米海軍所属CH−53D型ヘリが沖縄国際大学に墜落した事故で、機体
にあった放射性物質が「ストロンチウム90」であったこと、このスト
ロンチウム90を含む回転翼安全装置6個のうち5個は回収したが1個
は「焼けて気化し、識別できなかった」ことが米国大使館の発表でわか
った。この物質は体内に入ると骨に蓄積され、骨のガンや白血病の原因
になる危険性がある。大使館は「米海兵隊の調べでは、墜落現場には放
射性汚染の痕跡は存在しない」と説明したが、専門家らは「危険性は否
定できない。きちんとしたデータを示すべきだ」と指摘した。琉球大学
物理学教授によると「1秒間に出す放射線の量はストロンチウム90の
方が劣化ウランより1億5千万倍ほど多い。燃えて微粒子となったもの
を吸い込むと発ガン性は否定できない」(琉球新報9/4 2004)

ストロンチウム90とは、半減期およそ28.8年の金属元素で、融点
=摂氏777度、沸点=1382度、通常の火災程度で十分揮発する。
ストロンチウム90が体内に取り込まれると、カルシウムと置き換わる
性質がある。そのためチェルノブイリ原発事故や世界中で行われた核実
験の際に放出されたストロンチウム90は多くの人々に骨ガン、白血病
などを引き起こしたと推定されている。

そういう物質が、米軍発表で「500マイクロキュリー」放出された。
回収されなかった放射線源は炎上した際に蒸発し環境中に拡散した。

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ラファエル・バラハスはメキシコを代表する政治マンガ家のひとりだ。
詮索好きを意味するエル・フィスゴンという名で日刊紙ラ・ホルナダに
マンガを書く。ニューヨークタイムズ紙はかつて彼のことをメキシコの
「権力の頂点をぐらつかせる」と書いた。彼はまた「グローバリゼーシ
ョンで成功する方法、沿道の露天商の入門書」という英語の本を初めて
出版した。これはだいたいレベッカ・ソルニットが書いてる通り、「何
十年間も資本主義はジョークと言われてきたが、このあっぱれな絵のツ
アーでエル・フィスゴンはいろいろにあっと言わせるおちに私たちを導
くので資本主義がなぜおかしいかがわかる。そして怖い。そして奇妙。
そしてとても破壊的」。そして、資本主義とグローバリゼーションにつ
いてのすばらしくウイットに富んだコミックの歴史書である。
ペンを置きコンピュータに近づいてリオグランデの南から見たわが米大
統領についての詳細な描写を言葉で私たちアメリカ人に表してくれと彼
に頼むのはおもしろいに違いないと思ったので、エル・フィスゴンの小
記事が下記に実現した。彼は最新のスタイルで応えてくれた、そして素
描だけがこのマンガ家の蓄積ではないことを証明してくれた。
(TomDispatch 13 October 2004)
http://www.tomdispatch.com/index.mhtml?pid=1899

▼ジョージ・ブッシュ、史上最低のメキシコ大統領▼
by エル・フィスゴン

自由貿易の世界化は非常に不思議な現象を引き起こす。最後の社会主義
勢力、中国は多国籍企業に喜んで強制・低賃金の奴隷労働を提供する。
インドの企業はペルーでウオッカを製造してそれをマドリードで英国が
融資したビルを建造しているポーランド移民に売るアメリカの会社の税
の書式に記入する。アマゾンの孤立した種族のDNAの複製権をなんと
か取ろうとするバイオテクノロジーを得意とする企業。そしてジョージ
・ブッシュが史上最低のメキシコ大統領になっている。

グローバリゼーション=世界化はもっぱら経済、地理、文化の境界線を
かすませるか消すことにつながり、ハイテクノロジーを搾取という原始
的な慣例と共存するに任せる。台湾はスイスに時計を売る。ブラジルは
テクノロジーをドイツに輸出する。そして証拠という証拠が、ジョージ
・ブッシュはその統治スタイルを時代遅れのメキシコの政治家から盗ん
でいると提唱する。

メキシコの政治文化にはとても顕著な特徴があり、合衆国大統領はその
すべてを身につけている。標準的なメキシコの党首は父親からその権力
を受け継ぐのが通例だ。代表的なメキシコの地方政界のボスには暴力と
残虐な行為に向かう傾向はもちろん、銃を愛する心がある。合法で知的
な職業を見下し、過度の飲酒癖(アル中)と放蕩の経歴があり、わざと
ウソをつく。そして自分のことを忠実な神のしもべと断言する。(なに
か見落とした?)

メキシコの慣例によれば、政治家どもは常に不正な選挙操作のおかげで
その地位に届き、そのうえ在職中に圧倒的なスケールで「ビジネス」を
行うため、その権力を利用する派閥(徒党)に取り巻かれる。フロリダ
の選挙の盗みとハリバートンのイラクの請負はメキシコの汚職の典型的
な例だ。

メキシコでは党首の入り組んだピラミッドが基盤となる全体主義の大統
領制度が刀剣を振り回した。それはその名がパラドクスの金字塔に残る
政党を取り巻いて組み立てられた。PRI革命的制度党。悪態はさてお
き、PRIの模範は70年以上ものあいだ権力を保てるほど有能(もち
ろん、PRIにとって)ということ。ペルーの作家マリオ・ヴァルガス
・リョサはPRIを「絶対権力」と呼んだ。

この独裁制は全メキシコ人にとって恥のしるしだった。唯一メキシコの
政治マンガ家だけがそこから恩恵を受けることができた。それが産んだ
ご大層な冷笑の表明とこびへつらいはボクたちには楽しみとなるものだ
った。メキシコの法廷では下記のようなやりとりはまれではなかったし
まったくいやおうなしだった。

大統領が「何時か?」と尋ねる。

大臣は「何時にしますか、大統領殿」と応える。

わが国の大統領は全能の神の発言力、圧倒的な権力を有する創造者だっ
た。彼らの話がわからないのは彼らに反対することだった。彼らに従っ
て、決定的な洪水や原子力の黙示録が近づいた。

政治的支配を維持する目的で、この政権は公民権を抑制して報道の自由
を制限する必要があった。他の者たちが沈黙を守るようになるので、ど
んな類であれ、適法あるいは道義的釣り合いをとる平衡力といったもの
に欠けるメキシコの党首どもは、良心のとがめなしに現実に限られてい
ないうらやましい自由を相談する。彼らはこんな風に言ったものだ。メ
キシコ南部「ゲレロ州で文句を言うのは貧乏人ばかり」、そして当然の
成り行きの人口の98%に言及する。あるいは「イエスともノーとも言
えない、だが正反対だ」とか。

フランス語には「企業家」という言葉がなかったのでフランス人は米国
を理解できなかったと主張したとき、疑いもなくジョージ・ブッシュは
この横柄な態度の男どもを考慮していた。そんなフレーズの仕打ちや、
ますますメキシコの政治家から身につけているブッシュは、もうメキシ
コの政党の功績の極致に登っている。そして現代で最も悪名高き政界の
ボスになっている。王の特権使用料を1セントもその前任者らに支払う
ことなくこれをやっている。

ラテンアメリカ中くまなく、「自由貿易民主政治」の建設はグローバリ
ゼーションの主な政治的勝利のひとつだった。そんな人物がいるとして
自由貿易を世界に広める人、ヴィセンテ・フォックスの大統領当選は、
メキシコにとって新時代の到来を特色づけたと言われてきた。これは、
PRIの低落がボクたちプロの天国の終わりを意味する可能性を懸念し
たメキシコの風刺マンガ家に畏怖の念を投じた。ボクたちは心配する必
要はなかった。権威という点を除けば、フォックスは前党首どもの変わ
りばえのしない悪習にすがっている。彼がメキシコの大統領職に付け加
えたのはマーケティングの才覚と何気なくのユーモアたっぷり。彼は旧
式のメキシコ大統領のDNAがダン・クエール(その顔が足拭きマット
にも使われよくバカにされた米の元副大統領)とジェリー・ルイスとで
クローンとして作られた遺伝子実験のようだった。自由貿易民主主義者
は国のサイズと力を縮める新手法を見つけるのが大好きだ。これに関し
てはフォックスは模範だと判明している。メキシコ政府がこうもいくじ
がなかったことはなかった。ワシントンの決定が、メキシコ人の生活に
こんな空前の重みを持つことはなかった。

グローバリゼーションはカオス論に味方する。ジャングルで蝶が羽ばた
いて飛ぶとカリブ海でハリケーンが発生する。サウジアラビアで赤ちゃ
んが富貴の家に生まれるとマンハッタンでツインタワーが倒壊する。ア
メリカの政治家がメキシコの政界のボスのようにふるまうと地球の反対
側で戦争が激発する。

メキシコの政治家が残りの世界に提供した唯一目に見える長所は世界に
ダメージを与える限られた能力だった。ジョージ・ブッシュはこの障害
を克服している。なんといっても彼には、メキシコの地方政界の暴君が
夢に見るだけの兵器庫といわばテクノロジーを入手する権利がある。ブ
ッシュが祝福すると口にするとき、ボクたちが呪われているからだ。

ブッシュの自由貿易帝国と世界発端の政府の核の傘の下、了見の狭い政
界のボスどもは何ダースもの第三世界の国々の経済的予定表を命じるこ
とができる。ここ何年もの間、メキシコ経済の優先事項は世界銀行、国
際通貨基金、ウオールストリート、そしてワシントンによって定義を下
されてきた。連中がボクらの国の石油割当量、対外債務支払額、ボクら
が提供できる最低賃金を確立する。メキシコの真の大統領は政界のボス
のボス、ジョージ・ブッシュであるから、フォックスは常にそうであっ
たコカコーラのCEO、多国籍のブローカーとしてふるまう。

メキシコの慣例によると、いかに自国民を大事にするか、いかに国民を
繁栄させるかによって政治家は判断される。そんな規準によってジョー
ジ・ブッシュは史上最低のメキシコ大統領だ。

アメリカの民主主義は今も機能すると教えられる、だが仮に機能すると
すればそれは世界化されない米国の解釈にすぎない。どういう意味かと
言えば、世界中の何百万という市民の将来にかかわるにせよ、この選挙
に投票する権利を持たないということだ。メキシコ人にはこれはうのみ
にするには特に苦いクスリである。なにしろ最も不適当な政界のボスに
ついて、ボクたちの意見を表現する権利がないのだから。

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▼自由という名の犯罪 ▼
ディック・チェイニーのエルサルヴァドル
by マーク・エングラー 14 October 2004 ZNet

10月5日、チェイニー対エドワーズの討論会で副大統領の負担部分に
事実の歪曲がたくさんあったのを私たちは知っている。だがちょっと待
ってくれたまえ、1980年代エルサルヴァドルの内戦のディック・チ
ェイニーの意味深い誤用はあまり対処されていない。副大統領が目下の
アフガニスタンの窮状に匹敵するものとしてその内戦を引用したとき、
ラテンアメリカの事件に立ち会うオブザーヴァーたちはショックを受け
て恐れ入った。

「20年前、私どもはエルサルヴァドルで同様の情況だった」とチェイ
ニーは言った。「ゲリラの反乱行為がその国のおおよそ3分の1を支配
しており、7万5000人が死んだ。そして私どもは自由選挙を行なっ
た。私は議会に代わってオブザーヴァーとしてそれに立ち会った。そし
てテロリストが投票所に入り、銃を乱射して荒らそうとしたんだけれど
も、やつらが去るやいなや有権者は戻ってきて列を作り、投票する権利
を打ち消されまいとした。そして今日、私たちが自由選挙を行ったので
エルサルヴァドルはずっとましだ。そしてアフガニスタンでこの考えが
応用される。そしてなおイラクでもこれが応用される」

ここで副大統領が削除する最も意味のある今日的な事実は、ゲリラによ
ってでなく、チェイニーが支援していた政府とその準軍事組織、死の部
隊によって7万5000人の住民が殺されたということだ。2つ目の最
も意味のある事実は、チェイニーが引用した1984年の選挙は歴代の
本当の対立候補者がすでに絶滅状態にされているのと、結果を巧みに操
作するのに米国が1千万ドル費やすことで広く茶番とみなされていた。
これが民主主義を輸出するモデルだというのが、ネオコンが私たちに何
を用意しているかについて多くを伝えている。

実際、今日エルサルヴァドルがずっとましだとすれば、政府に反対する
運動が続いているからだ。1992年和平講和の一環として権限を移譲
された国連真相委員会は、当時レーガン信奉者らが断固として否定し、
今日忘れたがっている現実を肯定する。委員会は人権侵害の責任の5%
がFMLNゲリラに、90%はエルサルヴァドル軍にその責任があり、
残りの5%が未確認なのを認めた。

ニューヨークタイムズ紙は、この報告の公開をこう注釈した:
「ひどい犯罪がエルサルヴァドル軍によって自由の名でしでかされたの
をレーガン政権が曖昧にしようと努めたのを、国連真相委員会は確認す
る。委員会の報告は1989年イエズス会士聖職者6人の殺害を命じた
上官のひとりが元国防相だと身元を確認する。4人のアメリカ人修道女
の殺害をなんとか隠そうとした者たちの中に別の国防相の名を挙げる。
右翼の政治家で、ジェシー・ヘルムス上院議員には英雄の、ロベルト・
ダウビソンがロメロ大司教の殺害を命じたのを確認する」

ザ・タイムズのコラムニスト、アンソニー・ルイスは次のように結論づ
けた:
「米国は、殺人者たちに支配されたエルサルヴァドル政府を支援するの
に60億ドル費やした。私たちは連中を武装させ、その兵士たちを訓練
し、その犯罪をかばって隠した」

ジョン・ケリーはイラク侵略に共謀しているとはいえ、80年代のエル
サルヴァドル、ニカラグア両国での人権侵害の米国の後援を公然と非難
することで一定の重要な見解を示した。この見解にずっと怒り続ける右
翼は、人の関心を引く解釈を強める。中米の歴史から全く間違った教訓
を得ることで、チェイニーをそっくりまねるということだが。

申し分ない例:最近のウィークリー・スタンダード誌の残虐でむごたら
しい、違法なコントラ戦争を擁護するヒュー・ヒューイットの論調だ。
1985年、ニカラグアを訪れたことでケリーとハーケン上院議員は、
サンディニスタのダニエル・オルテガを「なだめていた」とヒューイッ
トは主張する。ダニエル・オルテガは彼に言わせれば「アメリカの敵」
のひとりだ。つまりこのおそらく有罪を証明する証拠としてヒューイッ
トが利用した当時のケリーの発言は、当時あるいは現在、政権を握る人
たちよりずっと頭脳明晰な、無視できない中米の政治的見解を持つ人で
あるのを示す。「トンキン湾決議を振り返って見れば」とケリーは言っ
た。「カンボジアにいた部隊、戦死者総数の史実、そしてヴェトナムの
過去のできごとの誤解を振り返って見れば、そして私たちが中米の苦闘
をどう解釈しているか、CIAの関与、港の地雷敷設、コントラに資金
提供する奮闘をどう考察しているか見ると、この2つの時代のあいだに
は露骨で避けがたい相似がある」

たとえネオコンがそれらの意味をゆがめ続けても、その相似は続く。チ
ェイニーが米国の中米介入の記録を模範として引き合いに出すことで、
「自由という名の犯罪」がこれから先もあっぱれに適用される概念なの
は確かだ。

▲マーク・エングラー:ニューヨークで活動する作家。下記のサイトか
ら記事が読めます。 http://www.DemocracyUprising.com.