米大統領選の第一回討論会で後ろのカメラが撮影した画像からはっきり
確認できるブッシュ大統領のジャケットの背中に浮き出た四角いふくら
みがネット上で話題になっていた。9日のワシントンポスト紙とニュー
ヨークタイムズ紙がこれを伝えて、日本の新聞にも掲載された(朝日新
聞10/11)。大統領のスピーチにスピーチライターがいるのも、プロン
プターという原稿表示装置を使うので頭はからっぽでも読めさえすれば
いいことぐらい子供でもわかっている。だが、ディベート大会で答弁す
る内容をワイヤレスイヤホンとか高性能のスパイまがいの道具を使って
誰かに教えられていたとしたらどうだろう。人間として恥ずかしい行い
という前に、失格になるはずだ。これを一国のリーダーが国民はもちろ
ん、世界中に放映されるカメラの前でやったなら、どう子供に説明すれ
ばいいのだろう。
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▼ミリ・ヴァニリと言えば口パク、アメリカのミリ・ヴァニリ大統領▼
by デイヴ・リンドルフ In These Times 08 October 2004

神が話しかけると、ジョージ・W・ブッシュ大統領は公言している。ど
うやら答弁の重要な瞬間にもっと世俗的な声もまた彼に話しかけるらし
い。

マイアミで行われた民主党大統領候補ジョン・ケリーとの最初の討論会
でブッシュを注視する視聴者とジャーナリストはブッシュの奇妙な動向
について注釈している。九分通りワイヤーで外部の音声とつながる彼は
不機嫌そうで、そわそわイライラして見えた。

ところで、電子工学的な手段で隠れたハイテク・イヤホンを通じて送り
込まれる手がかりと弁舌さわやかな話しぶりを彼が手に入れていたとい
ってもいい証拠がある。

第一回討論会にまつわる幾つかのことがこの推論に導いてくれる。

討論会を注視した多くの人びとがその晩のブッシュの変てこなコメント
と動きに気づきそれを口にした。ある事項でコメントを要約してケリを
つけるため警告ランプを受けることになる前に、たっぷりある持ち時間
の中程で彼は、「まあ最後まで言わせてくれ」と腹を立てて出し抜けに
言いだした。不思議な状態をいっそう大きくするのは、司会者のジム・
レーラーにもケリーにも彼の意見を向けてるように思えなかったし、誰
も彼をさえぎってしゃべったり、それをにおわせたりしていなかった。

秘密の聞く装置から聞こえる声はまた、大統領の答弁の折々に起こる幾
つかの長い沈黙と変てこな表情、目の動きについても説明する。

大統領の肩甲骨と肩甲骨のあいだにある四角い物体について、注意怠り
ない視聴者たちが質問を持ち出した。討論者の机にかがみ込んだとき、
後ろからのカメラアングルの画像から彼のジャケットに浮き出た四角い
型がはっきり認識できる。討論会のルールによると、民主党と共和党は
どちらの候補者も背後から撮影されることに同意した。公表されるのを
拒んだ討論会の司会者たちに通じている情報源によると、このおかしな
条件を迫ったのは、元国務長官、討論会の司会者ジム・ベーカーによっ
て先導される共和党だった。

スパイの細工ものに通じているその道のプロたちは、このジャケットの
ふくらみは、隠れたワイヤレスイヤホンから大統領の答弁を送り込む舞
台裏の誰か(カール・ローヴというのが大方の見方)から送られる通信
に用いる信号を聴取するための恐らく誘導子であったであろうと提案す
る。単純な大統領の耳のマイクロラジオ受信機よりむしろこんな装置を
使うことの利点は、信号が数フィート先に気づかれないほど弱い、極端
な低動力で誘導子は盗聴防止のスクランブルをかけたメッセージやかけ
てないメッセージを耳の受信機に放送できることだ。

大統領が恐らく答弁するのに助けを得ていたという推測は、彼がしばら
くイヤホンを使ってきている証拠によって裏付けられる。たとえば、若
干の視聴者によると、フランスでのブッシュのDデイ(第二次大戦ノル
マンディー上陸)記念祝典スピーチのCNN、フォックス、MSNBC
のニュース報道が、スピーチを述べそれが放送される直前に大統領に彼
のせりふを送り込む声をとらえた。CNN放送のクリップには、確かに
大統領がせりふを言うのをリードする別の声が含まれる。

本番のカメラの前でスムーズに記者の所見を放送するためにスタジオ外
から得られる報道をテープに録音してイヤホンでそれをプレイバックす
る、TVの記者にはこのテクニックはおなじみのものだ。

ブッシュがイヤホンを使うかどうかに対しての注釈と、まるであつらえ
たようにぴったりのジャケットの下の明白なふくらみの説明を求める、
ホワイトハウスとブッシュ陣営へのたびたびの電話は無視されている。

ケリー陣営もまたコメントを拒む。

わが大統領が耳から送り込まれるせりふを口パクしてるとわかったから
といって、アメリカ人は驚くべきではない。ロナルド・レーガンはあら
ゆる場合にスタッフや時に妻のナンシーによってキューカード(放送中
に出演者にせりふをつけるのに用いるキーワードなどを記したカード)
を用意された。州知事に会うとき、「グッドアフタヌーン」と言うのも
キューカードで思い出させた。そしてほとんどの大統領がプロのスピー
チライターが書いて研ぎあげたスピーチを述べる。だが、大統領を選ぶ
討論会の最中に答弁を受信するのは明らかに規定のルールに違反する。

1990年、ポップス界の二人組、ミリ・ヴァニリはアルバムの歌を歌
っていなかったこと、ごく普通に口パク合わせのパフォーマンスをやっ
てたことがばれた後、ベストヴォーカルグループ賞を返すのを余儀なく
された。

彼らの大統領がミリ・ヴァニリ大統領だと気づきアメリカ人がどう反応
するかが確かめられることになる。

一方、もしケリー陣営が利口なら、今夜のセントルイスでの討論会の前
に候補者がボディチェックされるのに同意することを求めるか、大統領
と握手を交わす代わりにケリー自身がブッシュの背中を勇ましく叩くか
するよう求めるだろう。(この第二回討論会で見たところどちらもしな
かった)他の可能性として、街のホールに設定するこの堅苦しくない討
論会でケリーはジャケットを脱いで始めることもできた、そうしてまる
で気取り屋と思われることから、ワイヤーをさらけ出す選択をその晩ず
っとブッシュに任せて決めてもらうのだ。

▲デイヴ・リンドルフはIn These Timesの正規の寄稿者。
ブッシュ政権が市民の自由を攻撃することに関する新刊、「This Can't
Be Happening, on the Bush administration's attack on civil liberties 」
が9月に発売された。
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▼「あんた、やつらを殺せ」
イラクの一般市民を殺すためにパイロットたちが乾杯の音頭をとる▼
by アンドリュー・バンカム(ワシントン)
The Independent 06 October 2004

昨日ペンタゴンは、調査していたのは明らかに武器を持たないイラクの
一般市民の群れを米国のパイロットが攻撃して殺害するのを示すコック
ピットのヴィデオの場面だと言った。

30秒のテープの一部はファルージャの街の通りの人びとの群れに狙い
を定め、「やつらを破壊」すべきかどうか飛行攻撃任務統制官に尋ねる
パイロットを説明する。そのパイロットは「破壊せよ」と命じられ、そ
のすぐ後に人の群れがいたところで大爆発があったのをテープの一部が
示す。歓喜する副操縦士の声がテープの一部から聞き取れる。

昨年4月に米軍戦闘機F16のコックピット内で撮影されたヴィデオの
存在は以前から知られているが、チャンネル4ニューズによる昨夜の放
送は主流の放送会社がテープの一部を見せている最初と思われる。

パイロットと統制官とのやり取りの時点で、イラク人たちが武装してる
かどうか、あるいは脅威となる態度を取ってるかどうか誰も問わない。
それが「戦争犯罪」に掛かり合っていることを実証すると、批判者らは
述べる。
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▼投票前夜に用意される強力な一発▼
Los Angeles Times 09 October 2004

アメリカ人の24%が見ていると言われる巨大放送網、シンクレア・ブ
ロードキャスト・グループが11月2日の大統領選投票日直前のゴール
デンタイムに反ケリー映画を放送する予定なのが明らかになる。

放送されるのはジョン・ケリーのヴェトナム従軍時代から反戦活動まで
を批判するドキュメンタリー作品、「盗まれた名誉:癒えることのない
傷」である。原作者のカールトン・シャーウッドはベトナム従軍後、保
守系メディアのワシントン・タイムズの記者となった人物。ブッシュに
よって国土安全省長官に抜擢される前、ペンシルベニア州知事だったト
ム・リッジの部下として働いたカールトンは現在、反テロリズム対策企
業WVC3の副社長を務める。

シンクレアグループ傘下の62の放送局のうち14の局は今度の大統領
選の結果を左右する重要な州、オハイオ、フロリダ、ペンシルベニア、
ウィスコンシンに地盤を置く。

さらにシンクレアグループと提携するフォックス、ABC、CBS、N
BCがこの映画の放送を検討中らしい。放送と並行して行われる予定の
パネル・ディスカッションにはシンクレアによればケリーも招待するつ
もりだそうだが、ケリー陣営はこの招待をまだ受け取ってはいないと話
している。

シンクレアの政治キャンペーンはこれが初めてではない。最近では、テ
ッド・コッペルの人気番組「ナイトライン」が特別番組でイラク駐留米
軍の戦死者リストを放送した際、提携する局でありながら放送を拒否し
たことで注目を浴びた。

シンクレアの反ケリー映画放送キャンペーンがTV放送されるマイケル
・ムーアの「華氏911」に対抗する措置なのは確かだ。