンポスト紙 18 June 2015 by Anthea Butler
(Anthea Butler:宗教とアフリカに関する文献研究のペンシルバニ
ア大学准教授)

一人の白人男性が犯したヘイトクライム(憎悪犯罪)として警察は
サウスカロライナ州チャールストンのエマニュエル・アフリカン・
メソジスト・エピスコパル教会(Emanuel AME Church)で9人
のアフリカ系アメリカ人を死に至らしめる銃乱射を調査しています。
残念ながらそれはアメリカの歴史において珍しい事件ではありませ
ん。黒人教会は久しく、教会がしっかりつなぎ止める黒人コミュニ
ティを恐怖に陥れるための奮闘で教会に火を付けて燃やしたり爆弾
を投げて爆破する白人至上主義者の標的でした。アメリカ史におい
て最も悪質なテロ行為は1963年アラバマ州バーミンガムの黒人
教会に対して遂行されました。クークラックスクラン(KKK)の仲
間が16番地バプティスト教会を爆破したとき4人の少女が殺害さ
れる、公民権運動を燃え立たせた悲劇です。しかし大手メディアネ
ットワーク傘下の地方放送局を聞いても水曜の銃乱射の報道に使わ
れる「テロリズム」の言葉は聞こえてきません。主流のニュース機
構(とはいえ、ワシントンポスト紙を含め一部はこの矛盾について
増大する議論を報道範囲に入れています)によってこの容疑者の白
人男性21歳のディラン・ルーフが「テロリストとなりうる人」と
して叙述されるのをあなた方は聞いていません。そして最近の他の
白人男性による銃乱射の報道がたとえどのような指摘としても彼は
決してテロリストにはなりません。その代わりとして彼の容疑の行
動の説明に入るのは精神疾患になります。彼は人間性を与えられ、
病気、虐待または不適切な心の健康のやりくり算段の犠牲者と呼ば
れます。
ルーフにはその叙述部分が急いで形成されています。木曜、彼の逮
捕後まもなく、FBI元特別捜査官ジョナサン・ギリアムがCNNに登
場し、ルーフにはおそらく「なにがしか精神的問題がある」、どん
なに悪いことをしたか彼にはわかっていなかったと言います。それ
はアメリカの白いものの勢力です。

アフリカ系アメリカ人またはイスラム教徒が関与する犯罪を報道す
るとき、アメリカのメディアネットワーク傘下の地方放送局は異な
る方針を実践します。容疑者として彼らは(たとえいつも露骨にそ
の言葉を使わないとしても)テロリストや凶悪犯として急いで性格
づけられ、外面的な不公平どころか単に悪意によって誘導されます。
白人容疑者は一匹狼であるのに(この銃乱射はただの「一人の悪意
に満ちた人物」の行いだったとチャールストンのジョセフ・ライリ
ー市長は強調しました)、黒人やイスラム教徒による暴力は計画的
(組織的)で人種や宗教を共有するすべての人から返答や措置を要
求します。黒人犠牲者がけなされるにもかかわらず。なんであれ彼
らに降りかかる殺人や攻撃を正当化するほのめかし、または違反の
ために、彼らの生涯は隅から隅まで目を通されます。黒人の犠牲者
トレイヴォン・マーティンはフーディ(頭部が隠れるパーカー)を
着用していました、(無罪になった)ジョージ・ジンマーマンだと
それが大いに死ぬ原因になったとフォックス・ニュースのジェラル
ド・リベラは締めくくりました。マイケル・ブラウンは葉巻を盗み
ました、そしてエリック・ガーナーはバラ売りのタバコを販売しま
した。ニューヨークポスト紙のコラムニスト、ボブ・マクマナスお
よび他の多くは、彼らの死をともかくも正当化するために「けたは
ずれに間違った決断力」と書きました。そして何一つ犯罪を犯さな
かった十代の黒人女性、Dajerria Bectonがテキサス州マッキーニー
のプールパーティで警察官によってタックルされ抑えつけられたと
き、フォックス・ニュースの司会者Megyn Kellyは「どちらも聖人
ではない」として彼女を描写しました。

公開討論において、黒人の子どもは犠牲にされたあと多くの場合潜
在的に脅威を与える大人に変身させられます、ところが一方、白人
の乱射犯はたとえ彼らがじゅうぶん20代であっても子どもとして
描かれます。昨年おもちゃの銃で遊んでいる間にクリーブランドで
警官に撃たれた12歳の少年タミール・ライスを報道や警察の声明
は繰り返し「若者(young man)」と呼びます。ですが、コロラド
州オーロラの映画館で十数人を撃ったとき25歳だったジェーム
ズ・ホルムズは、「普通の子」、「典型的なアメリカの子」、「頭
の良い子」と叙述したメディアのプロファイルの中の若さによって
たびたび定義を下されました。

ディラン・ルーフは同様の取り上げ方を受けています。木曜、CNN
のインタビューで共和党のリンジー・グラハム上院議員は、21歳
はまさしく「これらのいかれたガキのひとり」だと言い張りました。
9人殺害の訴因によるルーフ逮捕以降、ウォールストリートジャー
ナル紙や他の主要メディアネットワーク傘下の地方放送局は一面見
出しで彼を「単独で行動する人」と呼んでいます。

しかし、チャールストン銃乱射について報道するとき、この精神を
むしばむ人種差別的なメディアの語りを持ちこたえるのは難しいで
しょう。殺された人たちは単に水曜夜の聖書勉強会に参加していた
だけです。そして伝説などで名高い歴史を伝えられるエマニュエ
ル・アフリカン・メソジスト・エピスコパルという乱射犯の選択は
どうも計画的だったようです。それは著名な牧師モリス・ブラウン
とチャールストンで失敗したけれど大規模な奴隷の反乱を導き続け
たデンマーク・ヴィージーを含める男性の一団によって1818年
に創立された南部初のアフリカン・メソジスト・エピスコパル教会
でした。教会は北部の奴隷制反対社会のお金で建てられたので、恐
ろしい白人によって早くから標的にされました。1822年、ヴィ
ージーの奴隷反乱計画に関与したかどで教会のメンバーが調査され
ました、そして建物は懲罰で全焼しました。

以上のような関係において、この教会の牧師や信者を殺すことが計
画的な憎しみの行為だったことは明白です。「誰かが教会の中に入
って祈る人々を銃で撃てる理由はもっぱら憎しみからだ」とライリ
ー市長が指摘しました。でも私たちはさらに進んで行動を起こす必
要があります。公民権や人権を促進することに関与する黒人組織に
対するテロの歴史を再現する行為、この銃乱射の背後に脅迫のメッ
セージがありました。白人男性の人殺しをテロリストだと決めつけ
ることに対するメディアの一部によるためらいが目立っています。

すばやく作り上げるニュースの語りにおいて、黒人教会とモスクが
歴史的にアメリカにおける人種的暴力の標的であったという事実は
見落とされてはいけません。1963年アラバマ州バーミンガムの
黒人教会の爆破が最も歴史的に有名ですが、1990年代にもまた
一連の教会の火災がありました。コミュニティにつけこむ同様のテ
ロ行為を認めることが2001年9月11日後どうも見落とされて
いるようです。続いて起こる、メディアと政治の分野の心をしっか
りとつかむイスラム恐怖症が、「テロリズム」は容疑者が黒ずんだ
皮膚の場合にだけ適用されることを示唆しています。

今回、ジャーナリストが人種に動機づくアメリカの暴力の真相を究
める質問をすると私は期待します。この男性はこれほど黒人を憎む
ことをどこで身につけたのですか?彼はサウスカロライナ州会議事
堂の上に掲揚し続ける南部連合旗に献身を示していましたか?彼は
右翼メディアの無限に繰り返される怠惰で狂暴とのアフリカ系アメ
リカ人の記述に動かされたでしょうか?

白人男性の銃乱射を、孤立、かき乱される、または社会に見捨てら
れる精神疾患のせいにする典型的な語りに報道が後退しないことを
私は期待します。これはただの「一人の悪意に満ちた人物」の行い
ではありませんでした。バーミンガム爆破が公民権運動を駆りたて
た50年後、それは人種上の憎悪の表れであり、私たちの社会に幅
をきかせ続ける白人至上の表れでした。
その全体にわたって浸透し効果を発揮する偏見は白人の”伝統”の
ほうが黒人に対する人種上のテロの歴史よりずっと重要であるから
州会議事堂に残る南部連合旗で明らかです。アリゾナのモスクの外
で白人の”愛国者”がこれ見よがしに練り歩けたのは突撃銃で明らか
です、しかるに黒人男性はオハイオのウォルマートで売り物のライ
フルを持ち上げたために警官によって殺されました。「私たちの国
を取り戻す」と大声で言うティーパーティのスローガンで明らかで
す、合い言葉は9人のアフリカ系アメリカ人を殺したときチャール
ストンの乱射犯によってそっくり模倣されました。

チャールストンの銃乱射はアメリカの深く染みこんだ人種差別文化
とテロの歴史の結果です。それはそれとして報道されるべきです。
金曜、チャールストン銃乱射は「疑いもなく、このコミュニティに
畏れと恐怖を打ち込もうと計画された」ことを司法省女性報道官エ
ミリー・ピアスが認めました(とはいえ、これまでルーフを告発す
る9人の殺人容疑の中にテロはまじっていません)。そしてルーフ
が「人種戦争」を起こすためにあの人たちを殺すことを認めた今、
私たちは彼のことを「テロリスト」と呼んでいないといけません。

http://www.washingtonpost.com/posteverything/wp/2015/06/18/call-the-charleston-church-shooting-what-it-is-terrorism/

=======================================

△南部の誇り?差別の象徴?

黒人9人が死亡した教会での銃乱射事件が起きた米南部サウスカロ
ライナ州では、事件発生翌日の18日、各地で半旗が掲げられた─
─ある一つの際立った例外を除いて。

州都コロンビアの州議会議事堂前では、南北戦争時の南部連合戦旗
が事件後の今も高く掲揚されており、奴隷制を支持し米国からの分
離独立を宣言した南部が敗れてから150年以上が過ぎた現在、こ
の旗の持つ象徴性をめぐる議論が再燃している。

13の星がX形に並べられたこの赤・青・白の旗には多くの南部住
民が共感しており、同州チャールストンのエマニュエル・アフリカ
ン・メソジスト・エピスコパル教会で銃乱射事件を起こしたとされ
る白人のディラン・ルーフ容疑者(21)もその一人だった。

同州のテレビ記者がツイッターに投稿した画像で、ルーフ容疑者が
腰かけている1990年代の現代(ヒュンダイ)自動車製セダンに
は、南部連合旗が描かれた「南部連合国」のステッカーがナンバー
プレートに貼られていた。

州議会前では、国旗と州旗でさえ半旗になったのにもかかわらず、
南部連合旗が高々と掲揚されたままだったことに、一部からは強い
反発が起きた。だ が、南部連合旗はそう簡単に降ろせるわけではな
い。州当局者によれば、この旗を揚げたり降ろしたりする権限は、
法律により州議会にだけ与えられているという。

南部の尊厳の象徴か、人種差別のシンボルか

南部連合旗の評価は、現在も受け継がれる米南部の尊厳と伝統を示
す象徴ととらえる支持派と、人種差別と白人至上主義のシンボルだ
とみる反対派に分かれている。

南部連合旗に対する支持・不支持の感情は、南北戦争が始まった地
であるサウスカロライナ州ではいっそう強い。(南北戦争は1861年
4月、チャールストン港のサムター要塞の戦闘で口火を切った。さ
らにチャールストンは大西洋間奴隷貿易の米国側の中心地で、奴隷
になったアフリカ人のうち40%が同市を通過したとされている)

2014年にコロンビアのステート紙が行った調査によると、議会
外に南部連合旗を掲揚し続けるべきと回答した同州の白人住民は4
人に3人の割合に達し、逆に同旗を撤去すべきと回答した黒人住民
は61%に上った。

(AFP 2015年6月19日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3052221?pid=0

 


♯お知らせ♯

きままなブログを始めました。よりのんきでよりビジュアルな内容になっています。
*見つけた 犬としあわせ* こちらもごひいきに。

このサイトと著作権についての考え方