アメリカインディアンのチェロキー族長老が孫たちに人生について教え
ていた。「戦いは私の中で続いている。2匹の狼によるものすごい戦い
だ。1匹は恐怖、怒り、ねたみ、悲しみ、後悔、食い意地、傲慢、自己
憐憫、罪の意識、憤り、劣等性、ウソ、プライド、優越を象徴する。も
う一匹の狼は喜び、愛、希望、分配、落ち着き、謙遜、親切、慈悲心、
友情、共感、寛大、真実、同情、信頼を表す。これと同じ戦いがお前た
ちや他のすべての人々の中でも続いている」

ちょっと考えてから、ひとりの子どもが祖父に尋ねた。「どっちの狼が
勝つの?」

「私が餌を与えるほうの狼だよ」と、経験豊富な老チェロキーは明快に
応える。

=================================================
Cheer up Blue America 悲観したアメリカよ、がんばれ!
=================================================

=これはラテンアメリカの歴史的瞬間だ。人民の時代だ=
(ウルグアイのミュージシャン、ダニエル・ビグリエッティ)

ちょっと目線を下のほうに向けてみよう。ブッシュ再選のアメリカの「
裏庭」で、それに抵抗する流れがいっそう進んでいる。
2004年10月31日、ラテンアメリカの4ヶ国で重要な選挙が行わ
れた。ウルグアイの大統領選と、ベネズエラ、チリ、ブラジルの地方選
だ。これらの選挙結果は、2日後に行われたアメリカ大統領選の結果と
明白な対比をなすものとなった。アメリカでブッシュが再選される一方
で、その「裏庭」的ラテンアメリカでは、ブッシュとアメリカの経済・
外交政策、軍事覇権とネオリベラリズムに異を唱える勢力が躍進し、さ
らに前進を遂げている。

▼ウルグアイ:大統領選で左翼連合が史上初の勝利▼

注目すべきはウルグアイの大統領選。ここでは建国以来はじめて、左派
勢力「拡大戦線」の候補者、バスケスが大統領に選ばれた。ウルグアイ
は、アルゼンチンのような農業国だったが、90年代の新自由主義経済
政策が引き起こした経済破綻によって、多くの人が食糧難にあえぐよう
になった。社会保障の削減、公的部門の民営化、外国資本への依存度の
高まり。こうした自由競争を激化させ貧富の差を拡大させる政策に、ウ
ルグアイ国民の不満が高まっていく。実は、5年前の大統領選挙でも、
バスケスは4人の候補者の中で1位の得票数を獲得していた。しかしな
がら過半数には至らず、決選投票で2位と3位の候補者の連合に敗北し
た。だが、今回の選挙では決選投票を待つまでもなく、バスケスは最初
の投票で過半数を獲得したのだ。
ウルグアイは、南米の小国とはいえ、アメリカの忠実な同盟国だった。
そのウルグアイにアメリカの新自由主義的経済統合に反対する左派政権
が登場したことで、アメリカの「裏庭」の新自由主義に反対する大きな
うねりが、いっそう強固なものとなった。

▼ベネズエラ:地方選でチャベス派大躍進▼

アメリカの政策に対する最も先鋭な抵抗者の一人であるチャベス大統領
が率いるベネズエラでは、全国で地方自治体の選挙が行われ、州知事選
でも市長選でもチャベス派が大躍進を遂げた。これまで、地方自治体の
長は、全体の三分の一しか掌握していなかったが、今回の選挙で一気に
80%を占めるに至った。州知事選では22州のうちの20州でチャベ
ス派が勝利した。反対派は重要な拠点、牙城を次々と失った。この結果
をうけて、クーデター未遂や罷免投票などでチャベス失脚を狙ってきた
米国の支援を受けた指導者たちの中から、次々と事実上の敗北宣言を出
す者も現れ、反対派はいっそう分裂し弱体化している。

▼チリ:地方選で中道左派現政権が右派野党を抑えて勝利▼

チリでは、ピノチェット軍事政権の終焉後、政権の座に着いた中道左派
連合が地方選挙で勢力を拡大した。事前の予想では、右派の野党とほぼ
互角の戦いになると見られていたが、結果は、与党48%、野党38%
だった。その他の小さな党の中では、共産主義者と人道主義者の連合体
「フントス・ポデーモス」が急速に勢力を伸ばし、次期大統領選のキャ
スティングボードを握る存在となっている。

▼ブラジル:地方選で与党労働党が重要都市を失うも健闘▼

だが、ブラジルでは、全体としては健闘したといえる結果ではあるもの
の、2年前に政権を握ったルラ大統領の労働党がサン・パウロやポルト
・アレグレなど重要な都市の市長選で敗北した。

(15 November 2004 :アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対
する署名事務局)
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/Bushwar/electoral_victories_in_latin_america.htm

=================================================

▼ラテンアメリカはさらに進んで左のほうを好む▼
by メアリ・ミリケン Common Dreams 01 November 2004
http://www.commondreams.org/headlines04/1101-09.htm

今週末の4つの選挙で、左派はラテンアメリカの中により深く入り込ん
だ。それは、危機に疲れ果てた有権者が、何十年間も米国に支持された
市場改革にうんざりし、よりましな富の分配を伴った経済成長の実践的
な綱領に好意を寄せたからである。

ブラジル、チリ、ベネズエラで、左派が今後の大統領選の基本傾向を設
定できるような地方選挙で勝利を刻んでいる間に、歴史的な勢力配置の
変化のなかで、小国ウルグアイが左派の元首を選出した最新の南米の国
になった。

ウルグアイ初の左派の元首となるタバレ・バスケス(64才の医師)は
初期の激しい革新的提案を弱め、ウォール街で高く評価されているダニ
ロ・アストーリを経済大臣として選び、3度目の挑戦で大統領職を勝ち
取った。

ウルグアイは、米国の伝統的な「裏庭」において米国に貿易と外交で挑
戦を行なっている左派または中道左派が政権を握る南米の国々、アルゼ
ンチン、ブラジル、チリ、ベネズエラと、有力なクラブの仲間入りをす
る。

この10年間、外国からの投資に国を開放する自由市場政策は、しばし
ば経済的な大惨事に終わった。特にアルゼンチンとウルグアイのような
かつて豊かな農業国で、目下、数百万人が十分な食糧を得ていない。

だが、これらの国の多くが、最近の健全な速度での経済発展にもかかわ
らず、緊縮財政から脱却できずに、投資家の信頼を失っている。これら
の国の債務負担はあまりにも大きすぎ、経済は外国からの投資に大きく
依存していた。

ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領が、主要なイン
スピレーションの源だとバスケスは述べている。アナリストによれば、
ルラの左派的プラグマティズムは、緊縮財政政策と社会福祉を増進する
ための努力を結合させるものだが、これがこの地域一帯でよく知られる
ようになってきている。

「南米の民主主義は成熟し、もっと似通ってきている」と、ブラジリア
大学の政治アナリスト、デヴィッド・フレイシェルは述べた。「これは
南米の国民が米国との貿易交渉のような領域で、もっと統一された立場
をとるかもしれないことを意味する」

ブラジルでは、ルラ大統領が権力を獲得した2年後、彼の労働党は31
日の地方選挙で金融と産業の中心サン・パウロを含む3つの大都市を失
った。だが、労働党の後退は、ルラというよりむしろその地方特有の問
題であるとされた。

労働党の候補は、およそ5600の地方自治体の選挙全体で見れば順調
だった。労働党は2006年の大統領選を2年後に控え、伝統的な拠点
を超えて党の存在感を広げた。

チリもまた、31日の市長選は2005年の大統領選のためのリトマス
試験紙となった。15年間チリを統治してきたリカルド・ラゴス大統領
の中道・左派連合は45%の得票率を得て、右翼の反対勢力は39%だ
った。

政治学者によれば、この勝利は、最近の3つの市長選挙より僅差ではあ
ったが、与党連合にとっては朗報だということである。

「飛べないアヒルになる寸前のようにみえた大統領は、高く、高く飛翔
している」と、ニューヨーク大学の政治学者パトリシオ・ナビアは言っ
た。

ベネズエラでは、予想結果によれば、左派のチャベス大統領に忠誠を誓
う候補者が23のうち少なくとも18州の知事職を勝ち取り、影響力の
大きいカラカス市長のポストを勝ち取ったことを示した。

1998年に初めて選出された火つけ役の人民主義者チャベスは、彼に
対する2002年の短期クーデターを支持したということで、彼が非難
していた反対派の知事と市長を追い出した後、彼の社会改革を強化する
と誓った。

これは8月の国民投票における大統領の勝利によって意気消沈させられ
た反対派にとって、壊滅的な敗北だった。

「チャベス大統領がいっそう強固な政治権力を掌握しているというのが
少なくとも今後2年間の現実だ」と、ニューヨークのアナリスト、ホセ
・セリテリーは述べた。

チャベス自身の勝利と、この地域の他の左派の勝利に勇気を得て、チャ
ベスは11月1日、次のように宣言した。「革命はまさにここにあり続
ける」。そして「ラテンアメリカの偉大な人民が、今まさに昇りつつあ
るのだ」