米軍の占領に抵抗するサラヤ・ムジャヒディーンという武装集団が日本
人3人を拘束し、自衛隊がイラクから撤退しない限り、殺害するという
警告が中東カタールの衛星TV 局、アルジャジーラで流れた。

拘束された3人とは、マスメディアの北海道新聞が劣化ウラン弾につい
て取り上げるきっかけを作ったプロジェクトチームの代表、今井紀明と
イラクのストリート・チルドレンの窮状を救うために個人的に活動して
きた女性、高遠菜穂子、そして週刊朝日にイラクの現状を伝えるつもり
だったフリーのカメラマン、郡山総一郎だ。

18歳の今井君は、劣化ウラン弾は危険なので一刻も早く廃絶しなけれ
ばならない、放射能汚染で生まれる白血病や無脳症や四肢欠損児を根絶
しなければならない、自衛隊員が被爆するのを防がなければならない、
という想いから今回イラクに向かった。

4月10日、日本のNGOの仲間が、拘束された3人が自衛隊派遣に反対
していたことやイラクでどういう活動をしていたかをイラクの人々に知
ってもらおうと、アルジャジーラ経由でムジャヒディーンに対してのメ
ッセージをできるだけ多くの人に送るという試みをした。
以下は、高遠菜穂子さんの友人の友人で彼女の活動を知るイラクの友が
アルジャジーラ、アルアラビアを通して、3人を拘束している抵抗運動
組織に届くように送った手紙である。アラビア語で書かれた手紙は印刷
され、ファルージャ、ラマディ近辺に1万枚が配られた。

▼神の名において サラヤ・アル・ムジャヒディーンの兄弟たちへ▼

この手紙が、あなた方のもとに届きますように。神は、この手紙が真実
のものであるのを知っておられます。この手紙があなた方のもとに届き
あなた方が読むのは、神の思し召しでもあります。あなた方の捕虜とな
っている日本人女性、菜穂子について、神はあなた方の知らないことを
知ってほしいと望んでおられるからです。私たちはアルジャジーラ放送
で、彼女が捕らわれた3人のうちの一人であるのを知りました。
この手紙は、あなた方の行いや意図を裁くつもりで書かれたものではあ
りません。そしてまた、私たちは、日本の軍隊(それが正規軍であろう
と、日本政府が言うように復興支援の防衛軍であろうと)がイラクに入
ってくるのを支持するせいでこの手紙を書いているのでもありません。
この手紙と写真は、ただひとつの願いから書かれたものです。菜穂子は
(もしあなた方が人質を必要としているとして)、決して人質にしては
ならない人だということを知って欲しいのです。
この日本人女性は、ひとりの人間として自ら強く望んで2003年5月
からバグダッドに来ています。その日から、イラクのホームレスの子供
たちの手に食物、衣服、医薬品を届け、長いあいだ働いて貯めたお金を
すっかり使いきってしまうのです。この前、日本に帰ったとき、菜穂子
は1カ月半ほど働いてお金を貯めて戻り、イラクのホームレスの子供た
ちのために使おうと計画しました。でも、活動はとても困難でした。あ
なたがたが彼女を捕らえたちょうどその日、バグダッドでは多くの人々
が彼女を待っていたのです。
サラヤ・アル・ムジャヒディーンの兄弟たち、私たち自身とイラクの孤
児のために、3人の日本人の人質を解放して欲しいという願いを聞き入
れて下さい。中でも、菜穂子は、イラク国民への深い思いやりをいかに
示すか、日本人にとってのよいお手本となっているのです。
(ストリートチルドレン・イラク人活動家グループ 09 APRIL 2004 )

これまで無視を決め込んでいたアメリカ政府が狼狽しています。やっと、
劣化ウラン弾が表舞台に。
4月3日、ニューヨーク・デイリー・ニュース紙はイラク戦争後にサマ
ワに展開し、体調不良で帰国した米兵の9人中4人の尿から劣化ウラン
が検出されたことを公表した。
一面トップのスクープ記事です。 全文は下記にて読めます。
● http://www.nydailynews.com/front/story/180333p-156685c.html
● http://www.nydailynews.com/news/local/story/180337p-156686c.html
● http://www.nydailynews.com/news/local/story/180340p-156689c.html

調査対象となった兵士たちの所属する第442憲兵中隊は直接の戦闘に
は参加しておらず、イラクに入った時期も遅いにもかかわらず被曝した。
共通して訴えているのは昨年8月にサマワにキャンプを設営していると
きに原因不明の疾患にかかったということ。昨年8月にオランダ軍に治
安を任せるまで、サマワも米軍が治安を担当していた。そして今、サマ
ワには日本の自衛隊が派兵させられている。

ことの発端は、帰還兵達が軍当局や軍病院の不誠実な対応に業を煮やし
UMRC(ウラニウム医療研究センター)に連絡を取ってぜひ診断して
欲しいと相談したことだった。これを受けて、そこの責任者であるアサ
フ・ドラコビッチ博士が即座に対応した。博士のチームは兵士たちを直
接診察し、その症状から劣化ウラン被曝の可能性があると判断した。そ
して尿のウラン分析の必要性を確信する。9人の尿の分析はニューヨー
ク・デイリー・ニュースが資金提供して、ドイツのガルデス教授のとこ
ろで最新鋭の機器を使って行われた。調査・分析はドラコビッチ博士と
ドイツのガルデス教授の共同研究となっている。

▼州政府、兵士の健康のためにひと肌脱ぐ▼
Gov goes to bat for G.I.s' health
http://www.nydailynews.com/front/story/181048p-157154c.html
ホアン・ゴンザレス(デイリー・ニュース・スタッフライター)
06 APRIL 2004

昨日、ニューヨーク州知事のパタキはイラク帰還兵にもっとましな健康
診断及び治療を提供するよう国防総省に求めている、地元指導者らのど
んどん膨れ上がるリストに加わった。
知事のアピールは、イラクで任務に就いていたニューヨーク州兵部隊の
9人の兵士のうち4人が劣化ウランの検査で陽性の結果が出たことを、
「デイリー・ニュース」紙が日曜日に公表した後に出された。
この9人のアメリカ兵は全員がロックランド郡オレンジバーグに基地を
置く442憲兵中隊に所属するが、イラクのサマワに配備された昨年夏
に病気になったと言う。
兵士たちは「デイリー・ニュース」の要請で、独立したウラン専門家、
ドラコビッチ博士によって診察され検査された。彼は4人が米軍から発
射された劣化ウラン弾によって放出した放射性のダストにさらされたの
は「ほとんど間違いない」と結論を下した。
兵士の何人かはウォルター・リード軍医療センターとフォート・ディッ
クスの医者たちが劣化ウランの検査をすることを数ヶ月のあいだ拒否し
たと述べた。劣化ウランというのは、第1次湾岸戦争以来、戦車を貫通
する砲弾として米軍によって使われてきたものだ。
日曜日、上院議員ヒラリー・クリントンは国防総省当局者がイラク帰還
兵士を適切に検査していないと激しく非難して、検査を義務づける法律
の提出を約束した。
一方、フォート・ディックスの広報担当者は、現在フォート・ディック
スにいる第442部隊のメンバー全員が劣化ウラン被曝についての検査
を受けていることを昨日、認めた。
中隊全体は、昨年の復活祭にイラクに配備されたのだが、今月末までは
帰国する予定はなかった。

イギリスのマンチェスターに拠点を置く市民団体「反劣化ウランキャン
ペーン」CADUのニュースレターから。
CADUは2003年に結成された「ウラン兵器禁止を求める国際連合(ICBUW)
の設立団体で世界でも早くから劣化ウラン問題に取り組んできている。

▼CADUニュース16号 2003年  
セルビアのDU(劣化ウラン弾)除染進む▼

1999 年の空爆でDUが使用されたひとつの地域の汚染の除去が完了した。
セルビア政府はBratoselceの除染は95%の効果があると主張している。
除染作業の費用は1500万ディナールで、セルビア政府の負担だ。国際法
上、 武器がもたらした結果は戦後も継続するものであってはならないと
されていることを考えれば、豊かなNATO軍による汚染を貧しい国が除去
しなければならないとは、情けない。セルビア南部のPresevo 近郊では、
さらに200発以上のDU弾が発見されている。